異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

412 深きを照らす光

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 目の前の光の柱をぼーっと見上げる。
 なんとか倒せたようで何よりだ。もうマジやってらんねぇぞエリアキーパー戦。

 しかし何も考えずに陽輪なんてもんをぶっ放してしまったけれど、大爆発とか起こさなくて良かった。
 凍月の氷結効果の高さと、陽輪の効果が内部に集中していたおかげかな。
 何度くらいの熱だったのかは考えたくもないところだ。俺が喰らう事はないんだし気にしないでおこう。


 振り返るとシンが、凍りついた触手を1本拾っていた。
 全部焼き尽くしてやったと思ったけど、全身が凍結する前に切り離したのかな?

 シンに近付き抱きしめる。
 お互い抱きしめあったままで、互いの背中をバンバン叩く。
 何か言ってる気がするけど聞き取れないや。多分俺の声も届いてないよな?
 ま、積もる話は帰ってからにしておこう。

 触手はでかいので、2人で肩に担いで持っていく。先端の眼球がグロい。
 手で掴んで持っていくと、うっかり落としそうで怖い。こんな場所に回収に来るのも億劫だしな。

 1つ困ってるのは、現在地が分からないことなんだよなぁ。
 始めは壁を背にして戦っていたけど、戦っているうちにどんどん壁から離れちゃって、方角すら分からない状況だ。
 どうしよう。帰れるのかなぁ。あんまり危機感はないが。

 水は魔法で作れるし、食べ物は魔物を狩って魔法で調理可能。水中に居ても体力の消費なし。下手すりゃ水中で寝れるもんな。遭難したとしても死ぬ心配はないし、陸地さえ見つけられればゲートで帰還できる。


 両足のスクリューを回して浮上中。
 生き物の気配が全くしない、深海を照らす魔力の柱か。
 『暗視』があるから視界的には必要ないけど、なかなかに幻想的な光景だ。
 エリアキーパー討伐の1番報酬って、魔力還元で起きるこの景色なんじゃないかと思えるわ。

 光の柱に沿って進むってなんかいいよね。
 輝かしい未来に向かって、みたいな気分になるよ。


 ここで魚とかもこの光に集まってきたら、より幻想的な景色になりそうなんだけどな。
 エリアキーパーが居る周辺って、魔物も生物も近寄らないんだよなぁ。恐らくこれから長い年月をかけて、生態系が変化していくんだろう。

 しかし長いなぁ。本当にどのくらいの深さだったんだろう?
 底に向かった時も回避に集中しすぎて時間間隔なかったから、いまいち把握できなかった。
 自由落下だと15分以上は落ち続けた気がするなぁ。
 多分俺がユリバファルゴアと共に飛んだ高度よりも深いんだろう。

 なんて思ったら海面が見えてきた。
 ザルトワシルドアを追って浮上してた時は果てしなく感じたけど、海面が普通にあるのがただただ嬉しい。


「「ぷはぁっ!」」


 2人同時に海面に顔を出す。
 海面に顔を出したせいで、担いでいる触手の重みが増してしまう。うぜぇ。


「おつかれさん。今回も何とか生きて帰ってこれたな」

「おつかれさま。本当に何とかって感じだねぇ。何か1つでも要素が欠けてたら、間違いなく勝てない相手だったよ。マーサにもアサヒにもカンナにも、あとでお礼しないといけないね」


 今回に関してはマーサが大活躍だったもんなぁ。というかランドビカミウリとの戦闘辺りから、マーサが居なかったら死んでる場面が多すぎる。今回に到っては、マーサが居なけりゃ本体に辿り着く事すら出来なかっただろうな。


「トーマも完全に炎魔法と氷魔法を使いこなせるようになったみたいでなによりだよ。特に氷魔法が発動した時のザルトワシルドアの慌てっぷりは凄かったね。恐らく氷を見ることすらなかっただろうし。
 ま、それはリンカーズに居る大半の人もそうなんだろうけどさ」

「ルイナスリームに気軽に行けるようになれば、目の前が豪雪地帯だからな。雪も氷も身近なものになるさ。
 あとはペルの旦那兼、異風の旋律の大型騎獣を探したら終わりだ。ルイナスリームの建設に本格的に取り掛かれるぞ。あと砂漠側の別荘な!」

「ペルの旦那さんを探すのはいいけど、そうするとまた森林側のエリアキーパーと戦うことになるの?
 なんだっけ、レイメルカミウリだったっけ?」

「いやぁきついっすわ。というかスナネコもウミガメさんもなんだけど、エリアキーパーの周囲って魔物すら居ないじゃん? 多分だけど、レイメルカミウリとは接触せずに見つけられると思うぜ。生きてればの話だけどさ」


 大型の獣だから隠れるのが難しいし、スキルがないから魔物相手だと不利な場面も少なくないだろうからな。
 ペルを見た感じだと、身体能力はスキルも無いのに結構高そうだったけど。


「それで、これからどうするの? 陸地さえあればゲートが使えるんだけどねぇ。
 サーチは完全に範囲外みたいだし、当てもなく彷徨ってみるかい?」

「とりあえず丸1日くらいはこのまま待機したいな。この光の柱が見えれば、ウミガメさんを迎えに寄越してくれるかもしれないし。ウミガメさんは深いところまで潜れないから、海面で待ってないとな」

「う~ん、来てくれたら有り難いけどねぇ……。ここ、エリアキーパーの巣の真上だからね。無理はさせられないよ」

「まぁ1日だけ待ってみようぜ。それで迎えが来なかったらあてもなく彷徨うとしよう。陸地さえ見つければクリアだし、まぁ希望はあるほうだ」


 シンと雑談しながら暇を潰す。

 寝れないのが辛いなぁ。触手持ってるせいで、透月で氷作っても乗れないし……。邪魔だなこの触手。
 しかし、魔力還元の光っていつまで発生したまんまなんだろうなぁ? いつの間にか砂漠の時も消えてたし、この光が消えたら目印なくなるから、その時を目安に動き回ればいいかな……、っと?


「おお、どうやら予想外の展開のようだぜ?」

「あは! これは僕も予想してなかったなぁ」


 どのくらいの時間が経ったのか分からないが、水しぶきを上げて船のようなものが近付いてくる。
 その上では、俺たちの家族が手を振ってくれていた。
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