異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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11章 新たな都市の建設

452 お披露目

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「なんだかあっさり保護できてしまったなぁ」


 新しく来たフィールダーにも食べ物を渡す。
 個体によって大きさがバラバラなので。やはり普通に繁殖してる気がするなぁ。
 
 識別かければ1発なんだけどね。


「んーと、これからどうするの……? 少なくとも、狩人ギルドには報告しなきゃいけないけど……。
 ねぇみんな……。私達に付いて来てくれる……?」


 リーネの呼びかけには特に反応なし。
 この世界の動物はあまり鳴いてくれないから、気持ちを察するのが難しいなぁ。


「んーと。まずはお互いの状況から説明しようか。この世界の動物は頭がいいし、的確に理解してくれるかもしれない。
 実は俺達人間の間でお前らのことってあまり知られてなくてさ。魔物と勘違いして襲い掛かっちゃう奴が居て困ってるんだよ。だからお前達が魔物じゃないって証明するために、まずは1人でいいから俺達に付いてきてもらえないかな?」


 すると1頭だけ食べるのを止めて、こちらに近付いてきた。どうやら付いてきてくれるみたいだ。


「協力してもらえてありがたいよ。明日もまた食べ物持ってきてここに置いておくから、良かったら自由に食ってくれよな。
 よし、じゃあリーネ、ガルム。ベイクに戻ろう。フィールダーが協力してくれるんだから、その気持ちが変わらないうちにどんどん話を進めてしまうべきだ」

「うん、そうだねっ……! じゃあみんな、今日は私達は帰るね……? 明日またお野菜持ってくるからっ……!」

「じゃあガルム。フィールダーに無理をさせない程度に気をつけながら急いで帰ろう。魔物が居たら蹴散らしてもいいぞ」


 フィールダーとの距離を気にしつつ、ガルムの引く馬車に乗ってベイクに向かった。


「とりあえず狩人ギルドに報告。スキル神殿で識別かな。足もかなり早いし、報告が終わったら1度解放してもいいかもしれないね」

「うん……。都市間移動馬車の厩舎に入れておいてもいいけど、人が多いときっと落ち着かないよね……。
 人が多い場所だと落ち着かないってなると、やっぱり人が来ない場所を用意してあげたいなぁ……」

「同感だけど、それは俺らが決められる話じゃないからな。俺たちはフィールダーにとっての最善を考えて行動するのみだ」


 フィールダーもやはり足の早い動物らしく、かなりのハイペースで移動することが可能だった。ベイクに到着したのも、日没のかなり前の時間だ。これなら各種ギルドに報告にいけるな。

 ガルムの本日の出番は終了なので、ボールクローグに送り返してやる。リーネが街の外まで送ってきて、これからフィールダーの諸々を済ませにかかる。

 始めにすべきは魔物ではないことの証明。つまりは識別だな。


「トーマ殿は毎回変わった依頼を持ち込んでくるな。こんな生物、ワシは見たことがないぞ」


 グレンガはフィールダーをしげしげと眺めた後、識別だけで良い事に微妙に喜んでいた。
 何気にグレンガって面倒臭がりなところあるよな?

 識別が終わり、識別の書を確認する。名前欄は空白で、『免疫力強化:小』と『環境適応:小』がしっかりと記載されている。これで確定だ。

 フィールダーを連れて狩人ギルドに急ぐ。


「マジかよトーマ!? さっき行ったばかりで、もうフィールダー見つけてきたってか!?」

「ああマジだぜアートン。でも驚くところはそこだけじゃない。既に識別を済ませてきてあるんだ。これ見ろよ」


 無記名の識別の書を渡す。


「名前がない識別の書……。マジか……。本当なのかよ……!
 悪いトーマ! ちょい待っててくれ! すぐにマスターに知らせてくっから!」

「あ、アートン! ローデッツがいるならどうせだったらこっちに来てもらえ! 表にフィールダー待たせてあっからさ!」

「了解だぁ! 俺も見たいからマスター引きずり出してくるぜ!」


 全速力でギルド奥の階段を駆け上って行ったアートンが、3分もしないうちにローデッツを引き摺りながらロビーに戻ってきた。


「トーマ! マスターを連れてきたぜ! 早速フィールダーを見せてくれよ!」

「ト、トウマ……。こ、こりゃいったい何の騒ぎなんじゃ……?」

「ああ、フィールダーと仲良くなったんでベイクに連れてきたんだ。紹介するから表まで来てくれよ。
 あ、アートン。あんまり興奮しすぎると相手が怯えちまうかもしれないから、今のうちに少し落ち着いてくれ」


 狩人ギルドの表に出て、フィールダーと一緒に待っていてくれているリーネたちと合流する。ふわわとつららは2匹まとめてリーネに抱っこされてお昼寝中だ。
 流石にフィールダーの姿は珍しいようで、遠巻きにではあるけどちょっとした人垣が出来つつあるようだ。

 フィールダーを落ち着かせるために、体を撫でてやる。
 本当に最高の手触りだ。


「お、おお……! マジで目撃情報通り、紫の体に白い鬣、2本角があるんだなぁ……!
 こりゃあとで絵にしておかなきゃ……。
 あ、マスター。これがこのフィールダーの識別の書らしいです。後は任せたっ」


 アートンはローデッツに仕事を丸投げすると、絵に起こすためなのか、フィールダーの周りを回って色々とメモし始めた。


「ふむぅ……! 生物の実物と、識別の書、人に囲まれても大人しくしているところから、フィールダーは完全に魔物ではないと証明されてしまったのぅ……。
 トーマ。この後この者をどうするつもりなんじゃ?」

「ん~。とりあえず今日のところは解放するつもり。そんでゲイザー次第ではあるけど、人があまり入らない広い土地を用意してあげられたらなって思うよ。これは王様にお願いかなぁ」

「はぁ……。ずっと魔物だと思われていた生物が、まさかという感じじゃの……。
 しかし魔物でないのなら争う理由も無い。ワシも可能な限りのことをするから、フィールダーにとって1番良い選択肢を探していくとするかのぅ」


 やっぱ始めに狩人ギルドに協力を要請してよかった。街の外のことなら狩人が専門家だからな。

 アートンとローデッツの気が済むまで観察させ、明日の再会を約束してベイクから解放。
 物凄いスピードでフィールダーは走り去っていった。

 さてさて。次はゲイザーか。動物なのか魔物なのか。果たしてどっちなんだろうな?
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