397 / 580
10章 壁外世界
358 銀の乙女の帰還
しおりを挟む
陽天の報せまでは普通に過ごし、あとはみんな別行動だ。
シンとハルは図書館で調べ物。リーンとトルネはスナネコハウスに遊びに行く。
ボールクローグに行くのは俺とリーネの2人だ。
そう言えば何で銀の乙女からの連絡を、冒険者ギルドのオーサンが伝えに来たのか聞いてみると、詳しくは教えてもらえなかったけれど、簡易的な通信の魔導具というものが存在していて、全都市の全ギルドで情報と連絡を共有しているらしい。ギルド間の秘密とかなさそう。
会話とか長文を送ったりすることは難しいらしいので、イメージとしてはショートメール? オッサン的にはポケベルがイメージ近いかもしれないなー。
「あ、トーマ、リーネ、久しぶり。サリサリに会いに来たなら送ってく」
「あ、クリーヌ……! 久しぶりー、っていうほどでもないかなぁ……?」
「あら? それは助かるけどいいの? そして久しぶりクリーヌ。元気そうで何より」
「ん。というかサリサリから送迎を頼まれた。銀の乙女は今日は拠点で休みたいんだって。
正式な依頼だから遠慮しない」
「なるほど。じゃあ街で酒と食い物買ってってやるか。ペルにも土産持って行きたいな。
……っと、ボールクローグの食糧事情って大丈夫なのか?」
「大丈夫。祝福の儀を受けた周辺住民は帰り始めてるし、迷宮に潜れる人が爆発的に増えたから、むしろ安いくらい。流石に氾濫のときの魔物肉はもう食べれないけど。
トーマのところで始めた都市間移動馬車のおかげで、壊滅した村とかの復興の人員輸送が凄く楽になってるみたい。ありがと」
「へぇ。役に立ってるなら何よりだ。
それじゃ問題ないみたいだし、ストレージと馬車いっぱいに食い物買ってこうぜ」
ペル用に高級肉を大量に用意して、前回お邪魔した時にめちゃくちゃ飲んでた銀の乙女の姿を思い出して、なるべく酒類を多めに購入する。
……まぁ、全部飲みつくしそうだけどなあいつらなら。
馬車いっぱいの食べ物飲み物。ちょっと馬には申し訳ないことしちゃったかな。
「おうトーマ! ひっさしぶりだねぇ! そして流石だよ! この酒の量!
おーいみんなー! 酒だー酒が来たぞー! 運べ運べーっ!」
馬車に群がって荷物を強奪していく銀の乙女達。山賊かお前らは!
しかも運びながらもガンガン飲んでやがる! 女性不審になりそうだなこの光景は……。
ギュギュー?
私の分はー? みたいに首を傾げながらペルがやって来た。ペルの分が無い訳ないじゃないかっ!
買い物中に既に加熱調理済みの竜肉を、ある程度の大きさに切り分けつつお供えする。
スナネコと違ってペルはでかいから、あんまり小分けにする必要ないかもしれないけど。
「ペルちゃんおいしい……? これね、私が焼いたんだよー……? いっぱい食べてねっ……!」
ペルの食事を邪魔しないように、リーネがペルに抱きつきながら満面の笑顔を浮かべている。
リーネって始め表情が結構死んでた気がするけど、今はリーンよりも表情豊かかもしれないなぁ。
リーンはやっぱりどこか大人びてるとこあるし。
「いやぁ、王国縦断なんて考えたこともなかったからね。結構楽しかったよ!
途中途中で結構遊んじまったから、少し時間掛かっちゃったけどさ。移動距離だけで言えば、夜明けから日没までの移動で、ペルの足で6日くらいだと思うね」
ペルの足で6日か。普通の馬車でも30日はかからないだろうな。
ゲートばっかり利用してたのであまり実感はないんだけれど、やっぱり人類の生存圏として考えると狭すぎるよな。
「あっそうだ。東の砂漠地帯でもさ。魔物じゃない生物を見つけたんだよね。それを考えるとさ。多分ペルと同じ種族って、国境壁の外側に生き残ってると思うんだ。
もしサリサリとペルが望むなら、ペルの旦那さん探してみる気はないか?
まぁぶっちゃけると、うちのパーティにも大森林用の騎乗生物が欲しいって話なんだけどさ」
「あーそうだねぇ。ペルも女だし、番いに憧れる部分もあるかもしれないねぇ。
ただペルに動けなくなられると、銀の乙女が壊滅しちゃうからね。そこを解決できて、更にペルが望むのであればやってみたいね。ペルの子供とかめちゃくちゃ興味あるし!」
「ああ、そこは簡単じゃないかな。俺たちって常に大森林に居るわけじゃないからさ。もしペルの旦那さんが上手く見つかって、そいつをうちで預かることになったら、ペルの妊娠中はダンナの方が銀の乙女で働けばいいんじゃないかな。もしペルの子供が生まれたら、共同で世話してもいいしさ」
むしろペルの子供なんて、土下座してお世話をお願いするレベルだしな!
「そりゃいいね! ならあとでペルに聞いておくよ。
ペルは間違いなくうちの団員だと思ってるけど、家族にゃなれても番いにゃなれないからねぇ。
ペルの幸せを考えるなら、せめて機会は用意してあげたいじゃないか」
「よっし。決まりだな。ペルに宜しく言っといてくれ。
それと捜索にはかなり遠くまで行かないと見つからない可能性が高い。腕を磨いておいてくれよ?」
「ははは! 任せなよ! ペルのためならうちら銀の乙女団、いくらだって強くなってみせるからさ!」
あまりエリアキーパーを俺が倒してしまうのは良くない気もするけど、ペルのためだからね。仕方ないよね。
エリアキーパー倒さないと探せないと決まったわけでもないし?
サリサリとの話が終わったので、長居せずに帰ろうとしていると、リーネがべろべろに酔っ払っていた。
背負ってゲートで帰ろうとすると、耳元でめちゃくちゃ愛を囁いてきやがって。
まったく。旦那の前でベロベロに酔っ払ったリーネが悪いんだからな?
ゲートの行き先をシャンダリアに変更。
ベイクに帰る前に、シャンダリアの宿に直行する。
酔ったリーネさんの破壊力が凄まじくて、いつも以上に全力で堪能してしまった。
うん。お酒はほどほどにね。
毎回こうだと、俺も持たないかもしれないし?
シンとハルは図書館で調べ物。リーンとトルネはスナネコハウスに遊びに行く。
ボールクローグに行くのは俺とリーネの2人だ。
そう言えば何で銀の乙女からの連絡を、冒険者ギルドのオーサンが伝えに来たのか聞いてみると、詳しくは教えてもらえなかったけれど、簡易的な通信の魔導具というものが存在していて、全都市の全ギルドで情報と連絡を共有しているらしい。ギルド間の秘密とかなさそう。
会話とか長文を送ったりすることは難しいらしいので、イメージとしてはショートメール? オッサン的にはポケベルがイメージ近いかもしれないなー。
「あ、トーマ、リーネ、久しぶり。サリサリに会いに来たなら送ってく」
「あ、クリーヌ……! 久しぶりー、っていうほどでもないかなぁ……?」
「あら? それは助かるけどいいの? そして久しぶりクリーヌ。元気そうで何より」
「ん。というかサリサリから送迎を頼まれた。銀の乙女は今日は拠点で休みたいんだって。
正式な依頼だから遠慮しない」
「なるほど。じゃあ街で酒と食い物買ってってやるか。ペルにも土産持って行きたいな。
……っと、ボールクローグの食糧事情って大丈夫なのか?」
「大丈夫。祝福の儀を受けた周辺住民は帰り始めてるし、迷宮に潜れる人が爆発的に増えたから、むしろ安いくらい。流石に氾濫のときの魔物肉はもう食べれないけど。
トーマのところで始めた都市間移動馬車のおかげで、壊滅した村とかの復興の人員輸送が凄く楽になってるみたい。ありがと」
「へぇ。役に立ってるなら何よりだ。
それじゃ問題ないみたいだし、ストレージと馬車いっぱいに食い物買ってこうぜ」
ペル用に高級肉を大量に用意して、前回お邪魔した時にめちゃくちゃ飲んでた銀の乙女の姿を思い出して、なるべく酒類を多めに購入する。
……まぁ、全部飲みつくしそうだけどなあいつらなら。
馬車いっぱいの食べ物飲み物。ちょっと馬には申し訳ないことしちゃったかな。
「おうトーマ! ひっさしぶりだねぇ! そして流石だよ! この酒の量!
おーいみんなー! 酒だー酒が来たぞー! 運べ運べーっ!」
馬車に群がって荷物を強奪していく銀の乙女達。山賊かお前らは!
しかも運びながらもガンガン飲んでやがる! 女性不審になりそうだなこの光景は……。
ギュギュー?
私の分はー? みたいに首を傾げながらペルがやって来た。ペルの分が無い訳ないじゃないかっ!
買い物中に既に加熱調理済みの竜肉を、ある程度の大きさに切り分けつつお供えする。
スナネコと違ってペルはでかいから、あんまり小分けにする必要ないかもしれないけど。
「ペルちゃんおいしい……? これね、私が焼いたんだよー……? いっぱい食べてねっ……!」
ペルの食事を邪魔しないように、リーネがペルに抱きつきながら満面の笑顔を浮かべている。
リーネって始め表情が結構死んでた気がするけど、今はリーンよりも表情豊かかもしれないなぁ。
リーンはやっぱりどこか大人びてるとこあるし。
「いやぁ、王国縦断なんて考えたこともなかったからね。結構楽しかったよ!
途中途中で結構遊んじまったから、少し時間掛かっちゃったけどさ。移動距離だけで言えば、夜明けから日没までの移動で、ペルの足で6日くらいだと思うね」
ペルの足で6日か。普通の馬車でも30日はかからないだろうな。
ゲートばっかり利用してたのであまり実感はないんだけれど、やっぱり人類の生存圏として考えると狭すぎるよな。
「あっそうだ。東の砂漠地帯でもさ。魔物じゃない生物を見つけたんだよね。それを考えるとさ。多分ペルと同じ種族って、国境壁の外側に生き残ってると思うんだ。
もしサリサリとペルが望むなら、ペルの旦那さん探してみる気はないか?
まぁぶっちゃけると、うちのパーティにも大森林用の騎乗生物が欲しいって話なんだけどさ」
「あーそうだねぇ。ペルも女だし、番いに憧れる部分もあるかもしれないねぇ。
ただペルに動けなくなられると、銀の乙女が壊滅しちゃうからね。そこを解決できて、更にペルが望むのであればやってみたいね。ペルの子供とかめちゃくちゃ興味あるし!」
「ああ、そこは簡単じゃないかな。俺たちって常に大森林に居るわけじゃないからさ。もしペルの旦那さんが上手く見つかって、そいつをうちで預かることになったら、ペルの妊娠中はダンナの方が銀の乙女で働けばいいんじゃないかな。もしペルの子供が生まれたら、共同で世話してもいいしさ」
むしろペルの子供なんて、土下座してお世話をお願いするレベルだしな!
「そりゃいいね! ならあとでペルに聞いておくよ。
ペルは間違いなくうちの団員だと思ってるけど、家族にゃなれても番いにゃなれないからねぇ。
ペルの幸せを考えるなら、せめて機会は用意してあげたいじゃないか」
「よっし。決まりだな。ペルに宜しく言っといてくれ。
それと捜索にはかなり遠くまで行かないと見つからない可能性が高い。腕を磨いておいてくれよ?」
「ははは! 任せなよ! ペルのためならうちら銀の乙女団、いくらだって強くなってみせるからさ!」
あまりエリアキーパーを俺が倒してしまうのは良くない気もするけど、ペルのためだからね。仕方ないよね。
エリアキーパー倒さないと探せないと決まったわけでもないし?
サリサリとの話が終わったので、長居せずに帰ろうとしていると、リーネがべろべろに酔っ払っていた。
背負ってゲートで帰ろうとすると、耳元でめちゃくちゃ愛を囁いてきやがって。
まったく。旦那の前でベロベロに酔っ払ったリーネが悪いんだからな?
ゲートの行き先をシャンダリアに変更。
ベイクに帰る前に、シャンダリアの宿に直行する。
酔ったリーネさんの破壊力が凄まじくて、いつも以上に全力で堪能してしまった。
うん。お酒はほどほどにね。
毎回こうだと、俺も持たないかもしれないし?
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる