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12章 俺が望んだ異世界生活
512 クラフトスキル取得会
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この中の恐らく全員が食事の準備はしたことがあるはずだ。
それでも『魔法薬作成』と『錬金術』の取得に到っていないということは、食材調合だとこの2つの取得条件を満たせないと思うべきだ。
ということで、あの時と同じように石鹸や香水を適当に作ってもらっている。
ソリスタやタケルはちょっとやる気がなさそうだったので、狩人になった時に獲物に目印となる香料や染料の製作をお願いしたらやる気を出してくれた。
「お、おお! マジでスキルが生えやがったぜ……!
でもよ。装備品の製作にこの2つのスキルは必要なのか?」
「少なくとも『錬金術』は必須だぜ。シルバーライトだって『錬金術』を使った合金だからな。上位装備を作成するなら必ず必要になるスキルだ。
魔法薬の方も、以前マーサが武器製作に魔法薬を使用していた事があったからな。具体例は示せないが、恐らくないと困るスキルだと思うぜ」
「なるほどな。とにかくスキルを取得して損になる事はないだろう。感謝する。
それにしてもやはり異邦人が少し羨ましいな。スキルが取得可能か見れるのは、大きな励みとなりそうだ」
「ま、それで逆に自分の天井を知ってしまって、勝手に絶望してる奴なんかもいるみたいだけどな。
じゃあ次は槍の穂先と矢尻をいくつか作ってもらおうかな。『魔力成型』の取得を目指すぞ」
木の棒を魔装術を纏ったナイフで削り、先端を尖らせていく。
製作しているのが武器だと誰かに認められればスキルの取得条件を満たせるはずだ。
しかしこれって誰が判定してるんだろうなぁ?
まさか神様が1人1人チェックしてる、わけないよなぁ……。
「『魔力成型』……。取得条件を満たしたみたいだよ。
全てのスキルを取得したと思っていたのに、こんなにあっさり知らないスキルが手に入るなんて……」
「お前は視野が狭すぎるんだ。効率重視が全て悪いとは言わないけどよ。効率を優先しすぎると周りに目が向かなくなるもんだ。
現実ってのは数学じゃねぇ。正解が1つしかないならみんな悩んだりしねぇんだよ」
木の槍の製作でスキルの取得条件は満たしているらしいが、ソリスタとルルはステータスを閲覧できないので、念のために矢尻の製作も行っておく。
「マーサにも相談してみたんだが、タケルを除いたお前ら5人は最早運命共同体だからな。それぞれが別の分野の生産スキルを伸ばしてお互い補い合うのが良いと思ってる。
装備品の作成に3名、後は魔導具作成、魔法薬作成に1人ずつってところかな」
「その内訳はどうやって分配したの? 魔導具の作成まで私達が行う必要ってあるのかしら?」
おお、ここに来て初めてアンジェが口を開いたな。
「内訳は武器に1人、メイン防具に1人に、衣服や靴などの服飾品に1人だ。防具製作はどっちかを疎かにしたら死ぬと思うぞ。
そして魔法薬はさっき言った通り装備に必要になる場合があるから1名。最後に魔導具作成だけど、魔導具が作れないとエリアキーパーを発見するのは無理だと思うぜ?」
「エリアキーパーを倒せない、ではなくて発見できない?」
「俺の時のケースを全てに当て嵌めるのも危険かもしれないから、参考程度に聞いてもらえりゃ充分だけどさ。
深海の邪眼ザルトワシルドア、砂漠の蛇神ユリバファルゴア、そして山岳エリアの巨人グラメダワルケアの捜索の為に、俺たちは毎回新しい魔導具を開発してるんだよ。役に立ったり立たなかったりだけどな」
リヴァーブ王国は平原エリアっていう物凄く恵まれた自然環境の下に成り立っている国だから、この国で生まれた技術は他のエリアで使えないものが多いという印象だ。
別エリアを探索するなら、必ずそのエリアにあった移動方法というものが必要になってくる。
「現に雪エリアに無策に突っ込んで何も進展していないのが今のお前らだろ?
