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7章 更なる強さを求めて
232 後始末
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「トーマ、大丈夫だったー?」
リーンが心配してくれる。
「ご覧の通り怪我もないよ。
監視がコイツ1人と決まったわけじゃあないが、あのタイミングでコイツしか仕掛けてこなかったんだから、恐らく全滅させたはずだ。
ハル。マジで助かった。さんきゅー」
馬車の陰からは20メートルは距離を取っておいたのに、まさか一瞬で15メートルも詰められるとはなぁ。
ヴェルトーガでスカーさんを見てなかったら、安全マージンを見誤った可能性が高い。
「うん。役に立てて良かった。事前に、違和感を感じたらって打ち合わせておいて良かった。
誰か来たらなんて言われていたら、間に合わなかったと思うな」
ずっと警戒していたハルですらその感想か。ホントにやべぇな貴族家。
「しかし事態が想定通りに運ばなくて焦ったのでしょうね。撃退が知られたら困るのは、私達だって同じなのに。
まぁ監視に気付いていない前提で見れば、まさか後処理をしていくとは思わないですかね」
「そうだね。彼らが襲撃場所に選んだくらいだから、狩人もあまり近寄らない場所なんだろうし。
それに僕らがタイデリア家と面識があるのは、同じ精霊家には伝わっていても不思議じゃないからね。たかがいち冒険者と、身分が対等な精霊家を相手にするのでは事情が変わってくる。
タイデリア家の名前を出されたことで、僕たちを見逃すという選択肢はなくなったんだろうね」
意識してなかったけど、ゲートの行き先もヴェルトーガだったしな。仮にゲートから行き先を知る方法があったとしたら、俺たちの話に信憑性も出たことだろう。はい、後付です。
「それじゃあ後始末を始めるか。もう誰も居ないとは思うが、一応外も確認してくる。
みんなは悪いけど死体を馬車に集めておいてくれ。燃やしちまうから。
って、1回みんな外出てみるか?ミルズレンダ側の国境壁外なんて、当分見れなくなるだろうしな」
「あ、いいですね。そうすればトーマも一緒に作業できますし。それに確認の目は多いほうが良いでしょう」
「あー、トーマ。それなら先に全員で後始末をしてから移動しようよ。
ここの洞窟って結構深そうだったし、今も全然光が差し込んでない。入り口まで、それなりの距離があると思うんだ。
そんな距離を往復するのは時間の無駄でしょ」
あ、そうか。暗視使ってると忘れがちなんだよな、暗所って。
「尤もだな。じゃあみんな手分けして馬車に死体を集めよう。
スキルがまだ無いリーネはあまり無理しなくていいぞ。その代わり魔法方面でがんばってもらいたいからさ。
敵はもう居ないと思うけど、魔物が出る可能性もあるから、リーネは常に誰かと一緒にな。死体を片付けたところから、順次洗浄していってくれ。
ストレージの使える俺が、馬車の遠くのを担当するよ。みんなは馬車の近くから頼んだ」
みんなで手分けして証拠隠滅作業を始める。
分散しても襲撃されないので、やはり敵は残っていないと見ていいかな?
ま、ベイクに戻るまでは警戒し続けよう。
死体をストレージに詰めるだけ詰み込んで、馬車の中にリリース。死体を運んだ場所は順次洗浄していく。
嫌悪感を除けば、身体強化持ちの皆が死体の運搬をするのはさほど負担ではない。
ハルにはまだキツイかなと思ったけれど、精神安定のおかげか黙々と運搬を続けていた。
死体の運搬作業と洗浄が済むと、馬車の外側は、戦闘の痕跡が殆どなくなった。
魔力の多いリーネと、生活魔法の扱いに慣れている俺の2人で火葬作業。
乾燥で可能な限り死体を乾かし、熱魔法で死体の温度を少し上げて、火魔法で着火し、風魔法で炎を煽る。
洞窟の中で火を焚くのは少々怖いところではあるけど、この洞窟めっちゃでかいからな。恐らく問題ないと信じたい。
いざとなったら環境適応さんが働いてくれると信じてるからねっ。
俺たちが火葬をしている間、4人はせっせと集めた身分証を砕いている。
木製の低級身分証はそのまま火に放り込んでいるが、5等級以上の上級身分証は、粉々に砕いて洗浄で痕跡を抹消する。
火勢が強くなってきたので少し様子を見つつ、銀の乙女のグリーンドラゴン解体を見ていたリーネの誘導の元で、馬車を引いてきた3匹のアサルトドラゴンの解体作業をしてみることにした。
どうせ失敗しても惜しくないので、解体の練習には最適だ。
本当はリーネ本人にも練習させたいんだけど、魔装術がないとアサルトドラゴンの皮膚を切り裂けないんだよね。
まぁ今回の件でリーネもスキルが大量に取得できるだろうから、次回からは参加できるだろう。
……そう、大量のSPが獲得できた。出来てしまったのだ。
今回の襲撃者の総数は、集めた身分証の数から割り出すなら118名だった。もちろん監視役も含めて。
そして狩人は基本的に、6等級冒険者よりも上だと認識されている。以前迎撃した先輩方よりもSPが多い。
加えて、アルやローサルなんかの非戦闘員でも、最低限魔力付与以上のスキルを獲得していることを考えると、非戦闘員でも3000近いSPを持っていてもおかしくない。
そして監視役のアホみたいな身体能力を考えると、長年戦い続けて、俺たち以上のSPを体内に蓄積させてあったのは想像に難くない。
まぁ結論から言わせてもらえば、1人当たり64000SPちょっと増加しているわけなんですよね。
元々のSPは細かく覚えていないけど、ハルとも確認したので大体合ってるはずだ。
俺って確か、今朝20000SPを超えたばっかだったんだよね……。
54階層のパーティ探索2回で1500弱くらい増えて、今見たら86483SPだからね……。
そしてSPもやばいけど、人口が貨幣の量に直結するこの世界で、118人も虐殺してしまったのを知られるのは不味い。どう考えても不味い。
ということで、念入りに証拠隠滅を図っているのだ。とか言いつつ、アサルトドラゴンの素材は持って帰るけどね。
まぁ自業自得でしかないんだけどさ。これからミルズレンダは大変だろうね。
アサルトドラゴンを使役できるような狩人と、長年の修行を積んだ鍛冶職人、貴族家の戦闘員を含めての118名の損失だからな。
素材収集には間違いなく影響が出るだろうし、トレポール工房のトップと、何とかって工房の跡継ぎも死んでるし、職人の方面から見ても大打撃だろう。
久々に、自分自身ですらやっちまったなぁと思える案件ではあるんだけど、最終的には正当防衛だからな。
いくらミルズレンダに申し訳ないと言っても、そんな理由で殺されてやるわけには行かない。
悪いけど俺は、自分勝手でエゴを通す人間なんでね。
他人のためになんて、絶対に死んでやらねぇわ。
リーンが心配してくれる。
「ご覧の通り怪我もないよ。
監視がコイツ1人と決まったわけじゃあないが、あのタイミングでコイツしか仕掛けてこなかったんだから、恐らく全滅させたはずだ。
ハル。マジで助かった。さんきゅー」
馬車の陰からは20メートルは距離を取っておいたのに、まさか一瞬で15メートルも詰められるとはなぁ。
ヴェルトーガでスカーさんを見てなかったら、安全マージンを見誤った可能性が高い。
「うん。役に立てて良かった。事前に、違和感を感じたらって打ち合わせておいて良かった。
誰か来たらなんて言われていたら、間に合わなかったと思うな」
ずっと警戒していたハルですらその感想か。ホントにやべぇな貴族家。
「しかし事態が想定通りに運ばなくて焦ったのでしょうね。撃退が知られたら困るのは、私達だって同じなのに。
まぁ監視に気付いていない前提で見れば、まさか後処理をしていくとは思わないですかね」
「そうだね。彼らが襲撃場所に選んだくらいだから、狩人もあまり近寄らない場所なんだろうし。
それに僕らがタイデリア家と面識があるのは、同じ精霊家には伝わっていても不思議じゃないからね。たかがいち冒険者と、身分が対等な精霊家を相手にするのでは事情が変わってくる。
タイデリア家の名前を出されたことで、僕たちを見逃すという選択肢はなくなったんだろうね」
意識してなかったけど、ゲートの行き先もヴェルトーガだったしな。仮にゲートから行き先を知る方法があったとしたら、俺たちの話に信憑性も出たことだろう。はい、後付です。
「それじゃあ後始末を始めるか。もう誰も居ないとは思うが、一応外も確認してくる。
みんなは悪いけど死体を馬車に集めておいてくれ。燃やしちまうから。
って、1回みんな外出てみるか?ミルズレンダ側の国境壁外なんて、当分見れなくなるだろうしな」
「あ、いいですね。そうすればトーマも一緒に作業できますし。それに確認の目は多いほうが良いでしょう」
「あー、トーマ。それなら先に全員で後始末をしてから移動しようよ。
ここの洞窟って結構深そうだったし、今も全然光が差し込んでない。入り口まで、それなりの距離があると思うんだ。
そんな距離を往復するのは時間の無駄でしょ」
あ、そうか。暗視使ってると忘れがちなんだよな、暗所って。
「尤もだな。じゃあみんな手分けして馬車に死体を集めよう。
スキルがまだ無いリーネはあまり無理しなくていいぞ。その代わり魔法方面でがんばってもらいたいからさ。
敵はもう居ないと思うけど、魔物が出る可能性もあるから、リーネは常に誰かと一緒にな。死体を片付けたところから、順次洗浄していってくれ。
ストレージの使える俺が、馬車の遠くのを担当するよ。みんなは馬車の近くから頼んだ」
みんなで手分けして証拠隠滅作業を始める。
分散しても襲撃されないので、やはり敵は残っていないと見ていいかな?
