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12章 俺が望んだ異世界生活
510 お祝い
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グラメダワルケアの姿を実際に見て、俺にちょっかいをかけてきた連中は意気消沈している。
ソリスタとタケル、それとアリスはもう立ち直ってるみたいだな。
「それじゃ帰ろうぜ。アラタには明日鍛冶の基本のきを教えてやるから、教わる気があるなら冒険者ギルドで待ってろよ」
俺も今晩のうちにマーサに少し教えてもらっておこう。
「あ、トーマ。それって俺も習っていいか? 装備製作にはちょっと興味あったんだよ」
「俺も教わりたい。こいつらと関わるというのは想定以上に困難を伴うようだからな。出来る事はなんでも出来るようになっておきたい」
「勿論構わねぇよ。そんじゃ明日の朝にルイナスリームの冒険者ギルドで待ち合わせな。
じゃあルイナスリームへのゲート開くぞ」
行きは時間がかかっても、ゲートが使えれば帰りは一瞬ってのはいいよねぇ。
明日の再会を約束して、タケルとはここで別れる。
「そんじゃこのまま家建ててしまうか。っとソリスタ。喫茶店のマスターに聞きたい事があるから、お前らの家を建てたあとに時間を貰いたいって連絡してもらえるか?」
「分かった。早速伝えてこよう」
「後の奴等は荷物持ちな。自分の住む家の建材運びなんだから協力しろよ」
「は、はい。協力します……」
4人を連れてまずは商工ギルドへ。4人の家はルイナスリームの外に建設されているのだから問題ないとは思うけど、一応ポプワに増改築の報告と許可を貰う。
その後大工や魔導具屋などに寄って建材を揃える。
全員のストレージだけでは足りなかったので、更に荷車まで用意してしまった。
このタイミングでソリスタも戻ってきたので、一緒に家に向かう。
4人が住んでいる家はとても小さくて、4人が寝転んだらもう足の踏み場もないような大きさだった。
ここにソリスタが加わるのは無理だろうな。
「ギルドに許可も取ったし適当に広げていこうか。
同じ家なら部屋は別でも大丈夫なんだろ? ソリスタたちの部屋と他の奴等が住む部屋は明確に分けようか」
家の周りを低い塀で囲う。
一応都市外なので『ここまではうちの敷地』だと分かるような明確なラインは必要だろうからな。
砂漠エリアの魔物が襲ってくる事はないだろうから防衛力は必要ない。
次に家を4倍ほどの広さに拡張して、更には2階建てにする。
アラタ、アンジェ、ルルの3名はあまり人と関わりたくなさそうなので2階に私室を作る。
ソリスタとアリスは同部屋でいいらしいので、その分少し広めに設定。
1階と2階にトイレを1つずつ設置。
キッチンと簡易的な作業場も1階に作って完了だ。
家具関係もこいつらに売ってくれる職人がいないという事で、ベッドだけはプレゼントした。他の家具は自分達で調達してもらいたい。リモデリングが使えるようになればなんでも出来るんだからな。
「こんなもんでいいだろ。後は自分達で快適に過ごせるように調整していってくれ。
明日鍛冶の基本を知れば、お前ら自身で出来ることも格段に増えるからな」
「何から何まで感謝する。結局トーマに頼らざるを得ない自分が不甲斐ない……!」
「つまんねぇこと気にすんな。これは結婚祝いみたいなモンなんだからよ。
お前は長いこと苦労してきてるのに、それでも選んだ苦難の道なんだ。応援くらいさせてもらうって」
「トーマ、ありがとう。私の感謝なんて受け取ってもらえないかもしれないけど、貴方には感謝してます……」
「感謝はソリスタにするこったな。お前と一緒に地獄の人生を歩むと決めたこいつによ。
そんじゃ俺はマスターのところに戻るけど、ソリスタは来るか?」
「そうだな……。せっかくだし夕食も店で済ませるとしようか。
トーマの邪魔にならないのであれば同行しよう」
ソリスタだけでなく他の4人も店に来るようだ。
結局朝と同じメンバーで喫茶店に伺う事になった。
「あ、トーマさん。なにか私にお話があるとか?」
「うん。時間貰って悪いね。ちょっと重要っぽいことだったからさ。
あ、あとお土産にお菓子類を出来るだけ沢山用意してもらえるかな? ストレージで持ち帰るから」
「ふふ。毎度ありがとうございます。用意させておきますね。
ソリスタさんたちは夕食ですか。ではいつもの個室へどうぞ」
ソリスタたちとはここで別れ、俺はマスターと店の奥の部屋で話をする事になった。
「マスター。アンタの奥さんって妊娠中に転移して来たんだよな?
