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11章 新たな都市の建設
460 保護区の必要性
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俺はリヴァーブ王国の首脳陣に、ペル達の種族、スナネコ、ウミガメさん、フィールダー、ゲイザーについて説明をした。主に確認されたのは出会った場所や、それぞれの能力だ。
「ふん。確かに能力は優秀なようだがな。わざわざ人間の生きる場所を削ってまで便宜を図る必要があるとは思えんな。
動物だったか? そいつらの保護をしたいなら勝手にすればいいが、王国で協力する必要はないと考える」
「僕はスナネコの能力を体験してるからねぇ。彼らと仲良くすることで広がる影響の広さは理解しているつもりだから、僕は保護区の設定に賛成だね」
「私はなんとも言えませんわね。異風の旋律にはかなりお世話になってきたとは思っておりますけど、半永久的に動物のための土地にするとなると、ちょっと簡単に譲渡は出来無い案件かなと」
「そうですね。南西方向の土地と言われると、保護区の割りを食うのはヴェルトーガとミルズレンダです。更にはヴェルトーガよりも狩人の数が多い我がミルズレンダのほうが、土地を削られる影響は大きいと思います。
人と友好的とは言いますが、人では無い生物のために、そこまで便宜を図る必要があるのか、甚だ疑問です」
う~ん。一応王国の顔を立てようと思って話は通したんだけど、めんどくせぇから勝手にやりゃ良かったかな。
でもなぁ。俺が1人でこの世界全てを回れるわけじゃないし、ルール化しておかないと他の地域の動物達が狩られてしまいかねないんだよ。
……そんな先の事まで考えるのは、欲張りすぎてるのかなぁ。
「トーマさんは何か私達に言う事はないのですか? 貴方が持ち込んだ案件でしょうし、私達を納得させるために何か提示できる材料があるのでは?」
「いや? 俺は別に言う事ないです。王国の決定に従いますよ。
俺が持ち込んだ話は、あくまで俺が必要だと感じたからご報告差し上げただけであって、別に強制したいわけじゃないですし。
何でもかんでも俺の要求が通るほうがおかしいでしょ。王国が必要ないってんなら従いますよ」
ペル達がルイナスリームに移動できたこと、そもそも森林地帯の生き物なのに王国内で活動できていることを考えると、別に王国内に保護区を作る事に拘る理由なんか1つもない。
いまだ手付かずの砂漠地帯にでも保護区作ってもいいしな。魔法があれば環境づくりはそれほど苦じゃないし。
「ふんっ! ならば我々に報告などせず勝手にやっておればいいのだ! わざわざ我らを召集までしておいて、なにがしたいのだ貴様は!」
「ちょ…! ブルガーゾ殿、それは……」
「じゃあ次からは報告上げるの止めて勝手にやらせてもらいますね。
それじゃ俺はもう帰っていいですよね? 後はご自由にどうぞ」
言質は取ったから勝手にやろう。
俺の死後の話まで考えようってのがおこがましい話なんだよ。
俺に出来る事を過信しすぎだわ。
「トーマさん待った! それじゃこの先王国民が動物と交流できなくなってしまう! というか、動物達を異風の旋律が独占してしまう事になってしまう! 流石にそれは看過できないよ!」
「いや別に独占する気なんてないですし。自由交渉でいいんじゃないですか? 動物と知り合いたければ自分達で探して交流すればいいでしょう? 彼らは友好的ですから。事実ルイナスリームでは、ボールクローグ出身の狩人ギルド員がスナネコと仲良くなってますし、ボールクローグの狩猟団も仲良くやってますからね。
独占なんてするわけないでしょう? 俺は彼らとは友人で居たいんです。使役したいわけじゃない」
「……異風の旋律は、その生物達を使役していると聞きましたが?」
「使役も隷属もさせてませんよ。彼らは友好的だと言ったでしょう。仲良くなって、お願いをして、協力してもらってるだけです。だから皆さんも自由に探して、自由に交渉すればいいんじゃないですか?」
あんな素敵な生き物達を使役するなんて冗談じゃない。
モフリストとして、彼らには幸せになって頂かなければいけないのだ!
