異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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9章 異邦人が生きるために

315 いざ王都へ

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 忙しく日々を送っていると、王都へ行く日はあっという間にやってきた。
 朝食を済ませ、異風の旋律に加えて、タケル、アサヒ、カンナの3人が王都に向かうことになる。

 リーネは同行するが、マーサは留守番。そしてマーサと一緒に、ふわわとつららもお留守番だ。
 流石に2匹を連れて王族に会う勇気はない。見初められても困るし?

 マーサは2匹にオードルを加えて工房に篭り、装備品の製作に精を出している。
 ランドビカミウリの素材の扱いが難しく、製作が難航している模様。

 ゲートを開き、ヴェルトーガに移動する。


「皆様おいでになりましたね。
 早速で申し訳ないですが、直ぐに王都に向かわせて頂きますわ」


 ターミナル広場には既に、ディオーヌ様とアリスを含めた8人ほどが集まっており、俺たちが到着するとすぐにゲートの詠唱が始められた。


「随分急ぎますね? 王族への謁見って朝早くに行われる印象がないので、ちょっと意外です」

「今回我々は事の中心ですからね。他の地域から足を運ぶ有力者に会う前に、王都に住まう有力者達と顔を合わせる必要があるんです。
 異邦人の印象を左右することになりますので、くれぐれもご注意くださいね?」


 うええマジかよ。俺が異邦人代表になんの?
 一瞬で行きたくなくなってきたわ……。

 そんなこと考えてる俺に一切考慮することなく、無情にも王都へのゲートは開かれた。
 いや、行かないって選択肢はないんだけどね。行かなきゃ状況悪化するだけだし。

 ディオーヌ様を先頭にゲートを通っていく。

 
「お待ちしておりました。タイデリア家ご一行様。
 迎えの馬車を用意してありますので、どうぞこちらに」


  ディオーヌ様が執事っぽい人と話している間に、ターミナルには忘れずに触れておく。


「トーマさんたちも一緒に行くんですよ。遅れずついてきなさい」

「っと済みません。すぐ行きます」


 迎えの馬車は2台で、ヴェルトーガ組とベイク組で別れて乗ることになった。


「はぁ。王都に来たのは良いんだけど、自由に動く時間はなさそうか?」

「どうだろうね? もし今回自由に動けなければ、トーマに改めて連れてきてもらうしかないかな」

「そうだねー。私達にはゲート使いがいるから、その辺の融通は利かせられるもんねー」


 ゲートを使えるようになったのはいいけど、完全にディオーヌ様の思惑通りなんだよなぁ。


「今回は私達の注目度が高いでしょうからね。観光は難しいでしょう」

「うん。面倒事に巻き込まれても嫌だしね。平和に乗り切って欲しいかな?」

「農園地帯は見てみたいけど、別に今日じゃなきゃダメな理由もないしね……」

「しかし、思ったほどの活気は感じねぇかな? ミルズレンダよりは上だろうけど、ベイクとは差を感じねぇな」

「同感っすね。王都と言ってもリヴァーブ王国しか国家のない世界っすからね。こんなもんっすよ」

「この国はちょっと教育を疎かにしすぎよね。被支配層にあまり力を与えたくないのかも知れないけれど、それで国力が上がらないのでは本末転倒だわ」


 みんな身内しかいない空間だと思ってボロクソ言うなぁ。
 一応消音してるけど、この会話を記録でもされてたらめんどくさいことになっちゃうだろうが。

 窓から馬車の外を眺めていたら、少しずつ街の様子が変わってくる。
 歩行者が姿を消し、代わりに馬車とすれ違う頻度が上がった。
 周囲の建物も巨大な屋敷ばかりが目に付く。

 これって俗に言う、高級住宅街ってやつなんだろうか?
 そういえば目的地を聞き忘れてたなぁ。


「間もなく到着しますので、皆様、下車の準備をお願い致します」


 御者から声をかけられる。
 下車の準備ってなんなんだろうな?
 高貴な方々は、馬車の乗り降りにすら準備が必要なんだろうか。


「到着致しました。どうぞ皆様、下車願います」


 到着を告げられたので順番に降りる。
 
 俺の目の前には、歴史を感じされる荘厳で巨大な城が聳え立っていた。
 まぁ王都ですしね。王族に会うんですしね。そりゃ城に案内されますよね。


「ここからは私がご案内致します。どうか遅れずに付いてきて頂きますよう」


 御者はそのまま馬車をどこかに走らせて行き、代わりの案内人が用意されていた。
 
 初めて見る城の内部を見ながら遅れないように付いていく。

 俺たちが案内されたのは、どうやら待合室のような場所だった。
 ディオーヌ様の姿はなく、アリスは身分が高そうな女性達と談笑している。


「お声がかかるまで、どうぞこちらでお寛ぎください」


 それだけ言って案内人は退室してしまった。

 ん~、寛げって言われても、こんな場所じゃ落ち着かないわ。

 そんなことを考えていると、アリスと談笑していた女性たちがこちらに突撃してきて、お話したいんですーとか言いながらみんなを連れて行ってしまった。
 なんなんだいったい。あのノリにはついていけそうもないな。

 部屋の中央で複合センサーを起動する。
 アイソレーションを使われていると感知できないけど、少なくとも伏兵は感知できないな。
 まぁこんな簡単に察知できるような奴が、王城の警備を任されるはずないか。

 部屋の中には飲み物や食べ物も用意されていたけど、王族が敵か味方かまだ分かってないことだし、口をつけるのは控えておくべきか。
 我ながら疑心暗鬼の領域だとは思うけど、やることもないし警戒を続けておくべきだろう。

 センサーを切り、スキルで鋭敏になった五感を使って伏兵を探す。
 そもそも伏兵なんていないかも知れないけど、せっかくの機会なので訓練に使わせてもらう。

 と、なんだか大勢の足音が近付いてくるな?
 目を向けてみると、面識のない女性陣が俺に向かってきていた。


「貴方! 今すぐみなさんを解放して差し上げなさい! これは命令よ!」


 なんか先頭を歩いていた若い女の子が、左手を腰に当てて、右手で俺を思い切り指差し、言ってやったわ! という見事なドヤ顔を決めている。

 ていうかなにこの流れ?
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