537 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活
492 出発
しおりを挟む
「俺は世界中を回って、まだ見ぬ動物達と友達になりたいと思うんだ」
その日の夜に皆に話すと、どうぞどうぞ、と非常に軽いノリで受け入れられてしまった。
しかし話し合っていくつかルールを決める事に。
1つ。基本的にエリアキーパーとの戦闘は避けること。もしもどうしても戦闘が避けられない場合は必ず勝利して生還する事。
2つ。長くても5日以内には必ず家に戻ること。遠くに行ってもゲートさえあれば簡単に帰ってこられるので、エリアごとに1つか2つはターミナルで拠点を作りつつ進むこと。
3つ。仲良くなった動物は必ず家族にも紹介すること。その為小さい子供達でも問題なく過ごせるような簡易拠点を、各地にいくつか建設すること。
大まかにはこの3つくらいだ。
細かい事を決めても仕方ない。無事に帰ってきて、家族と楽しく暮らす為の決まり事なんだから。
「それじゃ旅の開始日は僕と合わせようか。お互いほとんど毎日家には戻る事にはなるんだけどさ。
始めにどのエリアに向かうかは決めてるの?」
「ああ。やっぱり気になるのはミルズレンダ方面の動物だよな。山岳地帯だけまだ確認出来てないから、まずは南から調査してみたいと思ってる」
「確かに山岳地帯の動物がまだ見つかってねぇんだよなぁ。でもミルズレンダに居た頃にそんな話は聞かなかったし、やっぱり手探りで探さなきゃならねぇぜトーマ?」
「手探りなのは仕方ないよ。というか動物探しはガルム以外全部手探りだったからな。今後更に先のエリアまで進むことを考えたら、手探りの調査に慣れておかないといけないし」
「子供が手を離れたら一緒に付いていきたいけど、何年かは無理だよね……。出来るだけ沢山トーマの子供産みたいしー……」
「毎年7人ずつ子供が増えるとなると、別荘の拡張も必要になりそうですねぇ。
ウミガメさんのところはあまり広くするわけには行きませんが、こちら側の別荘はいくら建物を増やしても余裕がありますし、100人以上子供作っても大丈夫でしょう」
「1人当たり14人は生まなきゃいけないわね。勿論もっと欲しいならいくらでも産んであげるからねトーマ」
「もうデレデレを通り越して、若干ヤンデレ入ってないっすかね?
子供100人っすか。大家族ってレベルじゃないっすねぇ」
嫁の顔を見渡した感じ、いけるような気がするけどね、うん。
「そんじゃ明日はルイナスリームに行って祝福の儀を受けて、その後は別行動って事になるな。
俺はミルズレンダに、シンは保護区に向かうことになるのかね」
「急に話題を変えたようにしか思えないけど、その流れでいいんじゃないかな。
それとトーマはこれからターミナルを沢山使うようになると思うから、野良迷宮とかが見つかったら心核は確保しておくね。
タケルから買ってもいいけど、足りているうちは自前で用意しよう」
よし。新たな旅の目標は決まった。あとは出発するだけだ。
その日の夜は100人計画の為というわけではないけれど、盛大に門出を祝ってもらった。
次の朝、ソロ探索はせずにシンと2人でルイナスリームに向かう。
追加で転移して来た異邦人が増え始め、現在ルイナスリームでは500人近い異邦人が定住し、異邦人が経営する商店などもそこそこ出店され始め、賑わいを見せている。
残念ながらスキー場の建設には到っていないけどね。
適当に食事を収納してから祝福の儀を受ける。
水中系スキルを取得して以来の祝福の儀だったので、既にSPは3000万を超えている。
残っていた魔法強化系スキルと『魔力量増加:大』を取得すると、現時点で取得できるスキルはなくなった。
うーん、これはどう捉えるべきなんだろうな。
実際俺とシンは、ここまでのスキル構成でもエリアキーパーを打倒する事が可能だったわけだ。
これで基本スキルの取得が完了したと考えるなら、エリアキーパーを超える存在はリンカーズには存在していない、と考えて良いんだろうか?
あまり楽観するのも危険かもしれないけれど、少なくともSP稼ぎをする必要性は、今のところなくなったと思っていいかなぁ。
スキル神殿の入り口で、2人でゲートを詠唱する。
「当面の目標は、管理ダンジョン全ての踏破と、存在が確認出来ている都市や村を全て回ってみることかな?
とにかく色んな事を経験して、この国で僕が何をしていくべきかをゆっくり考えたいと思ってる」
「俺の当面の目標は言うまでもなく、山岳エリアに生息する動物の発見と保護だな。それに成功したら、そのままエリアキーパーを無視して他のエリアに足を運べるか、試してみようと思ってる。
世界中の動物を調査してみたいけど、その為にエリアキーパーを全て倒さなきゃいけないなんて、冗談じゃねぇからな」
「そうだね……。出来れば僕ももう2度と戦いたくないよ。
それに多少時間がかかるにしても、王国民だけでエリアキーパーを倒せるようにならないと、いつか滅亡するのは避けられないもんね」
そして2つのゲートが同時に開く。
「なんか前にシンたちと別れなきゃいけなかったときは、凄ぇ寂しいって思ったんだけどさ。今回はなんか全然そんな気にならないんだよな。
あの時と比べりゃ、お互い成長したもんだと思うよ」
「それにまぁ……。ゲートでちょくちょく家に帰らなきゃいけない旅だからね。別々の道を選んだっていうのに、殆ど毎日顔を合わせる事になると思うよ?
