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12章 俺が望んだ異世界生活
523 魔法と自然現象
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「お待ちしておりましたトーマさん」
翌日に朝食を終えてからルイナスリームに転移すると、ターミナル広場にターミナルを2つ持ち込んだ宰相さんが待っていた。
「おはようございます宰相さん。無理させちゃったんなら済みません。
えーと。何か設置場所の要望とかあります? 安全性は確保しますけど」
「いえ、こちらからは特に。ターミナルへの案内もすぐには必要ありません。王国民だけで新エリアに向かうにはまだ力不足だと思いますから。
新しい年を迎える頃にでも、設置したターミナルにゲート使いを案内してもらえれば充分です」
「力不足って事はないと思うけど、了解しました。
それじゃターミナル設置したら、その都度冒険者ギルドを通じて報告しますよ」
「畏まりました。ご報告がある毎にベイクのご自宅の方に新しいターミナルをお届けしますね。
最終的に不要になりましたら、その時に返却してもらえれば結構ですので」
ターミナルの無限供給が確約されてしまったかぁ。
これで世界中回れると喜ぶべきか、世界中回らざるを得ないと嘆くべきか。
宰相さんにお礼を言ってターミナルを受け取った。
宰相さんと別れてから、1度自宅に戻ってターミナルを1つ置いていく。
「それじゃ雷エリアの手前にターミナル設置してくるよ。当分使用される事はないと思うけど」
「ねぇねぇトーマ。その前にグラメダワルケアの背中側……、東方面かな? そっちの方にターミナルセットしたほうが良くないかなー?
山岳エリアの南側に行くのって1番距離あるでしょ? 先に東側にターミナルを設置したほうが、南側に行くのも楽になるじゃないのー?」
「ふむ? 言われてみればそうかも?
発見した新エリアに転移場所作ることしか考えてなかったけど、先に東西のどっちかにターミナル設置したほうが楽だな、間違いなく。
ありがとリーン。グリフォンとも相談してみるよ」
これで山岳エリアの東西も砂漠と海だったら悲しくなるな、なんて思いながらターミナルを専用のでかい袋に詰める。
東側はわかんないけど、西側は海の可能性は結構高いよな。
グリフォンハウスに転移して、グリフォンたちに事情を説明する。
ターミナルが邪魔で、連絡通路通れなかったぜ。
「クァ」
好きにしろって感じ? 興味なさそう。
グリフォンの了承も得られたので、尻尾を掴んで山岳エリアの東端に向かって出発だ。
今回もグリフォンの協力による尻尾牽引飛行で運んでもらっているわけだけど、これだと完全にグリフォンに頼りきりだよな。
逆にこの山岳エリアでグリフォンに匹敵する速度の移動方法を確立できたら、今後のエリア探索には動物の協力があまり必要なくなるんじゃないかな? 世界中を回る気があるなら、山岳エリアに居るうちに開発を済ませておきたいところだ。
飛んでいるグリフォンの魔力の流れを意識してみるけれど、少なくとも俺には特別な何かをしているようには感じない。
魔力を翼に流して、魔法的な原理で飛翔と加速を行っている。つまりは魔法グライダーと原理は変わらない。
原理が同じで速度に違いが出る理由はなんだろうなぁ。単純に素材の差? でもグリフォンの体毛や翼が、エリアキーパーであるランドビカミウリの素材よりも品質が高いとは考えにくい。
……そもそもの話をしてしまうと、この世界って惑星かどうかすら分かってないんだよな。そうすると重力とか引力も物理法則に従っていない可能性を疑うべきか?
神様が地球の人間用に、地球と似た自然環境を用意しただけって世界なわけだし、下手すると重力も魔法エネルギーで発生している可能性があったりするのか?
重力と言えば土魔法になるのかなぁ?
どの魔法でも魔力を一定量圧縮して魔法効果を発生させる、という過程は共通している?
雷エリアの雷は間違いなく魔法エネルギーを孕んでいたけど、この世界にはレンジが貰ったチート以外に電気属性を持った魔法は存在しない。
自然エネルギーは魔力を有していても、魔法ではない?
頭がこんがらがってきたけど、これってあんまり突き詰めると危険か?
この世界の根幹を揺るがしかねない発想なんじゃないか?
魔導具を開発しようとしてこの世界を崩壊に導いてしまったなんて、洒落にもならないってぇの。
ただ、自然エネルギーと魔法が別物だってのは重要な情報の気がする。
水圧や空気抵抗、果ては雷まで環境適応で無効化できるのに、攻撃魔法やレンジの電撃を無効化出来なかったからなぁ。
魔法と自然現象は別物である。この考え方が恐らく魔導具開発のスタートラインだ。
ここから何をどうやって発展させていけばいいのか思いつかないけど、なんとなくこの世界の核心に近い要素な気がする。
「クァァ」
考え事をしていると、どうやらグラメダワルケアの背中が正面に見える位置まで来たらしい。
ターミナルをちゃんと握ったままなのを確認し、グリフォンに背中とは反対側に向かってもらう。
グラメダワルケアがエリアの中心に居るのかどうかは確証がないけど、こいつのおかげで方角に迷う事がないのは助かる。
もしも正確にエリアの中心に居るのだとしたら、日没前後には山岳エリアの東端に到着できるはずだ。
砂漠じゃないといいんですけどねー。
休憩も取らずに飛び続けるグリフォンにひたすら感謝しつつ、エリアの端を目指して飛び続けると、日没を向かえる前に岩山が途切れる場所まで到達した。
どうやら暗くなる前にエリアの境界まで来れたようだ。
念のため少し戻った場所の岩山の山頂を整地して、目印に巨大なペルのオブジェを建設する。
ターミナルは王国に貰ったものだから、岩山の上には設置できないか。
とりあえず一旦ペル像に奉納しておいて、山岳エリアの先を確認してこよう。
グリフォンと軽く食事をして、改めて隣りのエリアを確認しに飛び立った。
翌日に朝食を終えてからルイナスリームに転移すると、ターミナル広場にターミナルを2つ持ち込んだ宰相さんが待っていた。
「おはようございます宰相さん。無理させちゃったんなら済みません。
えーと。何か設置場所の要望とかあります? 安全性は確保しますけど」
「いえ、こちらからは特に。ターミナルへの案内もすぐには必要ありません。王国民だけで新エリアに向かうにはまだ力不足だと思いますから。
新しい年を迎える頃にでも、設置したターミナルにゲート使いを案内してもらえれば充分です」
「力不足って事はないと思うけど、了解しました。
それじゃターミナル設置したら、その都度冒険者ギルドを通じて報告しますよ」
「畏まりました。ご報告がある毎にベイクのご自宅の方に新しいターミナルをお届けしますね。
最終的に不要になりましたら、その時に返却してもらえれば結構ですので」
ターミナルの無限供給が確約されてしまったかぁ。
これで世界中回れると喜ぶべきか、世界中回らざるを得ないと嘆くべきか。
宰相さんにお礼を言ってターミナルを受け取った。
宰相さんと別れてから、1度自宅に戻ってターミナルを1つ置いていく。
「それじゃ雷エリアの手前にターミナル設置してくるよ。当分使用される事はないと思うけど」
「ねぇねぇトーマ。その前にグラメダワルケアの背中側……、東方面かな? そっちの方にターミナルセットしたほうが良くないかなー?
山岳エリアの南側に行くのって1番距離あるでしょ? 先に東側にターミナルを設置したほうが、南側に行くのも楽になるじゃないのー?」
「ふむ? 言われてみればそうかも?
