276 / 580
8章 異風の旋律
246 討伐ボーナス
しおりを挟む
「なーんでトーマ1人で3つも迷宮落としてるのよーーーっ!!
それになんかリーネと良い雰囲気なんですけどーっ!?」
リーンセンパイ声でかいっす。
リーネもそこで赤面しない!俺も照れるだろ!
日没に合わせてボールクローグの前で合流する。
今日の結果は俺が3つと他の2組が2つずつ、合計7つの迷宮を討伐することが出来た。
心核は既に回収してストレージに収納してある。
「トーマはちょっと頭おかしい。1人で迷宮に入るのだって珍しいのに」
クリーヌに酷いレッテルを貼られてしまった。
3つの迷宮を殺してきたわけだけど、道さえ分かってたら4つ目もいける気がするんだよなぁ。
実際3つ目の迷宮を落として帰ってきても、日没までには結構時間があったからな。
その時間でクリーヌに少し御者の指導を受けることが出来たので後悔はないんだけど。
「いえ、私はトーマのほうが早いのはなんとなく想像ついてましたよ。
いつか8階層で競争した時、ソロのトーマの方が圧倒的に早かったですからね」
「そんなこともあったね。
トーマはパーティ戦闘が苦手ってわけじゃないみたいだけど、ソロで探索するほうが性分に合ってるのかもしれないね」
ん~、そこはどっちが好きとかじゃなくて、どっちも好きって感じなんだよな。
ソロが得意に見えるのは、単純にソロ探索への慣れの問題だと思う。
「うん。別に連携が下手なわけではないよね。
私は迷宮に1人ではいるなんて絶対に嫌だけど、トーマは結構長いこと1人で潜ってたんだよね?」
「んーどうだっけ?もうみんなといる方が自然だからあんまり覚えてないわ。
ソロ探索自体は毎日やってるから、それはそれで自然ではあるだけどさ」
ソロ探索に関しては、パーティの誰よりも慣れている自信はあるけどね。
脱ぼっちまで結構長かったような気がするもんなぁ。
夕食の前に狩人ギルドに寄って、本日の討伐結果をエルハに報告する。
なんか頭を抱えて唸っていたけど頭痛でもしてるんだろうか。
「と、とにかく……!異風の旋律の協力のおかげで、迷宮の根絶の可能性が出てきたのはありがたいわ。
迷宮が増えるほどに魔力枯渇の可能性が高まるけれど、逆に迷宮討伐による魔力還元が起これば、魔力枯渇の危険性はどんどん下がってくれるはず。
皆さんに頼り切りで申し訳ないけど、引き続きこの調子でお願いね」
なんとか赤字を食い止めることには成功したってことかな?
流石に1日に7つも迷宮は生み出せないってことか。
狩人ギルドを出て宿に戻って夕食にする。
流石にクリーヌの家に連日お邪魔する気はない。
彼女たちには今日の分の報酬は渡してあるし、待ち時間にも色々採集したらしく、上機嫌で帰っていった。
ここの宿の食事も結構美味しい。
周りが大森林で、クリーヌみたいに食物採集をしている狩人も多いのか、他の街と比べて果実が多い。
迷宮産の食材とはかなり違っていてそれなりに楽しめた。
騒動が終わっても、クリーヌたちに採集を依頼してもいいかもしれないな。
ウチで食べる分くらいならストレージで運べるだろうし。
「あれ?なんでだ?」
先に夕食を食べ終えたので、暇潰しにステータスチェックをしたところ、所持SPが30000ちょっと増えている。
今回は一切戦っていない。ガーディアンと迷宮神像を除いて、だけど。
「ハル悪い。今日1日でSPどのくらい増えてる?」
「うん。ちょっと待ってね。
……あれ?なんで?20000SPちょっと獲得してるみたい?」
……あれ?
俺が30000だったから、てっきりハルはシンと2分割して10000SPなのかなと思ってたんだけど。
「計算が合わないな?俺は今日1人で3つ迷宮を殺して3万SPを獲得してるんだよな。
ハルはシンと2人で2つ迷宮を殺してるから、1万SPを獲得してるんだと思ったんだけど」
「うん。トーマは今日、最深部以外では一切魔物を殺してないんだよね?
