557 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活
508 マウントタートル
しおりを挟む
「すごいすごいすごいっ……! 私たち本当に空を飛んでるんだねっ……!」
1度グラメダワルケアの姿に驚いてしまったリーネだったが、流石にアクティブ状態のユリバファルゴアに追われた経験のおかげかすぐに立ち直り、今は空の旅に大はしゃぎだ。リーネが喜んでくれて俺も嬉しい。
それにしても、迷宮に入れなかったせいで誰よりも狭い世界で生きてきたリーネが、俺を除けばこの世界の誰よりも広い世界を体験しているっていうのも凄い皮肉だよな。
絶対にグラメダワルケアに近付かないよう注意しながら解体現場まで向かう。
「こ、これは……。本当に大きいねぇ……」
「だろ? 解体も終わらねぇし運搬も大仕事だから困ってたんだ。
解体も上手くて魔力量も多いリーネなら手伝いとして申し分ないよ。宜しくな」
「うんっ! まかせてっ……! 頑張って終わらせちゃおう……!」
頼もしいし可愛い。
果ての見えない作業でも、可愛い嫁との共同作業だと思えばやる気も変わる。
お互いのストレージに入る程度の大きさに裁断していき、ある程度の量が貯まったら1人がゲートで自宅に素材を運搬する。
魔力が切れたら交代し、どんどん自宅に素材を運び込んでいく。
そんなことを日没まで続けてると、半分くらいの量の運搬が終わってくれた。
「助かったよリーネ。これなら明日もう1日で素材の運搬は終わらせることが出来そうだ。
俺1人だったらあと3日はかかってたと思う」
「ふふ、私は迷宮に入れない分、役に立てる場面が少ないからねっ……!
たまに役に立てるときくらいしっかり頑張らないとっ……!」
「リーネにはいつも感謝してるよ。役に立ってないなんて思ったことないさ」
「本当かなぁ……? 私ってみんなと比べてスキルも……って、トーマ……? んっ……」
喋っているリーネの口を塞いでしまう。
ダメだなぁ。嫁と2人っきりになるとどうしても唇を重ねたくなってしまう。
その後誰の邪魔も入らない状況で、満足するまで口付けを続けてから家に戻った。
「トーマ? 随分楽しんできたみたいじゃないのー。
リーネをそんな風にしておいてバレないわけないでしょっ! 今晩は覚悟してもらうんだからねーっ!」
自宅に帰るとリーンセンパイに怒られてしまった。
腰砕けになったリーネを横抱きにして連れて帰ったまでは良かったんだけど、リーネが俺から絶対に離れてくれなかったのでバレるもなにもない。
リーネが甘えてくるのも嫁の相手も俺には何1つデメリットが無いので、喜んで相手させていただきましょう。
昨夜はお泊り会で自然とお休みになってしまったので、なんとなく反動を感じる夜だった。
次の朝、ルイナスリームの冒険者ギルドでタケルからの手紙を受け取った。
どうやら無事に迷宮が発生、オーソドックスな積層型迷宮で、最深部は34階層らしい。成長促進も既に設定済みと。相変わらずいい仕事してるよ。
120階層を越えるくらいまでは応援は要らないのな。
それじゃ突発的にカラードラゴンが出たときの事を考えて、まだ覚えてなければジャンプは習得しておくようにという手紙をしたためてギルドに預けておく。
不測の事態が起こっても、ジャンプがあれば生き残れる可能性が一気に高まるからなぁ。
今日の運搬作業には俺1人で向かう事になった。
作業的にも俺1人で十分だし、昨日の今日でリーネの同行を許可してもらえなかった。
何よりリーネ自身が空の旅にいたく感動したらしく、SP稼ぎに非常に前向きになったせいでもある。
7人の嫁が3人ずつくらいSP稼ぎを行えるように、ローテーションを決めていくそうだ。
特にリーネとマーサは異風の旋律の中ではスキル取得数が少ないので、今後どうにか補っていくんだそうだ。
無理しない範囲であるなら応援しよう。
何とか丸1日をかけて岩山亀の素材も全て自宅に運搬し終えることが出来た。3㎥のストレージは偉大だぜ。
ギルドに卸す前に恒例のマーサチェック。
「どうやらこの山みてぇな亀は、グランドタートルの上位種って感じみてぇだな。名付けるとしたらロックタートル……、いやマウントタートルか?
なんにしてもこんだけの量の素材があれば、魔物装備の普及も一気に広まんだろうぜ。これは一般に卸すべき素材で間違いねぇよ」
シルバーライトの先の武器が手に入りやすくなるのは良いな。
今って迷宮が稼げ過ぎて狩人の数が減ってるから、魔物素材がかなり高騰してきてんだよねぇ。
それでいてシルバーライト装備では満足できなくなり始める冒険者が爆増しているので、結局は自然に狩人に人が流れていくのかもしれないけれど、俺たちが持ってても仕方ない素材だから気にせず流すとすっか。
次の日にボールクローグ、ウィルスレイア、ミルズレンダ、ヴェルトーガの4都市と、王都ネヴァルドの狩人ギルドに均等に素材を寄贈する。
金貰っても邪魔なだけなので、金を払うなら置いていかないという謎の脅しを発動して素材の押し付けに成功する。
最後にベイクの狩人ギルドにもストレージ1杯分の素材を卸す。
「岩山のような大きさの亀型の魔物か……。マウントタートルか。それでいいんじゃねぇか? 採用。
魔物の動きは殆ど見れなかったが、素材としてはグランドタートルの素材の上位互換ね。メイスなんかの打撃武器の水準が上がりそうだな。
あ、そういやトーマ。お前エリアキーパーへの安全な道を確保したってホントかよ?」
「ホントだよ。ちょっかいさえ出さなきゃ安全なはずだから、アートンも行ってみるといい。
片道で1日か2日ってところだから、5日もみりゃあ行って帰って来れるはずだぜ」
「……考えとくぜ。今の俺が見て耐えられるかどうかわかんねぇしな。
だがま、これで冒険者達の意識は変わるぜ、間違いなくな」
冒険者の意識が変わる。『最強』という言葉の意味する水準が変わる。
グラメダワルケアを目にした冒険者達がどのように変わっていくのか。
きっと今まで以上に成長してくれるものと期待したいところだ。
1度グラメダワルケアの姿に驚いてしまったリーネだったが、流石にアクティブ状態のユリバファルゴアに追われた経験のおかげかすぐに立ち直り、今は空の旅に大はしゃぎだ。リーネが喜んでくれて俺も嬉しい。
それにしても、迷宮に入れなかったせいで誰よりも狭い世界で生きてきたリーネが、俺を除けばこの世界の誰よりも広い世界を体験しているっていうのも凄い皮肉だよな。
絶対にグラメダワルケアに近付かないよう注意しながら解体現場まで向かう。
「こ、これは……。本当に大きいねぇ……」
「だろ? 解体も終わらねぇし運搬も大仕事だから困ってたんだ。
解体も上手くて魔力量も多いリーネなら手伝いとして申し分ないよ。宜しくな」
「うんっ! まかせてっ……! 頑張って終わらせちゃおう……!」
頼もしいし可愛い。
果ての見えない作業でも、可愛い嫁との共同作業だと思えばやる気も変わる。
お互いのストレージに入る程度の大きさに裁断していき、ある程度の量が貯まったら1人がゲートで自宅に素材を運搬する。
魔力が切れたら交代し、どんどん自宅に素材を運び込んでいく。
そんなことを日没まで続けてると、半分くらいの量の運搬が終わってくれた。
「助かったよリーネ。これなら明日もう1日で素材の運搬は終わらせることが出来そうだ。
俺1人だったらあと3日はかかってたと思う」
「ふふ、私は迷宮に入れない分、役に立てる場面が少ないからねっ……!
