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12章 俺が望んだ異世界生活
511 職人への道
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妊娠中に転移して来た子供にはスキルが付与されないことが判明した。
逆に言えばこちらで身篭った子供は、お腹の中に居る時からスキルを取得した状態であるという事も証明されたと言ってもいい気がする。
「勿論強制的に取得させたのはその2つだけですよ。マーサさんの加入した流れを知っている者としては、子供たちに人と違う人生を歩んで欲しいとは思いませんから」
「そうだね。将来的に子供たちも迷宮に入らなきゃいけない世界だとは思うけれど、何もかもを用意してやるのが優しさとは限らないし。
あ、それと娘さんはともかく、息子さんの祝福の儀は問題なくスキル取得できたんだね? ステータスウィンドウを弄ったりとか出来ないだろうに」
「そうですね。実際メグルがなんらかの操作を行ったようには見えませんでした。
恐らく時間切れになると、王国民と同じようにSPの自動振り分けが行われるんじゃないでしょうか」
うん。これも何気に重要な情報だったな。
祝福の儀の時間制限をオーバーするとどうなるのかって、結局怖くて試せてなかったから。
タイムアップでスキルの選択権がなくなるだけであるなら、そこまで大きなデメリットというわけでもない。
「うん。ありがとうマスター。妊娠中に転移して来た異邦人の子供には追加のサポートが必要な事が分かったのはかなり重要だと思う。
これは俺のほうからタケルにも共有しておくから、もしかしたらアイツも話を聞きたがるかもしれない。その時は協力してもらえると助かるよ」
「勿論協力させてもらいますよ。異邦人同士協力し合ってルイナスリームを発展させていきたいですからね。
トーマさんも大変ですね。せっかく全ての事業から手を引いたっていうのに」
マスターに笑われてしまった。
確かに俺が口出しするもんでもないと思うけど、子供達のサポートだけは万全にしておきたいんでね。
マスターから大量のスイーツを受け取って帰宅した。
夕食後に、店で用意してもらったスイーツを頬張りながら、マーサに明日のことを相談する。
「明日何人かに装備製作の基礎を教えようって話になったんだけどさ。
ずぶの素人の俺が、素人相手に教えられる事ってなんだと思う?」
「んー。まぁ最低限『魔力成型』の取得を目指してもらう事が前提だろうな。
『魔装術』を使って矢尻でも槍の穂先でも作ってもらえば取得できるはずだからな」
俺が取得した時なんかマーサと相談しただけだったけどな!
「術式付与についてはトーマも最低限の知識はあると思うが、装備品の魔法効果の付与なんかの領域にいくと経験だけがモノをいう世界だからな。具体的な方法を伝授させる事は私にも出来ねぇ。
『魔力成型』を手に入れたら、とにかく沢山の装備品を作って『魔力付与』と『魔法付加』を試しまくってもらうしかねぇだろうな。
人数次第では試す分野を分担するのも良いと思う。1人は武器の製作。1人は鎧。1人は服、みたいな感じでよ。
私は革でも布でも金属でも、武器も鎧も服も靴も作れるけどよ、これから始める奴があまり欲張るのは得策じゃねぇと思う」
「なるほどな。参考にさせてもらうよ。
俺がすべきは『魔力成型』の取得と、とにかく数をこなせと伝えるくらいだな」
「トーマみてぇな奴もいるから、欲張るなっつっても説得力がねぇんだがよ。普通は1人1分野極めるのも難しいことなんだぜ? 戦闘も生産も1人でこなせるトーマはやっぱぶっ飛んでると思うわ」
「生産全てを1人でこなせるマーサが言うか?
まぁいい機会だから俺も自分の生産技術を見直してみるよ。サンキュー」
生産に関しても経験が必要になってくるのか。
ま、そうじゃなきゃ職人って存在が成り立たなくなってしまうもんな。
アラタたちが魔物武器の生産が可能になるまでどの程度の時間がかかるのか不明だけど、それが出来なきゃ生き残れないんだ。足掻いてもらうしかないだろ。
マーサにいくつか準備を手伝ってもらって明日に備える。
マーサは自分が教えに行ってもいいと言ってくれたけど、メンバーにアンジェたちが混ざっていると聞いたらゲンナリして撤回してきた。
残念ながら生きるミルズレンダの教えを乞うことは難しいらしい。
翌朝ルイナスリームの冒険者ギルドで落ち合い、昨日建設したばかりのソリスタたちの新居に向かった。
2階に私室を集中させたおかげで出来た、1階の簡易作業スペースに魔力成型に使う壷なんかを設置していく。
今回の俺の講義への参加者はタケル、ソリスタ、アリス、ルル、アラタ、アンジェの5名だ。
「昨晩うちの最高の職人にも話を聞いてきたんだけど、スキルさえありゃ簡単に何でも出来るって訳じゃないから、結局はお前らのやる気次第って話になるぞ。
ただし生産技術を極めると何処でだって生きていけるようになるからな。王国全土に居場所がないお前らこそ身につけて損はないはずだ」
「……昨日は取り乱して悪かったよ。
トーマの計らいには感謝してる。絶対に無駄にはしないから」
アラタは昨日より多少持ち直しているようだが、見たところ全然覇気がない。
空元気なのが丸分かりだ。
「まずお前らには『魔力付与』、『魔法付加』、『魔法薬作成』、『錬金術』、『魔力成型』、『儀式魔法使用許可』『任意発動スキル強化』の7つを今日中に全て覚えてもらうぞ。
全員がこれらを覚えるまでは次に進めないと思えよ?」
覚えるのが少しめんどくさそうなのが『錬金術』、『魔力成型』、『魔法薬作成』の3つくらいかな?
魔力付与はみんな覚えていると思うし、儀式魔法使用許可は祝福の儀と識別を3セット受けてれば条件を満たせる。
クラフトスキルを覚えたこいつらが今後どうなっていくのか、ちょっと楽しみな気もする。
意外とこいつらが常識をぶっ壊してくれたりしてな。
逆に言えばこちらで身篭った子供は、お腹の中に居る時からスキルを取得した状態であるという事も証明されたと言ってもいい気がする。
「勿論強制的に取得させたのはその2つだけですよ。マーサさんの加入した流れを知っている者としては、子供たちに人と違う人生を歩んで欲しいとは思いませんから」
「そうだね。将来的に子供たちも迷宮に入らなきゃいけない世界だとは思うけれど、何もかもを用意してやるのが優しさとは限らないし。
あ、それと娘さんはともかく、息子さんの祝福の儀は問題なくスキル取得できたんだね? ステータスウィンドウを弄ったりとか出来ないだろうに」
「そうですね。実際メグルがなんらかの操作を行ったようには見えませんでした。
恐らく時間切れになると、王国民と同じようにSPの自動振り分けが行われるんじゃないでしょうか」
うん。これも何気に重要な情報だったな。
祝福の儀の時間制限をオーバーするとどうなるのかって、結局怖くて試せてなかったから。
タイムアップでスキルの選択権がなくなるだけであるなら、そこまで大きなデメリットというわけでもない。
「うん。ありがとうマスター。妊娠中に転移して来た異邦人の子供には追加のサポートが必要な事が分かったのはかなり重要だと思う。
これは俺のほうからタケルにも共有しておくから、もしかしたらアイツも話を聞きたがるかもしれない。その時は協力してもらえると助かるよ」
「勿論協力させてもらいますよ。異邦人同士協力し合ってルイナスリームを発展させていきたいですからね。
トーマさんも大変ですね。せっかく全ての事業から手を引いたっていうのに」
マスターに笑われてしまった。
確かに俺が口出しするもんでもないと思うけど、子供達のサポートだけは万全にしておきたいんでね。
マスターから大量のスイーツを受け取って帰宅した。
夕食後に、店で用意してもらったスイーツを頬張りながら、マーサに明日のことを相談する。
「明日何人かに装備製作の基礎を教えようって話になったんだけどさ。
ずぶの素人の俺が、素人相手に教えられる事ってなんだと思う?」
「んー。まぁ最低限『魔力成型』の取得を目指してもらう事が前提だろうな。
『魔装術』を使って矢尻でも槍の穂先でも作ってもらえば取得できるはずだからな」
俺が取得した時なんかマーサと相談しただけだったけどな!
