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11章 新たな都市の建設
473 孤立
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「トーマさん。城までお願い致します」
次の日もルイナスリームでスカーさんが待っていた。
応じる義理はないのでスルーしておこう。
「悪評を広めている勢力のご説明をしたいとの事です。どうか城まで来てくださいませんか」
「辞退します。その説明を聞かされてどうしろと? こいつらがやってるから自分達で懲らしめろって? こいつらがやってるから我慢してくれって?
人に説明できる程度に勢力把握してるなら、さっさと解決すりゃいいじゃん。俺がそいつらの説明聞く意味ある?」
「状況を把握しようとは思われないんですか?」
「思わないよ。勝手にやってろって感じ。俺たちはこのまま王国を追われても何も困らないから。犯人も状況もどうでもいいなぁ。
俺たちが王国を追われたとして、1番困るのって誰かな? その人たちが必死になればいいんじゃない?」
「今トーマさんたちに手を引かれては困るんです。生活困窮者の方々も、いつ支援が打ち切られるか怯えていますし、カンパニーもいつ解散になるか……。
非戦闘員同行制度も打ち切られ、商人や職人のスキル更新も進んでおりません」
「知らないよそんなの。え? スカーさんって、俺をどんな人間だと思ってんの?
自分を犠牲にしてでも誰かを助ける聖人か何かだと思ってんの? 俺そんなこと1度だってしたことないよ?
カンパニーの活動だって非戦闘員同行制度だって、もう王国だって知ってんだから王国が運営すればいいでしょ? なにを個人の冒険者にそんなもん負担させようとしてんのさ。
見ず知らずの誰かへの支援なんて趣味みたいなもんだよ。自分にとって負担になるなら、すっぱりと止められる程度の思い入れしかないなぁ。無きゃ困るなら王国で引継ぎなよ」
スカーさんは何も言い返してこないので、そのまま放置してソロ探索に向かう。
あ~、SPを稼いでも王国を敵に回したら、もしかしたら祝福の儀を受けられなくなるかもなぁ。
まぁいいか。その時はその時になったら考えよう。
今日からはスクロールを卸すのもやめる。持ってても仕方ないけど、売ってやる気分にもならない。
「おーいトーマ! ちょっと待ってくれー!」
「ん? おおタケル。何か用?」
ソロ探索をを終えて、ベイクに戻ろうとしている時に、遠くから走ってくるタケルに声をかけられた。
「いやいや、何か用? じゃねーだろ! お前ら最近いったいどうしたんだよ? なんか凄い勢いで悪評が広まってんだけど?」
「いやあ俺も知らないんだよね。興味もないし。つうかタケルの耳に入ってるって事は、異邦人にも噂が広まってるってことか?」
「そうだよ。だからどうしたのかって……。待て、異邦人にもってなんだ? まさか王国民にも悪評が広がってるっていうのか!?」
「よくわかんないけどそうらしいね。なんか知らんけど、変な人たちが俺たちの悪評を広めてるみたいだよ?」
「いやいや、みたいだよ? じゃねーから! なんでそんなに危機感ねーんだよ! これって明確に攻撃されてるってことじゃねーか!」
タケルは他人のことを親身になって考えられるのが凄いよなぁ。
やっぱりこういう情に厚い奴がリーダーやるべきだよ、うん。
「いやあ。別に現状困ってることもないしなぁ。仮にルイナスリームが王に接収されたとして、俺には何の痛痒も無い。犯罪者にされて王国を追放されたら出ていくだけだし。
むしろなんでタケルはそんなに焦ってるんだ?」
「ふっざけんなよ! そんなの間違ってんだろ! なんで誰よりも王国に貢献してるトーマが、王国を追放されなきゃいけねぇんだよ!?」
「地球の歴史だって似たようなもんでしょ? 戦争中に活躍した人が戦後処刑されるなんてあるあるじゃん?
まぁタケルが心配してくれてるのは分かるよ。ありがとうな」
「だから俺はよう、トーマ……」
「タケルさーん! そんな奴に構ってないで、早く探索にいきましょうよ」
なんか前も見たなぁこのシチュエーション。でも今タケルに声をかけてきた相手は、以前の相手じゃないっぽいかな?
「おいオッサン! タケルさんに付きまとってんじゃねぇぞ! タケルさんはすげぇ人なんだよ! テメェなんかがタケルさんの時間を割いていいと思ってんのか、あぁ!?」
「おいやめろ! 俺のほうから声をかけたんだよ!
俺の恩人にくだらねぇこと言いやがって……。いい加減にしろよおい?」
「い、いえ……! タケルさんに逆らう気はねぇっすよ!? ほ、ほら! みんなも待ってるから早く行きましょうって話ですよ!」
「俺は今トーマと話をしてんだよ。そんなに先に行きたきゃ勝手に行きゃいいだろうが! なんなんだよお前はよぉ……!」
あ、タケルの声が据わってきてるな。マジ切れ寸前か。
「おーいタケルさーん? 俺もう帰っていい? 話終わったー?」
「お、おお悪いトーマ! って、どこまで話してたか忘れちまったじゃねーか!」
「んじゃもういいだろ? お仲間も待ってるらしいし、もうお前も行った方がいいって」
「マジで済まん! 俺から声かけたってのにつまんない思いさせちまって、マジで申し訳ねぇ!」
「気にしてないって。タケルがそんなに謝ることじゃないから。俺ももう帰るからまたな。探索頑張ってくれよ」
タケルは俺を何度も振り返っては頭を下げつつ、仲間と合流して探索に向かったようだ。
うーん。やっぱタケルは慕われてるよなぁ。
ここルイナスリームもタケルが居なきゃ成立してねぇもんな。
いやあ本当に凄い奴ですよタケルは! とか紹介してやりたいくらいだ。
う~ん。それにしても、ここでも絡まれかねなくなってきたなぁ。
もう女性陣だけでルイナスリーム歩かせるのは危ないか?
次の日もルイナスリームでスカーさんが待っていた。
応じる義理はないのでスルーしておこう。
「悪評を広めている勢力のご説明をしたいとの事です。どうか城まで来てくださいませんか」
「辞退します。その説明を聞かされてどうしろと? こいつらがやってるから自分達で懲らしめろって? こいつらがやってるから我慢してくれって?
人に説明できる程度に勢力把握してるなら、さっさと解決すりゃいいじゃん。俺がそいつらの説明聞く意味ある?」
「状況を把握しようとは思われないんですか?」
「思わないよ。勝手にやってろって感じ。俺たちはこのまま王国を追われても何も困らないから。犯人も状況もどうでもいいなぁ。
俺たちが王国を追われたとして、1番困るのって誰かな? その人たちが必死になればいいんじゃない?」
「今トーマさんたちに手を引かれては困るんです。生活困窮者の方々も、いつ支援が打ち切られるか怯えていますし、カンパニーもいつ解散になるか……。
非戦闘員同行制度も打ち切られ、商人や職人のスキル更新も進んでおりません」
「知らないよそんなの。え? スカーさんって、俺をどんな人間だと思ってんの?
自分を犠牲にしてでも誰かを助ける聖人か何かだと思ってんの? 俺そんなこと1度だってしたことないよ?
