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11章 新たな都市の建設
471 事業撤退
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朝起きたら、まずはルイナスリームでソロ探索。
開放型ダンジョンでは、1日に1つは空間魔法のスクロールが発見できる。
出たスクロールは全てギルドに寄贈して、ルイナスリームの魔法ギルドのラインナップに貢献する。
スキップ、ゲート、ストレージがそれぞれ白金板10枚。ジャンプは白金板50枚で売る事にしている。
金さえ払えれば空間魔法を買える街。なかなかの魅力ではないだろうか?
日中はみんなで、森林エリアから木を掻っ攫う作業に従事している。
別エリアで植物が育つかは未だ不明なので、草原エリア、山岳エリアにそれぞれ色んな種類の木を植えて実験している。
更にはルイナスリームにも緑が足りないと言われたので、クリーヌに選別してもらった木をルイナスリームに持ち込んで、街の内外に植樹していった。土魔法で生成した土に植えてみたけど、果たして砂漠エリアで木が育つのかなぁ?
砂漠側の別荘にも植樹は進めている。今のところは元気な様子だけど、時間が経ったらわかんないよなぁ。
植物にも『環境適応:小』が付与されているのだったら、大抵の環境では問題なさそうだけど。
「そう言えば野良迷宮の発生ってあんまり聞いた覚えないんだけど、発生したことってないのか?
それに放置されてた割には、砂漠にも海にも迷宮って見つからなかったよな? 海は特殊な環境だとしてもさ」
「あー。ブラクムール大図書館で迷宮についての記述もあったんだけど、神話っぽいから事実かどうかは話半分に聞いてよね?
なんでもダンゲルスヌーマはが迷宮を生み出したのは人類の繁栄のためだから、人類の進出していない場所には迷宮は生まれない、っていう話があるみたいなんだよね。
ただこの話、出所がいまいち不明みたいで、いつから言われてるのかも分からないんだ。だからダンゲルスヌーマからの預言だっていう意見や、他の神々から与えられた知識だっていう説が根強くてね」
「うん。そういう設定にされていると思えば納得出来なくも無い話だよね。確かに未踏エリアからどんどん魔物が氾濫してきたら、国境壁があると言ってもいつか耐えられずに突破されちゃいそうだもん」
「ごめんトーマさん。ちょっといいかな?」
家族で雑談をしていると、珍しくジーンさんが割り込んできた。
「またうちで運営してる馬車の方が襲われたみたいでね。ちょっと困ってるんだよ。どうしたらいいかなぁ?」
「っていうかなんでうちの馬車を襲ってくるわけ? うちの馬車って別に、都市間の人の輸送しかしてないでしょ?」
「なんでも襲撃者の言い分では、王国に格差を生み出す異風の旋律が関わる事には手を出すな、って話らしいんだよねぇ。なんでもかなり大きい規模の勢力らしくて、襲撃者を捕らえて警備隊に突き出しても、いつの間にか脱走されちゃうんだってさ。かと言って殺すわけにもいかないし……」
「ふ~ん。大変だねぇ。いっそのこと馬車事業から撤退しちゃえば? 襲撃されてるのに続ける意味無いでしょ。こっちは無償で提供してんのに、更には襲われて被害出るとか馬鹿らしい」
「そ、そんな簡単に止めるなんて言わないでくれよ! 私たちが馬車事業をやめたら困る人が沢山居るだろ!?」
「まぁ馬車事業っつうかカンパニーの運営については、ジーンさんとリンシアさんに一任するけどさ。自分達がやめたら困る人がいる。だから一方的にに被害を被っても、妨害されても襲撃されても、顔も知らない誰かのために頑張る! って気概を否定する気は無いよ。
でもさぁ。ジーンさんがそこまで身を挺してまで救わなきゃいけない人たちなの? 馬車システムがなくなったらみんな生きていけないほど困窮してるの? カンパニーで雇ってる人たちって、カンパニーが無くなったら生活できないくらいヤワな人しかいないの?
