573 / 580
12章 俺が望んだ異世界生活
520 ネヴァルド来訪
しおりを挟む
う~ん。明日になったらもうターミナルの設置に向かいたいし、可能であれば今日中に話をつけたいんだけど、内容が内容だけに当日で決着する話じゃないかな。
とりあえずネヴァルドに顔出してみっかー。
ゲートを開いてネヴァルドに転移する。
久しぶりのネヴァルドだけど、ここはあまり以前と変わった印象がないんだよな。
ネヴァルドは治安上の問題からか元々冒険者にあまり居心地の良い場所ではなく、冒険者が他所に流れてもさほどの影響がないっぽい。
最低限の迷宮資源を確保する冒険者がいないと困るだろうけど、非戦闘員同行制度の報酬が他所より高いため、安定した生活を求めている冒険者、特に高齢者なんかはネヴァルドに定住してるみたいだ。
中央農地の生産量も以前より増えているので、野菜を食べたい人はネヴァルドに住みたがるらしい。
詳しくは分からないけど、中央農地とネヴァルドはどこかで繋がっているのか、輸送費の関係か何かでネヴァルドでは野菜が比較的安いんだよね。
流石に動物たちが管理してる野菜は流通させられないので、今の流通量が中央農地の生産量の限界値じゃないかな。
これ以上の野菜を生産するためには、新たな農地を確保する必要があるだろう。
栽培だけならわりとどこでも出来そうだけどな。砂漠でも出来そう。
城に向かう途中、いつもの警備兵さんは今日は居なかった。残念。
いや、破級身分証を見られなくてかえって良かったか?
城に到着し、アポ無しで来たことを詫びつつ用件を伝える。
俺としては別に王様相手じゃなくても良いんで、適当に話が出来る人をお願いした。
まぁ結局いつもの会議室にいつものメンバーが揃ってたわけだけどな。
流石にディオーヌ様やファーガロン様は居ないけど。
「突然の来訪で申し訳ない。時間を取ってもらえて感謝します。
さて、皆さんお忙しい身だと思うんで、単刀直入に用件から話させてもらいますね。
先日山岳エリアの先まで行ってみたんだけど、今の速度で調査を行うとターミナルを用意することが出来なくなりそうなんですよ。
新しいエリアの調査は王国にとっても有益なことだと思うし、調査に必要なターミナルの提供ってお願いできないですかね?」
一息でこちらの用件を伝えてみる。
そこまでは良かったんだけど、なんか全員固まってらっしゃるな?
どこで引っかかったんだろ?
そのまま放置してリアクションを待っていると、以前から宰相と呼ばれていた人がいち早く現実に戻ってきた。おかえりなさい。
「えーっと……。トーマさん。まずは1つ1つ事実確認をさせてもらっていいですか……?」
「あ、はい大丈夫です。応えられることでしたらなんなりと」
「……まず、山岳エリアの先まで行ってみたと言うのは、山岳エリアの次のエリアまで到達したという意味で間違いないですか?」
「その通りです。山岳エリアの端まで確認しましたよ。まだ南側だけですけど」
「……なるほど。
ちなみにエリアキーパーグラメダワルケアはどうなさったのですか? 討伐されたという話は聞いておりませんが」
これはもう隠しきれる話じゃないよな。
王国側に協力を要請する以上は。
「グラメダワルケアとの戦闘は回避しました。奴の縄張りを大きく迂回して先に進みましたから」
「エリアキーパーを倒さずとも、別のエリアに行けると申すのか……?」
続いて王様も現世にお帰りになられたようだ。
「その通りです。エリアキーパーというよりは、グラメダワルケアは、と言ったほうが正しいでしょうけどね。
グラメダワルケアやザルトワシルドアは縄張りの境界が分かりやすかったですけど、ランドビカミウリやユリバファルゴアは縄張りに侵入するまで分かりませんでしたから」
「ぬぅぅ……。エリアキーパーと一括りにはできんか……」
「……ちなみにトーマさん。山岳エリアの南に広がっていたのはどんなエリアだったんでしょう?」
「ああ、常に真っ黒で分厚い雲に覆われて、視界が閉ざされるほどの雨と絶え間なく落雷が起こっているエリアでしたよ。
王国の皆さんには、暗天期の物凄く強力になった感じだと言えば分かりやすいですかねぇ?」
「絶え間なく落雷が起こるエリア、ですか?
