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11章 新たな都市の建設
489 その後の変化
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タケルに譲渡した旋律の運び手のメンバーは、かなりごっそり減った。
というか、王国民の殆どが脱退し、ほぼ異邦人だけのカンパニーになったようだ。
タケルはこれから転移してくる異邦人の支援活動のために引き継いだだけなので、脱退者が出た事は特に気にしていない。
一方抜けた側の元カンパニーメンバー達は、そのまま独立して活動している者もいれば、元カンパニーパーティ同士がくっついて新たなカンパニーを創設したりしたようだ。
旋律の運び手で行っていた新人冒険者の支援活動については、個人の冒険者に負担させずに各都市が主体となって行うことになったようだ。
いや、そりゃそうだって話だよ。始めっから個人でやるもんじゃねぇ。
ジーンさんとリンシアさんも、国の要請で馬車事業のための組織を新たに立ち上げたらしく、今では社長夫妻となってしまった。
王国に引き継いだ馬車事業が全く再開の目処が立たなかったために、ジーンさんたちが改めて国に任される運びとなったわけだ。
以前馬車事業に携わっていた人たちも、ジーンさんたちの下でならと集まってくれたおかげで、都市間移動馬車サービスはようやく再開に漕ぎ付けたそうだ。
勿論再開に当たって有料化されてしまい、王国解放軍への恨みを募らせる人は減らなかった。
ルイナスリームは未だに異界型迷宮が発生していなくて、迷宮ガチャが続いている。
毎回200人規模の討伐隊を編成して、冒険者の育成と心核の獲得に利用されている。
異邦人達が開く店も増え始めていて、日本の料理を出す店もかなり増えてきた。
しかし調味料を作り出せる異邦人は未だ現れず、なんちゃって和食の域を出ていないのが残念だ。
まぁ食への拘りはみんな非常に強いので、いつかは日本食が再現されるかもしれない。魔法だってあるしね。
スキー場の建設は未だに構想段階から進んでいないが、代わりに無限に降り積もる雪を利用した公衆浴場の建設計画が立ち上がっている。
王国のどこにも入浴施設がないのに、水の無いはずの砂漠エリアに作ってしまおうってんだから、異邦人たちの熱意は凄い。
前はさほどでもなかったけど、今はお風呂の素晴らしさには心から同意するので、頑張って欲しいと思う。協力も辞さないし。
王国からは、異風の旋律のメンバー全員に『破級冒険者』という身分証が作られた。まぁ要するに俺だけの身分証が作られてしまったということだ。
冒険者としても商人としても狩人としても、特級ですらない実績を出してしまったので、俺たちの顔を知らない王国民がトラブルを起こすのを防ぎたい狙いがあるそうだ。
あまりもう王国の各都市に行く用事も無いけどな。
ペルや友人たちに会いに行くくらいか?
すっかり足の遠のいたヴェルトーガでは、今のところ造船技術の研究に重きを置いているらしい。
陸が見えなくなった後の標のような物も未だに用意できておらず、海洋進出には少々手間取っているようだ。
全てのスキルを取得したと言っていたアラタも、やはり水中用スキルの存在は知らなかったらしく、タイデリア家がウミガメさんの島にある補給ポイントに辿り着くのは、もう少し先の話になりそうだ。
逆に壁外エリア進出が順調なのがウィルスレイアで、まずはユリバファルゴア戦跡地のターミナルとウィルスレイアを繋ぐルートの構築に全力を傾けている。
各地で引き継いだ非戦闘員同行制度と、未だにルイナスリームで続いている迷宮ガチャのおかげで職人たちも続々とスキルを獲得し始めており、ウィルスレイアとターミナルのある場所の中間地点にある砂を固めて、宿場町を作り始めている。
足場さえ確保できれば、この世界の建築技術であれば、瞬く間に街の建設は進むだろうな。
ウィルスレイアからルイナスリームへの陸路を拓きたいと、シルグリイド家は意気込んでいるそうだ。
鳥獣保護区は非常に順調に整備されている。
というのもこの世界の動物達、頭が良いのは分かっていたけど、思っていた以上に頭が良すぎた。
魔導具の扱いも教えればこなせるし、畑の管理まで動物達だけでも行えるくらい手間がかからない。
そのうえ、やはり植物にも先天スキルが適用されている疑惑が強く、森林エリアの樹木も、畑で取れる野菜も逞しく育ってくれるのだ。
フィールダーもゲイザーもめちゃくちゃ懐いてくれているけど、殆ど俺たちがいなくても大丈夫になってしまった。
ま、こいつらとは友人でいいんだ。
こいつらだけで問題なく生活できるなら、それに越した事はない。
一応ターミナルの近くに、俺たちがゆっくり泊まれる程度の家を建てたけど、恐らくあまり使う機会は無いだろうなぁ。
カルネジア家とメーデクェイタ家を筆頭に、王国解放軍に参加した貴族家は全て取り潰される事になった。
そうなると王国は混乱するかと思えばそうでもなく、逆に空いた貴族籍を巡って、冒険者達が更に活性化してしまったようだ。
海洋調査への協力や砂漠エリアでの建設協力に始まって、北と南のエリアキーパーの調査や、まだ知られていない動物の発見など、幾つかの課題を王が公示して、達成した者は貴族になって領地を任されるといった流れだ。
比較的難易度の低い東西の課題に冒険者が殺到してしまった為、特にミルズレンダでは冒険者が居なくなって酷い状況のようだ。大変ですね。
リヴァーブ王国が自分達だけ出回り始め、ようやく俺たちは一介の冒険者パーティに戻ることが出来た気がする。
もう俺たちは何処にでも行ける実力があるし、何処でも生きていける能力もある。
