異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
514 / 580
11章 新たな都市の建設

471 事業撤退

しおりを挟む
 朝起きたら、まずはルイナスリームでソロ探索。
 開放型ダンジョンでは、1日に1つは空間魔法のスクロールが発見できる。
 出たスクロールは全てギルドに寄贈して、ルイナスリームの魔法ギルドのラインナップに貢献する。

 スキップ、ゲート、ストレージがそれぞれ白金板10枚。ジャンプは白金板50枚で売る事にしている。
 金さえ払えれば空間魔法を買える街。なかなかの魅力ではないだろうか?


 日中はみんなで、森林エリアから木を掻っ攫う作業に従事している。
 別エリアで植物が育つかは未だ不明なので、草原エリア、山岳エリアにそれぞれ色んな種類の木を植えて実験している。

 更にはルイナスリームにも緑が足りないと言われたので、クリーヌに選別してもらった木をルイナスリームに持ち込んで、街の内外に植樹していった。土魔法で生成した土に植えてみたけど、果たして砂漠エリアで木が育つのかなぁ?

 砂漠側の別荘にも植樹は進めている。今のところは元気な様子だけど、時間が経ったらわかんないよなぁ。
 植物にも『環境適応:小』が付与されているのだったら、大抵の環境では問題なさそうだけど。


「そう言えば野良迷宮の発生ってあんまり聞いた覚えないんだけど、発生したことってないのか?
 それに放置されてた割には、砂漠にも海にも迷宮って見つからなかったよな? 海は特殊な環境だとしてもさ」

「あー。ブラクムール大図書館で迷宮についての記述もあったんだけど、神話っぽいから事実かどうかは話半分に聞いてよね?
 なんでもダンゲルスヌーマはが迷宮を生み出したのは人類の繁栄のためだから、人類の進出していない場所には迷宮は生まれない、っていう話があるみたいなんだよね。
 ただこの話、出所がいまいち不明みたいで、いつから言われてるのかも分からないんだ。だからダンゲルスヌーマからの預言だっていう意見や、他の神々から与えられた知識だっていう説が根強くてね」

「うん。そういう設定にされていると思えば納得出来なくも無い話だよね。確かに未踏エリアからどんどん魔物が氾濫してきたら、国境壁があると言ってもいつか耐えられずに突破されちゃいそうだもん」

「ごめんトーマさん。ちょっといいかな?」


 家族で雑談をしていると、珍しくジーンさんが割り込んできた。


「またうちで運営してる馬車の方が襲われたみたいでね。ちょっと困ってるんだよ。どうしたらいいかなぁ?」

「っていうかなんでうちの馬車を襲ってくるわけ? うちの馬車って別に、都市間の人の輸送しかしてないでしょ?」

「なんでも襲撃者の言い分では、王国に格差を生み出す異風の旋律が関わる事には手を出すな、って話らしいんだよねぇ。なんでもかなり大きい規模の勢力らしくて、襲撃者を捕らえて警備隊に突き出しても、いつの間にか脱走されちゃうんだってさ。かと言って殺すわけにもいかないし……」

「ふ~ん。大変だねぇ。いっそのこと馬車事業から撤退しちゃえば? 襲撃されてるのに続ける意味無いでしょ。こっちは無償で提供してんのに、更には襲われて被害出るとか馬鹿らしい」

「そ、そんな簡単に止めるなんて言わないでくれよ! 私たちが馬車事業をやめたら困る人が沢山居るだろ!?」

「まぁ馬車事業っつうかカンパニーの運営については、ジーンさんとリンシアさんに一任するけどさ。自分達がやめたら困る人がいる。だから一方的にに被害を被っても、妨害されても襲撃されても、顔も知らない誰かのために頑張る! って気概を否定する気は無いよ。
 でもさぁ。ジーンさんがそこまで身を挺してまで救わなきゃいけない人たちなの? 馬車システムがなくなったらみんな生きていけないほど困窮してるの? カンパニーで雇ってる人たちって、カンパニーが無くなったら生活できないくらいヤワな人しかいないの?
 ジーンさん。優先順位をちゃんと明確にしたほうがいいよ。どんな妨害に遭っても絶対に屈しない! っていう姿勢を取るなら、それはそれで応援するけどさ。他の人が困るからって、その人たち全員を救う責任なんて誰にもないんだよ? ジーンさんが近隣住民の移動に責任を持つ必要なんてないんだ。
 ジーンさん。アンタいつから、周辺住民の生活の責任を負うくらい偉くなったんだ? 俺たちのカンパニーは、お互いに無理をしない範囲での支援が大前提だったんだよ。困ってんなら止めろ。ジーンさんが無理してまで馬車事業を存続させる意味なんてねぇよ」


 馬車事業から手を引いたら周辺住民が困る? 知らんわそんなこと。
 こっちが勝手にやってたことなんだからな。都合が悪くなったら止めるに決まってんだろ。


「ジーンさん。もう周辺住民がゆっくり衰退していた以前とは状況が違う。
 各村にもお金はあるし、戦える村人の数も凄く増えてる。しかも王国で馬車事業を真似してる場所もあるだろ?
 というか元々、こんなもん個人でやる事業じゃねえんだよ。もう王国側だってシステムを理解し尽くしてるだろ。引き際だ。ジーンさんたちが身を削ってまで続ける事業じゃねぇよ。
 もしもどうしても周辺住民のことが気になるなら、王国側に今の事業をそのまま引き継いでもらえばいい。そうすれば襲撃者達の願いも叶うし、ジーンさんたちがその身を犠牲にする必要もないし、周辺住民も困らない。違う?」

「そう、か。私はいつの間にか驕ってしまっていたんだね……。
 確かに馬車事業の円滑な運営だけを考えるなら、王国に引き継いでもらうのが手っ取り早いし確実か……。
 ふふ、ダメだな私は。商人としての失敗の原因は、1つの事に拘り過ぎてしまうからなのかもしれないね」

「ああジーンさん勘違いしないでよ? 今回の件、ジーンさんは何も悪くない。悪いのは完全に襲撃者と、それに協力している王国の有力者なんだからね。ジーンさんが何か失敗して撤退するわけじゃない。ただの引き際ってだけさ。今まで俺たちがこんなもん運営してる方が異常だったんだから」


 反異風の旋律勢力が動き出したみたいだなぁ。
 そっちが仕掛けてくるなら、こっちは徹底して逃げ回ってやるわ。

 最終的に、王国を追い出されるくらいが理想かな?
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...