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11章 新たな都市の建設
438 人生色々
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「いやぁ親方のことは尊敬してっけどね。それでもスキルを持ってないと槌を握らせてくれもしないのはどうかと思って。なんだかミルズレンダに拘るのも馬鹿らしくなったから、今回参加する事にしたんだよ」
「魔物に片腕を食われてからはまともな職にも就けなくてね。今回のお話は願ってもないことだったよ。
確かに儀式魔法を使うだけなら片手でも出来る。これで俺もまた働ける」
「流石に年を理由に冒険者は引退したがの。激しい運動や反射神経を求められる仕事でなければまだまだ働けるじゃろ。貴重な機会を与えてもらって感謝しとる」
「『精神安定』の話は聞いたがよ。これから迷宮に潜るってワケにもいかねぇし、こう見えて結構焦ってたんだ。つうことで感謝してんぜ。借りは腕で返すからな!」
「領主様から学ばせてもらうように言われてきました。ここで自分がスキルを得て、その効果をヴェルトーガで披露出来れば、今回参加できなかった人たちの意識も変わるでしょう、と。
責任重大だけど、やりがいはあると思ってます」
迷宮踏破の参加者に話を聞いてみたけれど、色んな人が色んな事情で集まってくれたもんだなぁ。
簡易的な家屋しか用意できてなくて申し訳ない気分。
これは本格的に住居の建設を進めていかないと。
「でもミルズレンダから参加者が来てるのは正直意外だったよ。異風の旋律って嫌われてるだろ?」
「あっはっは! そりゃー盛大に嫌われてんぜ?
でもよ。いくら職人都市っつったって、ミルズレンダの職人だって一枚岩ってわけにはいかねぇのさ。それにマーサルシリルの扱いに疑問を持つ職人も少なくなかったからな。身内と領主が関わってるってんで誰も口には出来なかったがよ」
そういうもんかーと言いたいところだけど、なんか狩人ギルドでも似たようなこと言われて襲撃されたからなぁ。
こいつ個人を嫌う理由にはならないけど、警戒しないってワケにもいかないわ。
「スキル神殿にも便宜を図っていただいて、本当に感謝している。
スキップオーブの登場で、各地のスキル神殿の利用者が激増しておってな。既にボールクローグでは祝福の儀の順番待ちが発生しているし、対処のしようがなかったのだ。
とりあえずスキル担当官が10名増えるだけでも、現状の問題の軽減には繋がるだろう。非戦闘員同行制度のほうは、スキル神殿の方でも利用していく事を前向きに検討するつもりだ」
「私は肺を患っててね。激しい運動が出来ないんだ。だからスキルを獲得するのを諦めてたのさ。
でも戦わずにスキルを得られる方法があるんならありがたいよ。こんな私でも、誰かの役に立てると思うと嬉しくなるね」
病気の人なんかも、『免疫力強化:中』の条件を満たすことになるし、上手くいけば人並みに動けるようになるかもしれない。
怪我人や病人を優先して集めてもらったとはいえ、他の人員を蔑ろにも出来なかったので、今回の人たちで全部じゃない。まだ普通に生活することが難しい人たちが沢山居るんだ。
今までの価値観では居場所がなくなってしまっていた人たちの受け皿として、ここルイナスリームが機能してくれれば嬉しいと思う。
「ギルドもスキル神殿も用意して、人も少しずつ集まってきた。次に優先すべきは住居だよな?
各ギルドと神殿、それが終わったら速やかに住居作りを進めていこう」
「それと救貧院も必要だね。あれもスキル神殿と同じで国の管轄だから、僕たちで勝手に建てる訳にはいかないんだ。
それに救貧院の有無は、住人の安心感に直結するからね異邦人はあまり気にしないと思うけど、王国民の移住率には結構影響してくる部分だと思うよ」
なるほどな。救貧院か。
正直な話、ルイナスリームには今働ける人しか誘致していない部分があるもんな。
病気にしろ怪我にしろ、誰だって突然働けなくなってしまう可能性はある。
そういった時に救貧院の存在そのものが、住民の心の支えとなってくれるんだろう。
それに救貧院があるのとないのとじゃ、出産率にも影響してきそうだ。
仮に自分が不幸に見舞われても、子供は安心して暮らしていける街。そういうイメージがあれば、子供は作りやすいはずだ。
学校とまでは言わないけど、読み書き計算くらいは教えてやれるような場所を用意しようかな? 寺子屋的な?
