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12章 俺が望んだ異世界生活
490 ベビーラッシュ
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久しぶりに戻ったベイクの実家の家中に響き渡る、元気な鳴き声。
その声を聞いて、追い出されていた俺は部屋の中に突撃する。
「おめでとうトーマさん。元気な女の子よ。トーマさんとリーンの娘で、私の孫になるのね。
さ、トーマさん。抱いてあげてちょうだい。首の下に腕を入れてあげて……、そうそう」
リンシアさんからおっかなびっくり娘を受け取る。
元気に泣いているその姿を見ていると、自然と涙が溢れてくる。
この子が、俺とリーンの娘、なのか……。
自分が父親になったなんて信じられないけれど、それでも涙が溢れて止まらない……。
「トーマー……。私にもお顔を見せて欲しいなー……?」
「っとごめんごめん。今連れて行くよ」
娘をしっかりと抱きかかえながら、大仕事を終えたばかりのリーンの元に近付いた。
真っ赤な顔で汗だくになって、疲れきった状態にしか見えないが、それでも表情だけは穏やかだった。
「ふふ。可愛いねー……。私がお母さんだよー。これから宜しくね」
「リーンもお疲れ様。頑張ってくれてありがとう。
俺、ちゃんとした父親になれるかわかんないけどさ。一緒に育てていこうな。この子を」
生まれた娘には、小さな猫耳が生えていた。
どうやら俺の娘は、リーンの血を受け継いで、猫の亜人として生まれてきたらしい。
ああ、親バカって状態が完全に理解できた。
可愛いなぁ。どれだけ見ていても飽きない。
でもその2日後にトルネも、真っ赤な髪の女の子を出産した為、ゆっくり見ている余裕もなくなってしまったのだが。
「ふふふー。美味しい? いっぱい飲んで、大きくなってねー?」
「ふふ。流石はトーマの子供です。私たちのおっぱいが大好きみたいですね」
「俺を赤ちゃんと同列に並べるの、マジ勘弁してもらえます?」
2人が出産して改めて思うのが、リンカーズでの子育ての簡単さだ。
赤ちゃんにも先天スキルが付与されているため、感染症や病気になる心配が地球よりも圧倒的に少ないし、洗浄を使えば清潔な環境を保つのも非常に簡単だ。
そりゃ救貧院がいっぱいになるくらい子供産む訳だよ。出産のリスクと育児のハードルが、地球とは段違いに低いんだもんな。
そして今や救貧院にも余裕がある。俺たちに多少遅れるだろうけど、王国全体でのベビーブームが始まってもおかしくない……、というよりも始まらない方がおかしい。
2人が出産を向かえる少し前に、俺がこの世界に来て1年が経ったようだ。
ステータスの不老表示が14年になってたからね。
1年前はマッドスライム先生相手に棍棒を振っていたと思うと、感慨深いものがあるな。
1年後の俺は6人の嫁が居るんだぜ! なんて言ったら正気を疑われそうだけどな。
リーンとトルネの出産から少し時間が空いて、次に出産を迎えたのはハルだった。
リーネよりハルのほうが早いのは流石に意外だった。シン、恐ろしい子!
ハルが男の子を出産した後少しして、リーネも女の子を出産した。
俺の子、女の子多すぎ……?
リーネから少し時間を空けて、マーサが男の子を出産した。
ありがとうマーサ! ありがとう息子よ! 異風の旋律の男女比は君達のおかげで守られる!
アサヒが男の子を、カンナが女の子を出産したのは、マーサの出産からあまり時間が空かなかった。
なんかこう、子供の産まれる間隔を深く考えたら落ち込みそうだ。
いやリーンとトルネのほぼ同時出産は仕方ないとは言えさぁ。
マーサからアサヒとカンナの出産の間隔が短すぎるような気がするんですよねー。
自分の手の早さというか、節操のなさみたいなものを突きつけられているような気分になる……。
「今さら何言ってるのー? トーマに節操なんてもう持ってないでしょー?」
「そうですよ。みんなもう2人目、お腹の中にいるじゃないですか。
今となっては、なんで初めて抱いてもらうまであんなに時間かかったのか、理解できませんね」
いやあ? 世間体も法律も気にしなくていいし、経済力は充分な上に出産と子育てのハードルも低い。そしてこの世界の常識はどんどん子供を産もうという方針だ。
そんな状況で最高に魅力的な嫁が6人も居たらですね。我慢できないって言うか、我慢する必要がないって言うか……。
え~っと、俺っていつからこんな感じになったんだっけ……?
