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10章 壁外世界
416 銀の乙女の成長
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ディオーヌ様との面会が済んで、すぐさまボールクローグに移動する。
女性陣は既にボールクローグのターミナル広場で待っていてくれたので、合流して銀の乙女の拠点に向かおうとすると、街の外でペルが迎えに来てくれていた。
ペルをみんなで思う存分撫で回してから馬車に乗り込む。
銀の乙女への土産は、既に女性陣が用意してくれていたので準備は万端だ。
「おーうトーマ! スキップオーブはやばいね! 狩人よりよっぽど稼げるようになっちまったよ!」
相変わらず銀の乙女は山賊のように持参品をかっぱらっていく。
もうこれがないと銀の乙女って感じがしないな。
っつうか、人数増えてない? 明らかに30人以上いるんだが。
「ああ、スキルの取得も楽になったし、大分稼ぎが良くなったからね。
ペルの運搬能力にもまだまだ余裕があるし、入団希望者を少し受け入れたのさ。
今は確か45人だったかな?」
「へ~、銀の乙女も順調そうで何よりだよ。
それでペルの旦那探しだけど、明日にでも出発できそうか?」
「ああ、問題ない。トーマ達が居りゃあ戦力的な不安もないしね。
異風の旋律側が許可してくれるなら、新人も連れてってやりたいんだけど、構わないかい?」
「へ? 別に構いやしないけど、なんで俺にそんなこと聞くの? 銀の乙女で判断すればいいんじゃ?」
「いやいや、異風の旋律のほうが戦力が圧倒的に上だろ? 足手纏いはこっちなんだ。お伺いは立てておくさ。
トーマたちも問題ないなら連れてくよ。最近は迷宮に篭る方が多くて、壁外をあまり経験してない団員も多くてさぁ」
あー……。これはスキップオーブの弊害と言えるかもしれないなぁ。
今まであまり意識したことがなかったけれど、どうして5等級冒険者あたりから狩人に転職するか、その理由は恐らく迷宮の稼ぎ難さにあったんだろうと思う。
迷宮ほど安定していなくても、狩人の納める魔物素材は軒並み高価だ。迷宮の往復時間を考えたら、狩人に転職する人が増えるのも当然のことと言えるよなぁ。
でも今回スキップオーブが普及したことで、迷宮のデメリットが一気に解消されてしまった。
安定しているけど稼ぎにくい場所から、安定して稼げる場所に変わってしまったわけだな。
今後の狩人は、迷宮を踏破した冒険者の転職先となっていくのかもしれない。
今の魔物素材の価値も、もしかしたら高騰していくかもなぁ。
って、今後はエリアキーパーの存在を周知しておかないと不味いんじゃないか?
迷宮を踏破した冒険者が集団になれば、壁外地域でもそう簡単に魔物にやられてしまうこともなくなっていくはず。ゲートがなければあまり遠距離まで遠征するのは難しいとは思うが、大規模な狩猟団ともなれば、食料なんかを積み込んで遠くの地に想いを馳せてもおかしくないよな?
特に、元々拡張が順調で、スキル保持者が大量に増えたボールクローグはやばそうだ。1度王様と迷宮研究院に顔を出して、エリアキーパーの存在の扱いについて進言しておこう。
「元々居た団員は、もうほとんど『攻撃範囲拡張:中』まで取得済みでさぁ。かなり戦闘力が上がった自信があるよ。
今まで大人数で囲んで倒すしかなかった魔物を1人で倒せるのは、物凄い快感だねぇ」
「それは分かるわ。俺たちも『攻撃範囲拡張:中』を取得してからは、狩りの効率が段違いに上がったもん。
それに迷宮だと生活魔法のスクロール、ボロボロ落ちるだろ? かなり強くなってそうだな」
「あっはっは! トーマのお墨付きが出るなら心強いね!
だがまぁ流石にまだ、カラードラゴン級を銀の乙女だけで狩るのは無理だろうからね。地道に力をつけていくさ」
謙虚だなぁ、と思ったけど違うか。銀の乙女はグリーンドラゴンの死体を実際に目にして、解体も担当していたんだよな。
実際の戦闘に参加したわけではないんだけど、それでも感じるものはあったのかもしれない。
そういや開幕のブレスには全員巻き込まれてたしなぁ。
「あ、そうだった。今回ペルの旦那を探すに当たってさ。異風の旋律の拠点も、ここの隣りに建てちゃって構わないかな?
