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12章 俺が望んだ異世界生活
491 やりたいこと
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砂漠側の別荘で夜を明かし、外に出て日の出を見る。
いつも通り雲の境界線がはっきりしていて面白い景色だと思う。
そしてこの別荘の標高高すぎるな。おかげで景色最高だけど、今考えるとやりすぎだわ。
「おはよートーマ。相変わらず朝早いよねー? 夜どれだけ起きてても起きる時間は変わらないねー」
声をかけられたので目を向けると、リーンが1人でこちらに歩いてきていた。
娘はまだ寝ているんだろうな。
「おはようリーン。そう言うリーンは珍しいな。いつももう少し寝てるだろうに」
「うーん、なんとなく? トーマが起きる気配で目が覚めちゃった。
せっかく早く目が覚めたんだし、トーマを独り占めするのもいいかなーってね?」
「はは。相変わらずリーンは可愛いお嫁さんで困ったもんだよ。
初めて会った時は、リーンと家族になるなんて思いもしなかったのになぁ」
「ふふーん。私は出会った頃からトーマのお嫁さんになるような気はしてたけどねー?
おかげでこの世界で1番幸せなお嫁さんにしてもらっちゃったよー」
隣りに並んだリーンの肩を抱いて、2人で日の出を楽しむ。
「それにしてもリーンも背が伸びてきたよな。これからどんどん綺麗になるなんて勘弁してくれよ。既にセンパイにはメロメロだっていうのにさ」
「いくらでも惚れ直しちゃってくれて良いんだよ? 先輩の私がちゃーんと受け止めてあげるからねー。
受け止めてあげるから、これからもずーっと好きでいてね?」
朝の日を浴びながら口付けを交わす。
少し高くなったリーンの身長に、リーンと過ごした時間の長さを感じる。
「ねぇトーマ。そろそろ何かしたくなってきたんじゃない?」
「え……?」
「トーマはまだ、この世界でしたい事が沢山あるじゃないのかなって、さっき日の出を見ているときに思ったの。
もししたいことがあるなら皆にも教えてね? 我慢したり、勝手にいなくなったりしたらイヤだからねー?」
日の出を見ていたとき、何を考えていたんだっけな。
漠然と、この景色の先はどうなっているんだろう、そんな風に思っていたかもしれない。
不安げな表情で俺を見てくるリーンの額に口付けを落す。
「ありがとうリーン。なんとなく、この先はどうなってるのかなって思ってただけだよ。我慢もしてないし、急に居なくなるつもりもないよ。何かしたくなったらちゃんと皆に相談するさ。
さ、中に入ろう。そろそろ朝食の準備を始めないと、ちびっ子たちが暴れ出すからな」
「あ、トーマ。お家まで抱っこして運んで欲しいなー?
それまではお母さんじゃなくてお嫁さんでいたいなーって。ダメかなー?」
「はは。子供を産んだってみんな俺の大好きなお嫁さんなんだけどな。
ま、そのくらいならお安い御用だリーン。いつでも、いつまでも俺の可愛いお嫁さんだよリーンは」
リーンを横抱きにして、しがみ付くリーンの体温を感じながら家の中に戻った。
「ねぇトーマ。僕ちょっと王国内を自分の足で旅してみたいと思ってるんだ」
戦争のような朝食を終えてから、シンが突然そんなことを言い出した。
「トーマと一緒に居てさ。僕はまだ人生経験が足りないんじゃないかなって思うことが多かったんだ。
リヴァーブ王国ではまだまだ色々な経験が出来ると思うし、少し1人で国中を見て回りたいんだよね」
「そりゃあ構わないけど、1人で? ハルは一緒に行かなくていいの?」
「うん。私は子育てに専念するよ。それにねぇ、国が1つしかないから、あまり旅行って感じもないでしょ?