こっちで出産した時、その子ってスキル持ってたか? それを確認したくて来たんだよ」
「なるほど、そのことでしたか。言われてみれば重要なことだったかもしれません。私からご報告差し上げるべきでしたね。
その時の息子はメグルと名付けたのですけど、メグルはスキルを持たずに生まれてきました。『免疫力強化:小』と『環境適応:小』の2つがないとルイナスリームで生きていくことは難しいと判断して、この2つだけは強制的に取得させました。メグルの姉のアカネにもその2つだけは無理矢理取得させたんです」
なるほど。妊娠中にこっちに来た場合はスキルは取得されなかったか。
確かにルイナスリームは砂漠エリアで苛酷な環境だもんな。ここで暮らす為に強制的にスキルの取得をさせたのも仕方ないか。
「いや。こっちこそ今まで気付かなくて悪かった。俺が気付いて相談すべきだったんだけど今の今まで気付かなかったんだ。
マスターたち家族が元気で過ごしているならそれに越した事はないよ」
妊娠中に転移して来た場合、神様からのスキル付与が行われない。
つまり身篭った時点で子供にもスキルが付与されていると考えるなら、出産ギリギリまで迷宮の探索をするような生活でも流産や死産のケースが少ないのにも説明がつきそうだ。
なんにしても、マスターたちが自分達の判断で対応してくれていて良かった。
そしてレアケースの情報が判明したことも重要だ。これは異邦人には周知すべき情報だよな。
ソリスタとタケル、それとアリスはもう立ち直ってるみたいだな。
「それじゃ帰ろうぜ。アラタには明日鍛冶の基本のきを教えてやるから、教わる気があるなら冒険者ギルドで待ってろよ」
俺も今晩のうちにマーサに少し教えてもらっておこう。
「あ、トーマ。それって俺も習っていいか? 装備製作にはちょっと興味あったんだよ」
「俺も教わりたい。こいつらと関わるというのは想定以上に困難を伴うようだからな。出来る事はなんでも出来るようになっておきたい」
「勿論構わねぇよ。そんじゃ明日の朝にルイナスリームの冒険者ギルドで待ち合わせな。
じゃあルイナスリームへのゲート開くぞ」
行きは時間がかかっても、ゲートが使えれば帰りは一瞬ってのはいいよねぇ。
明日の再会を約束して、タケルとはここで別れる。
「そんじゃこのまま家建ててしまうか。っとソリスタ。喫茶店のマスターに聞きたい事があるから、お前らの家を建てたあとに時間を貰いたいって連絡してもらえるか?」
「分かった。早速伝えてこよう」
「後の奴等は荷物持ちな。自分の住む家の建材運びなんだから協力しろよ」
「は、はい。協力します……」
4人を連れてまずは商工ギルドへ。4人の家はルイナスリームの外に建設されているのだから問題ないとは思うけど、一応ポプワに増改築の報告と許可を貰う。
その後大工や魔導具屋などに寄って建材を揃える。
全員のストレージだけでは足りなかったので、更に荷車まで用意してしまった。
このタイミングでソリスタも戻ってきたので、一緒に家に向かう。
4人が住んでいる家はとても小さくて、4人が寝転んだらもう足の踏み場もないような大きさだった。
ここにソリスタが加わるのは無理だろうな。
「ギルドに許可も取ったし適当に広げていこうか。
同じ家なら部屋は別でも大丈夫なんだろ? ソリスタたちの部屋と他の奴等が住む部屋は明確に分けようか」
家の周りを低い塀で囲う。
一応都市外なので『ここまではうちの敷地』だと分かるような明確なラインは必要だろうからな。
砂漠エリアの魔物が襲ってくる事はないだろうから防衛力は必要ない。
次に家を4倍ほどの広さに拡張して、更には2階建てにする。