……失礼ですが、そんな場所を調査してトーマさんが無事なのは不自然ではないですか?」
「この世界で生まれた命なら誰もが持っている『環境適応:小』ですけど、『環境適応:大』まで取得できれば、雷に触れても影響なかったんですよ。小や中効果だと危険なんじゃないですかね」
「……済みません。『環境適応:大』の取得条件を教えていただくわけには?」
「教えませんけど、一応現状でも取得できるとは言っておきましょうか。
多分今後は自然に増えていくと思いますよ」
平原、砂漠、森林、山岳エリアには冒険者なら自然に足を運ぶようになるだろう。
今後海エリアとか雪エリアの開発が進めば、放っておいても獲得者は増えていくはずだ。
まぁ今教えても大差ないんだけどさ。
スキル取得する為だけに海にいく奴等とか出ても迷惑そうだし。
「……えっと? それでは我々王国側が、トーマさんの調査にターミナルを提供する理由がありませんよ?
トーマさんの私的なエリア調査の為に貴重な心核を消費するには、王国側にも明確なメリットが必要になりますが」
「王国から提供されたターミナルは、設置後必ず王国側にも開放するつもりなんですが」
「それは……。大変に魅力的な提案ではありますが、雷が降り注ぐエリアなど移動できるようになっても、正直意味はないかと」
そこはなんとも言い様がない部分だよなぁ。俺自身微妙だと思ってるし。
「了解しました。それでは帰ります。突然の来訪に対応してもらえて助かりました」
「ま、待つのだトーマよ! ターミナルが無ければエリアの調査も大変であろう!?」
「いや、まだターミナルはありますよ。ただ無限じゃないから提供してもらえたら有り難いなと思っただけです」
逆にターミナルが無限に提供されてしまうと、マジで世界中回ることになりかねないしな。
手持ちのターミナル使い切ったら終了、くらいの方がいいだろう。
話も終わったので、帰るために席を立った。
とりあえずネヴァルドに顔出してみっかー。
ゲートを開いてネヴァルドに転移する。
久しぶりのネヴァルドだけど、ここはあまり以前と変わった印象がないんだよな。
ネヴァルドは治安上の問題からか元々冒険者にあまり居心地の良い場所ではなく、冒険者が他所に流れてもさほどの影響がないっぽい。
最低限の迷宮資源を確保する冒険者がいないと困るだろうけど、非戦闘員同行制度の報酬が他所より高いため、安定した生活を求めている冒険者、特に高齢者なんかはネヴァルドに定住してるみたいだ。
中央農地の生産量も以前より増えているので、野菜を食べたい人はネヴァルドに住みたがるらしい。
詳しくは分からないけど、中央農地とネヴァルドはどこかで繋がっているのか、輸送費の関係か何かでネヴァルドでは野菜が比較的安いんだよね。
流石に動物たちが管理してる野菜は流通させられないので、今の流通量が中央農地の生産量の限界値じゃないかな。
これ以上の野菜を生産するためには、新たな農地を確保する必要があるだろう。
栽培だけならわりとどこでも出来そうだけどな。砂漠でも出来そう。
城に向かう途中、いつもの警備兵さんは今日は居なかった。残念。
いや、破級身分証を見られなくてかえって良かったか?
城に到着し、アポ無しで来たことを詫びつつ用件を伝える。
俺としては別に王様相手じゃなくても良いんで、適当に話が出来る人をお願いした。
まぁ結局いつもの会議室にいつものメンバーが揃ってたわけだけどな。
流石にディオーヌ様やファーガロン様は居ないけど。
「突然の来訪で申し訳ない。時間を取ってもらえて感謝します。
さて、皆さんお忙しい身だと思うんで、単刀直入に用件から話させてもらいますね。
先日山岳エリアの先まで行ってみたんだけど、今の速度で調査を行うとターミナルを用意することが出来なくなりそうなんですよ。
新しいエリアの調査は王国にとっても有益なことだと思うし、調査に必要なターミナルの提供ってお願いできないですかね?」
一息でこちらの用件を伝えてみる。
そこまでは良かったんだけど、なんか全員固まってらっしゃるな?
