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11章 新たな都市の建設
448 カムード
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毎朝欠かさずヴェルトーガで高速周回を続けていた結果、俺のSPがとうとう500万に到達した。
これで恐らく1番コストが重いであろう『魔力量増加:大』を取得することが可能になった。
でもちょっと取得するのは待つ事にする。
シンのSPがどの程度貯まっているのか不明だし、エリアキーパーと戦う予定もない。
差し迫って魔力が不足しているという状況ではないからな。
それに、魔力量は使えば使うほど増えるのだが、一定割合を消費しないと成長しなくなるっぽいんだよね。
つまり魔力量が増えれば増えるほど、魔力量の成長に必要な消費魔力量は増えていくということだ。
魔力量を増やしたいならば、安易にスキルで成長させるのは、かえって成長の阻害に繋がりかねない。
「タケル。臨時ボーナスが出たぞ。ストレージのスクロールだ。受け取ってくれ」
「おおお亜空間収納キターーーー! ってマジで!? マジで貰っていいの!? マジで貰っちゃうよ!?」
「マジで貰ってくれよ。ルイナスリームにも開放型迷宮が出来たからな。空間魔法のスクロールも将来的には狙いやすくなるだろ。
だから遠慮せずに受け取れよ。タケルがやってることを思えば安いくらいだしな」
「サンキュートーマ! 遠慮なく頂くぜ!
うおおおこれだよこれだよ! アイテムボックスがないと異世界に来たって気がしないよなぁ!」
タケルの異世界知識は偏ってると思う。
もう少しでルイナスリームの迷宮も開放出来るようになるだろうし、そうしたらヴェルトーガの迷宮も卒業だからな。卒業前にタケル用にストレージが出て良かったわ。
ベイクの狩人ギルドに顔を出してみるものの、どうやらアートンは色々な都市に赴いて、目撃情報を複数の狩人ギルドに問い合わせてくれているらしい。めちゃくちゃ仕事してんなアートン!
ということで、調査にはもう少し時間が必要そうだった。ここは余計な口出しはせずに、専門家のアートンにお任せしておこう。
ネヴァルドにも足を運び、救貧院の話を聞きに行くと、どうやら1人希望者が居るということなので会ってみる事になった。
案内されてきたのは、驚いた事に獅子の獣人女性だった。
「貴方が異風の旋律のトーマさんね。初めまして。私は『カムード』。見ての通り獅子の獣人よ。
こんな姿だけどカルネジア家ではないわ。ただご先祖様にカルネジア家の血が混ざっているみたいだけどね」
「どうもカムードさん。ご存知のようですが、異風の旋律のトーマです。
ルイナスリームの救貧院の運営してくれる方を探しに来ているのですが、カムードさんがルイナスリームにいらっしゃるのですか?」
「ええそのつもりよ。ルイナスリームの話を聞いて、私も手伝いたいなと思ったのよ。
ルイナスリームって、日常生活が送れなくなった人や、大怪我をして職につけなくなった人も集めてるんでしょう?
私は見ての通り獅子の獣人だから、腕力には自信があるの。怪我や病気で動くのが難しい人のお世話も苦にしないわ」
なんとなくまぁまぁな高齢者っぽく感じるけれど、流石は獣人だな。
確かに身体能力が優れていれば、介助なんかは凄く楽になりそうだ。
……掃除や入浴も洗浄で綺麗になるし、やっぱりこの世界って恵まれてるよなぁ。
「なるほど、歓迎しますよ。
それで今は救貧院を建てている真っ最中ですけど、カムードさんから何か要望とかあります? 救貧院に限らず、なにかあったら教えてもらえればと」
「いえいえ。特に要望なんかはないわよ。単純に仕事が欲しいだけなんだもの。
貴方達の生み出したスキップオーブのおかげで、救貧院にお世話になっている人の人数が王国中で激減したでしょ? だから私のような年寄りが居なくても平気なくらいに、ネヴァルドの救貧院は余裕が生まれたのよ。
別にカツカツになってまで働きたいわけじゃないけれど、後進に道を譲るのも年長者の役目だし、新たな場所を整備するのも年長者の仕事だと思ってね。志願させていただいたのよ」
へぇ~。旋律の運び手が活動していない場所でも、ちゃんと困窮者は減っているんだなぁ。
それが知れただけでも良かった。
そのままカムードさんと共にルイナスリームに行き、1度現地を見てもらった。
建設中の救貧院も確認してもらって、問題なしと太鼓判を押してくれた。
「それじゃあ1度ネヴァルドに戻って、院のみんなに挨拶させてもらうわね。
申し訳ないけれど、明日の朝にもう1度迎えに来てもらえるかしら?」
「ええ、問題ないです。朝食が終わったらネヴァルドに伺いますので、ターミナル広場で待っていてもらえると助かります」
もう1度ネヴァルドにゲートを開き、カムードさんを見送った。
これでルイナスリームには主要施設が揃う事になったかな?
今後は商店や職人が増えてくれば、もう殆ど俺の手を離れてくれるだろう。
あーでも異邦人の商人とか職人とか増えてもらえると、凄く面白そうなんだよなぁ。
特に気になるのがファッションなんだよね。俺だってそこまで身なりに気を使ってるわけじゃないんだけど、この世界にはまだオシャレという概念がないからな。
うちの嫁たちもあまり服装には頓着がない。アサヒとカンナは『これはこれで楽』という評価だったけど。
娯楽もだけど、日本っぽい飲食店とか、誰か出してくれないかなぁ。
俺が料理を学んだのはこっちに来てからだし、あまり再現できる自信がないんだよね。
これで恐らく1番コストが重いであろう『魔力量増加:大』を取得することが可能になった。
でもちょっと取得するのは待つ事にする。
シンのSPがどの程度貯まっているのか不明だし、エリアキーパーと戦う予定もない。
差し迫って魔力が不足しているという状況ではないからな。
それに、魔力量は使えば使うほど増えるのだが、一定割合を消費しないと成長しなくなるっぽいんだよね。
つまり魔力量が増えれば増えるほど、魔力量の成長に必要な消費魔力量は増えていくということだ。
魔力量を増やしたいならば、安易にスキルで成長させるのは、かえって成長の阻害に繋がりかねない。
「タケル。臨時ボーナスが出たぞ。ストレージのスクロールだ。受け取ってくれ」
「おおお亜空間収納キターーーー! ってマジで!? マジで貰っていいの!? マジで貰っちゃうよ!?」
「マジで貰ってくれよ。ルイナスリームにも開放型迷宮が出来たからな。空間魔法のスクロールも将来的には狙いやすくなるだろ。
だから遠慮せずに受け取れよ。タケルがやってることを思えば安いくらいだしな」
「サンキュートーマ! 遠慮なく頂くぜ!
うおおおこれだよこれだよ! アイテムボックスがないと異世界に来たって気がしないよなぁ!」
タケルの異世界知識は偏ってると思う。
もう少しでルイナスリームの迷宮も開放出来るようになるだろうし、そうしたらヴェルトーガの迷宮も卒業だからな。卒業前にタケル用にストレージが出て良かったわ。
ベイクの狩人ギルドに顔を出してみるものの、どうやらアートンは色々な都市に赴いて、目撃情報を複数の狩人ギルドに問い合わせてくれているらしい。めちゃくちゃ仕事してんなアートン!
ということで、調査にはもう少し時間が必要そうだった。ここは余計な口出しはせずに、専門家のアートンにお任せしておこう。
ネヴァルドにも足を運び、救貧院の話を聞きに行くと、どうやら1人希望者が居るということなので会ってみる事になった。
案内されてきたのは、驚いた事に獅子の獣人女性だった。
「貴方が異風の旋律のトーマさんね。初めまして。私は『カムード』。見ての通り獅子の獣人よ。
こんな姿だけどカルネジア家ではないわ。ただご先祖様にカルネジア家の血が混ざっているみたいだけどね」
「どうもカムードさん。ご存知のようですが、異風の旋律のトーマです。
ルイナスリームの救貧院の運営してくれる方を探しに来ているのですが、カムードさんがルイナスリームにいらっしゃるのですか?」
「ええそのつもりよ。ルイナスリームの話を聞いて、私も手伝いたいなと思ったのよ。
ルイナスリームって、日常生活が送れなくなった人や、大怪我をして職につけなくなった人も集めてるんでしょう?
私は見ての通り獅子の獣人だから、腕力には自信があるの。怪我や病気で動くのが難しい人のお世話も苦にしないわ」
なんとなくまぁまぁな高齢者っぽく感じるけれど、流石は獣人だな。
確かに身体能力が優れていれば、介助なんかは凄く楽になりそうだ。
……掃除や入浴も洗浄で綺麗になるし、やっぱりこの世界って恵まれてるよなぁ。
「なるほど、歓迎しますよ。
それで今は救貧院を建てている真っ最中ですけど、カムードさんから何か要望とかあります? 救貧院に限らず、なにかあったら教えてもらえればと」
「いえいえ。特に要望なんかはないわよ。単純に仕事が欲しいだけなんだもの。
貴方達の生み出したスキップオーブのおかげで、救貧院にお世話になっている人の人数が王国中で激減したでしょ? だから私のような年寄りが居なくても平気なくらいに、ネヴァルドの救貧院は余裕が生まれたのよ。
別にカツカツになってまで働きたいわけじゃないけれど、後進に道を譲るのも年長者の役目だし、新たな場所を整備するのも年長者の仕事だと思ってね。志願させていただいたのよ」
へぇ~。旋律の運び手が活動していない場所でも、ちゃんと困窮者は減っているんだなぁ。
それが知れただけでも良かった。
そのままカムードさんと共にルイナスリームに行き、1度現地を見てもらった。
建設中の救貧院も確認してもらって、問題なしと太鼓判を押してくれた。
「それじゃあ1度ネヴァルドに戻って、院のみんなに挨拶させてもらうわね。
申し訳ないけれど、明日の朝にもう1度迎えに来てもらえるかしら?」
「ええ、問題ないです。朝食が終わったらネヴァルドに伺いますので、ターミナル広場で待っていてもらえると助かります」
もう1度ネヴァルドにゲートを開き、カムードさんを見送った。
これでルイナスリームには主要施設が揃う事になったかな?
今後は商店や職人が増えてくれば、もう殆ど俺の手を離れてくれるだろう。
あーでも異邦人の商人とか職人とか増えてもらえると、凄く面白そうなんだよなぁ。
特に気になるのがファッションなんだよね。俺だってそこまで身なりに気を使ってるわけじゃないんだけど、この世界にはまだオシャレという概念がないからな。
うちの嫁たちもあまり服装には頓着がない。アサヒとカンナは『これはこれで楽』という評価だったけど。
娯楽もだけど、日本っぽい飲食店とか、誰か出してくれないかなぁ。
俺が料理を学んだのはこっちに来てからだし、あまり再現できる自信がないんだよね。
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