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7章 更なる強さを求めて
231 食い破れ!
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馬車を降りたら巨大な洞窟の中だった。暗視があるから見えるけど。
洞窟の先を確認してみると、ちょっと距離があるので確信は持てないが、やっぱり行き止まりっぽいな。
地竜の牙はニタニタと気持ち悪く笑っているが、一応まだ敵と確定したわけじゃないし、敵だったとしても話くらいは聞いておきたい。
万が一、不幸なすれ違いでも起きてしまったら申し訳ないからな。
「そんで?ロウロン。この後どうすればいいんだ?」
「ぷ、ぷぷ……、ブハァーッハッハッハッハッ!!
まだわからねぇのかよっ!?テメェはなぁ!騙されたんだっつうの!!
ブァーーッハッハッハッハッハ!!」
ナ、ナンデッテー。
ロウロンさん良く笑いますねぇ。箸が転がっても笑うお年頃なのかな。
「おおーそれは困った困った。
で、誰の頼みかな?アル?ローサル?それともゼルポーナスか?」
「……へぇ?お前状況が分かってねぇみてぇだな?
地竜の牙の全員が、テメェらの敵だってことだぜ?そんなこと聞いてる場合かぁ?」
いやいやそんなこと言われても。
初対面の地竜の牙を敵に回したとか言われてもピンと来ないっての。
「ん、じゃあちょっと状況を確認してみようかな?
マーサを迫害して自分の小さくて安い自尊心を満たしていた職人たちが、俺にマーサを取られたことを逆恨みして、狩人ギルドの職員まで抱きこんで、地竜の牙とかいう狩猟団に俺たちの殺害を依頼した。
状況的に考えてゼルポーナスが絡んでるのは間違いないけど、自分の育てた孫に怯えて鍛冶の道から目を背けたローサルグインとかいうジジイと、好きになった子を虐めて快感を得るとか、今時ガキでもやんないようなことをし続けて、いざ告白したらバッサリ振られたアホみたいなアルグリーマとかいう鍛冶職人崩れも関わってるのかは一応不明なんで、確認しておこうかなってさ」
「調子に乗ってんじゃねぇ!」
洞窟の奥から叫びながらアルが姿を現した。
いやぁミルズレンダの人間には、職人崩れって言葉が相当我慢できなかったみたいっすね。
「おいおいアル。いくら図星突かれたからって、もうちょっと堪え性がないと俺たちを罠に嵌めた意味がなくなるぞ?」
「調子乗んなっつってんでしょ!?アンタ状況わかってんのかよ!?」
「あれ?アルだけなの?6等級冒険者に簡単にぶっ壊される程度の武器しか作れないのに、シルバーライト級職人とか自称してたジジイは一緒じゃないの?」
「もう1度言ってみろおおおおっ!!ワシは間違いなくシルバーライト級じゃあああああっ!!」
アルの後ろからジジイも登場する。どうせ出てくるなら一緒に出てこいっつうの。
「ああ、ジジイこんちわー。マーサは元気に鍛冶してるよー。
この度グリーンドラゴンの素材を手に入れてね。めっちゃウキウキで腕を振るってるわ」
「嘘をつくんじゃないっ!!お前らのカンパニーに稀少素材は卸さないと、王国中の狩人ギルドに通達済みだとゼルが言っていた!!
お前らがグリーンドラゴンの素材を手に入れられるわけなかろうがっ!!」
この反応的に、ゼルポーナスはこの場に居ないと思っていいかな?
音魔法を飛ばして仲間にも聞いてみるが、やはり居ないだろうという意見で一致した。
これで何の憂いもなく皆殺しに出来るな。
「なぁなぁ。お前らこそ状況が分かってんの?ジジイにはあの時散々教えてやったつもりだったのになぁ。
一応顔見知りのよしみとして、マーサに何か伝えることがあるなら聞いてやるよ?」
「くっそがぁぁ!!アンタさえミルズレンダに来なければ、マーサルさんが去ることも無かった!!全部上手くいってたんだ!!」
「ぷぷ、マーサを俺に紹介したのがアルじゃないですかー。自分の行動を棚に上げて人を責めるのやめてもらえますぅ?