俺たちは海エリアを探索するために試行錯誤をして色々な魔導具を開発したし、山岳エリアを自由に探索するためにも新しい魔導具を開発した。
砂漠エリアを探索するために行った魔導具開発のおかげで、スキップオーブって副産物が生まれたりもしている。
はっきり言うが、リヴァーブ王国民は国境壁の外を冒険するノウハウは持ってない。エリアキーパーという壁の外にいる相手に対応するには、王国にある既存の技術に頼っていられないんだよ」
10年後の王国は知らないけど、今の王国はまだまだ外の世界を知らなすぎる。
いくら罰則とはいえ、一方的にエリアキーパーを打倒せよと通達してくるあたりがいい証拠だ。
本来エリアキーパーってのは個人で倒せるような存在じゃない。国の総力を挙げて冒険者をサポートして攻略を目指すべき存在なんだ。
……異風の旋律が単独でエリアキーパーを倒してしまったことによる弊害でもあるんだろうが。
「職人達の協力が得られないお前たちが生産関係の腕を磨くのは困難だとは思うが、とにかく数をこなすことだな。
効率が悪かろうが、行動の先には結果が伴う。積み重なった結果の先にしか手に入れられないものがあるはずだ」
「……でも、私たちは王国民の協力を一切得られませんわ。
数をこなそうにも、素材を購入することすら難しい状況なのです……」
「それも問題ない。迷宮資源は申請さえすれば納品した奴が優先的に購入出来る制度があるからな。
いくらお前らが嫌われていたとしても、正規の手続きを踏んだ取引まで拒絶する者は居ないだろう。お前らが国に監視されてるのを知らない奴はいないだろうし。
それに昨日走って山岳エリアまで行ったろ。究極的には狩人の協力なんてなくても壁外で活動することは出来るんだ。魔物素材の自力調達とか全然難しくないんだよ。114階層に到達した人間ならな」
こいつらが絶望するのは無理もないと思うんだけど、その割には知らないことが多すぎるんだよな。
目の前が八方塞にしか見えなくても、1歩後ろに下がるだけで開けている道が見つかる事もある。
必死になるって事は、目の前に集中するってだけの意味じゃない。
自分の行動を疑って、あらゆる可能性を模索することが必要な場合だってあるんだ。
それでも『魔法薬作成』と『錬金術』の取得に到っていないということは、食材調合だとこの2つの取得条件を満たせないと思うべきだ。
ということで、あの時と同じように石鹸や香水を適当に作ってもらっている。
ソリスタやタケルはちょっとやる気がなさそうだったので、狩人になった時に獲物に目印となる香料や染料の製作をお願いしたらやる気を出してくれた。
「お、おお! マジでスキルが生えやがったぜ……!
でもよ。装備品の製作にこの2つのスキルは必要なのか?」
「少なくとも『錬金術』は必須だぜ。シルバーライトだって『錬金術』を使った合金だからな。上位装備を作成するなら必ず必要になるスキルだ。
魔法薬の方も、以前マーサが武器製作に魔法薬を使用していた事があったからな。具体例は示せないが、恐らくないと困るスキルだと思うぜ」
「なるほどな。とにかくスキルを取得して損になる事はないだろう。感謝する。
それにしてもやはり異邦人が少し羨ましいな。スキルが取得可能か見れるのは、大きな励みとなりそうだ」
「ま、それで逆に自分の天井を知ってしまって、勝手に絶望してる奴なんかもいるみたいだけどな。
じゃあ次は槍の穂先と矢尻をいくつか作ってもらおうかな。『魔力成型』の取得を目指すぞ」
木の棒を魔装術を纏ったナイフで削り、先端を尖らせていく。
製作しているのが武器だと誰かに認められればスキルの取得条件を満たせるはずだ。
しかしこれって誰が判定してるんだろうなぁ?
