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8章 異風の旋律
302 2人の異邦人
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放心したロンメノが連行されていく。特に何も無かったな。
トルネ以外の人間がここに来た時点で、ロンメノの想定外だったかもね。
「いっつも私に抜け駆けとか言うくせに、トルネも随分やってくれるじゃないのー」
「あはは。今回の件は許してくださいよ。あの男に、私はトーマのものなんだって見せ付けてやりたかったんですから。
リーンだってハロイツァが目の前にいたら、同じことやるでしょう?」
「うん。2人ともその辺にしようね? まだ全部片付いたわけじゃないんだから。
私としては、トーマがトルネのキスに応じたのがちょっとびっくりしたかな?」
「ハルも蒸し返さない。とりあえず主犯も捕まったし、今回の騒動はこれで解決かな?
僕たちがどうすればいいのか、スカーさんに確認してこようか」
「それはちょうど良かったです。ちょうど皆さんを呼びに来たところなので」
ナチュラルに会話に入ってこないで下さいスカーさん。
「トーマさんが無力化した異邦人女性2名が目を覚ましました。現在拘束しており、2人とも大人しくしております。
しかし相手は異邦人ですの、能力が未知数ですからね。彼女達の取調べに立ち会っていただきたいんですよ。
皆さんに頼りきりで申し訳ないんですけど、お願いできますか?」
「了解。腹に膝入れたお詫びもしないといけないしな。
2人の取調べが終わったら、俺たちの仕事は終わりかな?」
「そうですね。異邦人がいなければ、この後の事は私達で何の問題もなく対応できるでしょう」
よし。ロンメノも捕まえることが出来たし、これでようやく解決だな。
スカーさんに案内されたのは、旧カルネジア邸の玄関ホールだった。
流石に女性2人を野外で拘束するのは可哀想だと思ったのかな?
2人とも黒髪で、中学生から高校生くらいに見えるな。
俺の顔を見てかなり怯えている。いやいや何もしないっての。
「2人とも、そう怖がらなくて大丈夫だから。話をしにきただけだから安心して欲しい。
まず俺の名前はトーマ。恐らく君らよりも先にこの世界に来た日本人だ。ちなみに35歳な。
2人の名前も教えてもらっていいか?」
「わ、私がアサヒで、もう1人がカンナっす! うちらは同級生で、17歳の高校2年っす!」
「……カンナです」
「アサヒとカンナだな。教えてくれてありがとう。さっきは蹴って悪かった。リペア。リペア」
大した怪我では無いとは思うが、誠意としてリペアをかけておく。
「さて、2人が話しやすいように、まずはこちらの事情を説明しようか。
この屋敷の主のロンメノって奴を知ってると思うけど、今回そのロンメノって奴が無差別大量殺人テロ騒動を起こしやがってな。なんとか被害なく解決できたんだけど、ロンメノを放置しておくわけにはいかないだろ?
それで今回俺たちが、ロンメノを逮捕するためにこの屋敷を襲撃したって流れだよ。君たちを問答無用で無力化したのは、2人のチート能力を警戒していたからだな」
「テ、テロなんて聞いてないっすよ!? ロンメノさんは、不当に奪われた婚約者を取り戻すために、私達に協力して欲しいって言ってたんすよ!?」
「……無差別大量殺人って、どのくらいの人が巻き込まれたの?」
「ボールクローグっていう都市と、その周辺地域に住む住人全員が巻き込まれた。人数にして5万人弱って所だな。
迷宮を暴走させて、魔物のスタンピードを誘発しやがってな。5万人もの人が皆殺しにされるところだったんだよ。
もし疑うのなら、後でボールクローグに連れて行ってもいいぞ。恐らくまだ魔物の死体を片付け終えてないだろうからな」
「5、5万人……」
「そんな……。そんなこと、一言も……」
どうやら2人はタケルと違って、魔法で操られていたのではなく、言葉で騙されていたようだな。
2人ともしっかりと自我もあるし、思考能力が奪われているようには見えない。
「安心していい。被害者は1人も出なかったからさ。
でも、危うくこの国が滅びかけたんだよ。冗談抜きでな。それで事が事だけに、ロンメノと、その協力者のことを見過ごすわけにはいかなくてな。こうして話を聞きに来たんだ。
敵対の意志がないなら、素直に話に応じてくれると助かるよ」
っていうか、取調べに立ち会って欲しいって話だったのに、俺が取調べしてるんだけどいいのかね?