そりゃあ寂しいなんて思うわけないさ」
確かにその通りだなと、2人で大笑いする。
最後に軽く拳をぶつけて、俺たちは同時に別々のゲートに飛び込んだ。
その日の夜に皆に話すと、どうぞどうぞ、と非常に軽いノリで受け入れられてしまった。
しかし話し合っていくつかルールを決める事に。
1つ。基本的にエリアキーパーとの戦闘は避けること。もしもどうしても戦闘が避けられない場合は必ず勝利して生還する事。
2つ。長くても5日以内には必ず家に戻ること。遠くに行ってもゲートさえあれば簡単に帰ってこられるので、エリアごとに1つか2つはターミナルで拠点を作りつつ進むこと。
3つ。仲良くなった動物は必ず家族にも紹介すること。その為小さい子供達でも問題なく過ごせるような簡易拠点を、各地にいくつか建設すること。
大まかにはこの3つくらいだ。
細かい事を決めても仕方ない。無事に帰ってきて、家族と楽しく暮らす為の決まり事なんだから。
「それじゃ旅の開始日は僕と合わせようか。お互いほとんど毎日家には戻る事にはなるんだけどさ。
始めにどのエリアに向かうかは決めてるの?」
「ああ。やっぱり気になるのはミルズレンダ方面の動物だよな。山岳地帯だけまだ確認出来てないから、まずは南から調査してみたいと思ってる」
「確かに山岳地帯の動物がまだ見つかってねぇんだよなぁ。でもミルズレンダに居た頃にそんな話は聞かなかったし、やっぱり手探りで探さなきゃならねぇぜトーマ?」
「手探りなのは仕方ないよ。というか動物探しはガルム以外全部手探りだったからな。今後更に先のエリアまで進むことを考えたら、手探りの調査に慣れておかないといけないし」
「子供が手を離れたら一緒に付いていきたいけど、何年かは無理だよね……。出来るだけ沢山トーマの子供産みたいしー……」
「毎年7人ずつ子供が増えるとなると、別荘の拡張も必要になりそうですねぇ。
ウミガメさんのところはあまり広くするわけには行きませんが、こちら側の別荘はいくら建物を増やしても余裕がありますし、100人以上子供作っても大丈夫でしょう」
「1人当たり14人は生まなきゃいけないわね。勿論もっと欲しいならいくらでも産んであげるからねトーマ」
「もうデレデレを通り越して、若干ヤンデレ入ってないっすかね?
子供100人っすか。大家族ってレベルじゃないっすねぇ」
嫁の顔を見渡した感じ、いけるような気がするけどね、うん。
「そんじゃ明日はルイナスリームに行って祝福の儀を受けて、その後は別行動って事になるな。
俺はミルズレンダに、シンは保護区に向かうことになるのかね」
「急に話題を変えたようにしか思えないけど、その流れでいいんじゃないかな。
それとトーマはこれからターミナルを沢山使うようになると思うから、野良迷宮とかが見つかったら心核は確保しておくね。
タケルから買ってもいいけど、足りているうちは自前で用意しよう」
よし。新たな旅の目標は決まった。あとは出発するだけだ。
その日の夜は100人計画の為というわけではないけれど、盛大に門出を祝ってもらった。
次の朝、ソロ探索はせずにシンと2人でルイナスリームに向かう。
追加で転移して来た異邦人が増え始め、現在ルイナスリームでは500人近い異邦人が定住し、異邦人が経営する商店などもそこそこ出店され始め、賑わいを見せている。
残念ながらスキー場の建設には到っていないけどね。
適当に食事を収納してから祝福の儀を受ける。
水中系スキルを取得して以来の祝福の儀だったので、既にSPは3000万を超えている。
残っていた魔法強化系スキルと『魔力量増加:大』を取得すると、現時点で取得できるスキルはなくなった。
うーん、これはどう捉えるべきなんだろうな。
実際俺とシンは、ここまでのスキル構成でもエリアキーパーを打倒する事が可能だったわけだ。
これで基本スキルの取得が完了したと考えるなら、エリアキーパーを超える存在はリンカーズには存在していない、と考えて良いんだろうか?
あまり楽観するのも危険かもしれないけれど、少なくともSP稼ぎをする必要性は、今のところなくなったと思っていいかなぁ。
スキル神殿の入り口で、2人でゲートを詠唱する。
「当面の目標は、管理ダンジョン全ての踏破と、存在が確認出来ている都市や村を全て回ってみることかな?
とにかく色んな事を経験して、この国で僕が何をしていくべきかをゆっくり考えたいと思ってる」
「俺の当面の目標は言うまでもなく、山岳エリアに生息する動物の発見と保護だな。それに成功したら、そのままエリアキーパーを無視して他のエリアに足を運べるか、試してみようと思ってる。
世界中の動物を調査してみたいけど、その為にエリアキーパーを全て倒さなきゃいけないなんて、冗談じゃねぇからな」
「そうだね……。出来れば僕ももう2度と戦いたくないよ。
それに多少時間がかかるにしても、王国民だけでエリアキーパーを倒せるようにならないと、いつか滅亡するのは避けられないもんね」
そして2つのゲートが同時に開く。
「なんか前にシンたちと別れなきゃいけなかったときは、凄ぇ寂しいって思ったんだけどさ。今回はなんか全然そんな気にならないんだよな。
あの時と比べりゃ、お互い成長したもんだと思うよ」
「それにまぁ……。ゲートでちょくちょく家に帰らなきゃいけない旅だからね。別々の道を選んだっていうのに、殆ど毎日顔を合わせる事になると思うよ?
そりゃあ寂しいなんて思うわけないさ」
確かにその通りだなと、2人で大笑いする。
最後に軽く拳をぶつけて、俺たちは同時に別々のゲートに飛び込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる