異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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12章 俺が望んだ異世界生活

508 マウントタートル

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「すごいすごいすごいっ……! 私たち本当に空を飛んでるんだねっ……!」


 1度グラメダワルケアの姿に驚いてしまったリーネだったが、流石にアクティブ状態のユリバファルゴアに追われた経験のおかげかすぐに立ち直り、今は空の旅に大はしゃぎだ。リーネが喜んでくれて俺も嬉しい。

 それにしても、迷宮に入れなかったせいで誰よりも狭い世界で生きてきたリーネが、俺を除けばこの世界の誰よりも広い世界を体験しているっていうのも凄い皮肉だよな。
 絶対にグラメダワルケアに近付かないよう注意しながら解体現場まで向かう。


「こ、これは……。本当に大きいねぇ……」

「だろ? 解体も終わらねぇし運搬も大仕事だから困ってたんだ。
 解体も上手くて魔力量も多いリーネなら手伝いとして申し分ないよ。宜しくな」

「うんっ! まかせてっ……! 頑張って終わらせちゃおう……!」


 頼もしいし可愛い。
 果ての見えない作業でも、可愛い嫁との共同作業だと思えばやる気も変わる。

 お互いのストレージに入る程度の大きさに裁断していき、ある程度の量が貯まったら1人がゲートで自宅に素材を運搬する。
 魔力が切れたら交代し、どんどん自宅に素材を運び込んでいく。

 そんなことを日没まで続けてると、半分くらいの量の運搬が終わってくれた。


「助かったよリーネ。これなら明日もう1日で素材の運搬は終わらせることが出来そうだ。
 俺1人だったらあと3日はかかってたと思う」

「ふふ、私は迷宮に入れない分、役に立てる場面が少ないからねっ……!
 たまに役に立てるときくらいしっかり頑張らないとっ……!」

「リーネにはいつも感謝してるよ。役に立ってないなんて思ったことないさ」

「本当かなぁ……? 私ってみんなと比べてスキルも……って、トーマ……? んっ……」


 喋っているリーネの口を塞いでしまう。
 ダメだなぁ。嫁と2人っきりになるとどうしても唇を重ねたくなってしまう。

 その後誰の邪魔も入らない状況で、満足するまで口付けを続けてから家に戻った。


「トーマ? 随分楽しんできたみたいじゃないのー。
 リーネをそんな風にしておいてバレないわけないでしょっ! 今晩は覚悟してもらうんだからねーっ!」


 自宅に帰るとリーンセンパイに怒られてしまった。
 腰砕けになったリーネを横抱きにして連れて帰ったまでは良かったんだけど、リーネが俺から絶対に離れてくれなかったのでバレるもなにもない。

 リーネが甘えてくるのも嫁の相手も俺には何1つデメリットが無いので、喜んで相手させていただきましょう。

 昨夜はお泊り会で自然とお休みになってしまったので、なんとなく反動を感じる夜だった。


 次の朝、ルイナスリームの冒険者ギルドでタケルからの手紙を受け取った。
 どうやら無事に迷宮が発生、オーソドックスな積層型迷宮で、最深部は34階層らしい。成長促進も既に設定済みと。相変わらずいい仕事してるよ。
 120階層を越えるくらいまでは応援は要らないのな。

 それじゃ突発的にカラードラゴンが出たときの事を考えて、まだ覚えてなければジャンプは習得しておくようにという手紙をしたためてギルドに預けておく。
 不測の事態が起こっても、ジャンプがあれば生き残れる可能性が一気に高まるからなぁ。

 
 今日の運搬作業には俺1人で向かう事になった。
 作業的にも俺1人で十分だし、昨日の今日でリーネの同行を許可してもらえなかった。
 何よりリーネ自身が空の旅にいたく感動したらしく、SP稼ぎに非常に前向きになったせいでもある。

 7人の嫁が3人ずつくらいSP稼ぎを行えるように、ローテーションを決めていくそうだ。
 特にリーネとマーサは異風の旋律の中ではスキル取得数が少ないので、今後どうにか補っていくんだそうだ。
 無理しない範囲であるなら応援しよう。


 何とか丸1日をかけて岩山亀の素材も全て自宅に運搬し終えることが出来た。3㎥のストレージは偉大だぜ。
 ギルドに卸す前に恒例のマーサチェック。


「どうやらこの山みてぇな亀は、グランドタートルの上位種って感じみてぇだな。名付けるとしたらロックタートル……、いやマウントタートルか?
 なんにしてもこんだけの量の素材があれば、魔物装備の普及も一気に広まんだろうぜ。これは一般に卸すべき素材で間違いねぇよ」


 シルバーライトの先の武器が手に入りやすくなるのは良いな。
 今って迷宮が稼げ過ぎて狩人の数が減ってるから、魔物素材がかなり高騰してきてんだよねぇ。
 
 それでいてシルバーライト装備では満足できなくなり始める冒険者が爆増しているので、結局は自然に狩人に人が流れていくのかもしれないけれど、俺たちが持ってても仕方ない素材だから気にせず流すとすっか。


 次の日にボールクローグ、ウィルスレイア、ミルズレンダ、ヴェルトーガの4都市と、王都ネヴァルドの狩人ギルドに均等に素材を寄贈する。
 金貰っても邪魔なだけなので、金を払うなら置いていかないという謎の脅しを発動して素材の押し付けに成功する。

 最後にベイクの狩人ギルドにもストレージ1杯分の素材を卸す。


「岩山のような大きさの亀型の魔物か……。マウントタートルか。それでいいんじゃねぇか? 採用。
 魔物の動きは殆ど見れなかったが、素材としてはグランドタートルの素材の上位互換ね。メイスなんかの打撃武器の水準が上がりそうだな。
 あ、そういやトーマ。お前エリアキーパーへの安全な道を確保したってホントかよ?」

「ホントだよ。ちょっかいさえ出さなきゃ安全なはずだから、アートンも行ってみるといい。
 片道で1日か2日ってところだから、5日もみりゃあ行って帰って来れるはずだぜ」

「……考えとくぜ。今の俺が見て耐えられるかどうかわかんねぇしな。
 だがま、これで冒険者達の意識は変わるぜ、間違いなくな」


 冒険者の意識が変わる。『最強』という言葉の意味する水準が変わる。
 グラメダワルケアを目にした冒険者達がどのように変わっていくのか。

 きっと今まで以上に成長してくれるものと期待したいところだ。
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