そんなんだから年下の女の子に、いつまで経っても鍛冶の腕で負けてるんじゃないですかー?」
「もう我慢ならん!皆の者!こいつらを八つ裂きにしてしまええええええええ!!」
あ、ジジイがキレちゃった。
せっかくマーサの顔を立てて、遺言くらいは聞いてやろうと思ったのにな。
「へへへ、まぁ悪く思わないでくれよ?こっちだって領主に睨まれるわけにはいかねぇんでな。
ミルズレンダで職人を敵に回したことを、精々後悔しながら死んでくれやぁ!!」
一番近くに居たロウロンが斬りかかって来たので、とりあえず首を飛ばしておく。
この一撃を合図に、リーンとトルネは洞窟の入り口側に走っていき、リーンはアサルトドラゴンの首を落としながら、トルネはリーンの通行を妨げる狩人を殺しながら、誰も逃げられないように、洞窟の入り口側を固める予定。
その後ろにシンが、地竜の牙のメンバーを皆殺しにしながら追いかけていく。
リーネを護衛しつつハルがその後ろに続き、ふわわとつららもリーネに追従する。
残った俺は、前方側にいたジジイとアルを含む、伏兵たちを担当する。
しかしなんなんだこいつら。いくら下種どもとはいえ弱すぎないか?
狩人を始める目安が5等級冒険者だったと聞いた覚えがあるので、全員が最低でもオーサンクラスを想定していたわけだが、正直俺たちの動きに反応できる相手すら少ない。
地竜の牙も伏兵の人員も、ほとんどが棒立ちのまま切り捨てられていってしまうな。
これなら50階層以降の魔物の方が、よっぽど手強い。
「なんなんだ……。なんなんだよアンタはっ!?
突然ミルズレンダにやってきて、何もかもぶち壊していきやが」
なんか叫んでたアルを唐竹割りにしておく。
遺言はもう受付終了したんですぅ。
「たたた、助けてくれえええええ!!!ワシは祖父じゃぞ!?ワシはマーサルシリルの師匠じゃぞ!?
そんなワシを殺して、マーサルが黙っているとおも」
なんか煩いジジイが喋ってたので首を飛ばしておく。
マーサの師匠とか関係ないね。っていうかようやく殺せたわって気持ちの方が強いな。
このジジイはひたすらウザかったし、何一つ約束を守らなくてイラついてたんだわ。
殲滅しつつ、足元から水魔法で洞窟内の地面になるべく水を撒いておく。
恐らくだが、センサーに引っかからない謎の能力は、魔力による干渉や感知を遮断するものであって、物理的な隠蔽効果は無いと睨んでいる。
本人から発せられる微小な音を音魔法で拾うことは出来なくても、実際に俺の耳に届く音まで隠し通すことは出来ないと思う。
なので、水を撒いて足音に期待しつつ、水魔法で波紋の変化も感知する。
「よし、なんとか片付いたようだな」
とか心にもないことを言っておく。
人間が一番油断するのは、勝利を確信したときだ。
実際にカルマさんが現れたときは、死ぬほどビビったからな。
大人数で俺たちを包囲するために、広い洞窟で襲撃したために、この場所はあまり隠れられるところがない、
近付いてくるとしたら、馬車の影に隠れて迫ってくるしかないはずだ。
不自然に見えないように歩きながら、馬車の周りに水溜りを多めに作っておく。
「よっ。そっちも無事に終わったようでなによりだ」
俺が武器を持っている限り、警戒は解かないように打ち合わせ済みだ。
なのでロングソードを持ったまま、なるべく自然な態度を心がけで会話する。
「うん。なんとか生き延びたよ。まったく、ミルズレンダはもう懲り懲りだね」