蛇の獣人に詰問されるよりは、異邦人同士の方が話しやすいとは思うけども。
アサヒの能力は『炎魔法』。火属性の魔法を全て使用可能という能力で、チート能力としては結構微妙だなと思う。スクロールの入手が難しいうちはアドバンテージになるだろうけど。
そしてカンナの魔法は『氷魔法』。リンカーズには存在しないらしい、氷属性の魔法だ。
しかし能力の説明で、氷を使って攻撃したり防御したり、という説明をしてしまったことで生活魔法には分類されず、使い勝手はあまり良くないらしい。
それでも、ユニークスキルになってるわけだし、魔法強化系のスキルを取得すれば、強化することも出来る能力だ。割と将来性あるかもな。
2人はウィルスレイアで一緒に冒険者として活動していたところ、ロンメノに勧誘され、婚約者の救出に協力して欲しいと言われて、力を貸すことに決めたのだそうだ。
異邦人はレンジのことしか見たことがなく、タケルとは初対面だった。タケルは洗脳状態だったし、2人に見せるのは都合が悪かったんだろうな。
レンジが死んだ事を告げると、2人は凄く驚いていた。
「レ、レンジさんが負けちゃったんすか!? あ、あの人に勝てる人がいるなんて……!」
「うん。あの人の能力は凄まじかったけれど、貴方達この世界を舐めすぎかな?
チート能力だけで生きていけるほど、この世界は優しくないよ?」
「トーマなんてチートを持たずにドラゴン殺ししてたもんなぁ。
いやぁ俺もいつか、あれくれぇ強くなってみてぇって思ったぜ!」
っていうか、チートを持ってないハルと、チートを封印したタケルが、今まで出会った中で一番正常な思考をしてる気がするんだよなぁ。
やっぱりチート能力なんて始めから持ってしまうと、どうしても考え方に影響が出るのかもしれない。
2人もまだ祝福の儀は受けたことがないそうで、一応識別だけ受けさせたが、ウソは言っていなかった。
ロンメノが捕まったので2人には行くところもなく、能力も常識の範囲に収まる程度で、なによりディオーヌ様の心労を嫌ったスカーさんに、2人を押し付けられてしまった。
2人はロンメノのボディガードのような仕事を任されていたらしく、特に余罪が確認されなかったのも大きい。
アサヒとカンナも、頼れる者が居ない状況ならば、異邦人が多い俺たちと一緒にいるほうが良いということだったので、ベイクに連れ帰ることになった。
そろそろ空き部屋なくなりそうだな。
タケルは自立すれば出て行くかもしれないけど、我が家も賑やかになったもんだ。
トルネ以外の人間がここに来た時点で、ロンメノの想定外だったかもね。
「いっつも私に抜け駆けとか言うくせに、トルネも随分やってくれるじゃないのー」
「あはは。今回の件は許してくださいよ。あの男に、私はトーマのものなんだって見せ付けてやりたかったんですから。
リーンだってハロイツァが目の前にいたら、同じことやるでしょう?」
「うん。2人ともその辺にしようね? まだ全部片付いたわけじゃないんだから。
私としては、トーマがトルネのキスに応じたのがちょっとびっくりしたかな?」
「ハルも蒸し返さない。とりあえず主犯も捕まったし、今回の騒動はこれで解決かな?
僕たちがどうすればいいのか、スカーさんに確認してこようか」
「それはちょうど良かったです。ちょうど皆さんを呼びに来たところなので」
ナチュラルに会話に入ってこないで下さいスカーさん。
「トーマさんが無力化した異邦人女性2名が目を覚ましました。現在拘束しており、2人とも大人しくしております。
しかし相手は異邦人ですの、能力が未知数ですからね。彼女達の取調べに立ち会っていただきたいんですよ。
皆さんに頼りきりで申し訳ないんですけど、お願いできますか?」
「了解。腹に膝入れたお詫びもしないといけないしな。
2人の取調べが終わったら、俺たちの仕事は終わりかな?」
「そうですね。異邦人がいなければ、この後の事は私達で何の問題もなく対応できるでしょう」
よし。ロンメノも捕まえることが出来たし、これでようやく解決だな。
スカーさんに案内されたのは、旧カルネジア邸の玄関ホールだった。
流石に女性2人を野外で拘束するのは可哀想だと思ったのかな?
