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11章 新たな都市の建設
472 拒絶
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「トーマさん。王たちがお呼びです。一緒に来ていただけますか?」
日課のソロ周回を始めようと思ったら、ルイナスリームにスカーさんが待っていた。
そう言えば最近ヴェルトーガ、全然行ってないもんな。
「用件による。俺が王国側の呼び出しに応じる義理は無い。用件を知らないなら話にならないから帰っていいよ」
「……馬車事業撤退についてお話を伺いたいとの事です。
それに加えて、非戦闘員同行制度への資金提供も、トーマさんの独断で打ち切りましたよね。それに対しての説明も求められるものと思われます」
「説明要る? 反異風の旋律勢力とやらに襲撃されるから撤退しただけだよ? 襲撃者を捕らえても捕らえても脱走されちゃってるみたいだし、異風の旋律に関わるもの全てが嫌なんでしょ? それでいてスキップオーブは誰も文句言わねぇってんだから笑っちゃうよね。
王国民に異風の旋律が手を引くことを望まれたからそのようにしただけだよ。こんなの説明しなきゃわかんないほど、王国民って馬鹿しか居ないわけじゃないでしょ?
この状況で俺を呼び出すとか舐めてんのかよ。王国側の問題だろうが。テメェらが犯人どもを逮捕して俺達に謝罪に来るのが筋じゃねぇのか?
独断で打ち切った? 寝言は寝て言えよ。元々俺が全部負担して行ってた事を、俺の判断で止める事になんの問題があんだよ」
「……どうしてもご同行頂けませんか? これがまた悪評の原因になる可能性もありますが」
「だからぁ、今の時点で俺が城に顔を出す意味があるのかって聞いてんの。
悪評が広まったって俺たちはどうでもいいんだ。広めるなら好きなだけ広めなよ。
資金も提供した。魔導具も提供した。戦力も提供した。情報も提供した。そんで? 次はなにを差し出せっての? 王国側は俺に何をしてくれんの? 俺ってリヴァーブ王国の下に付いた覚えないんだけど」
「……失礼しました。出直してまいります」
王国側と敵対しようとは思ってないけど、その為に王国の下に付こうとは思わない。相容れないなら仕方ない。その時は断交するしかないわ。
はぁめんど~。王国側の問題くらい自分らで解決しろよ。俺は被害者でしかねぇわ。
「トーマ、王からの召集を断っちゃったのか。また悪評が広まっちゃいそうだね。僕らもまた犯罪奴隷に戻っちゃったりして」
「んー。犯罪者にされて幽閉されるくらいなら、全部放って逃げちゃった方がいいよねー。
というか私達は完全に被害者なのに、なんでこっちが呼び出されなきゃいけないのー?」
「しかしトーマの言う通り、スキップオーブを捨てる話が出てないのが最高に滑稽ですね。相手するだけ無駄です」
「うん。出産も近いし、人里離れた別荘でゆっくり過ごすのも悪くないかもね」
「異風の旋律を排除してどうするんだろうね……? 私たちって別に何かを独占してるわけでもないし、私達を排除して何の得があるんだろ……?」
「私が迫害を受けていたときとは状況が違いすぎらぁな。他の選択肢を選べるって事は、こんなにも余裕を生み出すもんなのかよ……」
「くぅ~、うちらの迷宮踏破が間に合わないっすよ~! んもー! 誰っすかくっだらないことやってる奴はー!」
「私たちも真面目に探索してるつもりなのにねぇ。ほんと、どこにでも人の足を引っ張るのが大好きな奴っているのよね」
「ねぇトーマ。確認だけど、僕ら自身は今回の件で動く気はないんだよね?
普段だったらもうとっくに犯人探しに動いてそうなものなのに、今回はずっと無抵抗だなって感じるんだけど」
無抵抗っていうか、別にどうでもいい案件なんだよなぁ。
悪評が広まって王国に居られなくなったら王国を出ればいいだけだし、エリアキーパーと遭わずにエリア移動できる奴等なんて俺らしかいない。逃げようと思えばどこへでも逃げられるし、暮らそうと思えばどこでも暮らせる。
「みんなが我慢できないっていうなら考えるけど、俺としては放置しようと思ってるんだ。今回俺らには全く非が無いし、王国はいくらなんでも動かな過ぎる。襲撃者を捕らえても釈放されるんじゃ、対応するだけアホらしい。殺したら殺したで、それを理由にバッシングしてくるんだろうしな。
知人、友人に会えなくなってしまうのは残念だけど、他の王国民や動物よりも、俺は結局ここに居る家族以上に優先する存在はないから。家族のためなら他の全部を捨ててもいいと思ってる。別に王国を滅ぼしたいわけでもないし、最後は全部放り投げて逃げようぜ」
「王国側も、トーマに手を引かれたくないのでしたら、本腰を入れて調査すればいいでしょうに。よほど襲撃者が高い身分の方なのかもしれませんよね。例えば王族、とか」
「あートルネやめとけ。相手が王族だろうが平民だろうが、王国民が加害者で俺たちが被害者なことには変わりない。後の事は王国側が判断すりゃ良いんだよ。俺たちは別荘暮らしする準備でもしながら、ゆっくり王国の判断を待てばいいさ」
今までずっと走りっぱなしの日々だったからなぁ。
なんか攻撃を受けてるらしいけど、おかげでゆっくり出来ると思うと悪くないわ。
反異風の旋律勢力とかって奴等を許してやる気はないけどな。
日課のソロ周回を始めようと思ったら、ルイナスリームにスカーさんが待っていた。
そう言えば最近ヴェルトーガ、全然行ってないもんな。
「用件による。俺が王国側の呼び出しに応じる義理は無い。用件を知らないなら話にならないから帰っていいよ」
「……馬車事業撤退についてお話を伺いたいとの事です。
それに加えて、非戦闘員同行制度への資金提供も、トーマさんの独断で打ち切りましたよね。それに対しての説明も求められるものと思われます」
「説明要る? 反異風の旋律勢力とやらに襲撃されるから撤退しただけだよ? 襲撃者を捕らえても捕らえても脱走されちゃってるみたいだし、異風の旋律に関わるもの全てが嫌なんでしょ? それでいてスキップオーブは誰も文句言わねぇってんだから笑っちゃうよね。
王国民に異風の旋律が手を引くことを望まれたからそのようにしただけだよ。こんなの説明しなきゃわかんないほど、王国民って馬鹿しか居ないわけじゃないでしょ?
