異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

381 砂漠に響く笑い声

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 シンと2人、砂漠で寝転んで、空に立ち上っていく光の奔流を眺めていた。
 ユリバファルゴアが巨大だったからか、はたまたエリアキーパーとしての実力なのか、ランドビカミウリを倒した時より遥かに大きな光の柱。
 その根元で見ていても、なぜか眩しく感じられない、魔力で出来た不思議な光。


「あー……、マジで疲れたぁ……。
 なんなんだよこいつ、ギミック系のレイドボスかよ……?
 特定の手順じゃないと倒せないとか、初見殺しも甚だしいわ……」

「トーマが言ってること、1つも理解出来てないけど、最後のあれはなんだったのさ?
 前に砂漠で見たのと似てたけど、ユリバファルゴアが跡形もなく消し飛んでるんだけど……?」

「あれは俺の技っていうよりも、鈴音の固有能力みたいなもんだ。
 鈴音を中心にして、周囲全てを攻撃する魔力の刃って感じか」

「鈴音の固有能力って、結局トーマにしか使えないから同じでしょ……。
 あ~。ランドビカミウリを倒したときは、これ以上強い魔物なんて居るはずないと思ったのになぁ……」


 激しく同意するわ。
 ランドビカミウリは全く攻撃が当てられなかったけど、ユリバファルゴアは、どれだけ攻撃しても死なない耐久力だもんな……。
 どっちが嫌かと聞かれたら……、どっちも戦いたくねぇわマジで……。


「あーそれにしてもシンよ。最後のジャンプは流石としか言い様がないぜ。よくぞ完璧に合わせてくれたもんだよ」

「ああ……。あれは完全にまぐれだよ。どうやって座標を決めたか、全く覚えてないもの。
 ただ単純に、トーマと同じところへ、としか考えてなかった気がするな」

「まぐれでもなんでもいいよ。その1回をあのタイミングで成功させたんだから、やっぱ流石シンで良いんだよ。
 いやぁそれにしても、流石にネズミよりも苦労したかもなぁ」

「ぷっ、あはははははは! 確かにネズミよりは手強かったね! あははははは! まさかエリアキーパーを倒した直後に、ネズミの話題が出るとは思わなかったよ! あははははは!」


 シンが笑ってるのを聞いていたら、なんだか俺もおかしくなって、2人で大爆笑してしまった。
 笑っても笑っても止まらない。これってあれか、深夜テンション的な奴か?

 めちゃくちゃ苦労させられたけど、終わってみればユリバファルゴア戦、始まる前も終わった後もシンと2人で笑ってただけだったな。
 あれ? 始まる前も笑いながらネズミの話してなかったか? あはははは! ネズミに始まりネズミに終わるエリアキーパーとかなんなんだよ!


「あー笑った笑った。こんなに笑ったことって初めてかもな?
 なぁシン。この光ってウィルスレイアからも見えてると思う? もし見えてたら、迎えに来ると思う?」

「あーどうだろうねぇ。見えていたら間違いなくみんなきてくれると思うけどさ」

「ぶっちゃけもう動きたくないんだよなー……。
 どうせ周辺一帯には暫く魔物出ないだろうし、このままひと眠りしねぇ?」

「ちょっとトーマ……。今そんな魅力的過ぎる提案されたら断れないよ……。
 ふわぁ~……。じゃあちょっと、ちょっとだけ寝ようか……」


 言うが早いか、シンからはもう寝息が聞こえてくる。

 おいおいシン。いくらなんでも、寝るの早す、ぎだろ……?





「2人とも起きろーーーーっ!」

「「うわあああ!?」」


 突然耳元で大声がして叩き起こされる。

 ――――叩き起こされる? ってことは寝てたのか俺。


 寝惚けた頭のままで辺りを見回す。いつものメンバーだ。周囲はもう明るくなっているな。
 いつもと違うのは、俺の隣りでシンも寝惚け面している事くらいか。

 俺とシンの後ろにはリーンの姿が。俺たちを叩き起こしたのはリーンだったか。


「んもー! すっごく心配してたのに、2人してなに気持ち良さそうに寝ちゃってるのよー!?
 可愛いお嫁さんと妹が起こしてあげたんだから、早く目を覚ましなさーい!」

「んー? とりあえずおはようリーン。俺より早く起きてるなんて珍しいな?」

「いつまで寝惚けてるのよーっ! こっちは凄く心配したんだからねっ!?
 こうなったらこれで目を覚ましなさいっ」


 リーンが唇を重ねてくる。
 なんだかよく分からないけど、お互いの頭を抱いて口付けを続ける。


「あーーーーもうリーン何やってんですかーーー!
 起こしに行った貴女が何してるんですかもーーー!」

「ん……。ふぅ、おはようトルネ。次はトルネもする?」

「え、し、します! 私もしますっ!」


 リーンを片手に抱いたままで、トルネとお互いの口を吸った。




「うんごめん。ぶっちゃけリーネあたりから目は覚めてたわ」


 結局6人全員とキスしてしまったわ。
 でも今回はリーンが始めた事だから俺は悪くない、はず?


「迎えに来てくれて助かったよ、マジで1歩も動けなかったからな」

「だねぇ……。僕もいつの間に眠っちゃったのか覚えてないよ」

「うん。2人とも本当にお疲れ様でした。シンもトーマも、生きててくれて本当に嬉しいよ。
 2人の分の食事も用意してきたんだけど、食べられるかな?」


 ハルがサンドイッチを渡してくれた。
 それを見ていて、1つ思い出してしまった。


「くく……。シン。俺たちはユリバファルゴアを倒したんだ。
 これで心置きなく、今日の朝飯が食えるよな……?」

「あっ! あはははははは! そうだったそうだった! 僕たちユリバファルゴアを倒したんだもんね! 食べよう食べよう! お腹いっぱい朝御飯食べちゃおう! あは! あははははははっ!」


 せっかくひと眠りして落ち着いてたってのに、自分で爆弾を掘り起こしてしまったぜ。
 シンと2人、なにがなんだか面白すぎて笑いが止まらない。

 他のみんなは不思議そうに見てるけど、今だけは許して欲しい。

 俺たち2人にしか分からない、本当にくだらない約束の話だからさ。
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