どこで引っかかったんだろ?
そのまま放置してリアクションを待っていると、以前から宰相と呼ばれていた人がいち早く現実に戻ってきた。おかえりなさい。
「えーっと……。トーマさん。まずは1つ1つ事実確認をさせてもらっていいですか……?」
「あ、はい大丈夫です。応えられることでしたらなんなりと」
「……まず、山岳エリアの先まで行ってみたと言うのは、山岳エリアの次のエリアまで到達したという意味で間違いないですか?」
「その通りです。山岳エリアの端まで確認しましたよ。まだ南側だけですけど」
「……なるほど。
ちなみにエリアキーパーグラメダワルケアはどうなさったのですか? 討伐されたという話は聞いておりませんが」
これはもう隠しきれる話じゃないよな。
王国側に協力を要請する以上は。
「グラメダワルケアとの戦闘は回避しました。奴の縄張りを大きく迂回して先に進みましたから」
「エリアキーパーを倒さずとも、別のエリアに行けると申すのか……?」
続いて王様も現世にお帰りになられたようだ。
「その通りです。エリアキーパーというよりは、グラメダワルケアは、と言ったほうが正しいでしょうけどね。
グラメダワルケアやザルトワシルドアは縄張りの境界が分かりやすかったですけど、ランドビカミウリやユリバファルゴアは縄張りに侵入するまで分かりませんでしたから」
「ぬぅぅ……。エリアキーパーと一括りにはできんか……」
「……ちなみにトーマさん。山岳エリアの南に広がっていたのはどんなエリアだったんでしょう?」
「ああ、常に真っ黒で分厚い雲に覆われて、視界が閉ざされるほどの雨と絶え間なく落雷が起こっているエリアでしたよ。
王国の皆さんには、暗天期の物凄く強力になった感じだと言えば分かりやすいですかねぇ?」
「絶え間なく落雷が起こるエリア、ですか?
……失礼ですが、そんな場所を調査してトーマさんが無事なのは不自然ではないですか?」
「この世界で生まれた命なら誰もが持っている『環境適応:小』ですけど、『環境適応:大』まで取得できれば、雷に触れても影響なかったんですよ。小や中効果だと危険なんじゃないですかね」
「……済みません。『環境適応:大』の取得条件を教えていただくわけには?」
「教えませんけど、一応現状でも取得できるとは言っておきましょうか。
多分今後は自然に増えていくと思いますよ」
平原、砂漠、森林、山岳エリアには冒険者なら自然に足を運ぶようになるだろう。
今後海エリアとか雪エリアの開発が進めば、放っておいても獲得者は増えていくはずだ。
まぁ今教えても大差ないんだけどさ。
スキル取得する為だけに海にいく奴等とか出ても迷惑そうだし。
「……えっと? それでは我々王国側が、トーマさんの調査にターミナルを提供する理由がありませんよ?
トーマさんの私的なエリア調査の為に貴重な心核を消費するには、王国側にも明確なメリットが必要になりますが」
「王国から提供されたターミナルは、設置後必ず王国側にも開放するつもりなんですが」
「それは……。大変に魅力的な提案ではありますが、雷が降り注ぐエリアなど移動できるようになっても、正直意味はないかと」
そこはなんとも言い様がない部分だよなぁ。俺自身微妙だと思ってるし。
「了解しました。それでは帰ります。突然の来訪に対応してもらえて助かりました」
「ま、待つのだトーマよ! ターミナルが無ければエリアの調査も大変であろう!?」
「いや、まだターミナルはありますよ。ただ無限じゃないから提供してもらえたら有り難いなと思っただけです」
逆にターミナルが無限に提供されてしまうと、マジで世界中回ることになりかねないしな。
手持ちのターミナル使い切ったら終了、くらいの方がいいだろう。
話も終わったので、帰るために席を立った。
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる