異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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11章 新たな都市の建設

487 処遇

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「俺からはもう特に要望はありません」


 要望もないし興味もない。
 
 スキップオーブがある事を考えると、迷宮の踏破だって簡単になってるし、白金板1000枚はそこまで非現実的な額ではない。
 もしも俺がアリスの立場であれば、ルイナスリームの開放型迷宮を踏破して、空間魔法のスクロールを狙うだろうな。

 つうかタケルが引き取ってから結構時間が経つのに、ベイク4階層ならソロでいける、という評価が舐めすぎなんだよ。馬鹿にしてんのか。


「こんな感じになったけど満足かタケル?」

「いや、エグいなぁとは思うけど、そこまで法外な要求でもないとは思う……。ベイク迷宮基準で言えば俺だってもう50階層をソロで越えられるし、アリスが強くなるのは遅すぎるだろ。真面目に取り組んでいたとは思うがそれだけだったな。
 いくらディオーヌ様に見捨てられるような生活をしていたとはいえ、ソロで10階層も突破できないようじゃ俺も擁護のしようがねぇんだよな。それでも問題さえ起こさなければ、笑顔で見守ってられたんだが、よ」


 そうなんだよなぁ。問題さえ起こなさけりゃあなぁ。
 アンジェの口が上手かったってのはあるんだろうけど、誓約まで解除した時点でアリスの責任だ。同情の余地なんかないな。


「そういやこの3人の処遇ってどんな感じを予定してるのか、聞かせてもらっても?」

「正直まだ協議中なんだがの……。
 シルヴァールにはこれから世継ぎを産んでもらうことにはなるだろうな。妻は既に他界し、私の子はシルヴァールしか居ないからの……。
 今後賠償金が支払われたとしても、シルヴァールには産める限りの世継ぎを産んでもらう事になるだろう」


 1人娘にそんな対応したくはないんだろうけどなぁ。
 シルヴァールが今回しでかした事はあまりにも大きすぎた。マジで国が滅びかけたんだもんな。ただの私怨で。


「アラタは……、そうじゃな。スキル情報の開示を手伝ってもらおうかの。それと王国民の戦闘技術の向上にも貢献してもらおうと思っている。
 具体的な方法はこれから決める事になるが、誓約をつけて冒険者や兵士と戦闘をし続けてもらうことになるか」


 まぁ妥当な線か。
 10年生かしてねって言われた以上、エリアキーパーにぶつけるわけにはいかないだろう。


「アンジェはそうじゃの。完全拘束した状態で、異邦人の知識でも教えてもらう事にするか。こやつの能力で簡単には死なぬらしいし、拷問するのは簡単だからな。
 完全拘束して自決さえ防げば、こやつの能力と戦闘能力なら危険もなかろう」


 う~ん。王国中に個人情報が流出してしまった以上、生きる最善手って城に監禁されることだよな? これももしかして能力が齎した結果なんだろうか。
 全くありがたい結果ではないだろうけど、城の外ならなぶり殺しにされるだろうし。

 むしろアリスが賠償金を支払った後こそが地獄かもなぁ。


 さてと、全員の処分も聞いたし、もう用はないかな?
 賠償金の支払いにも関わる気がないし、もう城に来ることもなくなると良いんだけど。


「それじゃこれ以上俺がここに居る意味はないですよね? 失礼させてもらって良いですかね?」

「トーマさん。異風の旋律は今後、どのように活動されるおつもりですか?」


 く、ディオーヌ様に問いかけられてしまった。
 答える義理はないけど、黙っておくほどの事でもないか。


「適当に食える分だけ稼いで生活すると思いますよ。リヴァーブ王国に異風の旋律はもう必要ないでしょう?
 妻の出産も控えておりますしね。子育てには参加するつもりですし」

「お、トーマの子供、そろそろ生まれんのかよ?
 生まれたらすぐじゃなくていいから会わせてくんね? お祝いくらいは用意すっからさ」

「いやいや、そんなもんなくても会わせてやるっての。タケルには大分世話になったしな。
 タケルはルイナスリームを拠点にするんだろ? なら落ち着いたら俺のほうが会いに行くわ」

「お、マジで? 楽しみにしてるぜ!
 子供って結構好きなんだよなー、俺」

「出産と育児が済んだらどうなさるおつもりですの? その後貴方達はどうやって暮らしていくのかしら?」

「まだ漠然としたことしか考えてませんけど、それにしたって言う必要あります?
 今のところは自由に生きるつもりですよ。それ以上は決めてないですかね」


 家族とも色々話し合いたいからなぁ。
 シンとハルは俺たち夫婦と一緒にいて、気まずかったりしないんだろうか? しないんだろうな。


「失礼しました。ただの好奇心からの質問です。忘れてください」

「いやいや、別に謝るほどのことじゃないですよ。
 さて帰るか。タケルとアリスはどうする? ついでだし、行きたい場所があれば送ってやるけど」

「あ、俺はルイナスリームに送ってもらおうかな。
 つうかアリスも送るのか? なんでまた?」

「え? だってアリスってお友達を助ける為に、1秒も無駄に出来ない状況なんでしょ?
 だったらまぁ、応援くらいはしてあげてもいいかなって」

「わ、私も! 私もルイナスリームにお願いしますっ!
 確かに貴方の言う通り、すぐにでも迷宮に入り始めないと……!」

「ああ、構わないしやる気はいいんだけど、あまり焦ってお前が死んだら、他の3人が釈放される可能性がなくなるからな。本気で助けたいなら精々命は大切にするこった」

「……そう、ですね。もう私の命は、私の都合だけで捨てられなくなったんですね。
 今になって、ようやく『事象復元』の怖さが分かった気がします……」

「うわおっそ!? 今さら過ぎだろ!
 ……まぁいいや、とっとと行こうか。ここじゃゲートは使えないからな」


 3人で城を出て、2人をルイナスリームに送った後に、俺はベイクに帰還して、かなり遅めの朝食にありついたのだった。
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