確か都市の外に家建てる分には、誰の許可も必要ないって聞いた覚えがあるし、サリサリたちさえ良ければ、今日の帰りには依頼出してこようと思うんだ」
「ああ、私達は誰も構わないと思うよ。ペルの旦那探しなんだし、あんまり距離を取るのも可哀想だしね。
そうだねぇ……。お互いの馬鹿騒ぎが聞こえない程度に距離を取ってもらえりゃあ問題ないよ。
トーマたちだって私らの宴会騒ぎなんて聞きたくないだろうし、こっちだってあんたらの情事なんて聞きたかないからね。私達からの要望はそれくらいかね」
はっきり情事とか言われても反応に困るけど、騒音問題ってのは一番のご近所トラブルになりかねないからな。
土地にはめちゃくちゃ余裕のある世界だし、音が絶対に届かない距離を、余裕を持って取っておこう。
将来的にペルが出産とかする可能性もあるからな。ある程度広めの拠点にしとこ。
明日、お互い朝食を済ませたらボールクローグの入り口で合流。
ペルの馬車で森林地帯の捜索を行う事を打ち合わせて、銀の乙女の宴会から脱出する。
相変わらずの飲んだくれ集団だけど、身につけている物や拠点の設備が目に見えて良くなっているので、かなり迷宮に潜っているのが見て取れた。
グリーンドラゴンと戦った時とは比べ物にならないほどにスキルを取得していることだろうな。
ゲートを使ってボールクローグに戻り、異風の旋律用の拠点建設の依頼を出しておく。
加えて、城壁外での作業になるので、護衛の依頼も一緒に出す。
報酬の相場は分からないので、ギルドに提示された金額の5割増しに設定。3日後に仕事を始める設定にしておく。
ベイクに戻る前に1人でネヴァルドに行き、王様と迷宮研究院宛てに、エリアキーパーの情報公開について考えた事を伝えておく。
あとは王国側が判断してくれればいい。俺に出来るのはここまでだろう。
女性陣は既にボールクローグのターミナル広場で待っていてくれたので、合流して銀の乙女の拠点に向かおうとすると、街の外でペルが迎えに来てくれていた。
ペルをみんなで思う存分撫で回してから馬車に乗り込む。
銀の乙女への土産は、既に女性陣が用意してくれていたので準備は万端だ。
「おーうトーマ! スキップオーブはやばいね! 狩人よりよっぽど稼げるようになっちまったよ!」
相変わらず銀の乙女は山賊のように持参品をかっぱらっていく。
もうこれがないと銀の乙女って感じがしないな。
っつうか、人数増えてない? 明らかに30人以上いるんだが。
「ああ、スキルの取得も楽になったし、大分稼ぎが良くなったからね。
ペルの運搬能力にもまだまだ余裕があるし、入団希望者を少し受け入れたのさ。
今は確か45人だったかな?」
「へ~、銀の乙女も順調そうで何よりだよ。
それでペルの旦那探しだけど、明日にでも出発できそうか?」
「ああ、問題ない。トーマ達が居りゃあ戦力的な不安もないしね。
異風の旋律側が許可してくれるなら、新人も連れてってやりたいんだけど、構わないかい?」
「へ? 別に構いやしないけど、なんで俺にそんなこと聞くの? 銀の乙女で判断すればいいんじゃ?」
「いやいや、異風の旋律のほうが戦力が圧倒的に上だろ? 足手纏いはこっちなんだ。お伺いは立てておくさ。
トーマたちも問題ないなら連れてくよ。最近は迷宮に篭る方が多くて、壁外をあまり経験してない団員も多くてさぁ」
あー……。これはスキップオーブの弊害と言えるかもしれないなぁ。
今まであまり意識したことがなかったけれど、どうして5等級冒険者あたりから狩人に転職するか、その理由は恐らく迷宮の稼ぎ難さにあったんだろうと思う。
迷宮ほど安定していなくても、狩人の納める魔物素材は軒並み高価だ。迷宮の往復時間を考えたら、狩人に転職する人が増えるのも当然のことと言えるよなぁ。
でも今回スキップオーブが普及したことで、迷宮のデメリットが一気に解消されてしまった。
安定しているけど稼ぎにくい場所から、安定して稼げる場所に変わってしまったわけだな。
今後の狩人は、迷宮を踏破した冒険者の転職先となっていくのかもしれない。
今の魔物素材の価値も、もしかしたら高騰していくかもなぁ。
って、今後はエリアキーパーの存在を周知しておかないと不味いんじゃないか?
