異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

382 シルグリイド家の悲願

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「よくぞ! よくぞユリバファルゴアを打ち倒してくれた!
 ウィルスレイアからもよく見えたよ! 天に立ち上る光の柱がね!」


 ウィルスレイアに帰還すると、すぐにファーガロン様に連行された。
 常に冷静なイメージだったファーガロン様が、酷く興奮しながら俺たちの勝利を称えてくれた。


「流石にとてつもない化け物でしたけどね。運よく討ち果たすことが出来ました。
 ファーガロン様にも喜んで頂けたようでなによりですよ」

「あーっはっはっはっは! 僕が喜ぶなんて当たり前だろう!? ユリバファルゴア討伐は、我がシルグリイド家の悲願だったと言ってもいい! それが自分の代で果たされたんだ! こんなに嬉しい事もないよ!」

「トーマ。私も感謝してる。こんなに嬉しそうなファーガロン様を見たの、私も初めてだから」


 カンカンからも感謝を告げられる。
 思った以上にラブラブだなこの2人。政略結婚って感じは微塵もしない。


「それでユリバファルゴアの素材なんですけど、あまりにも大量すぎて、全てを運び込むことって難しいと思うんです。
 それで提案なんですけど、国境壁内にある程度の量を卸した後は、そのまま壁外都市建設に役立ててしまいたいと思ってるんですけど、構わないでしょうか?」

「あはは。君たちが仕留めたんだ。好きに使うといいよ。少しでも王国側に卸してくれるだけで充分すぎるさ」

「それで、1番の障害であったユリバファルゴアの討伐には成功しましたので、これから都市建設計画のほうを本格化させたいと思っています。
 既に宿舎は用意してありますし、ウィルスレイアで大工や職人の募集を始めても宜しいですか?」

「くくく。いいに決まってる。というか、君たちのお金で行うことなんだから、本来僕に断りを入れる必要だってないさ。いつも王国側に配慮してもらって済まないね。
 それとスキップオーブの運用についてだが、今のところ冒険者達からの不満もなく、上手く運用できていると思うよ。今の所は数も充分すぎるね。
 今後、冒険者たちがみんな成長してきたら数が足りなくなる可能性もあるが、それはまだもう少し先の話だと思う」


 1つのパーティに1つ支給すれば充分なんだもんな。6等級以上の冒険者を有する冒険団って、1つの街に100もないんだろうなぁ。そのうちのいくつかは狩猟団になる場合もあるんだろうし。


「まだ先の話になるのは分かっているが、あえて今、1つお願いをさせてもらうよ。
 壁外都市の周辺の安全が確保されたあとで良いから、僕とカンカンを砂漠の果てまで案内して欲しい。
 僕たち2人の幼い頃からのささやかな夢だったんだ。砂漠の果てを見てみたいってね」

「トーマお願い。私たちは砂漠の果てを見てみたいの。砂漠の先に何があるのか、この目で確かめたい」

「勿論構いませんよ。俺たちも砂漠の境界線は把握しておきたいと思っていましたし、その時に一緒にいきましょう。
 まだ何も決めてませんから、詳細は改めてお互いの予定を調整しましょうか」

「その日を心待ちにしているよ。今はゆっくり休んで英気を養って欲しい。
 新しい都市が出来ても、仲良くやっていきたいと思っている。今後とも良い付き合いをお願いしたいね」


 砂漠エリアの果てを調査する時に一緒に行く約束をして、ファーガロン様と別れた。
 各エリアの果てには興味あるんだけど。エリアキーパーとの戦闘はもうしたくないなぁ。


「マーサってターミナル作れるんだっけ? もし作れるなら1つお願いしていい?
 ネヴァルドには報告だけ入れておくからさ」

「ああ、勿論作れるぜ。ただターミナルの設置には儀式魔法使いが必要だけど、それはどうするんだ?」

「儀式魔法なら俺が使えるから、まずはそれで試してみよう。
 スナネコたちには馬車10杯分くらいを王国に卸したら、あとは運搬を止めていいって伝えておいてくれ。
 俺は商工ギルドで都市建設への協力の依頼を出しつつ、ネヴァルドとボールクローグに顔出してくるよ」

「ああ、依頼の方は僕が出しておくよ。任せて」

「ん。じゃあ任せたシン。俺の用事が終ったら帰って寝ようぜ。明日は1日休みにしよう」

「了解。お互い最後まで気を抜かないで頑張ろうか」


 ウィルスレイアの用件はシンに任せて、俺は1人でネヴァルドに移動し、冒険者ギルドに向かう。
 王様宛に、ユリバファルゴアの討伐と、新設都市用にターミナルを1つ製作することを手紙にしたためて、冒険者ギルドに置いてくる。登城して直接話すような話題でもないだろうからな。

 次にボールクローグへ移動し、銀の乙女とコンタクトを取る。
 彼女達は今スキップオーブを使って迷宮探索に出ているらしいので、少し待たなければならなそうだ。

 しかしボールクローグの入り口でペルが待機していると耳に挟んだので、楽しい待ち時間になりそうだった。

 ギュギュー。

 香箱座りで目を閉じていたペルだったけど、俺に気付いて近寄ってきてくれた。
 スナネコを見慣れると、改めてペルの大きさを実感するなぁ。


「ペルはみんなの送迎とお留守番か? 偉いなぁ。
 今日はちょっと良い肉が手に入ったからお土産を持ってきたんだよ」


 3㎥になったストレージに限界までユリバファルゴアの肉を詰めて持ってきた。
 スナネコたちが催促するので調理してみたら、これがまた最高に旨かったのだ。鶏肉に近い味なんだよなー。

 ギュギュウ!

 肉を両足で抱きかかえて一生懸命食べている。どうやらペルにも気に入ってもらえたらしい。


 ユリバファルゴアの肉を堪能するペルに寄りかかってウトウトしていたら、いつの間にか銀の乙女も帰ってきていた。
 背嚢3つ分に詰め込んだユリバ肉をお裾分けして本日の業務は終了だ。

 ウィルスレイアでみんなと合流、シンの出した依頼内容の確認や、俺の今日の行動報告を済ませて、俺たちはベイクに帰還したのだった。
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