ま、ベイクに戻るまでは警戒し続けよう。
死体をストレージに詰めるだけ詰み込んで、馬車の中にリリース。死体を運んだ場所は順次洗浄していく。
嫌悪感を除けば、身体強化持ちの皆が死体の運搬をするのはさほど負担ではない。
ハルにはまだキツイかなと思ったけれど、精神安定のおかげか黙々と運搬を続けていた。
死体の運搬作業と洗浄が済むと、馬車の外側は、戦闘の痕跡が殆どなくなった。
魔力の多いリーネと、生活魔法の扱いに慣れている俺の2人で火葬作業。
乾燥で可能な限り死体を乾かし、熱魔法で死体の温度を少し上げて、火魔法で着火し、風魔法で炎を煽る。
洞窟の中で火を焚くのは少々怖いところではあるけど、この洞窟めっちゃでかいからな。恐らく問題ないと信じたい。
いざとなったら環境適応さんが働いてくれると信じてるからねっ。
俺たちが火葬をしている間、4人はせっせと集めた身分証を砕いている。
木製の低級身分証はそのまま火に放り込んでいるが、5等級以上の上級身分証は、粉々に砕いて洗浄で痕跡を抹消する。
火勢が強くなってきたので少し様子を見つつ、銀の乙女のグリーンドラゴン解体を見ていたリーネの誘導の元で、馬車を引いてきた3匹のアサルトドラゴンの解体作業をしてみることにした。
どうせ失敗しても惜しくないので、解体の練習には最適だ。
本当はリーネ本人にも練習させたいんだけど、魔装術がないとアサルトドラゴンの皮膚を切り裂けないんだよね。
まぁ今回の件でリーネもスキルが大量に取得できるだろうから、次回からは参加できるだろう。
……そう、大量のSPが獲得できた。出来てしまったのだ。
今回の襲撃者の総数は、集めた身分証の数から割り出すなら118名だった。もちろん監視役も含めて。
そして狩人は基本的に、6等級冒険者よりも上だと認識されている。以前迎撃した先輩方よりもSPが多い。
加えて、アルやローサルなんかの非戦闘員でも、最低限魔力付与以上のスキルを獲得していることを考えると、非戦闘員でも3000近いSPを持っていてもおかしくない。
そして監視役のアホみたいな身体能力を考えると、長年戦い続けて、俺たち以上のSPを体内に蓄積させてあったのは想像に難くない。
まぁ結論から言わせてもらえば、1人当たり64000SPちょっと増加しているわけなんですよね。
元々のSPは細かく覚えていないけど、ハルとも確認したので大体合ってるはずだ。
俺って確か、今朝20000SPを超えたばっかだったんだよね……。
54階層のパーティ探索2回で1500弱くらい増えて、今見たら86483SPだからね……。
そしてSPもやばいけど、人口が貨幣の量に直結するこの世界で、118人も虐殺してしまったのを知られるのは不味い。どう考えても不味い。
ということで、念入りに証拠隠滅を図っているのだ。とか言いつつ、アサルトドラゴンの素材は持って帰るけどね。
まぁ自業自得でしかないんだけどさ。これからミルズレンダは大変だろうね。
アサルトドラゴンを使役できるような狩人と、長年の修行を積んだ鍛冶職人、貴族家の戦闘員を含めての118名の損失だからな。
素材収集には間違いなく影響が出るだろうし、トレポール工房のトップと、何とかって工房の跡継ぎも死んでるし、職人の方面から見ても大打撃だろう。
久々に、自分自身ですらやっちまったなぁと思える案件ではあるんだけど、最終的には正当防衛だからな。
いくらミルズレンダに申し訳ないと言っても、そんな理由で殺されてやるわけには行かない。
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他人のためになんて、絶対に死んでやらねぇわ。
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