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12章 俺が望んだ異世界生活
524 山岳エリアの東側
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グリフォンのスピードで一気に山岳エリアを通り抜ける。
岩山が途切れたところでグリフォンは止まった。
視線の先には雲が無く、エリアの全体が良く見える。
「これは……、川? いや、湿地帯エリア?」
眼前には広大な川が流れている。
海では無いと分かるのは、ちゃんと両側に陸地も見えているからだ。
見た感じ背の低い植物が多く、上空から見渡す限りでは高低差は感じられない。
川はエリアの中心から山岳エリア側に延びており、エリアの境界には巨大な穴が開いている。いや、谷なのか? 上からじゃ底は確認できないな。
川の水は全て谷に向かって流れ落ちていて、まさに大瀑布と言うに相応しい光景……、なんだけど。
どうもあの谷から嫌な雰囲気が漂っている。
ザルトワシルドアが居た深海への谷を思わせる雰囲気だ。
谷の上には岩で出来た橋がいくつも架かっていて、エリア間の移動は問題なさそうではあるけど。
このまま近寄るのは、ちょっと抵抗あるな……。
「クァ?」
グリフォンがまるで「行かないの?」とでも言わんばかりに首を傾げている。
ということは、谷底から漂う雰囲気には気付いていないということか。
なら俺の気のせい……? いや、それは絶対にない。
これはグラメダワルケアみたいに休眠中のエリアキーパーではなく、ユリバファルゴアやザルトワシルドアのようのな、活動状態のエリアキーパーが放つ雰囲気に感じる。
つまり、まだ敵対状態ではないけれど、エリアキーパーに俺たちの存在が補足されている状態ってことか……。
「……悪い。今は大至急さっき休んだ場所まで戻ってくれないか。ワケはそこで話すから」
「クァァ?」
ちょっと不満そうだけど特に逆らう事も無く、ペルオブジェのある岩山まで戻ってくれた。
流石に見られているような不快さはなくなっている。
「悪い悪い。確証はないんだけど、エリアの境界の大渓谷から危険な雰囲気がしたんだよ。
このエリアの巨人、グラメダワルケア級の魔物が俺達を見ている雰囲気が」
「グルゥ?」
本当? ってか。あれって体験しないと感じ取れないものなのかな?
俺たちもユリバファルゴアと初めて遭遇したときは、スナネコに警告されるまで気付けなかったし。
ネヴァルドで、エリアキーパーの縄張りってひと括りには出来ないって説明しちゃったけど、もしかしてこれも新しいパターンか?
縄張りはエリアの中心ではなくて、エリアの外周。
新しくエリアに侵入してくる存在を感知して襲ってくる……?
縄張りの面積は狭いけど、範囲が凄まじく広いタイプかよ。変なところで個性出さなくていいっつうのに。
「ちょっと安易に踏み込むのはヤバそうだ。俺の方の準備が整うまでは、お前もあっちのエリアには入らないようにしてくれ。
さ、今日のところはこの山の麓にターミナルを設置して帰ろう」
本日の調査はここまでだ。やることやってさっさと帰ろう。
グリフォンと一緒に地面まで降りる。魔物が居る雰囲気はない。
もしかして魔物はエリアキーパーの気配を感じ取ってるのかもな。
充分に距離を取ったつもりだけど、エリアキーパーと戦闘になったら余波は飛んでくるかもしれない範囲だし。
しかしどんな感じに設置しようかな?
今回は俺たちもあまり使わないし、動物たちが近くに居るわけでもない、完全放置状態になる場所だ。
現在周囲に魔物が居ないからと言って、魔物の脅威がない場所なのかは不明だ。
むしろ俺とグリフォンが転移の中継ポイントとして使う事で、魔物を呼び込んでしまう可能性もある。
んー、結構深く岩山を刳り貫かないとダメかな?
有効化するには閉鎖空間ではダメだし、微妙に条件が厳しい。
それに加えて、グリフォンが出入りできないとダメか。
とりあえず外側から進入する事は考えずに、むしろ外側からは侵入し辛い構造にするべきだな。
俺たちは空を飛べるし、魔物の侵入防止が優先だ。
地面から10~20メートル程度の高さの場所に穴を開けて、ターミナルを設置。
ターミナルは閉鎖空間では有効化できないので、正面は格子状にして魔物の侵入を阻み、天井側を更に刳り貫いて広い出入り口を作る。
完全に俺とグリフォンが使用することを前提とした出入り口だけど、もし後から不便に思う人が居たらその人が作り直せば良いだろ。俺たちにはこの出入り口で問題ない。
恐らくだけど、俺たちの家族がこのターミナルを使う機会も殆どないだろうし。
広場が出来たらターミナルを設置する台座も作り、ターミナルを有効化する。
問題なく有効化出来たことを確認して、グリフォンと共に帰還した。
さて俺も自宅に帰る……、っとその前に、ターミナルを設置したんだから報告しないといけないんだったか。
少々面倒だとは思うけど、心核の価値を考えれば安いもんだろう。
このペースでターミナルを設置していくと、1エリアに3つくらいは設置していかなきゃいけないだろうしな。
さてと、何処まで報告すべきか。
正直湿地帯なのか川エリアなのか分からないけれど、あのエリアが解放されてもどの程度の価値があるのか俺には判断出来ないんだよなぁ。地球の湿地って、どんなことに活用されてたんだっけ?