「せっかく商工ギルドではうやむやにしたのにねー。これは正式に王都に報告しないといけないよねー」
「ですね。襲撃自体はしらばっくれるでしょうけれど、マーサを迫害していたことは隠し切れないでしょうからね。
素材を調整していたのであれば、記録が残っているはずですし」
今回のキーパーソンはハルだ。
今までの貴族家の達人の姿は、当時の実力では目で捉えることが出来なかったからな。
そこで深層集中の使えるハルが、違和感に気付いた瞬間に俺に音魔法を飛ばすことになっている。
貴族家はバケモノ揃いの印象があるが、流石に音速より早くは動けないと信じたい。
貴族家側から見れば、俺たちを1人でも街に帰してしまっては終わりだ。
ならばゲート使いの俺を最優先で狙うだろう。
そしてタイミングは、ゲートの開く直前から直後が一番油断するはず。
「さ、とっとと帰ろうぜ。帰ったらすぐにタイデリア家に事情を話して保護してもらおう。
ディオーヌ様の話なら、王家も無視出来ないだろうしな」
適当なことばかり言いながらゲートの詠唱を開始する。
襲撃されないに越した事はないのだが、俺だったら確実に監視役をつけるからな。
さっきから話している事は、適当ではあるけど可能性としてはありうる話なのだ。
この襲撃が失敗したら、メーデクェイタ家にどんな処分が下るかは誰にも分からないのだ。
ならば、報告される前に処分するのが最も効率が良い。
ゲートが開く。一応行き先はヴェルトーガにしておく。
特に意味はないが、ベイクに開くのはなんか嫌だったし、ミルズレンダに開いたら情報の伝達が早まってしまう可能性があるからな。
「よし、開いたぞ。みんなさっさとかえ」
ハルの音魔法がぶつかる。
トランス使用。振り返る。
俺の5メートルくらい後方に誰かが向かってきている。
遠い。トランスの効果時間中に迎撃できない。
ジャンプ。
「っ!?」
相手の目の前に現れ、ロングソードを振り下ろす。
ジャンプが意外だったのか、相手は反応することなく縦に割れた。
しっかし恐ろしいな。深層集中の速度領域を、一瞬とはいえ認識してたぞ。
ふぅ……。
監視が1人とは限らないけど、とりあえず貴族家の戦闘員を撃退することには成功した。
これは大きな一歩だろ。
洞窟の先を確認してみると、ちょっと距離があるので確信は持てないが、やっぱり行き止まりっぽいな。
地竜の牙はニタニタと気持ち悪く笑っているが、一応まだ敵と確定したわけじゃないし、敵だったとしても話くらいは聞いておきたい。
万が一、不幸なすれ違いでも起きてしまったら申し訳ないからな。
「そんで?ロウロン。この後どうすればいいんだ?」
「ぷ、ぷぷ……、ブハァーッハッハッハッハッ!!
まだわからねぇのかよっ!?テメェはなぁ!騙されたんだっつうの!!
ブァーーッハッハッハッハッハ!!」
ナ、ナンデッテー。
ロウロンさん良く笑いますねぇ。箸が転がっても笑うお年頃なのかな。
「おおーそれは困った困った。
で、誰の頼みかな?アル?ローサル?それともゼルポーナスか?」
「……へぇ?お前状況が分かってねぇみてぇだな?
地竜の牙の全員が、テメェらの敵だってことだぜ?そんなこと聞いてる場合かぁ?」
いやいやそんなこと言われても。
初対面の地竜の牙を敵に回したとか言われてもピンと来ないっての。
「ん、じゃあちょっと状況を確認してみようかな?