なんか『自然治癒力強化』とリカバー覚えたあたりが分岐点だった気がする……。
「ふふふ。いいじゃない、節操なんて要らないわよ。いっぱい子供作ろうねー? トーマ」
「デレデレカンナっちは健在っすねぇ。ま、私も構わないっすよ。私も娘欲しいし」
「ホントだよなぁ。別に男の子で不満はねぇんだけどよ。女の子も可愛いって思っちまうぜ。ま、皆には逆に思われてるんだろうけどよ。
つうわけでトーマ。せめて全員に男女が揃うくらいまでは頑張ってくれや」
はい。全身全霊で頑張らせていただきます!
とまぁ夫婦間で話す分にはまだ良かったんですけどね……?
「ふふ。この子がリーネとトーマさんの娘なのね。リーネに似てとっても可愛いわ。
ありがとうトーマさん。貴方は本当にリーネを幸せにしてくれたんですね」
「ふふふー、シスター……! もう2人目も出来てるんだよっ……!
私、年齢的に他の皆よりも産める人数が少ないと思うけど、トーマの赤ちゃん、いっぱい産むからねっ……!」
「あらあら。リーネは本当にトーマさんが大好きで仕方ないみたいね。
トーマさん。この調子でリーネにいっぱい子供を産ませてあげてくださいね?」
……なんだろう。
お義母さんに出産を促される旦那ってこんな気分なの?
も、物凄く居たたまれねぇ~……!
笑顔で娘をもっと孕ませてね! とか勘弁して欲しい!
まぁ孕ますと思うけど? 頑張りますけどぉ?
その声を聞いて、追い出されていた俺は部屋の中に突撃する。
「おめでとうトーマさん。元気な女の子よ。トーマさんとリーンの娘で、私の孫になるのね。
さ、トーマさん。抱いてあげてちょうだい。首の下に腕を入れてあげて……、そうそう」
リンシアさんからおっかなびっくり娘を受け取る。
元気に泣いているその姿を見ていると、自然と涙が溢れてくる。
この子が、俺とリーンの娘、なのか……。
自分が父親になったなんて信じられないけれど、それでも涙が溢れて止まらない……。
「トーマー……。私にもお顔を見せて欲しいなー……?」
「っとごめんごめん。今連れて行くよ」
娘をしっかりと抱きかかえながら、大仕事を終えたばかりのリーンの元に近付いた。
真っ赤な顔で汗だくになって、疲れきった状態にしか見えないが、それでも表情だけは穏やかだった。
「ふふ。可愛いねー……。私がお母さんだよー。これから宜しくね」
「リーンもお疲れ様。頑張ってくれてありがとう。
俺、ちゃんとした父親になれるかわかんないけどさ。一緒に育てていこうな。この子を」
生まれた娘には、小さな猫耳が生えていた。
どうやら俺の娘は、リーンの血を受け継いで、猫の亜人として生まれてきたらしい。
ああ、親バカって状態が完全に理解できた。
可愛いなぁ。どれだけ見ていても飽きない。
でもその2日後にトルネも、真っ赤な髪の女の子を出産した為、ゆっくり見ている余裕もなくなってしまったのだが。
「ふふふー。美味しい? いっぱい飲んで、大きくなってねー?」
「ふふ。流石はトーマの子供です。私たちのおっぱいが大好きみたいですね」
「俺を赤ちゃんと同列に並べるの、マジ勘弁してもらえます?」
2人が出産して改めて思うのが、リンカーズでの子育ての簡単さだ。
赤ちゃんにも先天スキルが付与されているため、感染症や病気になる心配が地球よりも圧倒的に少ないし、洗浄を使えば清潔な環境を保つのも非常に簡単だ。
そりゃ救貧院がいっぱいになるくらい子供産む訳だよ。出産のリスクと育児のハードルが、地球とは段違いに低いんだもんな。
そして今や救貧院にも余裕がある。俺たちに多少遅れるだろうけど、王国全体でのベビーブームが始まってもおかしくない……、というよりも始まらない方がおかしい。
2人が出産を向かえる少し前に、俺がこの世界に来て1年が経ったようだ。
ステータスの不老表示が14年になってたからね。
1年前はマッドスライム先生相手に棍棒を振っていたと思うと、感慨深いものがあるな。
1年後の俺は6人の嫁が居るんだぜ! なんて言ったら正気を疑われそうだけどな。
リーンとトルネの出産から少し時間が空いて、次に出産を迎えたのはハルだった。
リーネよりハルのほうが早いのは流石に意外だった。シン、恐ろしい子!
ハルが男の子を出産した後少しして、リーネも女の子を出産した。
俺の子、女の子多すぎ……?
リーネから少し時間を空けて、マーサが男の子を出産した。
ありがとうマーサ! ありがとう息子よ! 異風の旋律の男女比は君達のおかげで守られる!
アサヒが男の子を、カンナが女の子を出産したのは、マーサの出産からあまり時間が空かなかった。
なんかこう、子供の産まれる間隔を深く考えたら落ち込みそうだ。
いやリーンとトルネのほぼ同時出産は仕方ないとは言えさぁ。
マーサからアサヒとカンナの出産の間隔が短すぎるような気がするんですよねー。
自分の手の早さというか、節操のなさみたいなものを突きつけられているような気分になる……。
「今さら何言ってるのー? トーマに節操なんてもう持ってないでしょー?」
「そうですよ。みんなもう2人目、お腹の中にいるじゃないですか。
今となっては、なんで初めて抱いてもらうまであんなに時間かかったのか、理解できませんね」
いやあ? 世間体も法律も気にしなくていいし、経済力は充分な上に出産と子育てのハードルも低い。そしてこの世界の常識はどんどん子供を産もうという方針だ。
そんな状況で最高に魅力的な嫁が6人も居たらですね。我慢できないって言うか、我慢する必要がないって言うか……。
え~っと、俺っていつからこんな感じになったんだっけ……?
なんか『自然治癒力強化』とリカバー覚えたあたりが分岐点だった気がする……。
「ふふふ。いいじゃない、節操なんて要らないわよ。いっぱい子供作ろうねー? トーマ」
「デレデレカンナっちは健在っすねぇ。ま、私も構わないっすよ。私も娘欲しいし」
「ホントだよなぁ。別に男の子で不満はねぇんだけどよ。女の子も可愛いって思っちまうぜ。ま、皆には逆に思われてるんだろうけどよ。
つうわけでトーマ。せめて全員に男女が揃うくらいまでは頑張ってくれや」
はい。全身全霊で頑張らせていただきます!
とまぁ夫婦間で話す分にはまだ良かったんですけどね……?
「ふふ。この子がリーネとトーマさんの娘なのね。リーネに似てとっても可愛いわ。
ありがとうトーマさん。貴方は本当にリーネを幸せにしてくれたんですね」
「ふふふー、シスター……! もう2人目も出来てるんだよっ……!
私、年齢的に他の皆よりも産める人数が少ないと思うけど、トーマの赤ちゃん、いっぱい産むからねっ……!」
「あらあら。リーネは本当にトーマさんが大好きで仕方ないみたいね。
トーマさん。この調子でリーネにいっぱい子供を産ませてあげてくださいね?」
……なんだろう。
お義母さんに出産を促される旦那ってこんな気分なの?
も、物凄く居たたまれねぇ~……!
笑顔で娘をもっと孕ませてね! とか勘弁して欲しい!
まぁ孕ますと思うけど? 頑張りますけどぉ?
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