497 / 580
11章 新たな都市の建設
454 下見
しおりを挟む
ネヴァルドの商工ギルドでダリッツさんからの伝言を受け取った。
明日の朝から中央農地への通行許可を取ってくれたらしい。ありがたい。
1人で生きていけそうなんて言われたけれど、沢山の人にお世話になってるよなぁと実感する。
「中央農地には明日入れてくれる事になった。
今日はフィールダーの行動範囲と、付近の土地の状態を確認しようか。
人が住んでいるなら状況も説明しないといけないし、逆に農業をお願いしたりしてもいいかもな」
「じゃあ明日はガルムはお留守番かな……? そろそろ銀の乙女も狩人に戻りそうだし、拠点での待機はもうすぐ終わると思うからね……」
リーネ、ふわわ、つららと一緒に、昨日フィールダーたちと出会った場所まで行くと、既に14頭のフィールダーたちが集まっていた。
ストレージから野菜を取り出し適当に分配していく。
しかし野菜高いな。
ストレージ満タンにするのに、金板数枚必要だったわ。
「今日は普段お前たちが生きている場所がどんな場所なのか、良かったら案内してもらいたいんだ。
近くに人が住んでいるなら説明しておきたいし、人が住んでないなら人の出入りを制限できるようになるかもしれないし」
アートンに貰った地図で確認する限り、人里は無さそうなんだけどな。
リヴァーブ王国は領土に対して人口が足りてないから、あまり街とか自然発生していく感じじゃないんだよな。
都市から都市へ移動する際の宿場町、みたいな街の起こり方をするみたい。ってこれは普通か?
大雑把な説明になるけれど、中央に王都ネヴァルドと中央農地が存在し、中央から十字の端にそれぞれウィルスレイア、ヴェルトーガ、ミルズレンダ、ボールクローグが位置している。
そしてそれぞれの移動ルートの途中に大小の町や村が出来ている感じだな。
例外的な存在が迷宮都市で、タケルがいなければ迷宮というのは自然発生に頼るしかない。そのため迷宮都市の位置は迷宮が発生した場所となる。
ベイクやシャンダリアを始め、各地に点在する迷宮都市は、ゲートがないと物流という意味で少し不利な位置関係になっているようだ。
冒険者達の活動が活発化していれば、迷宮都市というのは物流の発信地でもあるので問題は起こらないのだけれど、シャンダリアのように冒険者の活動が滞ってしまうと、行商人の出入りなども鈍くなって一気に衰退してしまうという話だ。
ガルムの馬車に乗って、フィールダーに案内してもらいながら王国の景色とリーネの抱き心地を楽しむ。
見渡す限りの平原というのは、砂漠と違って見ていて楽しい。
所々に花だったり木だったりがあるから、見ていて飽きない。
砂漠の夜明けや日没はかなり美しく見事なんだけど、どうしても殺風景には見えちゃうよね。
「昨日ベイクに連れていった時にも感じたけど、フィールダーの速度と体力は大したもんだよな。スキル持ちのガルムと一緒に移動出来るんだから、下手な狩人じゃ追いつくことも出来ない。幻の魔物扱いされるわけだ」
「なんだかトーマと出会ってから、私達が生きてきた王国の窮屈さみたいなものを感じることが多いよ……。
外からやってきたトーマよりも、ずっと住んでいる私たちのほうが、この世界のことを何も知らないんだなぁって……」
「異邦人は異邦人で特殊な環境だからな。王国民とは違った視点を持つのは自然なことだろ。
それにしても魔物に会わないな。人里から離れたら魔物が発生しやすいのかと思ってたんだけど」
「んー……。人が少ないほうが魔物の発生は増えるけど、魔物は人を求めて移動するんじゃないかな……?
