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11章 新たな都市の建設
459 呼び出し
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「うげっ! 王様から召集令状が届いてやがるだと……!」
日課のヴェルトーガ周回をこなし、1度目の換金の為に冒険者ギルドに行ったら、俺宛てに王から呼び出し要請がかかっていた。朝食後でいいって事だったので、探索自体は普通に行い、朝食の時にみんなに報告する。
「今日はネヴァルドから呼び出しがかかっちまったから、悪いけどみんな宜しくな。特にリーネは負担が増えちまうけどよろしく頼むよ」
「1人でも大丈夫だよっ……。ふわわちゃんもつららちゃんも一緒だし、ガルムだって一緒だもんねっ……!
ただ、種を植える場所は私が適当に決めちゃうことになるけど大丈夫かな……?」
「それこそ大丈夫だよ。近くに人も住んでなさそうだしな。もしも誰かが住んでいたら別のところを探せばいいだけだ。それじゃあ悪いけど頼んだ」
保護区と動物の件で呼ばれたとするなら、まーた精霊家も勢揃いしてそうだなぁ。最近ようやく精霊家の方々のお世話にならずに済んでるような気がしたってのにさぁ。
登城する前に商工ギルドに寄っていくと、餌の代替品調査についてダリッツさんは乗り気なようで、明日また農地への通行許可を出してくれるみたいだ。なんかいきなり忙しくなったな。動物のためだと思えば仕方ないか。
「お、お前はいつぞやの商人か。一応決まりだから身分証は照会させてくれよ。
こう何度も城に足を運ぶという事は、商売が順調な証拠か。良いことだな」
「ああ。いつもお世話になってます。おかげさまで順調ですよ。
それにしても、城へ向かう人なんて沢山居るでしょうに、よく俺のことなんか覚えてますね?」
貴族街とでも呼べばいいのか、高級住宅地の入り口を警備している兵士さんが声をかけてきてくれた。この人にはお世話になってる気がするなぁ。
「あっはっは! 確かに登城される方は多いが、徒歩で城に向かう者などお前くらいしかおらんよ! 忘れろというほうが無理な話だ。
よし、身分証を返すぞ。商売の成功を祈る。何かあったらここまで逃げてくるようにな」
「はい。ありがとうございます。いつもお勤めご苦労様です」
う~ん。すっかり忘れていたけど、ルイナスリームにも治安維持部隊、警察だったり警備隊は必要になってくるよなぁ。どうやって組織すりゃいいんだ?
初心者に優しい街。でも治安は最悪ですとか、どんな世紀末だよ。これもみんなに相談かな。それとも各種ギルドにも相談したほうがいいかもね。
「ト、トーマ殿……。出来れば徒歩で登城されるのはお控え頂けませんか……? 門番たちが恐縮してしまいますので……」
「んー、ただの6等級冒険者に萎縮も恐縮もしなくていいんだけどね。ネヴァルドに家があるわけでもないし、馬車って管理出来ないよ。なにかいい案あったら採用するから教えてね」
代案も立てれないなら悪いけど聞いてやれないよ。どうせ登城する機会そんなにないしね。
登城するとすぐに会議室に通された。中にはいつものメンバーが揃っている。
これってどうなんだろうな。俺が来るの遅いの? この人たちが来るの早いの? でも朝食後って言われてるのに、あまり早く来るのもなぁ。
当然空いてるいつもの指定席、王の正面にして1番距離が遠い席に腰掛ける。
この席がどういう意味を持つ席なのかは知らないし興味もない。音魔法の使える俺にとっては、王との距離はあまり問題にならないのでどうでもいい話なのだ。
「ふむ。トーマも来たようだし、本日の会議を始めさせてもらおうか。宰相、進行を頼むぞ」
マジで俺待ちか。俺が来る前にある程度、王国側の意見を共有してるのかなぁ?
「はい。それでは進行させていただきます。
先日異風の旋律より、都市外に生息する、魔物以外の生物の存在を知らされました。その生物達は人に対して非常に友好的で、かつその能力は非常に高いものとなっており、彼らと協力関係が築ければ得られるものは図りしれません。
そしてトーマさんから、彼ら原生生物の保護のために、各エリアに生物の保護区域を設け、彼らの安全を確保する必要性があるのではないかと提案されました。その保護区の設置は、このリヴァーブ王国内も対象となっております。
生物の保護と保護区の設置につきまして、皆様の意見をお聞かせください」
ん~やっぱまぁ大事にはなるかぁ。
え? その土地? 使ってないから全然いいよ! どうぞどうぞ!
みたいなノリで譲渡してくれるわけないっすか。
「そもそもの話だが、その生物達の能力がどの程度なのか分からなくては、議論のしようもあるまい?
それに元々壁の外で暮らしている生物に対して、今さら保護など行う必要があるのか? それも分からん」
「僕は彼らがスナネコと呼んでいる生物に会った事があるけれど、エリアの端から端まで3日もかからず移動してしまうんだよ? 馬車を引いた状態でね。
僕が知っているのはスナネコだけだけど、そういった原生生物の能力は推して知るべしといった感じだと思うよ」
「トーマさん。現状把握している生物は全て貴方が接触、発見したのでしょう? 皆さんに生物の能力などを説明してくださいませんか?」
うげ。ディオーヌ様がサラッとこっちに話を振ってきやがった。
動物の説明が出来るのって俺しか居ないんだけどさぁ。
「はい。それじゃ俺が今まで確認できた生物を、1つずつご説明させていただきますね。まずは……」
俺は今まで出会ってきた生物達の事を、リヴァーブ王国の首脳陣に説明するのだった。
日課のヴェルトーガ周回をこなし、1度目の換金の為に冒険者ギルドに行ったら、俺宛てに王から呼び出し要請がかかっていた。朝食後でいいって事だったので、探索自体は普通に行い、朝食の時にみんなに報告する。
「今日はネヴァルドから呼び出しがかかっちまったから、悪いけどみんな宜しくな。特にリーネは負担が増えちまうけどよろしく頼むよ」
「1人でも大丈夫だよっ……。ふわわちゃんもつららちゃんも一緒だし、ガルムだって一緒だもんねっ……!
ただ、種を植える場所は私が適当に決めちゃうことになるけど大丈夫かな……?」
「それこそ大丈夫だよ。近くに人も住んでなさそうだしな。もしも誰かが住んでいたら別のところを探せばいいだけだ。それじゃあ悪いけど頼んだ」
保護区と動物の件で呼ばれたとするなら、まーた精霊家も勢揃いしてそうだなぁ。最近ようやく精霊家の方々のお世話にならずに済んでるような気がしたってのにさぁ。
登城する前に商工ギルドに寄っていくと、餌の代替品調査についてダリッツさんは乗り気なようで、明日また農地への通行許可を出してくれるみたいだ。なんかいきなり忙しくなったな。動物のためだと思えば仕方ないか。
「お、お前はいつぞやの商人か。一応決まりだから身分証は照会させてくれよ。
こう何度も城に足を運ぶという事は、商売が順調な証拠か。良いことだな」
「ああ。いつもお世話になってます。おかげさまで順調ですよ。
それにしても、城へ向かう人なんて沢山居るでしょうに、よく俺のことなんか覚えてますね?」
貴族街とでも呼べばいいのか、高級住宅地の入り口を警備している兵士さんが声をかけてきてくれた。この人にはお世話になってる気がするなぁ。
「あっはっは! 確かに登城される方は多いが、徒歩で城に向かう者などお前くらいしかおらんよ! 忘れろというほうが無理な話だ。
よし、身分証を返すぞ。商売の成功を祈る。何かあったらここまで逃げてくるようにな」
「はい。ありがとうございます。いつもお勤めご苦労様です」
う~ん。すっかり忘れていたけど、ルイナスリームにも治安維持部隊、警察だったり警備隊は必要になってくるよなぁ。どうやって組織すりゃいいんだ?
初心者に優しい街。でも治安は最悪ですとか、どんな世紀末だよ。これもみんなに相談かな。それとも各種ギルドにも相談したほうがいいかもね。
「ト、トーマ殿……。出来れば徒歩で登城されるのはお控え頂けませんか……? 門番たちが恐縮してしまいますので……」
「んー、ただの6等級冒険者に萎縮も恐縮もしなくていいんだけどね。ネヴァルドに家があるわけでもないし、馬車って管理出来ないよ。なにかいい案あったら採用するから教えてね」
代案も立てれないなら悪いけど聞いてやれないよ。どうせ登城する機会そんなにないしね。
登城するとすぐに会議室に通された。中にはいつものメンバーが揃っている。
これってどうなんだろうな。俺が来るの遅いの? この人たちが来るの早いの? でも朝食後って言われてるのに、あまり早く来るのもなぁ。
当然空いてるいつもの指定席、王の正面にして1番距離が遠い席に腰掛ける。
この席がどういう意味を持つ席なのかは知らないし興味もない。音魔法の使える俺にとっては、王との距離はあまり問題にならないのでどうでもいい話なのだ。
「ふむ。トーマも来たようだし、本日の会議を始めさせてもらおうか。宰相、進行を頼むぞ」
マジで俺待ちか。俺が来る前にある程度、王国側の意見を共有してるのかなぁ?
「はい。それでは進行させていただきます。
先日異風の旋律より、都市外に生息する、魔物以外の生物の存在を知らされました。その生物達は人に対して非常に友好的で、かつその能力は非常に高いものとなっており、彼らと協力関係が築ければ得られるものは図りしれません。
そしてトーマさんから、彼ら原生生物の保護のために、各エリアに生物の保護区域を設け、彼らの安全を確保する必要性があるのではないかと提案されました。その保護区の設置は、このリヴァーブ王国内も対象となっております。
生物の保護と保護区の設置につきまして、皆様の意見をお聞かせください」
ん~やっぱまぁ大事にはなるかぁ。
え? その土地? 使ってないから全然いいよ! どうぞどうぞ!
みたいなノリで譲渡してくれるわけないっすか。
「そもそもの話だが、その生物達の能力がどの程度なのか分からなくては、議論のしようもあるまい?
それに元々壁の外で暮らしている生物に対して、今さら保護など行う必要があるのか? それも分からん」
「僕は彼らがスナネコと呼んでいる生物に会った事があるけれど、エリアの端から端まで3日もかからず移動してしまうんだよ? 馬車を引いた状態でね。
僕が知っているのはスナネコだけだけど、そういった原生生物の能力は推して知るべしといった感じだと思うよ」
「トーマさん。現状把握している生物は全て貴方が接触、発見したのでしょう? 皆さんに生物の能力などを説明してくださいませんか?」
うげ。ディオーヌ様がサラッとこっちに話を振ってきやがった。
動物の説明が出来るのって俺しか居ないんだけどさぁ。
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俺は今まで出会ってきた生物達の事を、リヴァーブ王国の首脳陣に説明するのだった。
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