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11章 新たな都市の建設
450 調査隊出発
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「時間かかって悪かったな。だが大分絞り込めたと思うぜ?」
ベイクの狩人ギルドに顔を出すと、アートンがやや疲れた顔をしながらもドヤ顔を決めてきた。
これは期待出来そうだな。
「絞り込んだっつってもまぁまぁ広い範囲だけどな。異風の旋律には騎獣がいるんだろ? 適当に何とかしてくれ。
まずはフィールダーの目撃情報だが、王国南西部、つまりここベイクの更に南側の平原に出たのが最後の目撃情報だな。
過去の目撃例を辿ってみても、全体的に王国南西部に集中している。たまに全然違うところで見つかったりするけどな」
へぇ? ベイクって王国の南西部に位置してたのか。マジで初めて知ったぜ。
いやぁゲートさんが便利すぎてね?
「それで厄介なのはゲイザーの方だ。割と王国全土で目撃されてるんだよな。時期もバラバラだし。
でもゲイザーに関しては1つ面白い情報があるんだ。
ゲイザーは何故か、魔物が出ないはずの中央農地の職員に度々目撃されてんだよ。ゲイザーは空を飛べるし、中央農地に侵入できてもおかしくはないがよ。俺は1つ仮説を立ててみたんだ。王国全土で目撃されてるんじゃなくて、何かの拍子に中央農地からはみ出た奴が目撃されてるんじゃねぇか、ってな」
おお! ゲイザーの情報はマジで面白いじゃんか。こりゃさっきのドヤ顔も許さざるを得ない。
「仮に中央農地で暮らしてる生き物だとしたら厄介だけどな。中央農地って出入りが厳重に管理されてて簡単には入り込めないって言うし。
魔物避け対策が万全の中央農地に、魔物の生態調査ですって許可を申請したって通るはずねぇしな」
「あ、そこは心配しなくていいよ。中央農地には入ったことあるし、職員と仲良くなったからな」
なんて言ったっけ、あの時対応してくれた人。
確か……ダリッツさんだったかな? あの人と連絡を取ってみよう。
「うへぇ~。異風の旋律は並じゃねぇとは思ってたけど、中央農地まで入ったことがあんのかよ……。凄まじいなぁ」
中央農地どころか、砂漠地帯の地中とか、直線距離で何キロメートルあったかも分からないほどの深海とかにも行ったことありますぜ?
「狩人ギルドで調べられるのはここまでだな。あとはトーマに任せちまうことになるけど、上手く遭遇できる事を祈ってるぜ。
そしてもし会えた場合は必ず報告して欲しい。魔物であったも魔物でなくてもな」
「ああ、必ず報告には来るよ。
いやぁ助かった。流石は専門家だぜ。吉報を待っててくれよな」
狩人ギルドを出て、ネヴァルドの商工ギルド経由でダリッツさんにアポを取る。
中央農地のターミナルには自力じゃ飛べないからなぁ。
そして次にボールクローグに向かい、既にこっちで待っていたリーネと犬猫コンビと合流。
街の入り口に向かい、ガルムと馬車を迎えに行く。
「ガルムー、今日は宜しくなー」
ペルみたいに鳴いたりはしないが、ガルムも割と人懐っこいので、俺とリーネにすりすりしてくる。
なぜかふわわとつららの前では頭を垂れているのだが。この2匹ってどんな扱いなんだよ。
「それじゃ1度ベイクに行って、そこから南に向けて出発しよう。
ベイクにはガルムが広場に出てくることは伝えてあるから、多少騒ぎになるかもしれないけど、問題は起きないはずだからな」
こういうのは事前連絡が大切なのです。
ベイクに飛ぶと、やはりまぁまぁの騒ぎになったけど、パニックを起こして誰かが襲い掛かってきたり、なんてことはなかった。
小型の馬車も、ガルムの荷物扱いで一緒にゲートを通れて安心した。
「ト、トーマ……。やっぱりこれ、ちょっと恥ずかしいよぅ……」
ベイクを離れて人気がなくなった辺りで、リーネを俺の膝の上に乗せて、ふわわとつららをリーネの上に乗せて、俺専用の抱きぐるみの完成だ。
だけど仕事はちゃんとする。リーネを抱きしめながら、アートンに用意してもらった地図を確認して、ガルムに行き先の指示を出す。
「ガルムがめちゃくちゃ早いから、アートンに教えてもらった最後の目撃情報のあった場所まで、恐らく陽天の報せ前に着いちゃうな」
「ひゃぅ……! トーマ、耳元で喋らないで……、くすぐったいよぅ……」
もっとリーネを堪能したいところだけれど、そろそろ目的地に到着しそうなので、名残惜しいけどリーネから少しだけ距離を取る。まぁ抱きしめたままなんだけど。
「それじゃここからは油断せずに行こう。動物の可能性がある魔物、っていう意識は忘れずにな。しかも何の情報もない相手だから、危険度はそれなりに高い。
流石にエリアキーパーやグリーンドラゴン級の相手って事はないだろうけどさ」
「うん……。そんなのがこの辺を普通に歩いてたら、ベイクはとっくに壊滅してるよ……。
う~ん、戦闘力はトーマがいるから心配してないけど、動物だった場合にどうやって近付くかが問題だよね……」
実はそこはあんまり心配してないんだよな。
だってこの世界の動物って、普通に人語を理解してるんだもん。
普通に話しかければ、普通に反応してくれるんじゃないかと思ってる。
『身体能力強化:中』まで取得したガルムの速度は凄まじく、リーネをあまり堪能する間もなく目的地に到着した。
さて、ここからどうしたものかな?
「ここからは手探りになる。ふわわ、つらら、ガルム。お前らの意見も聞くから、気になる方向とかあったら教えてく……」
ここまで言って気付く。3匹とも同じ方向を見つめている事に。
まさかと思いつつ『遠目』を使用すると、頭に小さな角が2本ほど生えた馬のような生物が、暢気に草を食んでいた。
ベイクの狩人ギルドに顔を出すと、アートンがやや疲れた顔をしながらもドヤ顔を決めてきた。
これは期待出来そうだな。
「絞り込んだっつってもまぁまぁ広い範囲だけどな。異風の旋律には騎獣がいるんだろ? 適当に何とかしてくれ。
まずはフィールダーの目撃情報だが、王国南西部、つまりここベイクの更に南側の平原に出たのが最後の目撃情報だな。
過去の目撃例を辿ってみても、全体的に王国南西部に集中している。たまに全然違うところで見つかったりするけどな」
へぇ? ベイクって王国の南西部に位置してたのか。マジで初めて知ったぜ。
いやぁゲートさんが便利すぎてね?
「それで厄介なのはゲイザーの方だ。割と王国全土で目撃されてるんだよな。時期もバラバラだし。
でもゲイザーに関しては1つ面白い情報があるんだ。
ゲイザーは何故か、魔物が出ないはずの中央農地の職員に度々目撃されてんだよ。ゲイザーは空を飛べるし、中央農地に侵入できてもおかしくはないがよ。俺は1つ仮説を立ててみたんだ。王国全土で目撃されてるんじゃなくて、何かの拍子に中央農地からはみ出た奴が目撃されてるんじゃねぇか、ってな」
おお! ゲイザーの情報はマジで面白いじゃんか。こりゃさっきのドヤ顔も許さざるを得ない。
「仮に中央農地で暮らしてる生き物だとしたら厄介だけどな。中央農地って出入りが厳重に管理されてて簡単には入り込めないって言うし。
魔物避け対策が万全の中央農地に、魔物の生態調査ですって許可を申請したって通るはずねぇしな」
「あ、そこは心配しなくていいよ。中央農地には入ったことあるし、職員と仲良くなったからな」
なんて言ったっけ、あの時対応してくれた人。
確か……ダリッツさんだったかな? あの人と連絡を取ってみよう。
「うへぇ~。異風の旋律は並じゃねぇとは思ってたけど、中央農地まで入ったことがあんのかよ……。凄まじいなぁ」
中央農地どころか、砂漠地帯の地中とか、直線距離で何キロメートルあったかも分からないほどの深海とかにも行ったことありますぜ?
