最後の人生、最後の願い

総帥

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第2章 アカデミー1年生

17 ライミリウム家訪問

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 「あー緊張する...。」

 俺は今、ライミリウム家の車の中にいる。確かに挨拶したいとは言ったが、次の日て早すぎんだろ!1週間か早くても2~3日かかると思ってたわ!

 「そう緊張するな。大丈夫、父上も母上も歓迎してくれてるからな。」

 「そうそう。それに私達が近くに居るから。」

 「ありがとうございます...。」


 ファルとリク様に挟まれて身動きとれない俺。

 「手土産これで良かったかな...。おじさんとこのタルトだけど。」

 「喜ぶと思うぞ?」

 「だといいんだけど...。」





 「お帰りなさいませ、お坊っちゃま方。ようこそいらっしゃいました、シャルトルーズ様。」

 こ...これは!リアル執事!!ってしまった!挨拶わかんねー!!「お邪魔します」じゃないよね!?
 
 「「ただいま。」」

 「え、と。お招きいただきありがとうございます。シャルトルーズと申します。」
 
 「ご丁寧にありがとうございます。私は当家の執事を務めております、カルウィンと申します。お見知り置きを。」
 執事さんはにっこり笑って迎えてくれた。カッコいい...!燕尾服!眼鏡!モノクルにしてみない?山吹色の髪をきちっとまとめて仕事出来るオーラバシバシ!



 「皆様。旦那様と奥様がサロンで「来たかっ!ごふっ」...サロンでお待ちです。なるべく時間をおいてからいらしてください。」


 「......わかった。」

 執事さんの足元にある何かを見ないようにしながら、ファルの部屋に向かった。よし、もう忘れた。




 「ここがファルの部屋か。家具なんかは豪華だけど、あんまり物置いてないんだな。」

 「あまり飾ることに興味がなくてな...。これからは、増やしていこうと思ってる。」

 「そっかー。それがいい...よ?」
 部屋のドアから視線を感じる...。そろ~っと見てみると、
 


 「母上!何故こんな所にいらっしゃるんですか。サロンで待っていたのでは?」

 「あら、リク。ちょっとお手洗いにね~。」

 「大幅に通り過ぎてますけど!?」

 「うふふ、細かいことを気にしてはいけませんよ?未来の当主としてどんと構えていなさい。」

 「ああもう!父上も母上も浮かれすぎです。シャルは逃げませんから大人しく待っていてください。」

 「そうだわ!私もシャルと呼んでもいいかしら?」

 「本人に聞いてください!」

 好きに呼んでください。ドアの向こうで一体何が繰り広げられているんだ...。声が段々と遠ざかっていく。


 「すまない...。両親ともあの通りでな...。」

 「いや...。はは、本当に歓迎されてるんだな。すげー嬉しいよ、ファル。」

 「...!そ、そうか!今日はゆっくりしていけ!」

 「ありがとうな。」






 その後執事さんが呼びに来て、サロンに通された。


 緊張する...。えーい!行ったれぃ!!

 (あの2人がライミリウム家当主と奥方か...)

 男性の方は父さんと同じ緑の髪を短く切り揃えていて、神経質そうな雰囲気をしている。なんだか顔が強張っているような...。
 そして隣の女性が王妹である夫人か。柔らかな金髪に紫のややつり目。年齢を感じさせないほどに若々しく美しい。さっきの様子だと気さくな感じっぽいが...。
 とか考えてたら向こうから声をかけてきた。


 「我が家へようこそ。私が当主のゼルファート・ライミリウムだ。私達は君を歓迎する。」
 
 「私は妻のジェリンナ・ライミリウムです。どうぞゆっくりして行ってくださいね。」

 「お初にお目にかかります。ライミリウム家当主様、並びにご夫人。僕はゼルブルークの長男、シャルトルーズと申します。
 本日はお招きいただき、ありがとうございます。」

 俺は胸に右手をあて礼をする。目上の人に対する礼だ。
 うん、まあまあな挨拶でないか?


 

 ...返事がない。顔あげらんない...。ちらり。


 旦那様は胸を、夫人は頭を抱えて明後日の方を向いていた。

 なにこれ...。俺なんか変な事言っちゃった...?視線でリク様に助けを求める。



 「父上、母上。シャルが困っています。」

 「はっっ!?す、すまない。楽にして、座りなさい。」

 「ありがとうございます...。」

 お礼を言うと、ぐふぅっと唸った。

 
 「あの兄上の息子がこんな礼儀正しいなんて...奇跡だ...!」

 「しかもマリーにそっくりでとても愛らしいわ。それでいてゼルブルーク様譲りの力強い瞳...。奇跡だわ...!」

 俺って奇跡の存在だったのか...。知らんかった...。

 リク様とファルの方を見たが、2人ともこれ以上助けてくれる気はないらしい。



 「...!すまない。君も知っているだろうがゼルブルークは私の兄だ。どうか堅苦しいのはやめて、気楽にして欲しい。」

 「ええそうよ。リクとファルとも仲良しなのでしょう?私の事はおば様と呼んで頂戴?貴方もシャルと呼んでもいいかしら?」

 リク様とはまだそれほどではないけど...
 「はい、もちろんで「何っ!?では私はおじ様と呼びなさい。」もちろんです...。おじ様、おば様。」

 「あ、ずるい。シャル、私は?兄上、もしくはお兄様。いやリク兄、うーん...リッくん...。」

 「...ではこれからは兄上と呼ばせていただきますね。人前ではしませんから!」

 「うん。ふふ、これで私達は家族だよ!」

 「僕に弟ができたのですね!」

 「待った!兄は俺。そこは譲れない!」

 「え!?いや、僕でしょう!?ねえ兄上!」

 「いや...シャルの方がしっかりしてるし、お兄ちゃんじゃないかな。」

 「えーーー!!?」

 「安心しろ、俺の妹がいるから。お前もお兄ちゃんだ。」

 「あら!妹ちゃん?なんてお名前かしら?」

 「はい、マルベリーと言います。4歳になりました。」

 「そうか、きっと愛らしいのだろうな。」

 「はい!...あ。」

 さっきからなーんか引っかかってたんだよな。今分かった。

 「どうかしたのかい?」

 「あ、おじ様...。いやぁ、えっと...。
 ...よく考えてみたらおじ様と妹...マルがそっくりで...。2人並んだら完全に親子だなーなんて思ったり...。」



 俺の言葉に兄弟は紅茶を吹き、おば様は淑女らしからぬ大笑いをし、おじ様は天を仰いでいた。


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