おっと、エリアキーパーの縄張りの多様性についても言及しておかないとな。
というか本当に厄介な問題だ。エリアごとに縄張りの仕様が違うってことは、毎回新エリアでは最大限に警戒を続けなきゃいけないじゃねーかよ。
急ぎじゃないとは思ってたけど、こりゃなるべく早く高速移動方法を開発しなきゃいけないかもしれないなぁ。
岩山が途切れたところでグリフォンは止まった。
視線の先には雲が無く、エリアの全体が良く見える。
「これは……、川? いや、湿地帯エリア?」
眼前には広大な川が流れている。
海では無いと分かるのは、ちゃんと両側に陸地も見えているからだ。
見た感じ背の低い植物が多く、上空から見渡す限りでは高低差は感じられない。
川はエリアの中心から山岳エリア側に延びており、エリアの境界には巨大な穴が開いている。いや、谷なのか? 上からじゃ底は確認できないな。
川の水は全て谷に向かって流れ落ちていて、まさに大瀑布と言うに相応しい光景……、なんだけど。
どうもあの谷から嫌な雰囲気が漂っている。
ザルトワシルドアが居た深海への谷を思わせる雰囲気だ。
谷の上には岩で出来た橋がいくつも架かっていて、エリア間の移動は問題なさそうではあるけど。
このまま近寄るのは、ちょっと抵抗あるな……。
「クァ?」
グリフォンがまるで「行かないの?」とでも言わんばかりに首を傾げている。
ということは、谷底から漂う雰囲気には気付いていないということか。
なら俺の気のせい……? いや、それは絶対にない。
これはグラメダワルケアみたいに休眠中のエリアキーパーではなく、ユリバファルゴアやザルトワシルドアのようのな、活動状態のエリアキーパーが放つ雰囲気に感じる。
つまり、まだ敵対状態ではないけれど、エリアキーパーに俺たちの存在が補足されている状態ってことか……。
「……悪い。今は大至急さっき休んだ場所まで戻ってくれないか。ワケはそこで話すから」
「クァァ?」
ちょっと不満そうだけど特に逆らう事も無く、ペルオブジェのある岩山まで戻ってくれた。
流石に見られているような不快さはなくなっている。
「悪い悪い。確証はないんだけど、エリアの境界の大渓谷から危険な雰囲気がしたんだよ。
このエリアの巨人、グラメダワルケア級の魔物が俺達を見ている雰囲気が」
「グルゥ?」
本当? ってか。あれって体験しないと感じ取れないものなのかな?
俺たちもユリバファルゴアと初めて遭遇したときは、スナネコに警告されるまで気付けなかったし。
ネヴァルドで、エリアキーパーの縄張りってひと括りには出来ないって説明しちゃったけど、もしかしてこれも新しいパターンか?
縄張りはエリアの中心ではなくて、エリアの外周。
新しくエリアに侵入してくる存在を感知して襲ってくる……?
縄張りの面積は狭いけど、範囲が凄まじく広いタイプかよ。変なところで個性出さなくていいっつうのに。
「ちょっと安易に踏み込むのはヤバそうだ。俺の方の準備が整うまでは、お前もあっちのエリアには入らないようにしてくれ。
さ、今日のところはこの山の麓にターミナルを設置して帰ろう」
本日の調査はここまでだ。やることやってさっさと帰ろう。
グリフォンと一緒に地面まで降りる。魔物が居る雰囲気はない。
もしかして魔物はエリアキーパーの気配を感じ取ってるのかもな。
充分に距離を取ったつもりだけど、エリアキーパーと戦闘になったら余波は飛んでくるかもしれない範囲だし。
しかしどんな感じに設置しようかな?
今回は俺たちもあまり使わないし、動物たちが近くに居るわけでもない、完全放置状態になる場所だ。
現在周囲に魔物が居ないからと言って、魔物の脅威がない場所なのかは不明だ。
むしろ俺とグリフォンが転移の中継ポイントとして使う事で、魔物を呼び込んでしまう可能性もある。
んー、結構深く岩山を刳り貫かないとダメかな?
有効化するには閉鎖空間ではダメだし、微妙に条件が厳しい。
それに加えて、グリフォンが出入りできないとダメか。
とりあえず外側から進入する事は考えずに、むしろ外側からは侵入し辛い構造にするべきだな。
俺たちは空を飛べるし、魔物の侵入防止が優先だ。
地面から10~20メートル程度の高さの場所に穴を開けて、ターミナルを設置。
ターミナルは閉鎖空間では有効化できないので、正面は格子状にして魔物の侵入を阻み、天井側を更に刳り貫いて広い出入り口を作る。
完全に俺とグリフォンが使用することを前提とした出入り口だけど、もし後から不便に思う人が居たらその人が作り直せば良いだろ。俺たちにはこの出入り口で問題ない。
恐らくだけど、俺たちの家族がこのターミナルを使う機会も殆どないだろうし。
広場が出来たらターミナルを設置する台座も作り、ターミナルを有効化する。
問題なく有効化出来たことを確認して、グリフォンと共に帰還した。
さて俺も自宅に帰る……、っとその前に、ターミナルを設置したんだから報告しないといけないんだったか。
少々面倒だとは思うけど、心核の価値を考えれば安いもんだろう。
このペースでターミナルを設置していくと、1エリアに3つくらいは設置していかなきゃいけないだろうしな。
さてと、何処まで報告すべきか。
正直湿地帯なのか川エリアなのか分からないけれど、あのエリアが解放されてもどの程度の価値があるのか俺には判断出来ないんだよなぁ。地球の湿地って、どんなことに活用されてたんだっけ?
おっと、エリアキーパーの縄張りの多様性についても言及しておかないとな。
というか本当に厄介な問題だ。エリアごとに縄張りの仕様が違うってことは、毎回新エリアでは最大限に警戒を続けなきゃいけないじゃねーかよ。
急ぎじゃないとは思ってたけど、こりゃなるべく早く高速移動方法を開発しなきゃいけないかもしれないなぁ。
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