ぶっちゃけ異邦人の幸せよりも、動物達の幸せのほうを優先したいくらいだしな。
「今まで発見した動物達の事は狩人ギルドにも話してありますし、探したければ情報だって出揃ってますよ。別に保護区に拘る必要もないし、俺達に遠慮する必要もありません」
「ではトーマさん。依頼をすれば異風の旋律は動物の探索に協力してくださるのですか?」
「一切しませんよ。ご自由にどうぞ」
「――――今後、別の動物が見つかった場合は……?」
「ちゃんと報告しますよ。彼らが魔物と間違えられるのは可哀想ですから。情報も普通に報告しますのでご心配なく。
えっと、もういいですか? 帰らせていただきたいんですけど」
んーどうすっかな。とりあえず誰も住んでない土地を耕して、畑を作るところから始めようか。
あとゲイザー次第では、ボールクローグの果実が生る木なんかも持ってくるのもいいかもなぁ。
「それでは、トーマさんがどうやってその生き物達と接触したのか、その具体的な方法は?」
「情報を整理して探しました。それだけですよ。黒猫やスナネコ達に至っては、他の狩人も多数見てますんで、気になるなら確認してみてください」
「トーマよ。昨夜中央農地から報告があったのだがの。保護区が出来れば野菜の流通量が増えるかもしれないという話は本当なのか?」
おお、流石に中央農地の情報ってすぐに王様にあがるんだなぁ。
あの場所が如何に重要視されているのかがよく分かる。
「別に保護区が出来なくても変わりませんよ。農地の職員にはゲイザーを引き取る事を約束しましたからね。こっちで勝手に引き取りますのでご心配なく」
「――――保護区の設定、賛成いたしますわ。動物の指定生息地、必要だと思います」
おや? ディオーヌ様が意見を一転させたようだ。いったいなんで変えたのかは知らないけど。
「現状動物達を発見できているのは異風の旋律だけです。狩人ギルドに問い合わせても、王国内に見つかったゲイザーやフィールダーは、熟練の狩人ですらほとんど目にしたことがないほどの生物なんです。それを彼らは数日で見つけ、接触してしまった。
我々王国人が動物を見つけるのは不可能だと思います。でしたら保護区を設定して、少なくとも生息地を絞らなければ、我々では永遠に接触出来ないでしょう」
いやいやディオーヌ様は大袈裟すぎるでしょ。
今まで見つけられなかったのは情報がなかったからで、情報が出揃った今、彼らを探すのは簡単なはず。
ただ魔物を隷属した状態で近付くと、彼らは逃げてしまうかもしれないかなぁ。
「ふん。確かに能力は優秀なようだがな。わざわざ人間の生きる場所を削ってまで便宜を図る必要があるとは思えんな。
動物だったか? そいつらの保護をしたいなら勝手にすればいいが、王国で協力する必要はないと考える」
「僕はスナネコの能力を体験してるからねぇ。彼らと仲良くすることで広がる影響の広さは理解しているつもりだから、僕は保護区の設定に賛成だね」
「私はなんとも言えませんわね。異風の旋律にはかなりお世話になってきたとは思っておりますけど、半永久的に動物のための土地にするとなると、ちょっと簡単に譲渡は出来無い案件かなと」
「そうですね。南西方向の土地と言われると、保護区の割りを食うのはヴェルトーガとミルズレンダです。更にはヴェルトーガよりも狩人の数が多い我がミルズレンダのほうが、土地を削られる影響は大きいと思います。
人と友好的とは言いますが、人では無い生物のために、そこまで便宜を図る必要があるのか、甚だ疑問です」
う~ん。一応王国の顔を立てようと思って話は通したんだけど、めんどくせぇから勝手にやりゃ良かったかな。
でもなぁ。俺が1人でこの世界全てを回れるわけじゃないし、ルール化しておかないと他の地域の動物達が狩られてしまいかねないんだよ。
……そんな先の事まで考えるのは、欲張りすぎてるのかなぁ。
「トーマさんは何か私達に言う事はないのですか? 貴方が持ち込んだ案件でしょうし、私達を納得させるために何か提示できる材料があるのでは?」
「いや? 俺は別に言う事ないです。王国の決定に従いますよ。
俺が持ち込んだ話は、あくまで俺が必要だと感じたからご報告差し上げただけであって、別に強制したいわけじゃないですし。
何でもかんでも俺の要求が通るほうがおかしいでしょ。王国が必要ないってんなら従いますよ」
ペル達がルイナスリームに移動できたこと、そもそも森林地帯の生き物なのに王国内で活動できていることを考えると、別に王国内に保護区を作る事に拘る理由なんか1つもない。