まさか神様が1人1人チェックしてる、わけないよなぁ……。
「『魔力成型』……。取得条件を満たしたみたいだよ。
全てのスキルを取得したと思っていたのに、こんなにあっさり知らないスキルが手に入るなんて……」
「お前は視野が狭すぎるんだ。効率重視が全て悪いとは言わないけどよ。効率を優先しすぎると周りに目が向かなくなるもんだ。
現実ってのは数学じゃねぇ。正解が1つしかないならみんな悩んだりしねぇんだよ」
木の槍の製作でスキルの取得条件は満たしているらしいが、ソリスタとルルはステータスを閲覧できないので、念のために矢尻の製作も行っておく。
「マーサにも相談してみたんだが、タケルを除いたお前ら5人は最早運命共同体だからな。それぞれが別の分野の生産スキルを伸ばしてお互い補い合うのが良いと思ってる。
装備品の作成に3名、後は魔導具作成、魔法薬作成に1人ずつってところかな」
「その内訳はどうやって分配したの? 魔導具の作成まで私達が行う必要ってあるのかしら?」
おお、ここに来て初めてアンジェが口を開いたな。
「内訳は武器に1人、メイン防具に1人に、衣服や靴などの服飾品に1人だ。防具製作はどっちかを疎かにしたら死ぬと思うぞ。
そして魔法薬はさっき言った通り装備に必要になる場合があるから1名。最後に魔導具作成だけど、魔導具が作れないとエリアキーパーを発見するのは無理だと思うぜ?」
「エリアキーパーを倒せない、ではなくて発見できない?」
「俺の時のケースを全てに当て嵌めるのも危険かもしれないから、参考程度に聞いてもらえりゃ充分だけどさ。
深海の邪眼ザルトワシルドア、砂漠の蛇神ユリバファルゴア、そして山岳エリアの巨人グラメダワルケアの捜索の為に、俺たちは毎回新しい魔導具を開発してるんだよ。役に立ったり立たなかったりだけどな」
リヴァーブ王国は平原エリアっていう物凄く恵まれた自然環境の下に成り立っている国だから、この国で生まれた技術は他のエリアで使えないものが多いという印象だ。
別エリアを探索するなら、必ずそのエリアにあった移動方法というものが必要になってくる。
「現に雪エリアに無策に突っ込んで何も進展していないのが今のお前らだろ?
俺たちは海エリアを探索するために試行錯誤をして色々な魔導具を開発したし、山岳エリアを自由に探索するためにも新しい魔導具を開発した。
砂漠エリアを探索するために行った魔導具開発のおかげで、スキップオーブって副産物が生まれたりもしている。
はっきり言うが、リヴァーブ王国民は国境壁の外を冒険するノウハウは持ってない。エリアキーパーという壁の外にいる相手に対応するには、王国にある既存の技術に頼っていられないんだよ」
10年後の王国は知らないけど、今の王国はまだまだ外の世界を知らなすぎる。
いくら罰則とはいえ、一方的にエリアキーパーを打倒せよと通達してくるあたりがいい証拠だ。
本来エリアキーパーってのは個人で倒せるような存在じゃない。国の総力を挙げて冒険者をサポートして攻略を目指すべき存在なんだ。
……異風の旋律が単独でエリアキーパーを倒してしまったことによる弊害でもあるんだろうが。
「職人達の協力が得られないお前たちが生産関係の腕を磨くのは困難だとは思うが、とにかく数をこなすことだな。
効率が悪かろうが、行動の先には結果が伴う。積み重なった結果の先にしか手に入れられないものがあるはずだ」
「……でも、私たちは王国民の協力を一切得られませんわ。
数をこなそうにも、素材を購入することすら難しい状況なのです……」
「それも問題ない。迷宮資源は申請さえすれば納品した奴が優先的に購入出来る制度があるからな。
いくらお前らが嫌われていたとしても、正規の手続きを踏んだ取引まで拒絶する者は居ないだろう。お前らが国に監視されてるのを知らない奴はいないだろうし。
それに昨日走って山岳エリアまで行ったろ。究極的には狩人の協力なんてなくても壁外で活動することは出来るんだ。魔物素材の自力調達とか全然難しくないんだよ。114階層に到達した人間ならな」
こいつらが絶望するのは無理もないと思うんだけど、その割には知らないことが多すぎるんだよな。
目の前が八方塞にしか見えなくても、1歩後ろに下がるだけで開けている道が見つかる事もある。
必死になるって事は、目の前に集中するってだけの意味じゃない。
自分の行動を疑って、あらゆる可能性を模索することが必要な場合だってあるんだ。
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