マーサを迫害して自分の小さくて安い自尊心を満たしていた職人たちが、俺にマーサを取られたことを逆恨みして、狩人ギルドの職員まで抱きこんで、地竜の牙とかいう狩猟団に俺たちの殺害を依頼した。
状況的に考えてゼルポーナスが絡んでるのは間違いないけど、自分の育てた孫に怯えて鍛冶の道から目を背けたローサルグインとかいうジジイと、好きになった子を虐めて快感を得るとか、今時ガキでもやんないようなことをし続けて、いざ告白したらバッサリ振られたアホみたいなアルグリーマとかいう鍛冶職人崩れも関わってるのかは一応不明なんで、確認しておこうかなってさ」
「調子に乗ってんじゃねぇ!」
洞窟の奥から叫びながらアルが姿を現した。
いやぁミルズレンダの人間には、職人崩れって言葉が相当我慢できなかったみたいっすね。
「おいおいアル。いくら図星突かれたからって、もうちょっと堪え性がないと俺たちを罠に嵌めた意味がなくなるぞ?」
「調子乗んなっつってんでしょ!?アンタ状況わかってんのかよ!?」
「あれ?アルだけなの?6等級冒険者に簡単にぶっ壊される程度の武器しか作れないのに、シルバーライト級職人とか自称してたジジイは一緒じゃないの?」
「もう1度言ってみろおおおおっ!!ワシは間違いなくシルバーライト級じゃあああああっ!!」
アルの後ろからジジイも登場する。どうせ出てくるなら一緒に出てこいっつうの。
「ああ、ジジイこんちわー。マーサは元気に鍛冶してるよー。
この度グリーンドラゴンの素材を手に入れてね。めっちゃウキウキで腕を振るってるわ」
「嘘をつくんじゃないっ!!お前らのカンパニーに稀少素材は卸さないと、王国中の狩人ギルドに通達済みだとゼルが言っていた!!
お前らがグリーンドラゴンの素材を手に入れられるわけなかろうがっ!!」
この反応的に、ゼルポーナスはこの場に居ないと思っていいかな?
音魔法を飛ばして仲間にも聞いてみるが、やはり居ないだろうという意見で一致した。
これで何の憂いもなく皆殺しに出来るな。
「なぁなぁ。お前らこそ状況が分かってんの?ジジイにはあの時散々教えてやったつもりだったのになぁ。
一応顔見知りのよしみとして、マーサに何か伝えることがあるなら聞いてやるよ?」
「くっそがぁぁ!!アンタさえミルズレンダに来なければ、マーサルさんが去ることも無かった!!全部上手くいってたんだ!!」
「ぷぷ、マーサを俺に紹介したのがアルじゃないですかー。自分の行動を棚に上げて人を責めるのやめてもらえますぅ?
そんなんだから年下の女の子に、いつまで経っても鍛冶の腕で負けてるんじゃないですかー?」
「もう我慢ならん!皆の者!こいつらを八つ裂きにしてしまええええええええ!!」
あ、ジジイがキレちゃった。
せっかくマーサの顔を立てて、遺言くらいは聞いてやろうと思ったのにな。
「へへへ、まぁ悪く思わないでくれよ?こっちだって領主に睨まれるわけにはいかねぇんでな。
ミルズレンダで職人を敵に回したことを、精々後悔しながら死んでくれやぁ!!」
一番近くに居たロウロンが斬りかかって来たので、とりあえず首を飛ばしておく。
この一撃を合図に、リーンとトルネは洞窟の入り口側に走っていき、リーンはアサルトドラゴンの首を落としながら、トルネはリーンの通行を妨げる狩人を殺しながら、誰も逃げられないように、洞窟の入り口側を固める予定。
その後ろにシンが、地竜の牙のメンバーを皆殺しにしながら追いかけていく。
リーネを護衛しつつハルがその後ろに続き、ふわわとつららもリーネに追従する。
残った俺は、前方側にいたジジイとアルを含む、伏兵たちを担当する。
しかしなんなんだこいつら。いくら下種どもとはいえ弱すぎないか?
狩人を始める目安が5等級冒険者だったと聞いた覚えがあるので、全員が最低でもオーサンクラスを想定していたわけだが、正直俺たちの動きに反応できる相手すら少ない。
地竜の牙も伏兵の人員も、ほとんどが棒立ちのまま切り捨てられていってしまうな。
これなら50階層以降の魔物の方が、よっぽど手強い。
「なんなんだ……。なんなんだよアンタはっ!?
突然ミルズレンダにやってきて、何もかもぶち壊していきやが」
なんか叫んでたアルを唐竹割りにしておく。
遺言はもう受付終了したんですぅ。
「たたた、助けてくれえええええ!!!ワシは祖父じゃぞ!?ワシはマーサルシリルの師匠じゃぞ!?
