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11章 新たな都市の建設
457 ゲイザー保護計画
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野菜をクチバシで毟るように食事をするゲイザー。
この場に留まっているのでじっくり観察させてもらってるんだけど、擬態能力が高すぎてなかなか全体像が把握できない。
食事のために体を動かす度に、その都度リアルタイムで体表の色が変化していくんだよ。タコかコイツは。
「とりあえず接触には成功、魔物じゃないのもほぼ確定か。
さて、ここからどうしたもんかな。保護区を作るったって、すぐに出来るもんじゃないし」
「こ、この子凄いね……。こんなに間近で見てるのに、本当に見えにくいよ……?
これで空を飛ばれたら、職員さんが見失うのも無理ないよねっ……!」
おお、リーネのテンションが高い。相変わらず動物大好きか。
そしてリーネに気を取られているうちに、ふわわとつららがゲイザーと一緒になって野菜を食っている。
そして何故かゲイザーは、2匹に野菜を献上している模様。お前らいったいなんなんだ。
「さてと。今やった野菜は俺のもんだから問題ないんだけどよ。この場所で作られている野菜には持ち主が居て、勝手に食ってるといつか排除されちゃうんだよ。
だからそうならないようにしたいと思ってんだけどさ、お前らってどのくらいの数が居て、どのくらいの野菜食べるんだ? ここって危険が少なそうだし、結構増えることが出来てんじゃねぇの?」
俺の言葉を聞いて、ゲイザーは飛び立っていった。今までの流れからすると仲間連れてくるんだろうな。
地面にストレージの野菜を出しておくか。
体感で30分前後待つと、センサーに反応があった。
目だと確認しにくいのでセンサーを頼りに確認すると、28羽も居るようだ。
大型犬クラスの鳥が28羽で野菜を荒らしてくるのか……。そりゃダリッツさんじゃなくても切れるな……。
「リーネ。今この場には28羽のゲイザーが居るみたいだ。こりゃあダリッツさんが切れるのも無理ねぇよ」
「えええ……。28羽なんて全然分かんないよ……?
う~ん、数が多いのはいいことなんだけど、中央農地との関係は良くないよね……。どうすれば良いんだろう……?」
以前ダリッツさんは、野菜がもっと日持ちすれば、って話をしていた気がするからな。もしかしたら廃棄野菜があるかもしれない。
なければ俺が餌代を払って、毎日一定量の野菜を餌として用意してもらうしかないか。
野菜の量が減るのは同じだけれど、勝手に食われるよりはマシだろう。
「お前らちょっとここで待っててくれるか? ここの人と話してくるから。
勿論なんかあったら逃げてくれて構わない。なにもなかったら待ってて欲しい」
一旦ゲイザーは放置して、ダリッツさんと話をつける必要がありそうだ。
俺とリーネは急いでダリッツさんの元に戻る。
合流したダリッツさんに、ゲイザーとの接触に成功したこと、予めどこかに一定量の野菜を餌として提供して欲しいと告げる。
「なるほど……。意思疎通が出来て、予め餌が用意してあれば、収穫前の野菜が襲われることはなくなる、ということですね……。
う~ん……。根本的な解決には全くなっていませんが……、それでも現状よりは多少はマシ……、ですかね?」
「先ほども申し上げた通り、将来的には別の農園を作って、全てそちらに引き取るつもりで動く予定です。
収穫時期と量によりますが、今後も農地を荒らされるよりは、期間限定でゲイザーの保護に協力して頂けないでしょうか?」
将来的にゲイザーが引っ越す事が可能であるなら、中央農地のメリットは非常に大きいはずだ。
駆除しようにも、俺以外にゲイザーと簡単に接触できる奴はそんなにいないだろう。
異風の旋律くらいこの世界の動物に慣れている奴は、絶対に居ないはずだ。
「ふむ……。餌の用意は私に出来る範囲で、明日から本日トーマさんに教えた辺りに用意しておきます。ですが長期間それを行うには、上の許可が要りますので、今ここで即答することは出来ません。
ですが、私個人としてはトーマさんの案に乗りたいと思いますので、上司の説得には全力で当たらせてもらうと約束しましょう」
「まずはダリッツさんにご協力頂けるだけでも助かりますよ。
ちなみに、ゲイザーたちの被害が多い特定の野菜とかあったら教えてください。それの他に、収穫が簡単な野菜、収穫量が多い野菜、収穫周期が早い野菜なんかも教えてもらえると助かります。
あとは本格的に農園を作るために、こちらに人を寄越すかもしれません。その時には是非ご指導をお願い致します」
「えっと、それでは今の要望に合う野菜の簡単な資料を用意致しましょう。少しお時間を下さい。
それまでにゲイザー達に、明日から野菜を用意するので、収穫前の野菜には手を出さないように説得をお願いします。
今後、もし収穫前の野菜に被害が出ていたら2度と協力しないし、国に要請して全力で排除させてもらうと」
ダリッツさんの目が据わっている。完全に本気だな。
今まで捉えられなかったゲイザーの正体が具体的に分かった事で、遠慮がなくなったのかもしれない。しっかりと言い含めておかないと。
もう1度ゲイザーとの接触地点に向かうと、28羽ともその場で待機していた。
やっぱり頭はいいんだよなぁ。そして人間に対して友好的でもあるんだよ。
ただお互いの交流がないってだけで、思い切り関係が拗れてしまったケースだよなぁ。
ダリッツさんたち中央農地の職員の為にも、ゲイザーたちの為にも、鳥獣保護区はなんとしても用意しないといけないな。
ルイナスリームが終わっても、結局やることが減ってない気がするのは気のせいなんだろうか……?
この場に留まっているのでじっくり観察させてもらってるんだけど、擬態能力が高すぎてなかなか全体像が把握できない。
食事のために体を動かす度に、その都度リアルタイムで体表の色が変化していくんだよ。タコかコイツは。
「とりあえず接触には成功、魔物じゃないのもほぼ確定か。
さて、ここからどうしたもんかな。保護区を作るったって、すぐに出来るもんじゃないし」
「こ、この子凄いね……。こんなに間近で見てるのに、本当に見えにくいよ……?
これで空を飛ばれたら、職員さんが見失うのも無理ないよねっ……!」
おお、リーネのテンションが高い。相変わらず動物大好きか。
そしてリーネに気を取られているうちに、ふわわとつららがゲイザーと一緒になって野菜を食っている。
そして何故かゲイザーは、2匹に野菜を献上している模様。お前らいったいなんなんだ。
「さてと。今やった野菜は俺のもんだから問題ないんだけどよ。この場所で作られている野菜には持ち主が居て、勝手に食ってるといつか排除されちゃうんだよ。
だからそうならないようにしたいと思ってんだけどさ、お前らってどのくらいの数が居て、どのくらいの野菜食べるんだ? ここって危険が少なそうだし、結構増えることが出来てんじゃねぇの?」
俺の言葉を聞いて、ゲイザーは飛び立っていった。今までの流れからすると仲間連れてくるんだろうな。
地面にストレージの野菜を出しておくか。
体感で30分前後待つと、センサーに反応があった。
目だと確認しにくいのでセンサーを頼りに確認すると、28羽も居るようだ。
大型犬クラスの鳥が28羽で野菜を荒らしてくるのか……。そりゃダリッツさんじゃなくても切れるな……。
「リーネ。今この場には28羽のゲイザーが居るみたいだ。こりゃあダリッツさんが切れるのも無理ねぇよ」
「えええ……。28羽なんて全然分かんないよ……?
う~ん、数が多いのはいいことなんだけど、中央農地との関係は良くないよね……。どうすれば良いんだろう……?」
以前ダリッツさんは、野菜がもっと日持ちすれば、って話をしていた気がするからな。もしかしたら廃棄野菜があるかもしれない。
なければ俺が餌代を払って、毎日一定量の野菜を餌として用意してもらうしかないか。
野菜の量が減るのは同じだけれど、勝手に食われるよりはマシだろう。
「お前らちょっとここで待っててくれるか? ここの人と話してくるから。
勿論なんかあったら逃げてくれて構わない。なにもなかったら待ってて欲しい」
一旦ゲイザーは放置して、ダリッツさんと話をつける必要がありそうだ。
俺とリーネは急いでダリッツさんの元に戻る。
合流したダリッツさんに、ゲイザーとの接触に成功したこと、予めどこかに一定量の野菜を餌として提供して欲しいと告げる。
「なるほど……。意思疎通が出来て、予め餌が用意してあれば、収穫前の野菜が襲われることはなくなる、ということですね……。
う~ん……。根本的な解決には全くなっていませんが……、それでも現状よりは多少はマシ……、ですかね?」
「先ほども申し上げた通り、将来的には別の農園を作って、全てそちらに引き取るつもりで動く予定です。
収穫時期と量によりますが、今後も農地を荒らされるよりは、期間限定でゲイザーの保護に協力して頂けないでしょうか?」
将来的にゲイザーが引っ越す事が可能であるなら、中央農地のメリットは非常に大きいはずだ。
駆除しようにも、俺以外にゲイザーと簡単に接触できる奴はそんなにいないだろう。
異風の旋律くらいこの世界の動物に慣れている奴は、絶対に居ないはずだ。
「ふむ……。餌の用意は私に出来る範囲で、明日から本日トーマさんに教えた辺りに用意しておきます。ですが長期間それを行うには、上の許可が要りますので、今ここで即答することは出来ません。
ですが、私個人としてはトーマさんの案に乗りたいと思いますので、上司の説得には全力で当たらせてもらうと約束しましょう」
「まずはダリッツさんにご協力頂けるだけでも助かりますよ。
ちなみに、ゲイザーたちの被害が多い特定の野菜とかあったら教えてください。それの他に、収穫が簡単な野菜、収穫量が多い野菜、収穫周期が早い野菜なんかも教えてもらえると助かります。
あとは本格的に農園を作るために、こちらに人を寄越すかもしれません。その時には是非ご指導をお願い致します」
「えっと、それでは今の要望に合う野菜の簡単な資料を用意致しましょう。少しお時間を下さい。
それまでにゲイザー達に、明日から野菜を用意するので、収穫前の野菜には手を出さないように説得をお願いします。
今後、もし収穫前の野菜に被害が出ていたら2度と協力しないし、国に要請して全力で排除させてもらうと」
ダリッツさんの目が据わっている。完全に本気だな。
今まで捉えられなかったゲイザーの正体が具体的に分かった事で、遠慮がなくなったのかもしれない。しっかりと言い含めておかないと。
もう1度ゲイザーとの接触地点に向かうと、28羽ともその場で待機していた。
やっぱり頭はいいんだよなぁ。そして人間に対して友好的でもあるんだよ。
ただお互いの交流がないってだけで、思い切り関係が拗れてしまったケースだよなぁ。
ダリッツさんたち中央農地の職員の為にも、ゲイザーたちの為にも、鳥獣保護区はなんとしても用意しないといけないな。
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