「あ、あとタケルが言ってたけど、周りが王国民だと落ち着いて暮らしていけないって異邦人が居なくもないらしい。なのでルイナスリームには異邦人区画を作ろうと思ってる。
出入りまでは制限しないけど、その区画で暮らすのは原則異邦人のみ、って感じの場所」
「うん……。そこまでする必要があるかな、とは思うけれど、私の場合はすぐにみんなと会えたから、心細さなんかは感じずに済んだだけってこともありえるしね。要望があるなら用意はしたほうがいいかな」
「ま、今の頻度なら50~100日くらいに1度、100人弱の異邦人が送られてくる感じだからな。異邦人区画は1000~3000人規模を収納する想定でも十分だろ。狭いと感じたなら外の区画に出て行けばいいだけだし」
「ふふ……。私たち、本当に街を作ってるんだね……。
街を作ったことのある人なんて、この世界にどれくらい居るんだろ……?」
「異邦人区画の住居がある程度完成したら、ベイクにいる異邦人たちもお引越しになるんすかね?
それともベイクのキャパに余裕があるうちはこっちで生活してもらうっすか?」
「そう、ですねぇ……。ルイナスリームへの移住条件は『免疫力強化:小』と『環境適応:小』を取得していることにしてはどうでしょう?
砂漠と豪雪エリアで、この2つがないと普通に暮らせないでしょうし」
あー……。異邦人は先天スキルないんだもんな。転移直後にルイナスリームに送りつけるのは酷か。
とりあえず明日辺りには1度、異邦人達にもルイナスリームの話をしておこう。
もしかしたら移住目当てで、スキルの取得を急ぐ奴とか出てくるかもしれないしな。
「魔物に片腕を食われてからはまともな職にも就けなくてね。今回のお話は願ってもないことだったよ。
確かに儀式魔法を使うだけなら片手でも出来る。これで俺もまた働ける」
「流石に年を理由に冒険者は引退したがの。激しい運動や反射神経を求められる仕事でなければまだまだ働けるじゃろ。貴重な機会を与えてもらって感謝しとる」
「『精神安定』の話は聞いたがよ。これから迷宮に潜るってワケにもいかねぇし、こう見えて結構焦ってたんだ。つうことで感謝してんぜ。借りは腕で返すからな!」
「領主様から学ばせてもらうように言われてきました。ここで自分がスキルを得て、その効果をヴェルトーガで披露出来れば、今回参加できなかった人たちの意識も変わるでしょう、と。
責任重大だけど、やりがいはあると思ってます」
迷宮踏破の参加者に話を聞いてみたけれど、色んな人が色んな事情で集まってくれたもんだなぁ。
簡易的な家屋しか用意できてなくて申し訳ない気分。
これは本格的に住居の建設を進めていかないと。
「でもミルズレンダから参加者が来てるのは正直意外だったよ。異風の旋律って嫌われてるだろ?」
「あっはっは! そりゃー盛大に嫌われてんぜ?