そんなワシを殺して、マーサルが黙っているとおも」
なんか煩いジジイが喋ってたので首を飛ばしておく。
マーサの師匠とか関係ないね。っていうかようやく殺せたわって気持ちの方が強いな。
このジジイはひたすらウザかったし、何一つ約束を守らなくてイラついてたんだわ。
殲滅しつつ、足元から水魔法で洞窟内の地面になるべく水を撒いておく。
恐らくだが、センサーに引っかからない謎の能力は、魔力による干渉や感知を遮断するものであって、物理的な隠蔽効果は無いと睨んでいる。
本人から発せられる微小な音を音魔法で拾うことは出来なくても、実際に俺の耳に届く音まで隠し通すことは出来ないと思う。
なので、水を撒いて足音に期待しつつ、水魔法で波紋の変化も感知する。
「よし、なんとか片付いたようだな」
とか心にもないことを言っておく。
人間が一番油断するのは、勝利を確信したときだ。
実際にカルマさんが現れたときは、死ぬほどビビったからな。
大人数で俺たちを包囲するために、広い洞窟で襲撃したために、この場所はあまり隠れられるところがない、
近付いてくるとしたら、馬車の影に隠れて迫ってくるしかないはずだ。
不自然に見えないように歩きながら、馬車の周りに水溜りを多めに作っておく。
「よっ。そっちも無事に終わったようでなによりだ」
俺が武器を持っている限り、警戒は解かないように打ち合わせ済みだ。
なのでロングソードを持ったまま、なるべく自然な態度を心がけで会話する。
「うん。なんとか生き延びたよ。まったく、ミルズレンダはもう懲り懲りだね」
「せっかく商工ギルドではうやむやにしたのにねー。これは正式に王都に報告しないといけないよねー」
「ですね。襲撃自体はしらばっくれるでしょうけれど、マーサを迫害していたことは隠し切れないでしょうからね。
素材を調整していたのであれば、記録が残っているはずですし」
今回のキーパーソンはハルだ。
今までの貴族家の達人の姿は、当時の実力では目で捉えることが出来なかったからな。
そこで深層集中の使えるハルが、違和感に気付いた瞬間に俺に音魔法を飛ばすことになっている。
貴族家はバケモノ揃いの印象があるが、流石に音速より早くは動けないと信じたい。
貴族家側から見れば、俺たちを1人でも街に帰してしまっては終わりだ。
ならばゲート使いの俺を最優先で狙うだろう。
そしてタイミングは、ゲートの開く直前から直後が一番油断するはず。
「さ、とっとと帰ろうぜ。帰ったらすぐにタイデリア家に事情を話して保護してもらおう。
ディオーヌ様の話なら、王家も無視出来ないだろうしな」
適当なことばかり言いながらゲートの詠唱を開始する。
襲撃されないに越した事はないのだが、俺だったら確実に監視役をつけるからな。
さっきから話している事は、適当ではあるけど可能性としてはありうる話なのだ。
この襲撃が失敗したら、メーデクェイタ家にどんな処分が下るかは誰にも分からないのだ。
ならば、報告される前に処分するのが最も効率が良い。
ゲートが開く。一応行き先はヴェルトーガにしておく。
特に意味はないが、ベイクに開くのはなんか嫌だったし、ミルズレンダに開いたら情報の伝達が早まってしまう可能性があるからな。
「よし、開いたぞ。みんなさっさとかえ」
ハルの音魔法がぶつかる。
トランス使用。振り返る。
俺の5メートルくらい後方に誰かが向かってきている。
遠い。トランスの効果時間中に迎撃できない。
ジャンプ。
「っ!?」
相手の目の前に現れ、ロングソードを振り下ろす。
ジャンプが意外だったのか、相手は反応することなく縦に割れた。
しっかし恐ろしいな。深層集中の速度領域を、一瞬とはいえ認識してたぞ。
ふぅ……。
監視が1人とは限らないけど、とりあえず貴族家の戦闘員を撃退することには成功した。
これは大きな一歩だろ。
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