シンにもゲートを覚えてもらったし、私は家でシンを待つことにしようかなって」
まぁ0歳児を連れて旅行ってのはいくらなんでもなぁ。
子供の記憶にだって残らないだろうし。
「それでトーマの方はどうするの? このままずっと子供と暮らすのも良いんだろうけれど、そろそろウズウズしてきてるように見えるんだけど」
「え、マジで? 俺そんなにウズウズしてるように見えんの?」
「うん。なんか良く遠くを見てるようには感じるかな? 育児が楽しいのは本音なんだろうけどね。
6人もお嫁さんがいるんだから、トーマ1人くらい居なくても平気でしょ。私だって一緒にいるから、実質7人家に残ってるわけだし?」
う~ん、自覚はなかったけどな。思い返せば、少し物足りなさを感じる日々だったのかもしれないなぁ。
うちは人手が足りないようなこともないし、俺がいないと回らないようなこともないか。
それじゃあ少し考えてみようかな?
俺ってこれから何をしたいんだろうなって。
各地の動物と戯れながら考えてみる。
あれからペルとガルムはめでたく番いとなって、既に3匹ほど子供が生まれている。
子供達は銀の乙女の拠点で暮らしているためか、ペルに似てよく鳴きながら元気に育っている。
スナネコたちも新たに子供が生まれ、11匹まで数を増やしている。
基本的にはルイナスリーム近くに作ったスナネコハウスで暮らしているけど、こいつらは基本自由に砂漠中を走り回っているみたいだ。
ウミガメさんも俺達から食事がもらえているおかげか、3匹ほど子亀が増えていた。
卵とか見当たらなかったんだけど、どうやって増えたのかな?
生まれたばかりの子亀は手のひらサイズで、外敵のいない別荘の浜辺で自由に泳いでいる。
フィールダーとゲイザーも自分達で餌を賄えるようになったおかげか、フィールダーは14→17頭に、ゲイザーは50羽近くまで数を増やしている。
フィールダーの1頭はシンの国内旅に協力することが決まっていて、フィールダーの機動力を王国中に知らしめる良いきっかけになりそうだ。
結局、今のところ他の動物の発見には到らず、彼らは未だに絶滅の危機に瀕しているのは間違いない。
そして安住の地と充分な食料さえ提供できれば、ちゃんと数を増やしてくれることも分かった。
ならやっぱり俺がしたい事は、まだ見ぬ動物達を助けることだよな。
リンカーズ中を回って、魔物に怯える動物達を保護していこうじゃないか。
よし、早速皆に相談してみようっと。
いつも通り雲の境界線がはっきりしていて面白い景色だと思う。
そしてこの別荘の標高高すぎるな。おかげで景色最高だけど、今考えるとやりすぎだわ。
「おはよートーマ。相変わらず朝早いよねー? 夜どれだけ起きてても起きる時間は変わらないねー」
声をかけられたので目を向けると、リーンが1人でこちらに歩いてきていた。
娘はまだ寝ているんだろうな。
「おはようリーン。そう言うリーンは珍しいな。いつももう少し寝てるだろうに」
「うーん、なんとなく? トーマが起きる気配で目が覚めちゃった。
せっかく早く目が覚めたんだし、トーマを独り占めするのもいいかなーってね?」
「はは。相変わらずリーンは可愛いお嫁さんで困ったもんだよ。
初めて会った時は、リーンと家族になるなんて思いもしなかったのになぁ」
「ふふーん。私は出会った頃からトーマのお嫁さんになるような気はしてたけどねー?
おかげでこの世界で1番幸せなお嫁さんにしてもらっちゃったよー」
隣りに並んだリーンの肩を抱いて、2人で日の出を楽しむ。
「それにしてもリーンも背が伸びてきたよな。これからどんどん綺麗になるなんて勘弁してくれよ。既にセンパイにはメロメロだっていうのにさ」
「いくらでも惚れ直しちゃってくれて良いんだよ? 先輩の私がちゃーんと受け止めてあげるからねー。
受け止めてあげるから、これからもずーっと好きでいてね?」
朝の日を浴びながら口付けを交わす。
少し高くなったリーンの身長に、リーンと過ごした時間の長さを感じる。
「ねぇトーマ。そろそろ何かしたくなってきたんじゃない?」
「え……?」
「トーマはまだ、この世界でしたい事が沢山あるじゃないのかなって、さっき日の出を見ているときに思ったの。
もししたいことがあるなら皆にも教えてね? 我慢したり、勝手にいなくなったりしたらイヤだからねー?」
日の出を見ていたとき、何を考えていたんだっけな。
漠然と、この景色の先はどうなっているんだろう、そんな風に思っていたかもしれない。
不安げな表情で俺を見てくるリーンの額に口付けを落す。
「ありがとうリーン。なんとなく、この先はどうなってるのかなって思ってただけだよ。我慢もしてないし、急に居なくなるつもりもないよ。何かしたくなったらちゃんと皆に相談するさ。
さ、中に入ろう。そろそろ朝食の準備を始めないと、ちびっ子たちが暴れ出すからな」
「あ、トーマ。お家まで抱っこして運んで欲しいなー?
それまではお母さんじゃなくてお嫁さんでいたいなーって。ダメかなー?」
「はは。子供を産んだってみんな俺の大好きなお嫁さんなんだけどな。
ま、そのくらいならお安い御用だリーン。いつでも、いつまでも俺の可愛いお嫁さんだよリーンは」
リーンを横抱きにして、しがみ付くリーンの体温を感じながら家の中に戻った。
「ねぇトーマ。僕ちょっと王国内を自分の足で旅してみたいと思ってるんだ」
戦争のような朝食を終えてから、シンが突然そんなことを言い出した。
「トーマと一緒に居てさ。僕はまだ人生経験が足りないんじゃないかなって思うことが多かったんだ。
リヴァーブ王国ではまだまだ色々な経験が出来ると思うし、少し1人で国中を見て回りたいんだよね」
「そりゃあ構わないけど、1人で? ハルは一緒に行かなくていいの?」
「うん。私は子育てに専念するよ。それにねぇ、国が1つしかないから、あまり旅行って感じもないでしょ?
シンにもゲートを覚えてもらったし、私は家でシンを待つことにしようかなって」
まぁ0歳児を連れて旅行ってのはいくらなんでもなぁ。
子供の記憶にだって残らないだろうし。
「それでトーマの方はどうするの? このままずっと子供と暮らすのも良いんだろうけれど、そろそろウズウズしてきてるように見えるんだけど」
「え、マジで? 俺そんなにウズウズしてるように見えんの?」
「うん。なんか良く遠くを見てるようには感じるかな? 育児が楽しいのは本音なんだろうけどね。
6人もお嫁さんがいるんだから、トーマ1人くらい居なくても平気でしょ。私だって一緒にいるから、実質7人家に残ってるわけだし?」
う~ん、自覚はなかったけどな。思い返せば、少し物足りなさを感じる日々だったのかもしれないなぁ。
うちは人手が足りないようなこともないし、俺がいないと回らないようなこともないか。
それじゃあ少し考えてみようかな?
俺ってこれから何をしたいんだろうなって。
各地の動物と戯れながら考えてみる。
あれからペルとガルムはめでたく番いとなって、既に3匹ほど子供が生まれている。
子供達は銀の乙女の拠点で暮らしているためか、ペルに似てよく鳴きながら元気に育っている。
スナネコたちも新たに子供が生まれ、11匹まで数を増やしている。
基本的にはルイナスリーム近くに作ったスナネコハウスで暮らしているけど、こいつらは基本自由に砂漠中を走り回っているみたいだ。
ウミガメさんも俺達から食事がもらえているおかげか、3匹ほど子亀が増えていた。
卵とか見当たらなかったんだけど、どうやって増えたのかな?
生まれたばかりの子亀は手のひらサイズで、外敵のいない別荘の浜辺で自由に泳いでいる。
フィールダーとゲイザーも自分達で餌を賄えるようになったおかげか、フィールダーは14→17頭に、ゲイザーは50羽近くまで数を増やしている。
フィールダーの1頭はシンの国内旅に協力することが決まっていて、フィールダーの機動力を王国中に知らしめる良いきっかけになりそうだ。
結局、今のところ他の動物の発見には到らず、彼らは未だに絶滅の危機に瀕しているのは間違いない。
そして安住の地と充分な食料さえ提供できれば、ちゃんと数を増やしてくれることも分かった。
ならやっぱり俺がしたい事は、まだ見ぬ動物達を助けることだよな。
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よし、早速皆に相談してみようっと。
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