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9章 異邦人が生きるために
311 3つの報せ
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目が覚めて、いつものように身支度を整える。
いつもの悪戯も兼ねて、ちょっと気になっている事を確認する。
ん~、これはもう間違いない気がするな……。
朝食のときにでも確認しよう。
1人で88階層を2周する。
もはや10階層も88階層も俺にとっては大差がない。
一撃で倒せて、一撃も貰わないのだから。
迷宮から戻り、カンパニーの奴等がいなくなったので、気になっていた事を確認する。
「なぁなぁ。ちょっと言い辛いんだけどさ、リーンとトルネ、お腹大きくなってきてるよね?
本人達は自覚ないの?」
「なってるよー? これはもう確定だよねーっ。
ふふふ、楽しみだよー」
「そうですねぇ。私は初めてウィルスレイアに行った辺りから、そうかなぁと思い始めましたね。
トーマに毎日頑張ってもらった甲斐がありますね」
「ふふふ。私もとうとうお婆ちゃんっ! リーンもトルネちゃんも元気な赤ちゃん産んでね!
それと2人が問題なく妊娠した事を考えると、リーネちゃんももう出来てるかも知れないわねぇ」
「わわわ、私っ……!? 自分では良く分からないよぉ……!
でも出来てたら、嬉しいな……」
流石に2人は自覚してたか。
最近どうも、お腹が出てきたような気がしてたんだよな。
見た目では分かりにくいんだけど。
「この世界の妊婦さんって、安静にしてたりしなくていいのか?
悪阻があまり現れないってのは聞いてるけど」
「そうねぇ。妊娠したからといって、特に気をつける事はないんじゃないかしら。
私もシンやリーンを身篭っていた時だって、行商続けていたわけだし」
「うん。恐らくスキルのおかげなんだろうね。
向こうと比べて医療技術の水準は低いけど、きっと赤ちゃんもお腹の中でスキルを持った状態で生まれるから、向こうの出産と比べて赤ちゃんが健康で丈夫なんだと思う。
それとまだ確定じゃないけど、私も出来てるような気はするかな?」
「おっとマジか。異風の旋律の半数が動きにくくなっちゃうな。
ボールクローグの1件が片付いた後で良かったわ。リーン、トルネ、ハルがいない状態で、ランドビカミウリを倒せたとは思えない」
「はぁ。迷宮の踏破も考えてなかったけど、自分が父親になることも想像してなかったよ。
まぁ父さんと母さんが僕を生んでくれた年齢と殆ど変わらないしね。単に僕の番になったってだけかなぁ」
「はははは! なら出産祝いも兼ねて、みんなにゃ最高の装備を用意してやらねぇとな!
私の時みてぇに、赤子のうちから迷宮に連れ歩いたりすんじゃねぇぞ?」
「しねぇっつうの。それに異邦人の子供だって、こっちで生まれれば、先天スキルは持って生まれてくれるはずだからな。それ以上を望んだりしねぇよ」
俺が父親かぁ。
地球にいたままだったら、絶対未だに独り身だっただろうになぁ。
子供が生まれてくる世界を、少しでも楽しい世界にしてやりたいもんだ。
「迷宮の探索とかどうしようか? 安静にする必要はないみたいだけど、ベイクの迷宮も踏破しちまったしな。金にも困ってないし、別に無理して迷宮に入る必要はないよな? さほど訓練にもならないし」
「一応スキルの取得って面を考えると、全く探索をしないのも考え物だよね。
陽天の報せまで探索して、それ以後は自由時間でいいんじゃないかな? 訓練に当ててもいいし」
「私もなるべく頑張って、早く一人前の狩人になるからねっ……!