ジーンさん。優先順位をちゃんと明確にしたほうがいいよ。どんな妨害に遭っても絶対に屈しない! っていう姿勢を取るなら、それはそれで応援するけどさ。他の人が困るからって、その人たち全員を救う責任なんて誰にもないんだよ? ジーンさんが近隣住民の移動に責任を持つ必要なんてないんだ。
ジーンさん。アンタいつから、周辺住民の生活の責任を負うくらい偉くなったんだ? 俺たちのカンパニーは、お互いに無理をしない範囲での支援が大前提だったんだよ。困ってんなら止めろ。ジーンさんが無理してまで馬車事業を存続させる意味なんてねぇよ」
馬車事業から手を引いたら周辺住民が困る? 知らんわそんなこと。
こっちが勝手にやってたことなんだからな。都合が悪くなったら止めるに決まってんだろ。
「ジーンさん。もう周辺住民がゆっくり衰退していた以前とは状況が違う。
各村にもお金はあるし、戦える村人の数も凄く増えてる。しかも王国で馬車事業を真似してる場所もあるだろ?
というか元々、こんなもん個人でやる事業じゃねえんだよ。もう王国側だってシステムを理解し尽くしてるだろ。引き際だ。ジーンさんたちが身を削ってまで続ける事業じゃねぇよ。
もしもどうしても周辺住民のことが気になるなら、王国側に今の事業をそのまま引き継いでもらえばいい。そうすれば襲撃者達の願いも叶うし、ジーンさんたちがその身を犠牲にする必要もないし、周辺住民も困らない。違う?」
「そう、か。私はいつの間にか驕ってしまっていたんだね……。
確かに馬車事業の円滑な運営だけを考えるなら、王国に引き継いでもらうのが手っ取り早いし確実か……。
ふふ、ダメだな私は。商人としての失敗の原因は、1つの事に拘り過ぎてしまうからなのかもしれないね」
「ああジーンさん勘違いしないでよ? 今回の件、ジーンさんは何も悪くない。悪いのは完全に襲撃者と、それに協力している王国の有力者なんだからね。ジーンさんが何か失敗して撤退するわけじゃない。ただの引き際ってだけさ。今まで俺たちがこんなもん運営してる方が異常だったんだから」
反異風の旋律勢力が動き出したみたいだなぁ。
そっちが仕掛けてくるなら、こっちは徹底して逃げ回ってやるわ。
最終的に、王国を追い出されるくらいが理想かな?
開放型ダンジョンでは、1日に1つは空間魔法のスクロールが発見できる。
出たスクロールは全てギルドに寄贈して、ルイナスリームの魔法ギルドのラインナップに貢献する。
スキップ、ゲート、ストレージがそれぞれ白金板10枚。ジャンプは白金板50枚で売る事にしている。
金さえ払えれば空間魔法を買える街。なかなかの魅力ではないだろうか?
日中はみんなで、森林エリアから木を掻っ攫う作業に従事している。
別エリアで植物が育つかは未だ不明なので、草原エリア、山岳エリアにそれぞれ色んな種類の木を植えて実験している。
更にはルイナスリームにも緑が足りないと言われたので、クリーヌに選別してもらった木をルイナスリームに持ち込んで、街の内外に植樹していった。土魔法で生成した土に植えてみたけど、果たして砂漠エリアで木が育つのかなぁ?
砂漠側の別荘にも植樹は進めている。今のところは元気な様子だけど、時間が経ったらわかんないよなぁ。
植物にも『環境適応:小』が付与されているのだったら、大抵の環境では問題なさそうだけど。
「そう言えば野良迷宮の発生ってあんまり聞いた覚えないんだけど、発生したことってないのか?
それに放置されてた割には、砂漠にも海にも迷宮って見つからなかったよな? 海は特殊な環境だとしてもさ」
「あー。ブラクムール大図書館で迷宮についての記述もあったんだけど、神話っぽいから事実かどうかは話半分に聞いてよね?
