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11章 新たな都市の建設
488 アリス評論
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遅めの朝食を終えて、家族みんなに城でのやり取りを報告する。
「アリスには重い賠償責任が科せられることになっちゃったけど、同情には至らないかな。
だってアリスって、ハルと同時期にヴェルトーガに来たわけでしょ? ハルは僕らと出会ったから多少例外だったかもしれないけど、一定期間洗脳状態だったタケルですらソロで50階層を越えているし、アサヒとカンナも2人で80階層を越えているわけだからね。
カンパニーのサポートがあって、未だにソロで4階層くらいなら、なんていう評価は、流石に馬鹿にしすぎてると思うよ」
「そうだよねー。だって50階層にソロでいけるようになっていれば、1日で白金板1枚くらいは稼げてもおかしくないんだもん。113階層をソロで探索できるなら、10日もかからず100枚の支払いは終わるはずなんだよねー。
アリスはカンパニーの支援あり、パーティーメンバーも居て、スキップオーブまである状況でその成長度なんだものー。ハルと比べるのもおこがましいかなー」
「それに、ヴェルトーガで会った時から異風の旋律の敵対勢力に属していて、その後何も考えずに私たちに解散を迫り、タケルが庇ったおかげで助かっただけなのに、それだけのことをしてなお私たちに敵対してきたわけですよね?
確かに殺してやるくらいじゃ足りませんよね。死ねない状況に追い込むというのは、言いたくはないですけど彼女の成長にも必要なことでしょう。乗り越えられれば別人になれる、といいんですけどねぇ……」
「うん。トルネの言う通り、アリスは流石にやりすぎたかな。
まさかタケルとのあのやり取りがあったのに、勝手に誓約を解除してるとは思わないでしょ……」
「アリス、なんでずっと流されてたんだろうね……?
私やマーサと違って、彼女にはなんでも選べる自由があったっていうのにさ……」
「状況には流され続けてんのに、なぜかその状況を悪化させることだけは自主的にやってる印象だよなぁ?
正直理解できねぇよ。同情とか以前に、マジでアリスの考えがわからねぇ」
「んー、私はなんとなく分かるっすよ? アリスって多分、周囲の影響を受けやすい人なんじゃないのかと思うんすよ。
私の友達にも居たっすもん。付き合う人間によって、ガラッと性格が変わっちゃう子」
「そうねぇ。きっとこの世界に来てまだ舞い上がっている状況で、一緒に転移して来た集団は殺され、まだ落ち着きが取り戻せないうちに、要人として扱われてしまったのが不幸だったのかもしれないわね。
タケルやパーティメンバーのおかげで真面目に探索に乗り出していたのに、悪友に再会したことで以前受けた影響が表面化してしまった、みたいな感じなのかしら?」
影響を受けやすいって感じもあるけど、アイツなんでもかんでも人のせいにしすぎなんだよな。
自分の能力の危険性も理解する気はないわ、何か起こるたびに『私はこんなつもりじゃなかった』みたいなこと言ってたもん。
言い訳のしようがないくらいに孤独になってみないと、あいつは変わらないだろ。
初めて会ったときは、久我たちに暴行された女性達を自主的に助けている気概のある奴かと思ったんだけど、あれももしかしたら久我たちの指示だったのかもしれない。
「今の状況なら、本気になれば1年くらいで稼げる金額ではあるはずなんだよな。
ただグズグズしてると通貨価値が変わる可能性はあるけど。
って通貨と言えば、俺って通貨がドロップしたこと1度もないな。もしかして上限に到達したのかね?」
「んーどうかなー? 元々通貨のドロップって、ダンゲルスヌーマが余裕のない冒険者に施す奇跡の1つみたいに言われてるからさー。
私たちに1度も通貨袋がドロップしなくても不思議じゃないとは思うよー」
「なるほどー。お金を求める意志か何かで判定してるんすかね? それだとトーマやシンがどれだけ探索してもドロップしてくれなさそうっすね!」
「そうだね……。もうあんな大金持ちたくないな。
ずっとお金持ちになりたいって思ってたのに、お金って持ちすぎると不安になっちゃうものなんだね」
「うん。私たちの場合は急激に稼ぎすぎちゃったのもあるよね。
探索報酬なんだから地道に稼いだお金には違いないんだけど、あまりにも稼げ過ぎちゃったのが、ね?」
「私が出会った時に、トーマは白金貨3枚を3日で稼げる男でしたからね。私なんてそれまで自由にお金を持つことすら許されない生活だったんですから、金銭感覚狂っちゃいそうで怖かったですよ」
「そういえばトーマって、スキルを持ってないうちから、院に銀板とか寄付してたんだよね……。
あの時は気にしなかったけど、とんでもないことしてるよね、トーマってさ……」
「私に会いに来た理由も、ふわわとつららに魔装術が使える装備を用意して欲しい、金はある、みたいな話だったんだぜ?
ミルズレンダに買った建物もあっさり放置しちまうし、コイツってホントなんなんだよって感じだったわ」
「なんか途中から俺の悪口になってね?
大体なー! 俺が大金を金を稼ぐ発端になったのはハロイツァのせいなんだからな!