いまだ手付かずの砂漠地帯にでも保護区作ってもいいしな。魔法があれば環境づくりはそれほど苦じゃないし。
「ふんっ! ならば我々に報告などせず勝手にやっておればいいのだ! わざわざ我らを召集までしておいて、なにがしたいのだ貴様は!」
「ちょ…! ブルガーゾ殿、それは……」
「じゃあ次からは報告上げるの止めて勝手にやらせてもらいますね。
それじゃ俺はもう帰っていいですよね? 後はご自由にどうぞ」
言質は取ったから勝手にやろう。
俺の死後の話まで考えようってのがおこがましい話なんだよ。
俺に出来る事を過信しすぎだわ。
「トーマさん待った! それじゃこの先王国民が動物と交流できなくなってしまう! というか、動物達を異風の旋律が独占してしまう事になってしまう! 流石にそれは看過できないよ!」
「いや別に独占する気なんてないですし。自由交渉でいいんじゃないですか? 動物と知り合いたければ自分達で探して交流すればいいでしょう? 彼らは友好的ですから。事実ルイナスリームでは、ボールクローグ出身の狩人ギルド員がスナネコと仲良くなってますし、ボールクローグの狩猟団も仲良くやってますからね。
独占なんてするわけないでしょう? 俺は彼らとは友人で居たいんです。使役したいわけじゃない」
「……異風の旋律は、その生物達を使役していると聞きましたが?」
「使役も隷属もさせてませんよ。彼らは友好的だと言ったでしょう。仲良くなって、お願いをして、協力してもらってるだけです。だから皆さんも自由に探して、自由に交渉すればいいんじゃないですか?」
あんな素敵な生き物達を使役するなんて冗談じゃない。
モフリストとして、彼らには幸せになって頂かなければいけないのだ!
ぶっちゃけ異邦人の幸せよりも、動物達の幸せのほうを優先したいくらいだしな。
「今まで発見した動物達の事は狩人ギルドにも話してありますし、探したければ情報だって出揃ってますよ。別に保護区に拘る必要もないし、俺達に遠慮する必要もありません」
「ではトーマさん。依頼をすれば異風の旋律は動物の探索に協力してくださるのですか?」
「一切しませんよ。ご自由にどうぞ」
「――――今後、別の動物が見つかった場合は……?」
「ちゃんと報告しますよ。彼らが魔物と間違えられるのは可哀想ですから。情報も普通に報告しますのでご心配なく。
えっと、もういいですか? 帰らせていただきたいんですけど」
んーどうすっかな。とりあえず誰も住んでない土地を耕して、畑を作るところから始めようか。
あとゲイザー次第では、ボールクローグの果実が生る木なんかも持ってくるのもいいかもなぁ。
「それでは、トーマさんがどうやってその生き物達と接触したのか、その具体的な方法は?」
「情報を整理して探しました。それだけですよ。黒猫やスナネコ達に至っては、他の狩人も多数見てますんで、気になるなら確認してみてください」
「トーマよ。昨夜中央農地から報告があったのだがの。保護区が出来れば野菜の流通量が増えるかもしれないという話は本当なのか?」
おお、流石に中央農地の情報ってすぐに王様にあがるんだなぁ。
あの場所が如何に重要視されているのかがよく分かる。
「別に保護区が出来なくても変わりませんよ。農地の職員にはゲイザーを引き取る事を約束しましたからね。こっちで勝手に引き取りますのでご心配なく」
「――――保護区の設定、賛成いたしますわ。動物の指定生息地、必要だと思います」
おや? ディオーヌ様が意見を一転させたようだ。いったいなんで変えたのかは知らないけど。
「現状動物達を発見できているのは異風の旋律だけです。狩人ギルドに問い合わせても、王国内に見つかったゲイザーやフィールダーは、熟練の狩人ですらほとんど目にしたことがないほどの生物なんです。それを彼らは数日で見つけ、接触してしまった。
我々王国人が動物を見つけるのは不可能だと思います。でしたら保護区を設定して、少なくとも生息地を絞らなければ、我々では永遠に接触出来ないでしょう」
いやいやディオーヌ様は大袈裟すぎるでしょ。
今まで見つけられなかったのは情報がなかったからで、情報が出揃った今、彼らを探すのは簡単なはず。
ただ魔物を隷属した状態で近付くと、彼らは逃げてしまうかもしれないかなぁ。
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