異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
343 / 580
9章 異邦人が生きるために

307 循環の重要性

しおりを挟む
「おおいトーマ! おっせぇじゃねぇかよぉ! 待ちくたびれちまったぜ!」

「流石に量が多すぎるから、ゲート使いに依頼して、少しずつ運搬は始めてたよ……。
 ゲートの利用料金を白金貨5枚でお願いしてあるから、トーマ、払ってもらっていかな……?」


 狩人ギルドに行くと、テンションアゲアゲのマーサとリーネに合流する。

 ターミナル広場に足を運び、地面に座り込んでしまっているゲート使いに料金を支払い、俺も運搬に参加する。


「ホントは全部持って帰りてぇところなんだけどよぉ。こんな大量の素材、異風の旋律だけで扱いきれるわけねぇからな。
 稀少な素材と装備品の製作に使えそうな素材は多めに、後は全部位を満遍なくって感じで選ばせてもらったぜ。
 くぅ~~~!! 早くこの素材扱ってみてぇ~~~っ!!」


 山のような素材がターミナル広場に準備されている。
 けど、全体の量としては、グリーンドラゴン狩った時と同じくらいかな?
 異風の旋律は現在5人しか居ないわけだし、30メートル級のドラゴンの素材なんて、全部持ち帰っても持て余すだけだよなぁ……。


「因みに、持ち帰れない分は全て狩人ギルドに売却したからよ! 私の身分証を使って、カンパニー口座に振り込んで貰ったからな!
 額は聞いてねぇけど、まぁかなりの大金になったんじゃねぇのか? あっはっはっは!」


 あー……。グリーンドラゴンの余った素材でさえ白金板いったらしいのになぁ……。
 カンパニー資金がいくらになったのか確認するのが怖いわ。
 というかジーンさん卒倒しなきゃいいんだが。

 ゲートを開いてベイク側に素材を運ぶと、異風の旋律のみんなが運搬を手伝ってくれていた。


「ありゃ。みんな手伝ってくれてたのか。休みにしたのに悪いな」

「いやいや、僕たちはゆっくりしてたよ。
 ただ素材の運搬は分かってたからね。トーマたちも休んでないし、このくらいはさせてよ」

「あ、あと父さんが、カンパニー資金への超高額の振込みについて、トーマに思いっきり文句があるって言ってたよー?」


 えええ、それ俺のせいになるの……?


「異風の旋律で討伐したわけだし、文句を言われたら、各メンバーの口座に5等分するしかないな」

「いやぁ必要ないですねぇ……。
 ここまで私達にお金が集中してしまうのは、やっぱり問題がある気がしてしまいますね」

「うん。それでもまぁ、貯め込まずに使ってるつもりではあるんだけどね。
 今後、トーマの目標を実現していくにはお金がいくらあっても良いと思うし、世界中で貨幣の流通量が不足しているわけじゃないなら、まだ問題にはなってないと思うかな」

「ああ、ハルの話で思い出したけど、近いうちに王族に謁見する事になりそうだからな。
 その際に、壁外都市の話もある程度説明することになるから、まぁ金は一気に使いまくることになるかも知れないな」

「謁見はめんどくさいけど、王都に行くのは楽しみだなー。
 王都ネヴァルドは位置的にも経済的にも、まさにリヴァーブ王国の中心だからねー」

「それに、大農園地帯にも近いですからね。もし時間があるのならば、農園も見学してみたいです」

「あ、いつか言ってた中央農園地帯ってやつだね。
 うん。観光的な意味では楽しみになってきたかな」


 農園かー。生活魔法を使えば、山岳地帯でも砂漠地帯でも、どこでも農業が出来そうな気がする。
 実際この世界って野菜足りてないしなー。壁外都市の特産に出来たら良さそうだ。

 素材の運搬を済ませ、マーサとリーネを伴ってベイクに帰還する。




「トーマさん。せっかくマーサさんが工房建設で沢山お金を使ってくれたっていうのに、今回の入金はいったいなんなんだい?
 危うく商工ギルドで倒れるところだったよ?」

「いやいやいや。別に俺の責任じゃないでしょあれ。
 それに今後は金遣いが荒くなってくると思うから、そんなに心配しなくてもいいと思うよ」

「あら? お金の使い道が見つかったのかしら?」

「まぁね。今回もシャンダリアに白金板3枚くらいばら撒いてきたし、今後の流れによっては、お金がいくらあっても足らなくなるかも知れないよ。
 一応全員の給金分まで使い込むわけにはいかないから、もし資金が危なくなったらちゃんと教えてね?」

「どうしてその白金板3枚分をカンパニー資金から出してくれなかったんだい……。
 まぁ使う予定があるなら、今日はこの辺にしておくよ。
 実際カンパニー資金からの引き出しも多いのは分かってるんだけどねぇ。それでも貯まるほうが早いのが問題なのであって」


 ホントお金が貯まりすぎるんだよなぁ。
 でもさっきハルが言っていた通り、貨幣の流通に問題が起きてるような話は聞いてないし、少なくともタイデリア家やカルネジア家の総資産は俺たちよりも大きいはずなので、人口に対する貨幣の流通量が足りてないって可能性は高い。

 ただ、急激に貨幣の流通量が増えると、貨幣価値が下がって物価が上がってしまう可能性もあるから、あくまでも仕事の報酬としてバラまく必要があるんだよなぁ。


「そういえば今回シャンダリアに行ったんだけど、困窮してる人間の数がベイクの3倍以上居たんだよな。
 四大精霊家の直轄都市以外の場所って、やっぱり困窮者が多いもんなの?」


 元行商人のジーンさんたちなら知ってるかな?


「どうだろうね? そこはもう都市と統治者によるとしか言えないんじゃないかな。
 ただ行商していた時の印象で言うなら、ベイク近郊の村なんかは、かなり生活が厳しい場所もあると思うよ。
 王国の領内は比較的魔物の出現は少なめだけど、全く出ないわけではなから、戦えない者は外に出るのも厳しいんだよ。
 迷宮の無い場所に生まれた者なんて、スキルを得ようにも比較的安全に戦える場所もなく、迷宮都市に移動しようにもスキルがないからお金が稼げず、みたいな悪循環はあると思うよ」

「そうね。私たちはまだ獣人、亜人だったから上にベイクの生まれだからこそ、行商人としてもやっていけたところはあるわよね。
 リーネちゃんは体質的に迷宮に入れなかったけれど、場所によっては経済的、状況的な問題で迷宮に入れない人も少なくないと思うわ」


 みんなに確認してみたところ、この世界には街と街を繋ぐ乗合馬車のようなサービスは存在しないらしい。
 移動は基本的に個人で行うしかないらしく、お金も戦闘力も持たない小さな村出身の人間などは、生涯スキル取得の機会を得ることもなく死んでいく事もあるそうだ。


「――――ねぇジーンさん、リンシアさん。その部分に投資するとかどうかな?
 ベイクの生活困窮者を支援しただけで、ベイクの景気って爆発的に良くなったんでしょ?
 なら、迷宮都市の外で困っている人たちを支援できれば、王国全体の活性化に繋がるんじゃない?」


 イメージとしては駅かな。
 誰でも無料、将来的には安価かな? で利用できる、都市間移動手段。
 ある程度の戦闘力も必要だし、適任なのは狩人か。

 人の流れが起こることで、過疎なんかの問題が出てくる可能性もあるけど、今のところ過疎が起きなくても生活が厳しそうだからな。
 特に若い人たちには、上を目指す機会を用意してあげたい。
 
 村に生まれただけでスキルも取得できないなんて、悲しすぎるだろ。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...