アラタ、アンジェ、ルルの3名はあまり人と関わりたくなさそうなので2階に私室を作る。
ソリスタとアリスは同部屋でいいらしいので、その分少し広めに設定。
1階と2階にトイレを1つずつ設置。
キッチンと簡易的な作業場も1階に作って完了だ。
家具関係もこいつらに売ってくれる職人がいないという事で、ベッドだけはプレゼントした。他の家具は自分達で調達してもらいたい。リモデリングが使えるようになればなんでも出来るんだからな。
「こんなもんでいいだろ。後は自分達で快適に過ごせるように調整していってくれ。
明日鍛冶の基本を知れば、お前ら自身で出来ることも格段に増えるからな」
「何から何まで感謝する。結局トーマに頼らざるを得ない自分が不甲斐ない……!」
「つまんねぇこと気にすんな。これは結婚祝いみたいなモンなんだからよ。
お前は長いこと苦労してきてるのに、それでも選んだ苦難の道なんだ。応援くらいさせてもらうって」
「トーマ、ありがとう。私の感謝なんて受け取ってもらえないかもしれないけど、貴方には感謝してます……」
「感謝はソリスタにするこったな。お前と一緒に地獄の人生を歩むと決めたこいつによ。
そんじゃ俺はマスターのところに戻るけど、ソリスタは来るか?」
「そうだな……。せっかくだし夕食も店で済ませるとしようか。
トーマの邪魔にならないのであれば同行しよう」
ソリスタだけでなく他の4人も店に来るようだ。
結局朝と同じメンバーで喫茶店に伺う事になった。
「あ、トーマさん。なにか私にお話があるとか?」
「うん。時間貰って悪いね。ちょっと重要っぽいことだったからさ。
あ、あとお土産にお菓子類を出来るだけ沢山用意してもらえるかな? ストレージで持ち帰るから」
「ふふ。毎度ありがとうございます。用意させておきますね。
ソリスタさんたちは夕食ですか。ではいつもの個室へどうぞ」
ソリスタたちとはここで別れ、俺はマスターと店の奥の部屋で話をする事になった。
「マスター。アンタの奥さんって妊娠中に転移して来たんだよな?
こっちで出産した時、その子ってスキル持ってたか? それを確認したくて来たんだよ」
「なるほど、そのことでしたか。言われてみれば重要なことだったかもしれません。私からご報告差し上げるべきでしたね。
その時の息子はメグルと名付けたのですけど、メグルはスキルを持たずに生まれてきました。『免疫力強化:小』と『環境適応:小』の2つがないとルイナスリームで生きていくことは難しいと判断して、この2つだけは強制的に取得させました。メグルの姉のアカネにもその2つだけは無理矢理取得させたんです」
なるほど。妊娠中にこっちに来た場合はスキルは取得されなかったか。
確かにルイナスリームは砂漠エリアで苛酷な環境だもんな。ここで暮らす為に強制的にスキルの取得をさせたのも仕方ないか。
「いや。こっちこそ今まで気付かなくて悪かった。俺が気付いて相談すべきだったんだけど今の今まで気付かなかったんだ。
マスターたち家族が元気で過ごしているならそれに越した事はないよ」
妊娠中に転移して来た場合、神様からのスキル付与が行われない。
つまり身篭った時点で子供にもスキルが付与されていると考えるなら、出産ギリギリまで迷宮の探索をするような生活でも流産や死産のケースが少ないのにも説明がつきそうだ。
なんにしても、マスターたちが自分達の判断で対応してくれていて良かった。
そしてレアケースの情報が判明したことも重要だ。これは異邦人には周知すべき情報だよな。
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