でもよ。いくら職人都市っつったって、ミルズレンダの職人だって一枚岩ってわけにはいかねぇのさ。それにマーサルシリルの扱いに疑問を持つ職人も少なくなかったからな。身内と領主が関わってるってんで誰も口には出来なかったがよ」
そういうもんかーと言いたいところだけど、なんか狩人ギルドでも似たようなこと言われて襲撃されたからなぁ。
こいつ個人を嫌う理由にはならないけど、警戒しないってワケにもいかないわ。
「スキル神殿にも便宜を図っていただいて、本当に感謝している。
スキップオーブの登場で、各地のスキル神殿の利用者が激増しておってな。既にボールクローグでは祝福の儀の順番待ちが発生しているし、対処のしようがなかったのだ。
とりあえずスキル担当官が10名増えるだけでも、現状の問題の軽減には繋がるだろう。非戦闘員同行制度のほうは、スキル神殿の方でも利用していく事を前向きに検討するつもりだ」
「私は肺を患っててね。激しい運動が出来ないんだ。だからスキルを獲得するのを諦めてたのさ。
でも戦わずにスキルを得られる方法があるんならありがたいよ。こんな私でも、誰かの役に立てると思うと嬉しくなるね」
病気の人なんかも、『免疫力強化:中』の条件を満たすことになるし、上手くいけば人並みに動けるようになるかもしれない。
怪我人や病人を優先して集めてもらったとはいえ、他の人員を蔑ろにも出来なかったので、今回の人たちで全部じゃない。まだ普通に生活することが難しい人たちが沢山居るんだ。
今までの価値観では居場所がなくなってしまっていた人たちの受け皿として、ここルイナスリームが機能してくれれば嬉しいと思う。
「ギルドもスキル神殿も用意して、人も少しずつ集まってきた。次に優先すべきは住居だよな?
各ギルドと神殿、それが終わったら速やかに住居作りを進めていこう」
「それと救貧院も必要だね。あれもスキル神殿と同じで国の管轄だから、僕たちで勝手に建てる訳にはいかないんだ。
それに救貧院の有無は、住人の安心感に直結するからね異邦人はあまり気にしないと思うけど、王国民の移住率には結構影響してくる部分だと思うよ」
なるほどな。救貧院か。
正直な話、ルイナスリームには今働ける人しか誘致していない部分があるもんな。
病気にしろ怪我にしろ、誰だって突然働けなくなってしまう可能性はある。
そういった時に救貧院の存在そのものが、住民の心の支えとなってくれるんだろう。
それに救貧院があるのとないのとじゃ、出産率にも影響してきそうだ。
仮に自分が不幸に見舞われても、子供は安心して暮らしていける街。そういうイメージがあれば、子供は作りやすいはずだ。
学校とまでは言わないけど、読み書き計算くらいは教えてやれるような場所を用意しようかな? 寺子屋的な?
「あ、あとタケルが言ってたけど、周りが王国民だと落ち着いて暮らしていけないって異邦人が居なくもないらしい。なのでルイナスリームには異邦人区画を作ろうと思ってる。
出入りまでは制限しないけど、その区画で暮らすのは原則異邦人のみ、って感じの場所」
「うん……。そこまでする必要があるかな、とは思うけれど、私の場合はすぐにみんなと会えたから、心細さなんかは感じずに済んだだけってこともありえるしね。要望があるなら用意はしたほうがいいかな」
「ま、今の頻度なら50~100日くらいに1度、100人弱の異邦人が送られてくる感じだからな。異邦人区画は1000~3000人規模を収納する想定でも十分だろ。狭いと感じたなら外の区画に出て行けばいいだけだし」
「ふふ……。私たち、本当に街を作ってるんだね……。
街を作ったことのある人なんて、この世界にどれくらい居るんだろ……?」
「異邦人区画の住居がある程度完成したら、ベイクにいる異邦人たちもお引越しになるんすかね?
それともベイクのキャパに余裕があるうちはこっちで生活してもらうっすか?」
「そう、ですねぇ……。ルイナスリームへの移住条件は『免疫力強化:小』と『環境適応:小』を取得していることにしてはどうでしょう?
砂漠と豪雪エリアで、この2つがないと普通に暮らせないでしょうし」
あー……。異邦人は先天スキルないんだもんな。転移直後にルイナスリームに送りつけるのは酷か。
とりあえず明日辺りには1度、異邦人達にもルイナスリームの話をしておこう。
もしかしたら移住目当てで、スキルの取得を急ぐ奴とか出てくるかもしれないしな。
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