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12章 俺が望んだ異世界生活
493 山岳エリアの巨人
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久しぶりにミルズレンダに足を運んだ訳だけど、まぁびっくりするくらい寂れてしまってるなぁ。
ミルズレンダは殆ど街ぐるみで王国解放軍に参加してしまった過去があるので、現在王国でもかなり浮いた存在となってしまっている。
王の褒美で譲渡される領地になっているのだが、未だミルズレンダを治めたいという人物は現れておらず、ネヴァルドから派遣された代官が都市を運営しているようだ。
まぁ自業自得だな。知らん知らん。
俺が吹き飛ばしてやった狩人ギルドも再建が済んでいるけど、この街の施設は何1つ利用する気にはならないので、そのまま徒歩で国境壁外へ向かう。
流石に動物達の足には及ばないが、今の俺は馬車を引いたアサルトドラゴンよりは速く走れるからな。ストレージもあるしゲートもあるから、狩人の案内は必要ない。
山岳エリアと言うだけあって、リヴァーブ王国の南エリアは高い岩山が連なった苛酷な環境だ。
狩人達は山と山の間を縫って探索し、このエリアの魔物を狩って生計を立てている。
けどまぁ今の俺なら岩山の上に登ることも出来るし、山を縫って移動する必要もない。
山の上まで行ったらジャンプでの転移移動を繰り返すという手もあるし、3次元的な移動を試みるのも一興だ。
「それじゃあ助走をつけて……、っとぉ!」
思い切りジャンプして、目の前の岩山のなるべく高い場所に飛びつく。
足場があれば上に飛び、足場がなければウェブクラフターで即興の足場を用意していく。
これはクライミングとは言わないだろうなぁ。
10分くらい登り続けると、周囲が微妙に霧がかってきた。これってもしかして雲だったりする?
雲の高さって地表から2キロメートルくらいなんだっけ? だとすると既に別荘の高さくらいは追い抜いたのかなぁ。
気にせず登っていくと霧が晴れた。下を見るとやはり雲だったみたいで、岩山に雲が纏わり付いているのがよく分かる。
雲より高い山が連なってるエリアってのもなかなかだなぁ。
そりゃあ国土の拡張が進まなくても仕方なかったのかも。
ようやく山頂が見えた。高いなー。
こんな場所に進出するには、どんな街作りをすればいいんだろ?
いつぞや俺たちが襲撃を受けたような場所を利用して、洞窟に街を作るのがいいのかもしれない。
全員が『暗視』を使えるのであれば、採光を考えなくてもいいんだし。
岩山の天辺に到着する。
頂上は5歩も歩けば転落してしまうくらいの狭さだった。
ま、別に山頂でなにをしようって訳じゃない。単に周りの地形を確認して、可能ならそのまま移動したかったから登っただけだ。
さーてと、周りはどうなって……。
「なん、だ。あれは……?」
景色を確認しようとした俺の視界に、異常なものが飛び込んできた。
周囲も全て雲より高い岩山なのに、更にそれ以上にでかい巨人が、遥か遠くに佇んでいるのだ。
今までの経験で直感する。
あいつが山岳地帯のエリアキーパーに間違いない。
なんだっけ? グラメダワルケア、とか言ったっけ。
でもまぁ……。ユリバファルゴアと比べりゃあ、まだ常識的なサイズしてる気はする。
ちょっと自分の中の魔物の基準がぶっ壊れちまってる気がするけど、そもそもエリアキーパーって存在がバグッてる気がして仕方ない。
ここからだと正確には判断出来ないけれど、周囲の岩山よりも胸から上か出てるあたり、5キロメートル以上はあるんじゃないのかな?
え、スーパーロボットでもあんなに大きな人型ロボットってあんまりいない気がするんだけど。
色は周囲の岩山に溶け込む茶色に近い土色をしてる。
目は多分閉じてるかなー? 『遠見』を使っても良いんだけど、魔力を感知されたくないし自重しておこう。
気になるのは全く動いてないことと、鎧のようなものを身につけているということだ。
そういう魔物だと言われればそれまでなんだろうけど、あいつを倒せばあの鎧の素材とか手に入るのかな?