シンとリーンとトルネは俺に文句言う資格ねぇから!」
「ふふ。誰も文句なんて言ってないわよ。そんな貴方じゃなかったら、私とアサヒも、アリスみたいになってた可能性は低くないんだし、感謝してるわ」
感謝してるのはお互い様だけどな。
ここに居るメンバーが1人でも居なかったら、間違いなく俺は死んでいた。
なんでアイツは、他人に感謝する気持ちが持てなかったんだろう。
「アリスには重い賠償責任が科せられることになっちゃったけど、同情には至らないかな。
だってアリスって、ハルと同時期にヴェルトーガに来たわけでしょ? ハルは僕らと出会ったから多少例外だったかもしれないけど、一定期間洗脳状態だったタケルですらソロで50階層を越えているし、アサヒとカンナも2人で80階層を越えているわけだからね。
カンパニーのサポートがあって、未だにソロで4階層くらいなら、なんていう評価は、流石に馬鹿にしすぎてると思うよ」
「そうだよねー。だって50階層にソロでいけるようになっていれば、1日で白金板1枚くらいは稼げてもおかしくないんだもん。113階層をソロで探索できるなら、10日もかからず100枚の支払いは終わるはずなんだよねー。
アリスはカンパニーの支援あり、パーティーメンバーも居て、スキップオーブまである状況でその成長度なんだものー。ハルと比べるのもおこがましいかなー」
「それに、ヴェルトーガで会った時から異風の旋律の敵対勢力に属していて、その後何も考えずに私たちに解散を迫り、タケルが庇ったおかげで助かっただけなのに、それだけのことをしてなお私たちに敵対してきたわけですよね?
確かに殺してやるくらいじゃ足りませんよね。死ねない状況に追い込むというのは、言いたくはないですけど彼女の成長にも必要なことでしょう。乗り越えられれば別人になれる、といいんですけどねぇ……」
「うん。トルネの言う通り、アリスは流石にやりすぎたかな。
まさかタケルとのあのやり取りがあったのに、勝手に誓約を解除してるとは思わないでしょ……」
「アリス、なんでずっと流されてたんだろうね……?
私やマーサと違って、彼女にはなんでも選べる自由があったっていうのにさ……」
「状況には流され続けてんのに、なぜかその状況を悪化させることだけは自主的にやってる印象だよなぁ?
正直理解できねぇよ。同情とか以前に、マジでアリスの考えがわからねぇ」
「んー、私はなんとなく分かるっすよ? アリスって多分、周囲の影響を受けやすい人なんじゃないのかと思うんすよ。
私の友達にも居たっすもん。付き合う人間によって、ガラッと性格が変わっちゃう子」
「そうねぇ。きっとこの世界に来てまだ舞い上がっている状況で、一緒に転移して来た集団は殺され、まだ落ち着きが取り戻せないうちに、要人として扱われてしまったのが不幸だったのかもしれないわね。
タケルやパーティメンバーのおかげで真面目に探索に乗り出していたのに、悪友に再会したことで以前受けた影響が表面化してしまった、みたいな感じなのかしら?」
影響を受けやすいって感じもあるけど、アイツなんでもかんでも人のせいにしすぎなんだよな。
自分の能力の危険性も理解する気はないわ、何か起こるたびに『私はこんなつもりじゃなかった』みたいなこと言ってたもん。
言い訳のしようがないくらいに孤独になってみないと、あいつは変わらないだろ。
初めて会ったときは、久我たちに暴行された女性達を自主的に助けている気概のある奴かと思ったんだけど、あれももしかしたら久我たちの指示だったのかもしれない。
「今の状況なら、本気になれば1年くらいで稼げる金額ではあるはずなんだよな。
ただグズグズしてると通貨価値が変わる可能性はあるけど。
って通貨と言えば、俺って通貨がドロップしたこと1度もないな。もしかして上限に到達したのかね?」
「んーどうかなー? 元々通貨のドロップって、ダンゲルスヌーマが余裕のない冒険者に施す奇跡の1つみたいに言われてるからさー。
私たちに1度も通貨袋がドロップしなくても不思議じゃないとは思うよー」
「なるほどー。お金を求める意志か何かで判定してるんすかね? それだとトーマやシンがどれだけ探索してもドロップしてくれなさそうっすね!」
「そうだね……。もうあんな大金持ちたくないな。
ずっとお金持ちになりたいって思ってたのに、お金って持ちすぎると不安になっちゃうものなんだね」
「うん。私たちの場合は急激に稼ぎすぎちゃったのもあるよね。
探索報酬なんだから地道に稼いだお金には違いないんだけど、あまりにも稼げ過ぎちゃったのが、ね?」
「私が出会った時に、トーマは白金貨3枚を3日で稼げる男でしたからね。私なんてそれまで自由にお金を持つことすら許されない生活だったんですから、金銭感覚狂っちゃいそうで怖かったですよ」
「そういえばトーマって、スキルを持ってないうちから、院に銀板とか寄付してたんだよね……。
あの時は気にしなかったけど、とんでもないことしてるよね、トーマってさ……」
「私に会いに来た理由も、ふわわとつららに魔装術が使える装備を用意して欲しい、金はある、みたいな話だったんだぜ?
ミルズレンダに買った建物もあっさり放置しちまうし、コイツってホントなんなんだよって感じだったわ」
「なんか途中から俺の悪口になってね?
大体なー! 俺が大金を金を稼ぐ発端になったのはハロイツァのせいなんだからな!
シンとリーンとトルネは俺に文句言う資格ねぇから!」
「ふふ。誰も文句なんて言ってないわよ。そんな貴方じゃなかったら、私とアサヒも、アリスみたいになってた可能性は低くないんだし、感謝してるわ」
感謝してるのはお互い様だけどな。
ここに居るメンバーが1人でも居なかったら、間違いなく俺は死んでいた。
なんでアイツは、他人に感謝する気持ちが持てなかったんだろう。
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