さて? これからどんな生活を始めようかな。
少なくとも、エリアキーパーと戦うのだけは絶対に嫌だけど。
というか、王国民の殆どが脱退し、ほぼ異邦人だけのカンパニーになったようだ。
タケルはこれから転移してくる異邦人の支援活動のために引き継いだだけなので、脱退者が出た事は特に気にしていない。
一方抜けた側の元カンパニーメンバー達は、そのまま独立して活動している者もいれば、元カンパニーパーティ同士がくっついて新たなカンパニーを創設したりしたようだ。
旋律の運び手で行っていた新人冒険者の支援活動については、個人の冒険者に負担させずに各都市が主体となって行うことになったようだ。
いや、そりゃそうだって話だよ。始めっから個人でやるもんじゃねぇ。
ジーンさんとリンシアさんも、国の要請で馬車事業のための組織を新たに立ち上げたらしく、今では社長夫妻となってしまった。
王国に引き継いだ馬車事業が全く再開の目処が立たなかったために、ジーンさんたちが改めて国に任される運びとなったわけだ。
以前馬車事業に携わっていた人たちも、ジーンさんたちの下でならと集まってくれたおかげで、都市間移動馬車サービスはようやく再開に漕ぎ付けたそうだ。
勿論再開に当たって有料化されてしまい、王国解放軍への恨みを募らせる人は減らなかった。
ルイナスリームは未だに異界型迷宮が発生していなくて、迷宮ガチャが続いている。
毎回200人規模の討伐隊を編成して、冒険者の育成と心核の獲得に利用されている。
異邦人達が開く店も増え始めていて、日本の料理を出す店もかなり増えてきた。
しかし調味料を作り出せる異邦人は未だ現れず、なんちゃって和食の域を出ていないのが残念だ。
まぁ食への拘りはみんな非常に強いので、いつかは日本食が再現されるかもしれない。魔法だってあるしね。
スキー場の建設は未だに構想段階から進んでいないが、代わりに無限に降り積もる雪を利用した公衆浴場の建設計画が立ち上がっている。
王国のどこにも入浴施設がないのに、水の無いはずの砂漠エリアに作ってしまおうってんだから、異邦人たちの熱意は凄い。
前はさほどでもなかったけど、今はお風呂の素晴らしさには心から同意するので、頑張って欲しいと思う。協力も辞さないし。
王国からは、異風の旋律のメンバー全員に『破級冒険者』という身分証が作られた。まぁ要するに俺だけの身分証が作られてしまったということだ。
冒険者としても商人としても狩人としても、特級ですらない実績を出してしまったので、俺たちの顔を知らない王国民がトラブルを起こすのを防ぎたい狙いがあるそうだ。
あまりもう王国の各都市に行く用事も無いけどな。
ペルや友人たちに会いに行くくらいか?
すっかり足の遠のいたヴェルトーガでは、今のところ造船技術の研究に重きを置いているらしい。
陸が見えなくなった後の標のような物も未だに用意できておらず、海洋進出には少々手間取っているようだ。
全てのスキルを取得したと言っていたアラタも、やはり水中用スキルの存在は知らなかったらしく、タイデリア家がウミガメさんの島にある補給ポイントに辿り着くのは、もう少し先の話になりそうだ。
逆に壁外エリア進出が順調なのがウィルスレイアで、まずはユリバファルゴア戦跡地のターミナルとウィルスレイアを繋ぐルートの構築に全力を傾けている。
各地で引き継いだ非戦闘員同行制度と、未だにルイナスリームで続いている迷宮ガチャのおかげで職人たちも続々とスキルを獲得し始めており、ウィルスレイアとターミナルのある場所の中間地点にある砂を固めて、宿場町を作り始めている。
足場さえ確保できれば、この世界の建築技術であれば、瞬く間に街の建設は進むだろうな。
ウィルスレイアからルイナスリームへの陸路を拓きたいと、シルグリイド家は意気込んでいるそうだ。
鳥獣保護区は非常に順調に整備されている。
というのもこの世界の動物達、頭が良いのは分かっていたけど、思っていた以上に頭が良すぎた。
魔導具の扱いも教えればこなせるし、畑の管理まで動物達だけでも行えるくらい手間がかからない。
そのうえ、やはり植物にも先天スキルが適用されている疑惑が強く、森林エリアの樹木も、畑で取れる野菜も逞しく育ってくれるのだ。
フィールダーもゲイザーもめちゃくちゃ懐いてくれているけど、殆ど俺たちがいなくても大丈夫になってしまった。
ま、こいつらとは友人でいいんだ。
こいつらだけで問題なく生活できるなら、それに越した事はない。
一応ターミナルの近くに、俺たちがゆっくり泊まれる程度の家を建てたけど、恐らくあまり使う機会は無いだろうなぁ。
カルネジア家とメーデクェイタ家を筆頭に、王国解放軍に参加した貴族家は全て取り潰される事になった。
そうなると王国は混乱するかと思えばそうでもなく、逆に空いた貴族籍を巡って、冒険者達が更に活性化してしまったようだ。
海洋調査への協力や砂漠エリアでの建設協力に始まって、北と南のエリアキーパーの調査や、まだ知られていない動物の発見など、幾つかの課題を王が公示して、達成した者は貴族になって領地を任されるといった流れだ。
比較的難易度の低い東西の課題に冒険者が殺到してしまった為、特にミルズレンダでは冒険者が居なくなって酷い状況のようだ。大変ですね。
リヴァーブ王国が自分達だけ出回り始め、ようやく俺たちは一介の冒険者パーティに戻ることが出来た気がする。
もう俺たちは何処にでも行ける実力があるし、何処でも生きていける能力もある。
さて? これからどんな生活を始めようかな。
少なくとも、エリアキーパーと戦うのだけは絶対に嫌だけど。
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