だとするなら獲得したSPは最深部で得られたとしか考えられないはず……。
トーマが6万SPを獲得しているか、私が1万SPしか獲得出来ていないかじゃないと、合わないよね?」
「……もしかしたら」
俺とハルの話を黙って聞いていたシンが口を開いた。
「迷宮神像ダンゲルスヌーマの神話にはね。人々に仇為す迷宮を止めた者には、ダンゲルスヌーマからの祝福が得られる、っていう話があるんだ。
僕はこれは心核の事を指しているんだと思っていたんだけど、祝福って考えてみたらスキルに関係する言葉だよね?迷宮を殺した者には、ダンゲルスヌーマからスキルが得られるような報酬を受け取ることが出来る、とも言えなくもない。
……ちょっとこじ付けっぽくなっちゃうけど」
迷宮を殺した者に与えられる報酬……。討伐ボーナスみたいなもの?
迷宮を殺すと、固定報酬でメンバー全員に1万SPが付与される……?
もしこれが本当だとするなら、少人数で迷宮を殺すのはSP的に勿体無いってことになるな……。
いや、しょうがないのか。
SP稼ぎのために迷宮を殺してるわけじゃなくて、魔力枯渇からの魔物の氾濫を未然に防ぐためにやってることだもんな。
SPはちょっと勿体無いけど、副産物くらいに思うべきだ。
「本当のところは俺らにもわかんないけどさ。とりあえずSP稼ぎ的にも迷宮殺しは悪くないってことが分かっただけでも収穫だな」
「そうだね。この騒動が終わるまではスキルの取得は少し諦めていたんだけど、これは少し希望が持てそうだよ」
この騒動が終わるまでにどれくらいの迷宮を殺すことになるのかは不明だけど、いまだ生み出され続けていることを考えると、それぞれ20個くらいは殺さないといけなくなるかもしれないからな。
それにしてもダンゲルスヌーマ様は凄い。
迷宮資源とSPを無限に獲得できる場所を用意しただけでなく、迷宮を殺した際に固定SP報酬までつけてくれるなんて、まさに至れり尽くせりって感じだわ。
俺も冒険者として、どれほど感謝しても足りないかもしれないな。
それになんかリーネと良い雰囲気なんですけどーっ!?」
リーンセンパイ声でかいっす。
リーネもそこで赤面しない!俺も照れるだろ!
日没に合わせてボールクローグの前で合流する。
今日の結果は俺が3つと他の2組が2つずつ、合計7つの迷宮を討伐することが出来た。
心核は既に回収してストレージに収納してある。
「トーマはちょっと頭おかしい。1人で迷宮に入るのだって珍しいのに」
クリーヌに酷いレッテルを貼られてしまった。
3つの迷宮を殺してきたわけだけど、道さえ分かってたら4つ目もいける気がするんだよなぁ。
実際3つ目の迷宮を落として帰ってきても、日没までには結構時間があったからな。
その時間でクリーヌに少し御者の指導を受けることが出来たので後悔はないんだけど。
「いえ、私はトーマのほうが早いのはなんとなく想像ついてましたよ。
いつか8階層で競争した時、ソロのトーマの方が圧倒的に早かったですからね」
「そんなこともあったね。
トーマはパーティ戦闘が苦手ってわけじゃないみたいだけど、ソロで探索するほうが性分に合ってるのかもしれないね」
ん~、そこはどっちが好きとかじゃなくて、どっちも好きって感じなんだよな。
ソロが得意に見えるのは、単純にソロ探索への慣れの問題だと思う。
「うん。別に連携が下手なわけではないよね。
私は迷宮に1人ではいるなんて絶対に嫌だけど、トーマは結構長いこと1人で潜ってたんだよね?」
「んーどうだっけ?もうみんなといる方が自然だからあんまり覚えてないわ。
ソロ探索自体は毎日やってるから、それはそれで自然ではあるだけどさ」
ソロ探索に関しては、パーティの誰よりも慣れている自信はあるけどね。
脱ぼっちまで結構長かったような気がするもんなぁ。
夕食の前に狩人ギルドに寄って、本日の討伐結果をエルハに報告する。
なんか頭を抱えて唸っていたけど頭痛でもしてるんだろうか。
「と、とにかく……!異風の旋律の協力のおかげで、迷宮の根絶の可能性が出てきたのはありがたいわ。
迷宮が増えるほどに魔力枯渇の可能性が高まるけれど、逆に迷宮討伐による魔力還元が起これば、魔力枯渇の危険性はどんどん下がってくれるはず。
皆さんに頼り切りで申し訳ないけど、引き続きこの調子でお願いね」
なんとか赤字を食い止めることには成功したってことかな?
流石に1日に7つも迷宮は生み出せないってことか。
狩人ギルドを出て宿に戻って夕食にする。
流石にクリーヌの家に連日お邪魔する気はない。
彼女たちには今日の分の報酬は渡してあるし、待ち時間にも色々採集したらしく、上機嫌で帰っていった。
ここの宿の食事も結構美味しい。
周りが大森林で、クリーヌみたいに食物採集をしている狩人も多いのか、他の街と比べて果実が多い。
迷宮産の食材とはかなり違っていてそれなりに楽しめた。
騒動が終わっても、クリーヌたちに採集を依頼してもいいかもしれないな。
ウチで食べる分くらいならストレージで運べるだろうし。
「あれ?なんでだ?」
先に夕食を食べ終えたので、暇潰しにステータスチェックをしたところ、所持SPが30000ちょっと増えている。
今回は一切戦っていない。ガーディアンと迷宮神像を除いて、だけど。
「ハル悪い。今日1日でSPどのくらい増えてる?」
「うん。ちょっと待ってね。
……あれ?なんで?20000SPちょっと獲得してるみたい?」
……あれ?
俺が30000だったから、てっきりハルはシンと2分割して10000SPなのかなと思ってたんだけど。
「計算が合わないな?俺は今日1人で3つ迷宮を殺して3万SPを獲得してるんだよな。
ハルはシンと2人で2つ迷宮を殺してるから、1万SPを獲得してるんだと思ったんだけど」
「うん。トーマは今日、最深部以外では一切魔物を殺してないんだよね?
だとするなら獲得したSPは最深部で得られたとしか考えられないはず……。
トーマが6万SPを獲得しているか、私が1万SPしか獲得出来ていないかじゃないと、合わないよね?」
「……もしかしたら」
俺とハルの話を黙って聞いていたシンが口を開いた。
「迷宮神像ダンゲルスヌーマの神話にはね。人々に仇為す迷宮を止めた者には、ダンゲルスヌーマからの祝福が得られる、っていう話があるんだ。
僕はこれは心核の事を指しているんだと思っていたんだけど、祝福って考えてみたらスキルに関係する言葉だよね?迷宮を殺した者には、ダンゲルスヌーマからスキルが得られるような報酬を受け取ることが出来る、とも言えなくもない。
……ちょっとこじ付けっぽくなっちゃうけど」
迷宮を殺した者に与えられる報酬……。討伐ボーナスみたいなもの?
迷宮を殺すと、固定報酬でメンバー全員に1万SPが付与される……?
もしこれが本当だとするなら、少人数で迷宮を殺すのはSP的に勿体無いってことになるな……。
いや、しょうがないのか。
SP稼ぎのために迷宮を殺してるわけじゃなくて、魔力枯渇からの魔物の氾濫を未然に防ぐためにやってることだもんな。
SPはちょっと勿体無いけど、副産物くらいに思うべきだ。
「本当のところは俺らにもわかんないけどさ。とりあえずSP稼ぎ的にも迷宮殺しは悪くないってことが分かっただけでも収穫だな」
「そうだね。この騒動が終わるまではスキルの取得は少し諦めていたんだけど、これは少し希望が持てそうだよ」
この騒動が終わるまでにどれくらいの迷宮を殺すことになるのかは不明だけど、いまだ生み出され続けていることを考えると、それぞれ20個くらいは殺さないといけなくなるかもしれないからな。
それにしてもダンゲルスヌーマ様は凄い。
迷宮資源とSPを無限に獲得できる場所を用意しただけでなく、迷宮を殺した際に固定SP報酬までつけてくれるなんて、まさに至れり尽くせりって感じだわ。
俺も冒険者として、どれほど感謝しても足りないかもしれないな。
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる