異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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12章 俺が望んだ異世界生活

520 ネヴァルド来訪

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 う~ん。明日になったらもうターミナルの設置に向かいたいし、可能であれば今日中に話をつけたいんだけど、内容が内容だけに当日で決着する話じゃないかな。
 とりあえずネヴァルドに顔出してみっかー。
 
 ゲートを開いてネヴァルドに転移する。


 久しぶりのネヴァルドだけど、ここはあまり以前と変わった印象がないんだよな。
 ネヴァルドは治安上の問題からか元々冒険者にあまり居心地の良い場所ではなく、冒険者が他所に流れてもさほどの影響がないっぽい。

 最低限の迷宮資源を確保する冒険者がいないと困るだろうけど、非戦闘員同行制度の報酬が他所より高いため、安定した生活を求めている冒険者、特に高齢者なんかはネヴァルドに定住してるみたいだ。

 中央農地の生産量も以前より増えているので、野菜を食べたい人はネヴァルドに住みたがるらしい。
 詳しくは分からないけど、中央農地とネヴァルドはどこかで繋がっているのか、輸送費の関係か何かでネヴァルドでは野菜が比較的安いんだよね。

 流石に動物たちが管理してる野菜は流通させられないので、今の流通量が中央農地の生産量の限界値じゃないかな。
 これ以上の野菜を生産するためには、新たな農地を確保する必要があるだろう。
 栽培だけならわりとどこでも出来そうだけどな。砂漠でも出来そう。


 城に向かう途中、いつもの警備兵さんは今日は居なかった。残念。
 いや、破級身分証を見られなくてかえって良かったか?

 城に到着し、アポ無しで来たことを詫びつつ用件を伝える。
 俺としては別に王様相手じゃなくても良いんで、適当に話が出来る人をお願いした。

 まぁ結局いつもの会議室にいつものメンバーが揃ってたわけだけどな。
 流石にディオーヌ様やファーガロン様は居ないけど。


「突然の来訪で申し訳ない。時間を取ってもらえて感謝します。
 さて、皆さんお忙しい身だと思うんで、単刀直入に用件から話させてもらいますね。
 先日山岳エリアの先まで行ってみたんだけど、今の速度で調査を行うとターミナルを用意することが出来なくなりそうなんですよ。
 新しいエリアの調査は王国にとっても有益なことだと思うし、調査に必要なターミナルの提供ってお願いできないですかね?」


 一息でこちらの用件を伝えてみる。
 そこまでは良かったんだけど、なんか全員固まってらっしゃるな?
 どこで引っかかったんだろ?

 そのまま放置してリアクションを待っていると、以前から宰相と呼ばれていた人がいち早く現実に戻ってきた。おかえりなさい。


「えーっと……。トーマさん。まずは1つ1つ事実確認をさせてもらっていいですか……?」

「あ、はい大丈夫です。応えられることでしたらなんなりと」

「……まず、山岳エリアの先まで行ってみたと言うのは、山岳エリアの次のエリアまで到達したという意味で間違いないですか?」

「その通りです。山岳エリアの端まで確認しましたよ。まだ南側だけですけど」

「……なるほど。
 ちなみにエリアキーパーグラメダワルケアはどうなさったのですか? 討伐されたという話は聞いておりませんが」


 これはもう隠しきれる話じゃないよな。
 王国側に協力を要請する以上は。


「グラメダワルケアとの戦闘は回避しました。奴の縄張りを大きく迂回して先に進みましたから」

「エリアキーパーを倒さずとも、別のエリアに行けると申すのか……?」


 続いて王様も現世にお帰りになられたようだ。


「その通りです。エリアキーパーというよりは、グラメダワルケアは、と言ったほうが正しいでしょうけどね。
 グラメダワルケアやザルトワシルドアは縄張りの境界が分かりやすかったですけど、ランドビカミウリやユリバファルゴアは縄張りに侵入するまで分かりませんでしたから」

「ぬぅぅ……。エリアキーパーと一括りにはできんか……」

「……ちなみにトーマさん。山岳エリアの南に広がっていたのはどんなエリアだったんでしょう?」

「ああ、常に真っ黒で分厚い雲に覆われて、視界が閉ざされるほどの雨と絶え間なく落雷が起こっているエリアでしたよ。
 王国の皆さんには、暗天期の物凄く強力になった感じだと言えば分かりやすいですかねぇ?」

「絶え間なく落雷が起こるエリア、ですか?
 ……失礼ですが、そんな場所を調査してトーマさんが無事なのは不自然ではないですか?」

「この世界で生まれた命なら誰もが持っている『環境適応:小』ですけど、『環境適応:大』まで取得できれば、雷に触れても影響なかったんですよ。小や中効果だと危険なんじゃないですかね」

「……済みません。『環境適応:大』の取得条件を教えていただくわけには?」

「教えませんけど、一応現状でも取得できるとは言っておきましょうか。
 多分今後は自然に増えていくと思いますよ」


 平原、砂漠、森林、山岳エリアには冒険者なら自然に足を運ぶようになるだろう。
 今後海エリアとか雪エリアの開発が進めば、放っておいても獲得者は増えていくはずだ。

 まぁ今教えても大差ないんだけどさ。
 スキル取得する為だけに海にいく奴等とか出ても迷惑そうだし。


「……えっと? それでは我々王国側が、トーマさんの調査にターミナルを提供する理由がありませんよ?
 トーマさんの私的なエリア調査の為に貴重な心核を消費するには、王国側にも明確なメリットが必要になりますが」

「王国から提供されたターミナルは、設置後必ず王国側にも開放するつもりなんですが」

「それは……。大変に魅力的な提案ではありますが、雷が降り注ぐエリアなど移動できるようになっても、正直意味はないかと」


 そこはなんとも言い様がない部分だよなぁ。俺自身微妙だと思ってるし。


「了解しました。それでは帰ります。突然の来訪に対応してもらえて助かりました」

「ま、待つのだトーマよ! ターミナルが無ければエリアの調査も大変であろう!?」

「いや、まだターミナルはありますよ。ただ無限じゃないから提供してもらえたら有り難いなと思っただけです」


 逆にターミナルが無限に提供されてしまうと、マジで世界中回ることになりかねないしな。
 手持ちのターミナル使い切ったら終了、くらいの方がいいだろう。

 話も終わったので、帰るために席を立った。
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