赤ちゃんが生まれたら、赤ちゃんの世話を優先したいし、今のうちに頑張らないとっ……!」
「済みません! どなたかいらっしゃいますか!」
っと来客だ。まぁ声的にスカーさんだよな。
「朝早くに済みません。王都に訪問する日程が決まりましたので、ご連絡に参りました。
詳細は手紙の方に記してありますが、10日後の朝に、ヴェルトーガにお越し頂きたいと思います。
そこからディオーヌ様と合流していただいて、王都ネヴァルドにゲートで移動いたします。
異風の旋律の皆さんと、異邦人の皆さんは、全員同行をお願いしますね。
特別な服装や礼儀などは必要ありませんので、ご安心ください。
それとディオーヌ様からの伝言ですが、その時にアリスを引き取って欲しいとのことです。宜しくお願いします」
アリスの厄介者感、半端ねぇな。
スカーさんは用件だけ言ってさっさと帰っていった。
ロンメノの件の事後処理とか、忙しそうだもんなぁ。
パーティでは88階層を5回ほど回って陽天の報せ。
それからは各都市でカンパニーの活動を進めつつ、終わったら訓練場に戻って模擬戦を行う事にする。
「おう、昇級試験は5日後に決まったからな。すっぽかすんじゃねぇぞ!」
バックレなんてしないってば。なんでこんなに信用がないんだよ。
ホムロの店で安い装備を大量買いしてシャンダリアへ。
いつも通り宿舎邸で新しい冒険者を30人ほど選抜する。
ちなみに訓練を依頼した冒険者は、ちゃんと来てくれたらしい。安心した。
冒険者の活動を阻害すると、シャンダリアの経済活動を阻害してしまいかねないので、指導は陽天の報せまででお願いしてあるのだ。
屋敷の管理も問題なく行われており、今のところ大きな問題はないらしい。
ただし寝具が足りないということなので、適当に揃える様に金板1枚置いてきた。
商工ギルドに行くと、出稼ぎ希望の職人が15名ほど集まっていた。
思ったほどの数じゃないなと思ったら、この街で仕事がもらえない、どちらかと言えば腕の悪い職人の集まりのようだった。
まぁなんの問題もないだろう。仕事は現地で覚えてくれたまえ。
職人を連れてボールクローグへ。
商工ギルドで出稼ぎに来た事を説明し、仕事を紹介してもらう。
それと木材が有り余っているそうなので、空き時間を見つけて自分たちが寝泊りする家屋を、自分たちで建ててもらうことにする。
出稼ぎ期間は希望する限りずっと。シャンダリアに帰りたくなったら、商工ギルドを通して俺に連絡するようにする。
15人は少し少なめではあるけど、職人として考えれば悪くない数だろ。
人手が足りないボールクローグへ、仕事がないシャンダリアから職人を都合することが出来た。
本当に地味な調整だけど、こういうのが後々活きてくるもんなんだよね。
……多分。
いつもの悪戯も兼ねて、ちょっと気になっている事を確認する。
ん~、これはもう間違いない気がするな……。
朝食のときにでも確認しよう。
1人で88階層を2周する。
もはや10階層も88階層も俺にとっては大差がない。
一撃で倒せて、一撃も貰わないのだから。
迷宮から戻り、カンパニーの奴等がいなくなったので、気になっていた事を確認する。
「なぁなぁ。ちょっと言い辛いんだけどさ、リーンとトルネ、お腹大きくなってきてるよね?
本人達は自覚ないの?」
「なってるよー? これはもう確定だよねーっ。
ふふふ、楽しみだよー」
「そうですねぇ。私は初めてウィルスレイアに行った辺りから、そうかなぁと思い始めましたね。
トーマに毎日頑張ってもらった甲斐がありますね」
「ふふふ。私もとうとうお婆ちゃんっ! リーンもトルネちゃんも元気な赤ちゃん産んでね!
それと2人が問題なく妊娠した事を考えると、リーネちゃんももう出来てるかも知れないわねぇ」
「わわわ、私っ……!? 自分では良く分からないよぉ……!
でも出来てたら、嬉しいな……」
流石に2人は自覚してたか。
最近どうも、お腹が出てきたような気がしてたんだよな。
見た目では分かりにくいんだけど。
「この世界の妊婦さんって、安静にしてたりしなくていいのか?
悪阻があまり現れないってのは聞いてるけど」
「そうねぇ。妊娠したからといって、特に気をつける事はないんじゃないかしら。
私もシンやリーンを身篭っていた時だって、行商続けていたわけだし」
「うん。恐らくスキルのおかげなんだろうね。
向こうと比べて医療技術の水準は低いけど、きっと赤ちゃんもお腹の中でスキルを持った状態で生まれるから、向こうの出産と比べて赤ちゃんが健康で丈夫なんだと思う。
それとまだ確定じゃないけど、私も出来てるような気はするかな?」
「おっとマジか。異風の旋律の半数が動きにくくなっちゃうな。
ボールクローグの1件が片付いた後で良かったわ。リーン、トルネ、ハルがいない状態で、ランドビカミウリを倒せたとは思えない」
「はぁ。迷宮の踏破も考えてなかったけど、自分が父親になることも想像してなかったよ。
まぁ父さんと母さんが僕を生んでくれた年齢と殆ど変わらないしね。単に僕の番になったってだけかなぁ」
「はははは! なら出産祝いも兼ねて、みんなにゃ最高の装備を用意してやらねぇとな!
私の時みてぇに、赤子のうちから迷宮に連れ歩いたりすんじゃねぇぞ?」
「しねぇっつうの。それに異邦人の子供だって、こっちで生まれれば、先天スキルは持って生まれてくれるはずだからな。それ以上を望んだりしねぇよ」
俺が父親かぁ。
地球にいたままだったら、絶対未だに独り身だっただろうになぁ。
子供が生まれてくる世界を、少しでも楽しい世界にしてやりたいもんだ。
「迷宮の探索とかどうしようか? 安静にする必要はないみたいだけど、ベイクの迷宮も踏破しちまったしな。金にも困ってないし、別に無理して迷宮に入る必要はないよな? さほど訓練にもならないし」
「一応スキルの取得って面を考えると、全く探索をしないのも考え物だよね。
陽天の報せまで探索して、それ以後は自由時間でいいんじゃないかな? 訓練に当ててもいいし」
「私もなるべく頑張って、早く一人前の狩人になるからねっ……!
赤ちゃんが生まれたら、赤ちゃんの世話を優先したいし、今のうちに頑張らないとっ……!」
「済みません! どなたかいらっしゃいますか!」
っと来客だ。まぁ声的にスカーさんだよな。
「朝早くに済みません。王都に訪問する日程が決まりましたので、ご連絡に参りました。
詳細は手紙の方に記してありますが、10日後の朝に、ヴェルトーガにお越し頂きたいと思います。
そこからディオーヌ様と合流していただいて、王都ネヴァルドにゲートで移動いたします。
異風の旋律の皆さんと、異邦人の皆さんは、全員同行をお願いしますね。
特別な服装や礼儀などは必要ありませんので、ご安心ください。
それとディオーヌ様からの伝言ですが、その時にアリスを引き取って欲しいとのことです。宜しくお願いします」
アリスの厄介者感、半端ねぇな。
スカーさんは用件だけ言ってさっさと帰っていった。
ロンメノの件の事後処理とか、忙しそうだもんなぁ。
パーティでは88階層を5回ほど回って陽天の報せ。
それからは各都市でカンパニーの活動を進めつつ、終わったら訓練場に戻って模擬戦を行う事にする。
「おう、昇級試験は5日後に決まったからな。すっぽかすんじゃねぇぞ!」
バックレなんてしないってば。なんでこんなに信用がないんだよ。
ホムロの店で安い装備を大量買いしてシャンダリアへ。
いつも通り宿舎邸で新しい冒険者を30人ほど選抜する。
ちなみに訓練を依頼した冒険者は、ちゃんと来てくれたらしい。安心した。
冒険者の活動を阻害すると、シャンダリアの経済活動を阻害してしまいかねないので、指導は陽天の報せまででお願いしてあるのだ。
屋敷の管理も問題なく行われており、今のところ大きな問題はないらしい。
ただし寝具が足りないということなので、適当に揃える様に金板1枚置いてきた。
商工ギルドに行くと、出稼ぎ希望の職人が15名ほど集まっていた。
思ったほどの数じゃないなと思ったら、この街で仕事がもらえない、どちらかと言えば腕の悪い職人の集まりのようだった。
まぁなんの問題もないだろう。仕事は現地で覚えてくれたまえ。
職人を連れてボールクローグへ。
商工ギルドで出稼ぎに来た事を説明し、仕事を紹介してもらう。
それと木材が有り余っているそうなので、空き時間を見つけて自分たちが寝泊りする家屋を、自分たちで建ててもらうことにする。
出稼ぎ期間は希望する限りずっと。シャンダリアに帰りたくなったら、商工ギルドを通して俺に連絡するようにする。
15人は少し少なめではあるけど、職人として考えれば悪くない数だろ。
人手が足りないボールクローグへ、仕事がないシャンダリアから職人を都合することが出来た。
本当に地味な調整だけど、こういうのが後々活きてくるもんなんだよね。
……多分。
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