異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
496 / 580
11章 新たな都市の建設

453 ファータートル

しおりを挟む
「ええ~!? 帰っちゃったの!? 私も会いたかったのにー!」

「まぁまぁ勘弁してくれよセンパイ。なんだか人に囲まれてるのが居心地悪そうに見えたからさ」


 夕食後に、ふわわとつららに指をはむはむされながら、今日の出来事を報告する。


「見た感じ、敵意や害意に敏感な動物っぽかったな。それと本気じゃなかったとはいえ、スキルありのガルムの速度にあっさり付いてきたあたり、リヴァーブ王国って本来フィールダーに乗って移動する事を想定されてる気がしたよ。
 力のほうは未知数だけど、速度と持久力は申し分なかったし」

「スキルありのペルやガルムなら、障害物がなければ3日くらいで王国の端から端まで移動できそうだもんね。
 僕たちが行商の時に使ってた『毛亀ファータートル』は、力は強いから荷物の運搬は楽なんだけど、速度があまり出せなかったからね」

「あーあー。1度お前らと解散した時に馬車引いてた魔物な。ファータートルってのかあの毛むくじゃら」

「そーそー。父さんたちが行商を始めた頃は、背中に荷物を背負って走り回ってたんだって! ファータートルって足が遅いから、父さんたちの速い移動が喜ばれたんだってさー」

「うん。住み分けってやつかな。遅くても大量の商品を運搬したい人も居れば、少量でも少しでも早く荷物を届けたい人もいるんだもんね」

「この国ってゲートがないと、生まれた場所で一生を過ごすのも珍しくないですからね。そのくらい都市間の移動というのは困難で命がけだったんですよ。
 最近はカンパニーでやってる馬車サービスのおかげで、信じられないほど移動の敷居は下がってますけどね」

「そういやアレで使ってんのって、ファータートルじゃなくてアサルトドラゴンなんだよな。無料でアサルトドラゴンの引く馬車が使えるって、大分頭がおかしいんだぜ?
 大規模な狩猟団でも維持費に苦労してるってのによぉ」


 マーサが言う通り、カンパニーの馬車サービスでアサルトドラゴンを採用したのは、俺がペルとアサルトドラゴンくらいしか馬車を引く生き物を知らなかったからなんだよな。
 経費に煩いジーンさんがニコニコしていたから、結構お金食うんじゃないかね。


「そうだなぁ。無料のままだと恒久的に続けるのは難しいから、次かその次くらいの異邦人転移のタイミングで有料化してもいいかもな。1つの都市移動で銀貨1枚くらいでも、充分黒字になるだろ」

「その金額設定なら、今の村落なら負担にならないかな……?
 無料で使えてる今のほうがおかしいんだし、早めに告知しておけば不満は出ないかも……?」

「あ、金額設定で思い出したわ。シンが個人口座のほうのお金、出来れば使っちゃいたいって話をしてたんだけど、リーン、トルネ、ハルも同じ意見だったりする?」

「あーーー! そうだったよ! みんな聞いてよ! トーマだけ個人口座のお金、僕らに黙って使い切っちゃったんだよ!? ズルくないっ!?」

「なんでお金を使わせなかった事を怒られてるのかわからないっす。いやぁ異風の旋律の初期メンバーは住む世界が違うっすね」

「ルイナスリームの初期運営資金がトーマの個人口座って話だもんねぇ。しかも毎回カンパニーにもお金入れてるんでしょ? トーマがルイナスリームで探索したら、それだけでルイナスリーム破産しちゃいそう」

「んー。私は別に無理に使いきる必要はないと思ってるけどさー。使いもしない私の口座に入れておくよりは、世に出しちゃうべきかなとは思うかなぁ?」

「リーンに同じくですね。装備もマーサが作ってくれますし、生活費は全くかかりませんし、仮にお金に困ったら、その時に稼げばいいだけです。大金が私の口座に入ったままなのは、あまり良くないですね」

「うん。私も口座のお金は1度リセットしたいかな。多少の貯金は欲しいと思うけど、今の残高は過剰も過剰すぎるよ」

「おっけー。じゃあもしかしたら、ベイクの南辺りの土地を買う時に使わせてもらうかもしれないわ。
 出来れば鳥獣保護区みたいなのを作りたいんだよね。土地も余ってるわけだし」


 ルイナスリームを俺の個人資産で運営できるくらいの経済だからな。4人の資産を使えば、相当範囲の土地の購入が可能だと思う。
 そもそも、土地の購入って概念があるかどうかが疑問だけど。


「保護区かぁ……。理想は共存だけど、今のあの子達はまだ人に慣れてないし、数も少ないもんね……」

「加えてあいつら野菜好きみたいだから、そこで餌も育てられたらと思うんだよね。砂漠に農地を作るよりは簡単な作業だと思うし」

「トーマは相変わらず色々考えてんだなぁ。私は装備のことしか考えられねぇわ」

「保護区か……。ゲイザーが動物で、農地を住処にしていた場合、一緒に保護できそうだね。
 ただ広大な面積が必要そうで、そのためにはやっぱり王の許可が必要、かな。トーマ頑張ってね」

「まったく、シンもいい性格になってきたもんだよ。
 これでも異邦人の街を立ち上げてきたんだからな。動物達が安心して暮らせる場所もついでに作っちまおうぜ」

「そうね。それにフィールダーが増えれば、将来的に馬車引きとして共存できるようになるかもしれない。人側にとてもメリットは大きいと思うわ」


 まだ俺達の中で話してるだけだから、机上の空論っていうか皮算用に近いかもしれないけどな。
 せっかく仲良く生きていけそうなんだから、その為の環境作りくらいはがんばってみよう。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...