「術式付与についてはトーマも最低限の知識はあると思うが、装備品の魔法効果の付与なんかの領域にいくと経験だけがモノをいう世界だからな。具体的な方法を伝授させる事は私にも出来ねぇ。
『魔力成型』を手に入れたら、とにかく沢山の装備品を作って『魔力付与』と『魔法付加』を試しまくってもらうしかねぇだろうな。
人数次第では試す分野を分担するのも良いと思う。1人は武器の製作。1人は鎧。1人は服、みたいな感じでよ。
私は革でも布でも金属でも、武器も鎧も服も靴も作れるけどよ、これから始める奴があまり欲張るのは得策じゃねぇと思う」
「なるほどな。参考にさせてもらうよ。
俺がすべきは『魔力成型』の取得と、とにかく数をこなせと伝えるくらいだな」
「トーマみてぇな奴もいるから、欲張るなっつっても説得力がねぇんだがよ。普通は1人1分野極めるのも難しいことなんだぜ? 戦闘も生産も1人でこなせるトーマはやっぱぶっ飛んでると思うわ」
「生産全てを1人でこなせるマーサが言うか?
まぁいい機会だから俺も自分の生産技術を見直してみるよ。サンキュー」
生産に関しても経験が必要になってくるのか。
ま、そうじゃなきゃ職人って存在が成り立たなくなってしまうもんな。
アラタたちが魔物武器の生産が可能になるまでどの程度の時間がかかるのか不明だけど、それが出来なきゃ生き残れないんだ。足掻いてもらうしかないだろ。
マーサにいくつか準備を手伝ってもらって明日に備える。
マーサは自分が教えに行ってもいいと言ってくれたけど、メンバーにアンジェたちが混ざっていると聞いたらゲンナリして撤回してきた。
残念ながら生きるミルズレンダの教えを乞うことは難しいらしい。
翌朝ルイナスリームの冒険者ギルドで落ち合い、昨日建設したばかりのソリスタたちの新居に向かった。
2階に私室を集中させたおかげで出来た、1階の簡易作業スペースに魔力成型に使う壷なんかを設置していく。
今回の俺の講義への参加者はタケル、ソリスタ、アリス、ルル、アラタ、アンジェの5名だ。
「昨晩うちの最高の職人にも話を聞いてきたんだけど、スキルさえありゃ簡単に何でも出来るって訳じゃないから、結局はお前らのやる気次第って話になるぞ。
ただし生産技術を極めると何処でだって生きていけるようになるからな。王国全土に居場所がないお前らこそ身につけて損はないはずだ」
「……昨日は取り乱して悪かったよ。
トーマの計らいには感謝してる。絶対に無駄にはしないから」
アラタは昨日より多少持ち直しているようだが、見たところ全然覇気がない。
空元気なのが丸分かりだ。
「まずお前らには『魔力付与』、『魔法付加』、『魔法薬作成』、『錬金術』、『魔力成型』、『儀式魔法使用許可』『任意発動スキル強化』の7つを今日中に全て覚えてもらうぞ。
全員がこれらを覚えるまでは次に進めないと思えよ?」
覚えるのが少しめんどくさそうなのが『錬金術』、『魔力成型』、『魔法薬作成』の3つくらいかな?
魔力付与はみんな覚えていると思うし、儀式魔法使用許可は祝福の儀と識別を3セット受けてれば条件を満たせる。
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