2人とも黒髪で、中学生から高校生くらいに見えるな。
俺の顔を見てかなり怯えている。いやいや何もしないっての。
「2人とも、そう怖がらなくて大丈夫だから。話をしにきただけだから安心して欲しい。
まず俺の名前はトーマ。恐らく君らよりも先にこの世界に来た日本人だ。ちなみに35歳な。
2人の名前も教えてもらっていいか?」
「わ、私がアサヒで、もう1人がカンナっす! うちらは同級生で、17歳の高校2年っす!」
「……カンナです」
「アサヒとカンナだな。教えてくれてありがとう。さっきは蹴って悪かった。リペア。リペア」
大した怪我では無いとは思うが、誠意としてリペアをかけておく。
「さて、2人が話しやすいように、まずはこちらの事情を説明しようか。
この屋敷の主のロンメノって奴を知ってると思うけど、今回そのロンメノって奴が無差別大量殺人テロ騒動を起こしやがってな。なんとか被害なく解決できたんだけど、ロンメノを放置しておくわけにはいかないだろ?
それで今回俺たちが、ロンメノを逮捕するためにこの屋敷を襲撃したって流れだよ。君たちを問答無用で無力化したのは、2人のチート能力を警戒していたからだな」
「テ、テロなんて聞いてないっすよ!? ロンメノさんは、不当に奪われた婚約者を取り戻すために、私達に協力して欲しいって言ってたんすよ!?」
「……無差別大量殺人って、どのくらいの人が巻き込まれたの?」
「ボールクローグっていう都市と、その周辺地域に住む住人全員が巻き込まれた。人数にして5万人弱って所だな。
迷宮を暴走させて、魔物のスタンピードを誘発しやがってな。5万人もの人が皆殺しにされるところだったんだよ。
もし疑うのなら、後でボールクローグに連れて行ってもいいぞ。恐らくまだ魔物の死体を片付け終えてないだろうからな」
「5、5万人……」
「そんな……。そんなこと、一言も……」
どうやら2人はタケルと違って、魔法で操られていたのではなく、言葉で騙されていたようだな。
2人ともしっかりと自我もあるし、思考能力が奪われているようには見えない。
「安心していい。被害者は1人も出なかったからさ。
でも、危うくこの国が滅びかけたんだよ。冗談抜きでな。それで事が事だけに、ロンメノと、その協力者のことを見過ごすわけにはいかなくてな。こうして話を聞きに来たんだ。
敵対の意志がないなら、素直に話に応じてくれると助かるよ」
っていうか、取調べに立ち会って欲しいって話だったのに、俺が取調べしてるんだけどいいのかね?
蛇の獣人に詰問されるよりは、異邦人同士の方が話しやすいとは思うけども。
アサヒの能力は『炎魔法』。火属性の魔法を全て使用可能という能力で、チート能力としては結構微妙だなと思う。スクロールの入手が難しいうちはアドバンテージになるだろうけど。
そしてカンナの魔法は『氷魔法』。リンカーズには存在しないらしい、氷属性の魔法だ。
しかし能力の説明で、氷を使って攻撃したり防御したり、という説明をしてしまったことで生活魔法には分類されず、使い勝手はあまり良くないらしい。
それでも、ユニークスキルになってるわけだし、魔法強化系のスキルを取得すれば、強化することも出来る能力だ。割と将来性あるかもな。
2人はウィルスレイアで一緒に冒険者として活動していたところ、ロンメノに勧誘され、婚約者の救出に協力して欲しいと言われて、力を貸すことに決めたのだそうだ。
異邦人はレンジのことしか見たことがなく、タケルとは初対面だった。タケルは洗脳状態だったし、2人に見せるのは都合が悪かったんだろうな。
レンジが死んだ事を告げると、2人は凄く驚いていた。
「レ、レンジさんが負けちゃったんすか!? あ、あの人に勝てる人がいるなんて……!」
「うん。あの人の能力は凄まじかったけれど、貴方達この世界を舐めすぎかな?
チート能力だけで生きていけるほど、この世界は優しくないよ?」
「トーマなんてチートを持たずにドラゴン殺ししてたもんなぁ。
いやぁ俺もいつか、あれくれぇ強くなってみてぇって思ったぜ!」
っていうか、チートを持ってないハルと、チートを封印したタケルが、今まで出会った中で一番正常な思考をしてる気がするんだよなぁ。
やっぱりチート能力なんて始めから持ってしまうと、どうしても考え方に影響が出るのかもしれない。
2人もまだ祝福の儀は受けたことがないそうで、一応識別だけ受けさせたが、ウソは言っていなかった。
ロンメノが捕まったので2人には行くところもなく、能力も常識の範囲に収まる程度で、なによりディオーヌ様の心労を嫌ったスカーさんに、2人を押し付けられてしまった。
2人はロンメノのボディガードのような仕事を任されていたらしく、特に余罪が確認されなかったのも大きい。
アサヒとカンナも、頼れる者が居ない状況ならば、異邦人が多い俺たちと一緒にいるほうが良いということだったので、ベイクに連れ帰ることになった。
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