だから人が少ない場所には、結局魔物も少なくなっちゃうんだと思うよ……」
なるほど。砂漠や迷宮じゃあるまいし、外で生まれた魔物は移動するんだもんな。
国境壁の内側ってだけでも魔物の発生は抑えられてるんだろうし、そうそうエンカウントが起こるようなら、行商なんてリスクありすぎて誰もやらないのか。
となると、人が住んでない場所を農地兼保護区にしてしまうのは、結構現実的な話になってくるかもしれない。
リンカーズにおいて、リヴァーブ王国においては、空いている土地は使われていない土地と同義であると言っていいだろう。
使われていないからといって、ポ-ンと自由に使わせてくれるかといったら別問題ではあるだろうけど。
フィールダーたちの案内は、非常に広範囲に及んだ。
日没まで一緒に居たけど、山岳エリアや海エリアまで届いてしまうんじゃないかと思えるほどの広範囲を、フィールダー達は日常的に移動しているようだ。
「こんなに広い範囲で生きているのに、14頭以外は全く会わないんだな……」
「うん……。それを言ったらガルムやミケーネ達だって、ウミガメさんだってあまり数は居なかったよ……?」
「グリーンドラゴンみたいなのが出てくる壁外領域で、スキルを持たない生物が繁殖するのは難しいのかもしれないな……。
フィールダーは14頭で、むしろ今までで最も繁殖に成功している種と言えるのか。
恐らく、リヴァーブ王国内に人類が増えたおかげで、フィールダーを狩れるような魔物が出てこなくなったからなんだろうね」
ふわわとつららを引き取った日、よく鳴く子は外では生きられないという話をされた記憶がある。
魔物が跋扈するこの世界で生きていくのは、人じゃなくたって過酷なんだ。
今までスキルを取得できなかった動物達が、絶滅寸前まで数を減らしているのは、むしろ当然なのかもしれない。絶滅する前に保護できたことを喜ぶしかない、か。
鳥獣保護区の案がすんなり通るかは分からないけれど、各エリアに原生動物の保護エリアを設ける必要はあるかもしれないな。
スナネコやガルムやペル達も、俺達に寄り添うだけじゃなく、自由に繁殖して欲しいと思うし。
明日の朝から中央農地への通行許可を取ってくれたらしい。ありがたい。
1人で生きていけそうなんて言われたけれど、沢山の人にお世話になってるよなぁと実感する。
「中央農地には明日入れてくれる事になった。
今日はフィールダーの行動範囲と、付近の土地の状態を確認しようか。
人が住んでいるなら状況も説明しないといけないし、逆に農業をお願いしたりしてもいいかもな」
「じゃあ明日はガルムはお留守番かな……? そろそろ銀の乙女も狩人に戻りそうだし、拠点での待機はもうすぐ終わると思うからね……」
リーネ、ふわわ、つららと一緒に、昨日フィールダーたちと出会った場所まで行くと、既に14頭のフィールダーたちが集まっていた。
ストレージから野菜を取り出し適当に分配していく。
しかし野菜高いな。
ストレージ満タンにするのに、金板数枚必要だったわ。
「今日は普段お前たちが生きている場所がどんな場所なのか、良かったら案内してもらいたいんだ。
近くに人が住んでいるなら説明しておきたいし、人が住んでないなら人の出入りを制限できるようになるかもしれないし」
アートンに貰った地図で確認する限り、人里は無さそうなんだけどな。
リヴァーブ王国は領土に対して人口が足りてないから、あまり街とか自然発生していく感じじゃないんだよな。
都市から都市へ移動する際の宿場町、みたいな街の起こり方をするみたい。ってこれは普通か?
