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9章 異邦人が生きるために
308 壁外都市構想
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「はぁ~。トーマは色んなことに手ぇつけてんだなぁ。
俺はまだまだ自分のことだけで、いっぱいいっぱいって感じだわ」
夕食後のまったりタイムに、今日あった事を全員に共有する。
「確かに、これから現れ続ける異邦人が住みやすい場所があるのはいいっすよね。
タケルの能力はあまり選ぶ人多くなさそうっすけど、ヴェルトーガでの異邦人騒動の能力者は、同じようなのがまた出てきてもおかしくなさそうっす」
「それに、都市間の移動のほとんどを、超高額のゲートに頼ってるのは良くない。
私たちもウィルスレイアから出なかったから気付かなかったけど」
「うん。そのおかげでジーンさんたちみたいな行商人の需要が高いって面もあるけどさ。生まれた場所で一生が決まってしまうなんて可哀想過ぎるかな。
でもこっちの人たちには『そういうもの』として受け入れられてしまってるのが悲しいね」
やっぱり作られた世界のせいなのか、非効率的に見える部分も少なくないんだよな。
だからこそ異邦人の視点で、直せる所は直していければいいんだけど。
「僕たちは実際に、そういうものだと認識して、疑問にも思ってなかったね。
生活困窮者の支援の時も思ったけど、リヴァーブ王国の潜在的な国力って、僕たちの想定よりもずっと高いのかも知れないね」
「都市間の移動が気軽に出来るようになるのは凄くいいと思うなー。
私も行商に出た時、色んな場所を見るのが凄く楽しかったし、勉強にもなったもん」
「それに、最近ゲートのおかげで私たちは色んな場所を観光できていますけど、都市間移動が楽になれば、旅行って楽しみ方も一般化するかもしれませんね」
「ボールクローグの拡張も活発化しそうだし、これから王国の領土はどんどん広くなるかも知れないからね……。
今のままだと隣りの街に行くのすら大変だし、変えていかないとダメだと思う……」
今後、出産以外の要素で人口が増え続けそうだからなぁ。
仮に年間100人ペースって想定するとそこまで多く感じないけど、性欲チートとか魅了チート能力者がめちゃめちゃ人口増やす可能性もゼロじゃない。
異世界でハーレム生活を望む奴は少なくないはず。
リンカーズっで世界規模で見ると全然開発が進んでないんだから、どんどん拡張していくべき段階なんだよな。
まぁ安全を確保するのが大前提だけど。
「そういえば壁外都市計画だけど、どこに建設するかは決めてあんのかよ?
東西南北の国境を考えると、西は海だから難しいよな? 一番楽なのが、今回騒動になったボールクローグか?」
マーサってヴェルトーガ行ったことない割に、王国の地理はある程度把握してるのな。
「そうだな。西のヴェルトーガは海だし、いきなり進出するのは難しいと思う。
南のミルズレンダはメーデクェイタ家と揉めてるから除外だ。
で、北のボールクローグはマーサが言った通り一番進出しやすいんだけど、逆に言えばリヴァーブ王国民の領地拡張の邪魔になる可能性があるからな。
ってことで、東のウィルスレイアの先の大砂漠地帯に新しい都市を建設できればと思ってるよ」
「うん。3つを除外した理由には納得いくけど、砂漠地帯に新たに都市を建設するなんて正気なのかな?
環境的に、あまりにも過酷過ぎると思うよ?」
「ああ、砂漠って移動も楽じゃないだろ? だから大量の人員の行き来がし辛いって要素が、リヴァーブ王国側の安心に繋がるかと思ってさ」
「いやいやいや! 王国側への配慮は確かに必要っすけど、砂漠地帯ってマジ砂漠地帯っすよ!?
食料や飲み水の確保、建設物資の輸送とか、あらゆる意味でハードル高くないっすか!?」
「それに環境も苛酷よね。ウィルスレイアですら暑さと乾燥が酷かったし、異邦人に耐えられる?
この世界にはエアコンなんてないし」
ああ、そういやタケルたち3人は、まだ祝福の儀を受けてないんだったな。
「いやいや、『免疫力強化:小』を取得すると、『環境適応:小』ってスキルが取得できるようになるんだよ。
ちなみにこの世界の人は、生まれた瞬間にこの2つは覚えてるんだぞ」
「え!? そうだったんすか!? 道理でみんなウィルスレイアでも快適そうに過ごしてたわけっすよ……」
「飲み水はどこの都市でも水魔法の魔導具頼りだから、砂漠でもどこでも関係ないんだよな。トイレも魔導具だし。
問題は迷宮資源の確保なんだけど、そこはタケルに協力してもらえば解決するだろ?」
「――――っ!!
俺の迷宮操作で、任意に迷宮を引き寄せるってのか!?
でも危険すぎるだろっ!? 今回みたいなことが起こったらと思うと……!」
「そこは問題ねぇんだよ。今回の件では俺1人でも迷宮殺して歩いてたからな。
新しく生まれた迷宮なんて、俺らにとっては脅威でも何でもない。
まぁ出来れば、お前ら3人にもそこまで強くなって欲しいとは思うけどな。すぐにとは言わないが」
「……ソロで迷宮を殺して回ってた?
レンジさんでも、中階層くらいからは厳しいって言ってたのに」
「あー。中階層以降は魔物が大きくなるからねー。レンジの能力だと、大型化した魔物とは相性悪いかもねー」
「実際、私とリーンは大型の魔物に苦労しましたからね。そのせいで私は槍を握ったわけですし」
「その後に役に立てなかったのは僕だったねぇ。
レンジの能力は対人戦では凄まじかったけれど、魔物相手には効果が薄いよね。
ただレンジがあのまま生き延びて、沢山のスキルを取得したのなら、最強になれる可能性はあったかもね」
「うん。なんだかんだ言っても、チート能力は常識破りだもんね。
だからこそチートに溺れて、スキルや魔法の重要度を見誤ってしまうのかな」
「壁外都市……! すごくワクワクするね……! 私も狩人として成長しておかないといけないなっ……!」
ま、壁外都市計画も勝手に進める訳にはいかないから、王都ネヴァルドでの話次第になってくるんだよな。
この世界の都市の構造を考えると、都市建設自体はハードルが低いはず。
しかし、こんなに急いで都市計画を進める羽目になるとはなぁ……。
俺はまだまだ自分のことだけで、いっぱいいっぱいって感じだわ」
夕食後のまったりタイムに、今日あった事を全員に共有する。
「確かに、これから現れ続ける異邦人が住みやすい場所があるのはいいっすよね。
タケルの能力はあまり選ぶ人多くなさそうっすけど、ヴェルトーガでの異邦人騒動の能力者は、同じようなのがまた出てきてもおかしくなさそうっす」
「それに、都市間の移動のほとんどを、超高額のゲートに頼ってるのは良くない。
私たちもウィルスレイアから出なかったから気付かなかったけど」
「うん。そのおかげでジーンさんたちみたいな行商人の需要が高いって面もあるけどさ。生まれた場所で一生が決まってしまうなんて可哀想過ぎるかな。
でもこっちの人たちには『そういうもの』として受け入れられてしまってるのが悲しいね」
やっぱり作られた世界のせいなのか、非効率的に見える部分も少なくないんだよな。
だからこそ異邦人の視点で、直せる所は直していければいいんだけど。
「僕たちは実際に、そういうものだと認識して、疑問にも思ってなかったね。
生活困窮者の支援の時も思ったけど、リヴァーブ王国の潜在的な国力って、僕たちの想定よりもずっと高いのかも知れないね」
「都市間の移動が気軽に出来るようになるのは凄くいいと思うなー。
私も行商に出た時、色んな場所を見るのが凄く楽しかったし、勉強にもなったもん」
「それに、最近ゲートのおかげで私たちは色んな場所を観光できていますけど、都市間移動が楽になれば、旅行って楽しみ方も一般化するかもしれませんね」
「ボールクローグの拡張も活発化しそうだし、これから王国の領土はどんどん広くなるかも知れないからね……。
今のままだと隣りの街に行くのすら大変だし、変えていかないとダメだと思う……」
今後、出産以外の要素で人口が増え続けそうだからなぁ。
仮に年間100人ペースって想定するとそこまで多く感じないけど、性欲チートとか魅了チート能力者がめちゃめちゃ人口増やす可能性もゼロじゃない。
異世界でハーレム生活を望む奴は少なくないはず。
リンカーズっで世界規模で見ると全然開発が進んでないんだから、どんどん拡張していくべき段階なんだよな。
まぁ安全を確保するのが大前提だけど。
「そういえば壁外都市計画だけど、どこに建設するかは決めてあんのかよ?
東西南北の国境を考えると、西は海だから難しいよな? 一番楽なのが、今回騒動になったボールクローグか?」
マーサってヴェルトーガ行ったことない割に、王国の地理はある程度把握してるのな。
「そうだな。西のヴェルトーガは海だし、いきなり進出するのは難しいと思う。
南のミルズレンダはメーデクェイタ家と揉めてるから除外だ。
で、北のボールクローグはマーサが言った通り一番進出しやすいんだけど、逆に言えばリヴァーブ王国民の領地拡張の邪魔になる可能性があるからな。
ってことで、東のウィルスレイアの先の大砂漠地帯に新しい都市を建設できればと思ってるよ」
「うん。3つを除外した理由には納得いくけど、砂漠地帯に新たに都市を建設するなんて正気なのかな?
環境的に、あまりにも過酷過ぎると思うよ?」
「ああ、砂漠って移動も楽じゃないだろ? だから大量の人員の行き来がし辛いって要素が、リヴァーブ王国側の安心に繋がるかと思ってさ」
「いやいやいや! 王国側への配慮は確かに必要っすけど、砂漠地帯ってマジ砂漠地帯っすよ!?
食料や飲み水の確保、建設物資の輸送とか、あらゆる意味でハードル高くないっすか!?」
「それに環境も苛酷よね。ウィルスレイアですら暑さと乾燥が酷かったし、異邦人に耐えられる?
この世界にはエアコンなんてないし」
ああ、そういやタケルたち3人は、まだ祝福の儀を受けてないんだったな。
「いやいや、『免疫力強化:小』を取得すると、『環境適応:小』ってスキルが取得できるようになるんだよ。
ちなみにこの世界の人は、生まれた瞬間にこの2つは覚えてるんだぞ」
「え!? そうだったんすか!? 道理でみんなウィルスレイアでも快適そうに過ごしてたわけっすよ……」
「飲み水はどこの都市でも水魔法の魔導具頼りだから、砂漠でもどこでも関係ないんだよな。トイレも魔導具だし。
問題は迷宮資源の確保なんだけど、そこはタケルに協力してもらえば解決するだろ?」
「――――っ!!
俺の迷宮操作で、任意に迷宮を引き寄せるってのか!?
でも危険すぎるだろっ!? 今回みたいなことが起こったらと思うと……!」
「そこは問題ねぇんだよ。今回の件では俺1人でも迷宮殺して歩いてたからな。
新しく生まれた迷宮なんて、俺らにとっては脅威でも何でもない。
まぁ出来れば、お前ら3人にもそこまで強くなって欲しいとは思うけどな。すぐにとは言わないが」
「……ソロで迷宮を殺して回ってた?
レンジさんでも、中階層くらいからは厳しいって言ってたのに」
「あー。中階層以降は魔物が大きくなるからねー。レンジの能力だと、大型化した魔物とは相性悪いかもねー」
「実際、私とリーンは大型の魔物に苦労しましたからね。そのせいで私は槍を握ったわけですし」
「その後に役に立てなかったのは僕だったねぇ。
レンジの能力は対人戦では凄まじかったけれど、魔物相手には効果が薄いよね。
ただレンジがあのまま生き延びて、沢山のスキルを取得したのなら、最強になれる可能性はあったかもね」
「うん。なんだかんだ言っても、チート能力は常識破りだもんね。
だからこそチートに溺れて、スキルや魔法の重要度を見誤ってしまうのかな」
「壁外都市……! すごくワクワクするね……! 私も狩人として成長しておかないといけないなっ……!」
ま、壁外都市計画も勝手に進める訳にはいかないから、王都ネヴァルドでの話次第になってくるんだよな。
この世界の都市の構造を考えると、都市建設自体はハードルが低いはず。
しかし、こんなに急いで都市計画を進める羽目になるとはなぁ……。
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