発見した新エリアに転移場所作ることしか考えてなかったけど、先に東西のどっちかにターミナル設置したほうが楽だな、間違いなく。
ありがとリーン。グリフォンとも相談してみるよ」
これで山岳エリアの東西も砂漠と海だったら悲しくなるな、なんて思いながらターミナルを専用のでかい袋に詰める。
東側はわかんないけど、西側は海の可能性は結構高いよな。
グリフォンハウスに転移して、グリフォンたちに事情を説明する。
ターミナルが邪魔で、連絡通路通れなかったぜ。
「クァ」
好きにしろって感じ? 興味なさそう。
グリフォンの了承も得られたので、尻尾を掴んで山岳エリアの東端に向かって出発だ。
今回もグリフォンの協力による尻尾牽引飛行で運んでもらっているわけだけど、これだと完全にグリフォンに頼りきりだよな。
逆にこの山岳エリアでグリフォンに匹敵する速度の移動方法を確立できたら、今後のエリア探索には動物の協力があまり必要なくなるんじゃないかな? 世界中を回る気があるなら、山岳エリアに居るうちに開発を済ませておきたいところだ。
飛んでいるグリフォンの魔力の流れを意識してみるけれど、少なくとも俺には特別な何かをしているようには感じない。
魔力を翼に流して、魔法的な原理で飛翔と加速を行っている。つまりは魔法グライダーと原理は変わらない。
原理が同じで速度に違いが出る理由はなんだろうなぁ。単純に素材の差? でもグリフォンの体毛や翼が、エリアキーパーであるランドビカミウリの素材よりも品質が高いとは考えにくい。
……そもそもの話をしてしまうと、この世界って惑星かどうかすら分かってないんだよな。そうすると重力とか引力も物理法則に従っていない可能性を疑うべきか?
神様が地球の人間用に、地球と似た自然環境を用意しただけって世界なわけだし、下手すると重力も魔法エネルギーで発生している可能性があったりするのか?
重力と言えば土魔法になるのかなぁ?
どの魔法でも魔力を一定量圧縮して魔法効果を発生させる、という過程は共通している?
雷エリアの雷は間違いなく魔法エネルギーを孕んでいたけど、この世界にはレンジが貰ったチート以外に電気属性を持った魔法は存在しない。
自然エネルギーは魔力を有していても、魔法ではない?
頭がこんがらがってきたけど、これってあんまり突き詰めると危険か?
この世界の根幹を揺るがしかねない発想なんじゃないか?
魔導具を開発しようとしてこの世界を崩壊に導いてしまったなんて、洒落にもならないってぇの。
ただ、自然エネルギーと魔法が別物だってのは重要な情報の気がする。
水圧や空気抵抗、果ては雷まで環境適応で無効化できるのに、攻撃魔法やレンジの電撃を無効化出来なかったからなぁ。
魔法と自然現象は別物である。この考え方が恐らく魔導具開発のスタートラインだ。
ここから何をどうやって発展させていけばいいのか思いつかないけど、なんとなくこの世界の核心に近い要素な気がする。
「クァァ」
考え事をしていると、どうやらグラメダワルケアの背中が正面に見える位置まで来たらしい。
ターミナルをちゃんと握ったままなのを確認し、グリフォンに背中とは反対側に向かってもらう。
グラメダワルケアがエリアの中心に居るのかどうかは確証がないけど、こいつのおかげで方角に迷う事がないのは助かる。
もしも正確にエリアの中心に居るのだとしたら、日没前後には山岳エリアの東端に到着できるはずだ。
砂漠じゃないといいんですけどねー。
休憩も取らずに飛び続けるグリフォンにひたすら感謝しつつ、エリアの端を目指して飛び続けると、日没を向かえる前に岩山が途切れる場所まで到達した。
どうやら暗くなる前にエリアの境界まで来れたようだ。
念のため少し戻った場所の岩山の山頂を整地して、目印に巨大なペルのオブジェを建設する。
ターミナルは王国に貰ったものだから、岩山の上には設置できないか。
とりあえず一旦ペル像に奉納しておいて、山岳エリアの先を確認してこよう。
グリフォンと軽く食事をして、改めて隣りのエリアを確認しに飛び立った。
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