カンパニーの活動だって非戦闘員同行制度だって、もう王国だって知ってんだから王国が運営すればいいでしょ? なにを個人の冒険者にそんなもん負担させようとしてんのさ。
見ず知らずの誰かへの支援なんて趣味みたいなもんだよ。自分にとって負担になるなら、すっぱりと止められる程度の思い入れしかないなぁ。無きゃ困るなら王国で引継ぎなよ」
スカーさんは何も言い返してこないので、そのまま放置してソロ探索に向かう。
あ~、SPを稼いでも王国を敵に回したら、もしかしたら祝福の儀を受けられなくなるかもなぁ。
まぁいいか。その時はその時になったら考えよう。
今日からはスクロールを卸すのもやめる。持ってても仕方ないけど、売ってやる気分にもならない。
「おーいトーマ! ちょっと待ってくれー!」
「ん? おおタケル。何か用?」
ソロ探索をを終えて、ベイクに戻ろうとしている時に、遠くから走ってくるタケルに声をかけられた。
「いやいや、何か用? じゃねーだろ! お前ら最近いったいどうしたんだよ? なんか凄い勢いで悪評が広まってんだけど?」
「いやあ俺も知らないんだよね。興味もないし。つうかタケルの耳に入ってるって事は、異邦人にも噂が広まってるってことか?」
「そうだよ。だからどうしたのかって……。待て、異邦人にもってなんだ? まさか王国民にも悪評が広がってるっていうのか!?」
「よくわかんないけどそうらしいね。なんか知らんけど、変な人たちが俺たちの悪評を広めてるみたいだよ?」
「いやいや、みたいだよ? じゃねーから! なんでそんなに危機感ねーんだよ! これって明確に攻撃されてるってことじゃねーか!」
タケルは他人のことを親身になって考えられるのが凄いよなぁ。
やっぱりこういう情に厚い奴がリーダーやるべきだよ、うん。
「いやあ。別に現状困ってることもないしなぁ。仮にルイナスリームが王に接収されたとして、俺には何の痛痒も無い。犯罪者にされて王国を追放されたら出ていくだけだし。
むしろなんでタケルはそんなに焦ってるんだ?」
「ふっざけんなよ! そんなの間違ってんだろ! なんで誰よりも王国に貢献してるトーマが、王国を追放されなきゃいけねぇんだよ!?」
「地球の歴史だって似たようなもんでしょ? 戦争中に活躍した人が戦後処刑されるなんてあるあるじゃん?
まぁタケルが心配してくれてるのは分かるよ。ありがとうな」
「だから俺はよう、トーマ……」
「タケルさーん! そんな奴に構ってないで、早く探索にいきましょうよ」
なんか前も見たなぁこのシチュエーション。でも今タケルに声をかけてきた相手は、以前の相手じゃないっぽいかな?
「おいオッサン! タケルさんに付きまとってんじゃねぇぞ! タケルさんはすげぇ人なんだよ! テメェなんかがタケルさんの時間を割いていいと思ってんのか、あぁ!?」
「おいやめろ! 俺のほうから声をかけたんだよ!
俺の恩人にくだらねぇこと言いやがって……。いい加減にしろよおい?」
「い、いえ……! タケルさんに逆らう気はねぇっすよ!? ほ、ほら! みんなも待ってるから早く行きましょうって話ですよ!」
「俺は今トーマと話をしてんだよ。そんなに先に行きたきゃ勝手に行きゃいいだろうが! なんなんだよお前はよぉ……!」
あ、タケルの声が据わってきてるな。マジ切れ寸前か。
「おーいタケルさーん? 俺もう帰っていい? 話終わったー?」
「お、おお悪いトーマ! って、どこまで話してたか忘れちまったじゃねーか!」
「んじゃもういいだろ? お仲間も待ってるらしいし、もうお前も行った方がいいって」
「マジで済まん! 俺から声かけたってのにつまんない思いさせちまって、マジで申し訳ねぇ!」
「気にしてないって。タケルがそんなに謝ることじゃないから。俺ももう帰るからまたな。探索頑張ってくれよ」
タケルは俺を何度も振り返っては頭を下げつつ、仲間と合流して探索に向かったようだ。
うーん。やっぱタケルは慕われてるよなぁ。
ここルイナスリームもタケルが居なきゃ成立してねぇもんな。
いやあ本当に凄い奴ですよタケルは! とか紹介してやりたいくらいだ。
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