「狩人ギルドで調べられるのはここまでだな。あとはトーマに任せちまうことになるけど、上手く遭遇できる事を祈ってるぜ。
そしてもし会えた場合は必ず報告して欲しい。魔物であったも魔物でなくてもな」
「ああ、必ず報告には来るよ。
いやぁ助かった。流石は専門家だぜ。吉報を待っててくれよな」
狩人ギルドを出て、ネヴァルドの商工ギルド経由でダリッツさんにアポを取る。
中央農地のターミナルには自力じゃ飛べないからなぁ。
そして次にボールクローグに向かい、既にこっちで待っていたリーネと犬猫コンビと合流。
街の入り口に向かい、ガルムと馬車を迎えに行く。
「ガルムー、今日は宜しくなー」
ペルみたいに鳴いたりはしないが、ガルムも割と人懐っこいので、俺とリーネにすりすりしてくる。
なぜかふわわとつららの前では頭を垂れているのだが。この2匹ってどんな扱いなんだよ。
「それじゃ1度ベイクに行って、そこから南に向けて出発しよう。
ベイクにはガルムが広場に出てくることは伝えてあるから、多少騒ぎになるかもしれないけど、問題は起きないはずだからな」
こういうのは事前連絡が大切なのです。
ベイクに飛ぶと、やはりまぁまぁの騒ぎになったけど、パニックを起こして誰かが襲い掛かってきたり、なんてことはなかった。
小型の馬車も、ガルムの荷物扱いで一緒にゲートを通れて安心した。
「ト、トーマ……。やっぱりこれ、ちょっと恥ずかしいよぅ……」
ベイクを離れて人気がなくなった辺りで、リーネを俺の膝の上に乗せて、ふわわとつららをリーネの上に乗せて、俺専用の抱きぐるみの完成だ。
だけど仕事はちゃんとする。リーネを抱きしめながら、アートンに用意してもらった地図を確認して、ガルムに行き先の指示を出す。
「ガルムがめちゃくちゃ早いから、アートンに教えてもらった最後の目撃情報のあった場所まで、恐らく陽天の報せ前に着いちゃうな」
「ひゃぅ……! トーマ、耳元で喋らないで……、くすぐったいよぅ……」
もっとリーネを堪能したいところだけれど、そろそろ目的地に到着しそうなので、名残惜しいけどリーネから少しだけ距離を取る。まぁ抱きしめたままなんだけど。
「それじゃここからは油断せずに行こう。動物の可能性がある魔物、っていう意識は忘れずにな。しかも何の情報もない相手だから、危険度はそれなりに高い。
流石にエリアキーパーやグリーンドラゴン級の相手って事はないだろうけどさ」
「うん……。そんなのがこの辺を普通に歩いてたら、ベイクはとっくに壊滅してるよ……。
う~ん、戦闘力はトーマがいるから心配してないけど、動物だった場合にどうやって近付くかが問題だよね……」
実はそこはあんまり心配してないんだよな。
だってこの世界の動物って、普通に人語を理解してるんだもん。
普通に話しかければ、普通に反応してくれるんじゃないかと思ってる。
『身体能力強化:中』まで取得したガルムの速度は凄まじく、リーネをあまり堪能する間もなく目的地に到着した。
さて、ここからどうしたものかな?
「ここからは手探りになる。ふわわ、つらら、ガルム。お前らの意見も聞くから、気になる方向とかあったら教えてく……」
ここまで言って気付く。3匹とも同じ方向を見つめている事に。
まさかと思いつつ『遠目』を使用すると、頭に小さな角が2本ほど生えた馬のような生物が、暢気に草を食んでいた。
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