なんでもダンゲルスヌーマはが迷宮を生み出したのは人類の繁栄のためだから、人類の進出していない場所には迷宮は生まれない、っていう話があるみたいなんだよね。
ただこの話、出所がいまいち不明みたいで、いつから言われてるのかも分からないんだ。だからダンゲルスヌーマからの預言だっていう意見や、他の神々から与えられた知識だっていう説が根強くてね」
「うん。そういう設定にされていると思えば納得出来なくも無い話だよね。確かに未踏エリアからどんどん魔物が氾濫してきたら、国境壁があると言ってもいつか耐えられずに突破されちゃいそうだもん」
「ごめんトーマさん。ちょっといいかな?」
家族で雑談をしていると、珍しくジーンさんが割り込んできた。
「またうちで運営してる馬車の方が襲われたみたいでね。ちょっと困ってるんだよ。どうしたらいいかなぁ?」
「っていうかなんでうちの馬車を襲ってくるわけ? うちの馬車って別に、都市間の人の輸送しかしてないでしょ?」
「なんでも襲撃者の言い分では、王国に格差を生み出す異風の旋律が関わる事には手を出すな、って話らしいんだよねぇ。なんでもかなり大きい規模の勢力らしくて、襲撃者を捕らえて警備隊に突き出しても、いつの間にか脱走されちゃうんだってさ。かと言って殺すわけにもいかないし……」
「ふ~ん。大変だねぇ。いっそのこと馬車事業から撤退しちゃえば? 襲撃されてるのに続ける意味無いでしょ。こっちは無償で提供してんのに、更には襲われて被害出るとか馬鹿らしい」
「そ、そんな簡単に止めるなんて言わないでくれよ! 私たちが馬車事業をやめたら困る人が沢山居るだろ!?」
「まぁ馬車事業っつうかカンパニーの運営については、ジーンさんとリンシアさんに一任するけどさ。自分達がやめたら困る人がいる。だから一方的にに被害を被っても、妨害されても襲撃されても、顔も知らない誰かのために頑張る! って気概を否定する気は無いよ。
でもさぁ。ジーンさんがそこまで身を挺してまで救わなきゃいけない人たちなの? 馬車システムがなくなったらみんな生きていけないほど困窮してるの? カンパニーで雇ってる人たちって、カンパニーが無くなったら生活できないくらいヤワな人しかいないの?
ジーンさん。優先順位をちゃんと明確にしたほうがいいよ。どんな妨害に遭っても絶対に屈しない! っていう姿勢を取るなら、それはそれで応援するけどさ。他の人が困るからって、その人たち全員を救う責任なんて誰にもないんだよ? ジーンさんが近隣住民の移動に責任を持つ必要なんてないんだ。
ジーンさん。アンタいつから、周辺住民の生活の責任を負うくらい偉くなったんだ? 俺たちのカンパニーは、お互いに無理をしない範囲での支援が大前提だったんだよ。困ってんなら止めろ。ジーンさんが無理してまで馬車事業を存続させる意味なんてねぇよ」
馬車事業から手を引いたら周辺住民が困る? 知らんわそんなこと。
こっちが勝手にやってたことなんだからな。都合が悪くなったら止めるに決まってんだろ。
「ジーンさん。もう周辺住民がゆっくり衰退していた以前とは状況が違う。
各村にもお金はあるし、戦える村人の数も凄く増えてる。しかも王国で馬車事業を真似してる場所もあるだろ?
というか元々、こんなもん個人でやる事業じゃねえんだよ。もう王国側だってシステムを理解し尽くしてるだろ。引き際だ。ジーンさんたちが身を削ってまで続ける事業じゃねぇよ。
もしもどうしても周辺住民のことが気になるなら、王国側に今の事業をそのまま引き継いでもらえばいい。そうすれば襲撃者達の願いも叶うし、ジーンさんたちがその身を犠牲にする必要もないし、周辺住民も困らない。違う?」
「そう、か。私はいつの間にか驕ってしまっていたんだね……。
確かに馬車事業の円滑な運営だけを考えるなら、王国に引き継いでもらうのが手っ取り早いし確実か……。
ふふ、ダメだな私は。商人としての失敗の原因は、1つの事に拘り過ぎてしまうからなのかもしれないね」
「ああジーンさん勘違いしないでよ? 今回の件、ジーンさんは何も悪くない。悪いのは完全に襲撃者と、それに協力している王国の有力者なんだからね。ジーンさんが何か失敗して撤退するわけじゃない。ただの引き際ってだけさ。今まで俺たちがこんなもん運営してる方が異常だったんだから」
反異風の旋律勢力が動き出したみたいだなぁ。
そっちが仕掛けてくるなら、こっちは徹底して逃げ回ってやるわ。
最終的に、王国を追い出されるくらいが理想かな?
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