迷宮を踏破した冒険者が集団になれば、壁外地域でもそう簡単に魔物にやられてしまうこともなくなっていくはず。ゲートがなければあまり遠距離まで遠征するのは難しいとは思うが、大規模な狩猟団ともなれば、食料なんかを積み込んで遠くの地に想いを馳せてもおかしくないよな?
特に、元々拡張が順調で、スキル保持者が大量に増えたボールクローグはやばそうだ。1度王様と迷宮研究院に顔を出して、エリアキーパーの存在の扱いについて進言しておこう。
「元々居た団員は、もうほとんど『攻撃範囲拡張:中』まで取得済みでさぁ。かなり戦闘力が上がった自信があるよ。
今まで大人数で囲んで倒すしかなかった魔物を1人で倒せるのは、物凄い快感だねぇ」
「それは分かるわ。俺たちも『攻撃範囲拡張:中』を取得してからは、狩りの効率が段違いに上がったもん。
それに迷宮だと生活魔法のスクロール、ボロボロ落ちるだろ? かなり強くなってそうだな」
「あっはっは! トーマのお墨付きが出るなら心強いね!
だがまぁ流石にまだ、カラードラゴン級を銀の乙女だけで狩るのは無理だろうからね。地道に力をつけていくさ」
謙虚だなぁ、と思ったけど違うか。銀の乙女はグリーンドラゴンの死体を実際に目にして、解体も担当していたんだよな。
実際の戦闘に参加したわけではないんだけど、それでも感じるものはあったのかもしれない。
そういや開幕のブレスには全員巻き込まれてたしなぁ。
「あ、そうだった。今回ペルの旦那を探すに当たってさ。異風の旋律の拠点も、ここの隣りに建てちゃって構わないかな?
確か都市の外に家建てる分には、誰の許可も必要ないって聞いた覚えがあるし、サリサリたちさえ良ければ、今日の帰りには依頼出してこようと思うんだ」
「ああ、私達は誰も構わないと思うよ。ペルの旦那探しなんだし、あんまり距離を取るのも可哀想だしね。
そうだねぇ……。お互いの馬鹿騒ぎが聞こえない程度に距離を取ってもらえりゃあ問題ないよ。
トーマたちだって私らの宴会騒ぎなんて聞きたくないだろうし、こっちだってあんたらの情事なんて聞きたかないからね。私達からの要望はそれくらいかね」
はっきり情事とか言われても反応に困るけど、騒音問題ってのは一番のご近所トラブルになりかねないからな。
土地にはめちゃくちゃ余裕のある世界だし、音が絶対に届かない距離を、余裕を持って取っておこう。
将来的にペルが出産とかする可能性もあるからな。ある程度広めの拠点にしとこ。
明日、お互い朝食を済ませたらボールクローグの入り口で合流。
ペルの馬車で森林地帯の捜索を行う事を打ち合わせて、銀の乙女の宴会から脱出する。
相変わらずの飲んだくれ集団だけど、身につけている物や拠点の設備が目に見えて良くなっているので、かなり迷宮に潜っているのが見て取れた。
グリーンドラゴンと戦った時とは比べ物にならないほどにスキルを取得していることだろうな。
ゲートを使ってボールクローグに戻り、異風の旋律用の拠点建設の依頼を出しておく。
加えて、城壁外での作業になるので、護衛の依頼も一緒に出す。
報酬の相場は分からないので、ギルドに提示された金額の5割増しに設定。3日後に仕事を始める設定にしておく。
ベイクに戻る前に1人でネヴァルドに行き、王様と迷宮研究院宛てに、エリアキーパーの情報公開について考えた事を伝えておく。
あとは王国側が判断してくれればいい。俺に出来るのはここまでだろう。
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