この状況で俺を呼び出すとか舐めてんのかよ。王国側の問題だろうが。テメェらが犯人どもを逮捕して俺達に謝罪に来るのが筋じゃねぇのか?
独断で打ち切った? 寝言は寝て言えよ。元々俺が全部負担して行ってた事を、俺の判断で止める事になんの問題があんだよ」
「……どうしてもご同行頂けませんか? これがまた悪評の原因になる可能性もありますが」
「だからぁ、今の時点で俺が城に顔を出す意味があるのかって聞いてんの。
悪評が広まったって俺たちはどうでもいいんだ。広めるなら好きなだけ広めなよ。
資金も提供した。魔導具も提供した。戦力も提供した。情報も提供した。そんで? 次はなにを差し出せっての? 王国側は俺に何をしてくれんの? 俺ってリヴァーブ王国の下に付いた覚えないんだけど」
「……失礼しました。出直してまいります」
王国側と敵対しようとは思ってないけど、その為に王国の下に付こうとは思わない。相容れないなら仕方ない。その時は断交するしかないわ。
はぁめんど~。王国側の問題くらい自分らで解決しろよ。俺は被害者でしかねぇわ。
「トーマ、王からの召集を断っちゃったのか。また悪評が広まっちゃいそうだね。僕らもまた犯罪奴隷に戻っちゃったりして」
「んー。犯罪者にされて幽閉されるくらいなら、全部放って逃げちゃった方がいいよねー。
というか私達は完全に被害者なのに、なんでこっちが呼び出されなきゃいけないのー?」
「しかしトーマの言う通り、スキップオーブを捨てる話が出てないのが最高に滑稽ですね。相手するだけ無駄です」
「うん。出産も近いし、人里離れた別荘でゆっくり過ごすのも悪くないかもね」
「異風の旋律を排除してどうするんだろうね……? 私たちって別に何かを独占してるわけでもないし、私達を排除して何の得があるんだろ……?」
「私が迫害を受けていたときとは状況が違いすぎらぁな。他の選択肢を選べるって事は、こんなにも余裕を生み出すもんなのかよ……」
「くぅ~、うちらの迷宮踏破が間に合わないっすよ~! んもー! 誰っすかくっだらないことやってる奴はー!」
「私たちも真面目に探索してるつもりなのにねぇ。ほんと、どこにでも人の足を引っ張るのが大好きな奴っているのよね」
「ねぇトーマ。確認だけど、僕ら自身は今回の件で動く気はないんだよね?
普段だったらもうとっくに犯人探しに動いてそうなものなのに、今回はずっと無抵抗だなって感じるんだけど」
無抵抗っていうか、別にどうでもいい案件なんだよなぁ。
悪評が広まって王国に居られなくなったら王国を出ればいいだけだし、エリアキーパーと遭わずにエリア移動できる奴等なんて俺らしかいない。逃げようと思えばどこへでも逃げられるし、暮らそうと思えばどこでも暮らせる。
「みんなが我慢できないっていうなら考えるけど、俺としては放置しようと思ってるんだ。今回俺らには全く非が無いし、王国はいくらなんでも動かな過ぎる。襲撃者を捕らえても釈放されるんじゃ、対応するだけアホらしい。殺したら殺したで、それを理由にバッシングしてくるんだろうしな。
知人、友人に会えなくなってしまうのは残念だけど、他の王国民や動物よりも、俺は結局ここに居る家族以上に優先する存在はないから。家族のためなら他の全部を捨ててもいいと思ってる。別に王国を滅ぼしたいわけでもないし、最後は全部放り投げて逃げようぜ」
「王国側も、トーマに手を引かれたくないのでしたら、本腰を入れて調査すればいいでしょうに。よほど襲撃者が高い身分の方なのかもしれませんよね。例えば王族、とか」
「あートルネやめとけ。相手が王族だろうが平民だろうが、王国民が加害者で俺たちが被害者なことには変わりない。後の事は王国側が判断すりゃ良いんだよ。俺たちは別荘暮らしする準備でもしながら、ゆっくり王国の判断を待てばいいさ」
今までずっと走りっぱなしの日々だったからなぁ。
なんか攻撃を受けてるらしいけど、おかげでゆっくり出来ると思うと悪くないわ。
反異風の旋律勢力とかって奴等を許してやる気はないけどな。
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