大雑把な説明になるけれど、中央に王都ネヴァルドと中央農地が存在し、中央から十字の端にそれぞれウィルスレイア、ヴェルトーガ、ミルズレンダ、ボールクローグが位置している。
そしてそれぞれの移動ルートの途中に大小の町や村が出来ている感じだな。
例外的な存在が迷宮都市で、タケルがいなければ迷宮というのは自然発生に頼るしかない。そのため迷宮都市の位置は迷宮が発生した場所となる。
ベイクやシャンダリアを始め、各地に点在する迷宮都市は、ゲートがないと物流という意味で少し不利な位置関係になっているようだ。
冒険者達の活動が活発化していれば、迷宮都市というのは物流の発信地でもあるので問題は起こらないのだけれど、シャンダリアのように冒険者の活動が滞ってしまうと、行商人の出入りなども鈍くなって一気に衰退してしまうという話だ。
ガルムの馬車に乗って、フィールダーに案内してもらいながら王国の景色とリーネの抱き心地を楽しむ。
見渡す限りの平原というのは、砂漠と違って見ていて楽しい。
所々に花だったり木だったりがあるから、見ていて飽きない。
砂漠の夜明けや日没はかなり美しく見事なんだけど、どうしても殺風景には見えちゃうよね。
「昨日ベイクに連れていった時にも感じたけど、フィールダーの速度と体力は大したもんだよな。スキル持ちのガルムと一緒に移動出来るんだから、下手な狩人じゃ追いつくことも出来ない。幻の魔物扱いされるわけだ」
「なんだかトーマと出会ってから、私達が生きてきた王国の窮屈さみたいなものを感じることが多いよ……。
外からやってきたトーマよりも、ずっと住んでいる私たちのほうが、この世界のことを何も知らないんだなぁって……」
「異邦人は異邦人で特殊な環境だからな。王国民とは違った視点を持つのは自然なことだろ。
それにしても魔物に会わないな。人里から離れたら魔物が発生しやすいのかと思ってたんだけど」
「んー……。人が少ないほうが魔物の発生は増えるけど、魔物は人を求めて移動するんじゃないかな……?
だから人が少ない場所には、結局魔物も少なくなっちゃうんだと思うよ……」
なるほど。砂漠や迷宮じゃあるまいし、外で生まれた魔物は移動するんだもんな。
国境壁の内側ってだけでも魔物の発生は抑えられてるんだろうし、そうそうエンカウントが起こるようなら、行商なんてリスクありすぎて誰もやらないのか。
となると、人が住んでない場所を農地兼保護区にしてしまうのは、結構現実的な話になってくるかもしれない。
リンカーズにおいて、リヴァーブ王国においては、空いている土地は使われていない土地と同義であると言っていいだろう。
使われていないからといって、ポ-ンと自由に使わせてくれるかといったら別問題ではあるだろうけど。
フィールダーたちの案内は、非常に広範囲に及んだ。
日没まで一緒に居たけど、山岳エリアや海エリアまで届いてしまうんじゃないかと思えるほどの広範囲を、フィールダー達は日常的に移動しているようだ。
「こんなに広い範囲で生きているのに、14頭以外は全く会わないんだな……」
「うん……。それを言ったらガルムやミケーネ達だって、ウミガメさんだってあまり数は居なかったよ……?」
「グリーンドラゴンみたいなのが出てくる壁外領域で、スキルを持たない生物が繁殖するのは難しいのかもしれないな……。
フィールダーは14頭で、むしろ今までで最も繁殖に成功している種と言えるのか。
恐らく、リヴァーブ王国内に人類が増えたおかげで、フィールダーを狩れるような魔物が出てこなくなったからなんだろうね」
ふわわとつららを引き取った日、よく鳴く子は外では生きられないという話をされた記憶がある。
魔物が跋扈するこの世界で生きていくのは、人じゃなくたって過酷なんだ。
今までスキルを取得できなかった動物達が、絶滅寸前まで数を減らしているのは、むしろ当然なのかもしれない。絶滅する前に保護できたことを喜ぶしかない、か。
鳥獣保護区の案がすんなり通るかは分からないけれど、各エリアに原生動物の保護エリアを設ける必要はあるかもしれないな。
スナネコやガルムやペル達も、俺達に寄り添うだけじゃなく、自由に繁殖して欲しいと思うし。
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる