異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

417 大森林の奥地へ

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「ペルー。今日は宜しくなー」


 ギュギュー!

 ペルのふかふかの頭を両腕で抱きかかえながらもふもふする。

 朝食を早めに済ませ、朝の用事を全て終わらせて、今ペルと合流したところだ。
 銀の乙女は全員、異風の旋律側はマ-サ、アサヒ、カンナの3人は不参加だ。


「よっし揃ったね。それじゃ出発しようかい。ペル、よろしく頼んだよ」


 サリサリの合図で、ペルの番い探しがスタートした。

 勢い良く進んでいく馬車の中で、サリサリたちと談笑する。


「そんでトーマ。何かアテはあるのかい? 正直こっちはなんのアテもないよ」

「一応だけど、アテが無くもないんだ。これでも俺たちは国境壁外で何回か、魔物じゃない生き物に遭遇してきたからな。ある程度分かっていることもあるんだ」

「へぇ? ペルの他にも、魔物じゃない生き物なんて居たのかい。
 具体的にはどんな方針でいるのか、聞いてもいいかい?」

「そりゃあ一緒に捜索するんだから教えるよ。っとその前に忠告しておかないと」


 音魔法を使って、馬車を引いているペルに声を届ける。


「ペルー。銀の乙女が来たことがない場所まで来たら、少し速度を落として警戒しながら進んで欲しい。
 森林の奥にはめちゃくちゃ強い魔物が居るからさ、ペルがヤバイと思ったら、絶対に進んじゃダメだぞ」


 ギュギュー!
 元気のいい返事が聞こえてくる。
 やっぱりペルはよく鳴くよなぁ。

 銀の乙女に育てられたってのもあるけど、恐らく戦闘能力がそれだけ高い種族なんだと思う。
 だって一緒に狩りに出てるんだ。外の世界がどれだけ危険かは、ペルだって理解しているはずだ。


「トーマ。めちゃくちゃ強い魔物ってのはなにさ? まさかランドビカミウリ級の魔物なんて冗談は言わないだろうね?」

「安心してくれ。ボールクローグに現れたランドビカミウリ級じゃなくて、それより遥かに格上の魔物だよ」

「――――嘘だよな……?
 ランドビカミウリって最強の魔物じゃないのかい? 神話に出てくる伝説の竜王なんだよ?」


 馬車内が一気に緊張感を増していく。
 まぁ俺が銀の乙女に嘘情報渡したことってないはずだからな。

 今までの俺達との信頼関係が、逆に彼女達を不安にさせてしまっているのか。


「いやぁそれがさぁ。王都の迷宮研究院ってところでも話したんだけど、ボールクローグに出てきたランドビカミウリって、生まれたての赤ん坊みたいなものだったらしいんだよね。
 そんでこの先に居るのは、神話の時代から死なずに生き残って成長し続けた黒の竜王、レイメルカミウリとかいうバケモンが棲んでるんだってさ」

「い、いやいやいや!? 神話の時代から生き続けている黒の竜王!? そんな話、1度だって聞いたことがないよ!?」

「それは王家によって秘匿されてるからだよ。リヴァーブ王国の東西南北には1体ずつ、神話の時代から生き続けていた4体の化け物が居たんだよ。
 カラードラゴンに梃子摺るような王国の冒険者が、そんな化け物に囲まれてるなんて言われたら絶望するだろ? だから今まではエリアキーパーの存在は秘匿されてたんだ」

「エリア、キーパー……。レイメルカミウリ……。
 信じたくはないけど、トーマが言うんじゃ本当のことなんだろうね……。
 どうして今、私達にその情報を開示したんだい? 警告かい?」

「警告だね。普通の狩人ならエリアキーパーの居るところまで簡単には辿り着けないけど、ペルを擁する銀の乙女は話が別だ。
 ある程度国境壁の拡張が進んでいることも考えると、ペルが全速力で丸1日も走ったら、レイメルカミウリの縄張りまで到達しちまう恐れがある。
 それに恐らくだけど、エリアキーパーの情報は、数年以内には開示されると思うぜ。スキップオーブで強くなった冒険者達が戦う相手は、恐らくエリアキーパーになるはずだからな」


 エリアキーパーの存在を伏せておいたままだと、力の足りない冒険者達が犠牲になり続けるだろうからな。
 今後は軍隊の結成なんかも視野にいれて、エリアキーパーに立ち向かう時代が来るのだろう。


「なんてこった……。スキップオーブくらいで浮かれてる場合じゃないのかい……。
 でも何でトーマはそこまで断言できるんだい。エリアキーパーの縄張りの凡その位置とか、ランドビカミウリよりも強いとか、憶測に過ぎな……。
 ――――ま、さか……? 遭遇した事があるのかい……? 他の、エリアキーパーって奴に……」

「一応な。東西のエリアキーパーは既に討伐済みだ。
 これ以上の討伐を請け負う予定はないから、レイメルカミウリと戦う気はないぞ?」

「遭遇した所か討伐済みなのかいっ!?
 それじゃあ話の信憑性を疑うだけ馬鹿らしいね……。実際にランドビカミウリと戦ったトーマが、ランドビカミウリよりも強いって言ってんだから……」

「まぁ不安になるのは分かるけど、本当に安心して大丈夫だ。
 エリアキーパーってのは縄張りに侵入しない限り、あっちから襲ってくる事はないからな。
 そして1度でも縄張りを見たことがあれば絶対に分かる。この先は危険だってな」


 1度も遭遇したことがないと微妙かもしれないけどな。
 ユリバファルゴアの縄張りに侵入したのは気付けなかったし。

 捕捉された事に気付けたのも、1度経験したからって要素が大きいかもしれないな。


「まぁ……。どこに安心すればいいのか分かったもんじゃないけどね。
 私らだけで来るよりは、エリアキーパーの討伐経験があるトーマたちと一緒に来てる今のほうが、遥かに安全とも言えるか……。
 はぁ……。ちょっと甘く考えてたねぇ。カラードラゴンに勝てるようになるのが目標だったってのにさ」

「いや? 実際カラードラゴンに勝てるようになるのは重要だぜ?
 グリーンドラゴンって、白金貨級の武器、具体的にはシルバーライト製の武器や、同程度の品質の魔物武器だと、傷1つ付けられなかったからな。
 まずはカラードラゴンに勝てるようにならないと話にならないのは間違いない」

「っかぁ~嫌になるねぇ! 多少スキルを覚えたくらいじゃ、魔物との戦力差は歴然ってこった。
 スキップオーブが登場してようやく、魔物に対抗できるようになったって程度かい。こりゃあ浮かれてる場合じゃなかったねぇ」


 それでもスキップオーブの登場で、冒険者達が爆発的に成長できるようになったのは間違いない。
 1~2年もすれば、今の俺たち以上にスキルを持つ冒険者たちも珍しくなくなるはずだ。

 リンカーズを開拓していく上で、エリアキーパーとの戦いは絶対に無視できない要素だからな。
 
 冒険者達だけでエリアキーパーを倒せるってことを、俺に見せ付けてくれることを祈るだけだ。
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