そして着衣しているということは、下から見上げて目が潰れるような事態も避けられそうではある。
しかし、見れば見るほど人間にしか見えない外見をしている。サイズを考慮しなければ、の話だけどさ。
ある程度の知能があり、一定水準の戦闘技術を備えており、多彩な魔法は使ってくると見た方がいいだろうなぁ。
絶対に戦いたくはないけど、あっちに感知される可能性はあるからな。不慮の事態に備えて、戦闘する時の想定はしておくべきだ。
ただ、姿が常に見れるのはありがたい要素でもある。
所在が常に分かっている上に、感知されたら間違いなくリアクションが見られるだろう。
でも山よりでかいような相手が走ってきたら、逃げ切れるとはとても思えない。
ちょっとコンビニに行ってくる様な感覚でエリアを跨げてしまいそうだ。
とはいえ、ここでビビッてたって何も始まらないんだよな。
俺の目的は動物の捜索と保護。グラメダワルケアさんと戦いに来たわけじゃないんだ。
警戒はしなきゃいけないけど、必要以上にビビる必要だってない。
まずはグラメダワルケアの縄張りの範囲を確認したいな。
そして俺は隣りの岩山に向かって、ジャンプで転移を始めたのだった。
ミルズレンダは殆ど街ぐるみで王国解放軍に参加してしまった過去があるので、現在王国でもかなり浮いた存在となってしまっている。
王の褒美で譲渡される領地になっているのだが、未だミルズレンダを治めたいという人物は現れておらず、ネヴァルドから派遣された代官が都市を運営しているようだ。
まぁ自業自得だな。知らん知らん。
俺が吹き飛ばしてやった狩人ギルドも再建が済んでいるけど、この街の施設は何1つ利用する気にはならないので、そのまま徒歩で国境壁外へ向かう。
流石に動物達の足には及ばないが、今の俺は馬車を引いたアサルトドラゴンよりは速く走れるからな。ストレージもあるしゲートもあるから、狩人の案内は必要ない。
山岳エリアと言うだけあって、リヴァーブ王国の南エリアは高い岩山が連なった苛酷な環境だ。
狩人達は山と山の間を縫って探索し、このエリアの魔物を狩って生計を立てている。
けどまぁ今の俺なら岩山の上に登ることも出来るし、山を縫って移動する必要もない。
山の上まで行ったらジャンプでの転移移動を繰り返すという手もあるし、3次元的な移動を試みるのも一興だ。
「それじゃあ助走をつけて……、っとぉ!」
思い切りジャンプして、目の前の岩山のなるべく高い場所に飛びつく。
足場があれば上に飛び、足場がなければウェブクラフターで即興の足場を用意していく。
これはクライミングとは言わないだろうなぁ。
10分くらい登り続けると、周囲が微妙に霧がかってきた。これってもしかして雲だったりする?
雲の高さって地表から2キロメートルくらいなんだっけ? だとすると既に別荘の高さくらいは追い抜いたのかなぁ。
気にせず登っていくと霧が晴れた。下を見るとやはり雲だったみたいで、岩山に雲が纏わり付いているのがよく分かる。
雲より高い山が連なってるエリアってのもなかなかだなぁ。
そりゃあ国土の拡張が進まなくても仕方なかったのかも。
ようやく山頂が見えた。高いなー。
こんな場所に進出するには、どんな街作りをすればいいんだろ?
いつぞや俺たちが襲撃を受けたような場所を利用して、洞窟に街を作るのがいいのかもしれない。
全員が『暗視』を使えるのであれば、採光を考えなくてもいいんだし。
岩山の天辺に到着する。
頂上は5歩も歩けば転落してしまうくらいの狭さだった。
ま、別に山頂でなにをしようって訳じゃない。単に周りの地形を確認して、可能ならそのまま移動したかったから登っただけだ。
さーてと、周りはどうなって……。
「なん、だ。あれは……?」
景色を確認しようとした俺の視界に、異常なものが飛び込んできた。
周囲も全て雲より高い岩山なのに、更にそれ以上にでかい巨人が、遥か遠くに佇んでいるのだ。
今までの経験で直感する。
あいつが山岳地帯のエリアキーパーに間違いない。
なんだっけ? グラメダワルケア、とか言ったっけ。
でもまぁ……。ユリバファルゴアと比べりゃあ、まだ常識的なサイズしてる気はする。
ちょっと自分の中の魔物の基準がぶっ壊れちまってる気がするけど、そもそもエリアキーパーって存在がバグッてる気がして仕方ない。
ここからだと正確には判断出来ないけれど、周囲の岩山よりも胸から上か出てるあたり、5キロメートル以上はあるんじゃないのかな?
え、スーパーロボットでもあんなに大きな人型ロボットってあんまりいない気がするんだけど。
色は周囲の岩山に溶け込む茶色に近い土色をしてる。
目は多分閉じてるかなー? 『遠見』を使っても良いんだけど、魔力を感知されたくないし自重しておこう。
気になるのは全く動いてないことと、鎧のようなものを身につけているということだ。
そういう魔物だと言われればそれまでなんだろうけど、あいつを倒せばあの鎧の素材とか手に入るのかな?
そして着衣しているということは、下から見上げて目が潰れるような事態も避けられそうではある。
しかし、見れば見るほど人間にしか見えない外見をしている。サイズを考慮しなければ、の話だけどさ。
ある程度の知能があり、一定水準の戦闘技術を備えており、多彩な魔法は使ってくると見た方がいいだろうなぁ。
絶対に戦いたくはないけど、あっちに感知される可能性はあるからな。不慮の事態に備えて、戦闘する時の想定はしておくべきだ。
ただ、姿が常に見れるのはありがたい要素でもある。
所在が常に分かっている上に、感知されたら間違いなくリアクションが見られるだろう。
でも山よりでかいような相手が走ってきたら、逃げ切れるとはとても思えない。
ちょっとコンビニに行ってくる様な感覚でエリアを跨げてしまいそうだ。
とはいえ、ここでビビッてたって何も始まらないんだよな。
俺の目的は動物の捜索と保護。グラメダワルケアさんと戦いに来たわけじゃないんだ。
警戒はしなきゃいけないけど、必要以上にビビる必要だってない。
まずはグラメダワルケアの縄張りの範囲を確認したいな。
そして俺は隣りの岩山に向かって、ジャンプで転移を始めたのだった。
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