異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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11章 新たな都市の建設

454 下見

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 ネヴァルドの商工ギルドでダリッツさんからの伝言を受け取った。
 明日の朝から中央農地への通行許可を取ってくれたらしい。ありがたい。

 1人で生きていけそうなんて言われたけれど、沢山の人にお世話になってるよなぁと実感する。


「中央農地には明日入れてくれる事になった。
 今日はフィールダーの行動範囲と、付近の土地の状態を確認しようか。
 人が住んでいるなら状況も説明しないといけないし、逆に農業をお願いしたりしてもいいかもな」

「じゃあ明日はガルムはお留守番かな……? そろそろ銀の乙女も狩人に戻りそうだし、拠点での待機はもうすぐ終わると思うからね……」


 リーネ、ふわわ、つららと一緒に、昨日フィールダーたちと出会った場所まで行くと、既に14頭のフィールダーたちが集まっていた。
 ストレージから野菜を取り出し適当に分配していく。

 しかし野菜高いな。
 ストレージ満タンにするのに、金板数枚必要だったわ。


「今日は普段お前たちが生きている場所がどんな場所なのか、良かったら案内してもらいたいんだ。
 近くに人が住んでいるなら説明しておきたいし、人が住んでないなら人の出入りを制限できるようになるかもしれないし」


 アートンに貰った地図で確認する限り、人里は無さそうなんだけどな。
 リヴァーブ王国は領土に対して人口が足りてないから、あまり街とか自然発生していく感じじゃないんだよな。
 都市から都市へ移動する際の宿場町、みたいな街の起こり方をするみたい。ってこれは普通か?

 大雑把な説明になるけれど、中央に王都ネヴァルドと中央農地が存在し、中央から十字の端にそれぞれウィルスレイア、ヴェルトーガ、ミルズレンダ、ボールクローグが位置している。
 そしてそれぞれの移動ルートの途中に大小の町や村が出来ている感じだな。

 例外的な存在が迷宮都市で、タケルがいなければ迷宮というのは自然発生に頼るしかない。そのため迷宮都市の位置は迷宮が発生した場所となる。
 ベイクやシャンダリアを始め、各地に点在する迷宮都市は、ゲートがないと物流という意味で少し不利な位置関係になっているようだ。

 冒険者達の活動が活発化していれば、迷宮都市というのは物流の発信地でもあるので問題は起こらないのだけれど、シャンダリアのように冒険者の活動が滞ってしまうと、行商人の出入りなども鈍くなって一気に衰退してしまうという話だ。


 ガルムの馬車に乗って、フィールダーに案内してもらいながら王国の景色とリーネの抱き心地を楽しむ。
 見渡す限りの平原というのは、砂漠と違って見ていて楽しい。
 所々に花だったり木だったりがあるから、見ていて飽きない。

 砂漠の夜明けや日没はかなり美しく見事なんだけど、どうしても殺風景には見えちゃうよね。


「昨日ベイクに連れていった時にも感じたけど、フィールダーの速度と体力は大したもんだよな。スキル持ちのガルムと一緒に移動出来るんだから、下手な狩人じゃ追いつくことも出来ない。幻の魔物扱いされるわけだ」
 
「なんだかトーマと出会ってから、私達が生きてきた王国の窮屈さみたいなものを感じることが多いよ……。
 外からやってきたトーマよりも、ずっと住んでいる私たちのほうが、この世界のことを何も知らないんだなぁって……」

「異邦人は異邦人で特殊な環境だからな。王国民とは違った視点を持つのは自然なことだろ。
 それにしても魔物に会わないな。人里から離れたら魔物が発生しやすいのかと思ってたんだけど」

「んー……。人が少ないほうが魔物の発生は増えるけど、魔物は人を求めて移動するんじゃないかな……?
 だから人が少ない場所には、結局魔物も少なくなっちゃうんだと思うよ……」


 なるほど。砂漠や迷宮じゃあるまいし、外で生まれた魔物は移動するんだもんな。
 国境壁の内側ってだけでも魔物の発生は抑えられてるんだろうし、そうそうエンカウントが起こるようなら、行商なんてリスクありすぎて誰もやらないのか。

 となると、人が住んでない場所を農地兼保護区にしてしまうのは、結構現実的な話になってくるかもしれない。
 リンカーズにおいて、リヴァーブ王国においては、空いている土地は使われていない土地と同義であると言っていいだろう。

 使われていないからといって、ポ-ンと自由に使わせてくれるかといったら別問題ではあるだろうけど。

 フィールダーたちの案内は、非常に広範囲に及んだ。
 日没まで一緒に居たけど、山岳エリアや海エリアまで届いてしまうんじゃないかと思えるほどの広範囲を、フィールダー達は日常的に移動しているようだ。


「こんなに広い範囲で生きているのに、14頭以外は全く会わないんだな……」

「うん……。それを言ったらガルムやミケーネ達だって、ウミガメさんだってあまり数は居なかったよ……?」

「グリーンドラゴンみたいなのが出てくる壁外領域で、スキルを持たない生物が繁殖するのは難しいのかもしれないな……。
 フィールダーは14頭で、むしろ今までで最も繁殖に成功している種と言えるのか。
 恐らく、リヴァーブ王国内に人類が増えたおかげで、フィールダーを狩れるような魔物が出てこなくなったからなんだろうね」


 ふわわとつららを引き取った日、よく鳴く子は外では生きられないという話をされた記憶がある。

 魔物が跋扈するこの世界で生きていくのは、人じゃなくたって過酷なんだ。
 今までスキルを取得できなかった動物達が、絶滅寸前まで数を減らしているのは、むしろ当然なのかもしれない。絶滅する前に保護できたことを喜ぶしかない、か。


 鳥獣保護区の案がすんなり通るかは分からないけれど、各エリアに原生動物の保護エリアを設ける必要はあるかもしれないな。
 スナネコやガルムやペル達も、俺達に寄り添うだけじゃなく、自由に繁殖して欲しいと思うし。
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