たまに役に立てるときくらいしっかり頑張らないとっ……!」
「リーネにはいつも感謝してるよ。役に立ってないなんて思ったことないさ」
「本当かなぁ……? 私ってみんなと比べてスキルも……って、トーマ……? んっ……」
喋っているリーネの口を塞いでしまう。
ダメだなぁ。嫁と2人っきりになるとどうしても唇を重ねたくなってしまう。
その後誰の邪魔も入らない状況で、満足するまで口付けを続けてから家に戻った。
「トーマ? 随分楽しんできたみたいじゃないのー。
リーネをそんな風にしておいてバレないわけないでしょっ! 今晩は覚悟してもらうんだからねーっ!」
自宅に帰るとリーンセンパイに怒られてしまった。
腰砕けになったリーネを横抱きにして連れて帰ったまでは良かったんだけど、リーネが俺から絶対に離れてくれなかったのでバレるもなにもない。
リーネが甘えてくるのも嫁の相手も俺には何1つデメリットが無いので、喜んで相手させていただきましょう。
昨夜はお泊り会で自然とお休みになってしまったので、なんとなく反動を感じる夜だった。
次の朝、ルイナスリームの冒険者ギルドでタケルからの手紙を受け取った。
どうやら無事に迷宮が発生、オーソドックスな積層型迷宮で、最深部は34階層らしい。成長促進も既に設定済みと。相変わらずいい仕事してるよ。
120階層を越えるくらいまでは応援は要らないのな。
それじゃ突発的にカラードラゴンが出たときの事を考えて、まだ覚えてなければジャンプは習得しておくようにという手紙をしたためてギルドに預けておく。
不測の事態が起こっても、ジャンプがあれば生き残れる可能性が一気に高まるからなぁ。
今日の運搬作業には俺1人で向かう事になった。
作業的にも俺1人で十分だし、昨日の今日でリーネの同行を許可してもらえなかった。
何よりリーネ自身が空の旅にいたく感動したらしく、SP稼ぎに非常に前向きになったせいでもある。
7人の嫁が3人ずつくらいSP稼ぎを行えるように、ローテーションを決めていくそうだ。
特にリーネとマーサは異風の旋律の中ではスキル取得数が少ないので、今後どうにか補っていくんだそうだ。
無理しない範囲であるなら応援しよう。
何とか丸1日をかけて岩山亀の素材も全て自宅に運搬し終えることが出来た。3㎥のストレージは偉大だぜ。
ギルドに卸す前に恒例のマーサチェック。
「どうやらこの山みてぇな亀は、グランドタートルの上位種って感じみてぇだな。名付けるとしたらロックタートル……、いやマウントタートルか?
なんにしてもこんだけの量の素材があれば、魔物装備の普及も一気に広まんだろうぜ。これは一般に卸すべき素材で間違いねぇよ」
シルバーライトの先の武器が手に入りやすくなるのは良いな。
今って迷宮が稼げ過ぎて狩人の数が減ってるから、魔物素材がかなり高騰してきてんだよねぇ。
それでいてシルバーライト装備では満足できなくなり始める冒険者が爆増しているので、結局は自然に狩人に人が流れていくのかもしれないけれど、俺たちが持ってても仕方ない素材だから気にせず流すとすっか。
次の日にボールクローグ、ウィルスレイア、ミルズレンダ、ヴェルトーガの4都市と、王都ネヴァルドの狩人ギルドに均等に素材を寄贈する。
金貰っても邪魔なだけなので、金を払うなら置いていかないという謎の脅しを発動して素材の押し付けに成功する。
最後にベイクの狩人ギルドにもストレージ1杯分の素材を卸す。
「岩山のような大きさの亀型の魔物か……。マウントタートルか。それでいいんじゃねぇか? 採用。
魔物の動きは殆ど見れなかったが、素材としてはグランドタートルの素材の上位互換ね。メイスなんかの打撃武器の水準が上がりそうだな。
あ、そういやトーマ。お前エリアキーパーへの安全な道を確保したってホントかよ?」
「ホントだよ。ちょっかいさえ出さなきゃ安全なはずだから、アートンも行ってみるといい。
片道で1日か2日ってところだから、5日もみりゃあ行って帰って来れるはずだぜ」
「……考えとくぜ。今の俺が見て耐えられるかどうかわかんねぇしな。
だがま、これで冒険者達の意識は変わるぜ、間違いなくな」
冒険者の意識が変わる。『最強』という言葉の意味する水準が変わる。
グラメダワルケアを目にした冒険者達がどのように変わっていくのか。
きっと今まで以上に成長してくれるものと期待したいところだ。
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる