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第3話 蚊の歌
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聖歌――呪歌に掛けるには、対象に歌を聞かせる必要がある。
その為、基本的に声――振動――の届かない相手には効果を発動させる事は出来ない。
「王子と接触する方法……」
一応、遠くの相手に歌を送り込む方法がない訳ではない。響きという歌唱技なら遠くの相手にも呪いを掛ける事は出来た。だがその効果は小さく。それこそちょっとしたサブリミナルレベルの影響しか与えられないだろう。
「失礼します」
扉がノックされ「どうぞ」と答えると。静かに扉が開き、セバスチャンが姿を現す。
「お手紙をお持ちしました」
「手紙?」
彼から手紙を受け取り、封蝋を確認する。
「っ!?」
そこに押されている印は――王家の物だった。
驚きに目を見開く。
急いで封をペーパーナイフでカットし、中を検める
内容は第一王子であるガリアの婚約を知らせる物だ。お相手はコーウェン伯爵令嬢らしい。家とは、あまり仲が良くなかった相手だ。
「婚約パーティー……ね」
相手も含めて、恐らく此方に対する嫌味を籠めての物だろう。書状にはパーティーへの招待状が挟んであった。
好機到来とは正にこの事だ。
俺はヴェールの下でにやりと口の端を歪ませる。
まさか向こうから迎え入れてくれるとは。相手が馬鹿で助かる。いやまあ此方の歌を知っていたなら、こんな物は絶対に送っては来なかっただろうが。
「ふふふ」
王子には強烈な呪いを用意してある。
奴の人生が軽く詰むぐらいには、強力な呪いが。
「簡単には……死なせない……」
俺は政務をそこそこに切り上げ、セバスチャンに当日の用意を命じて離れへと向かう。婚約パーティーは1週間後。それまでに習得しておかなければならない技術がある。
モスキートメロディー。
蚊の鳴くような、高周波数帯で歌を歌うスキルだ。
パーティー会場でいきなり歌いだせば目立つ。その後王子に異変があればそれだけで捉えられかねない。その為モスキートメロディーを使い、聞き取り辛い歌で呪いをかける予定だ。
スキル自体はもう習得済みなのだが、人によっては普通に聞こえる可能性もあるらしいので、そうならない様、より高い周波数で歌う訓練を行う必要があった。
仮に王子を破滅させても、俺が捕まってしまっては意味がない。
念には念を入れないと。
ああ、パーティーが楽しみだ。
前代未聞の婚約パーティーになるぞ!
その為、基本的に声――振動――の届かない相手には効果を発動させる事は出来ない。
「王子と接触する方法……」
一応、遠くの相手に歌を送り込む方法がない訳ではない。響きという歌唱技なら遠くの相手にも呪いを掛ける事は出来た。だがその効果は小さく。それこそちょっとしたサブリミナルレベルの影響しか与えられないだろう。
「失礼します」
扉がノックされ「どうぞ」と答えると。静かに扉が開き、セバスチャンが姿を現す。
「お手紙をお持ちしました」
「手紙?」
彼から手紙を受け取り、封蝋を確認する。
「っ!?」
そこに押されている印は――王家の物だった。
驚きに目を見開く。
急いで封をペーパーナイフでカットし、中を検める
内容は第一王子であるガリアの婚約を知らせる物だ。お相手はコーウェン伯爵令嬢らしい。家とは、あまり仲が良くなかった相手だ。
「婚約パーティー……ね」
相手も含めて、恐らく此方に対する嫌味を籠めての物だろう。書状にはパーティーへの招待状が挟んであった。
好機到来とは正にこの事だ。
俺はヴェールの下でにやりと口の端を歪ませる。
まさか向こうから迎え入れてくれるとは。相手が馬鹿で助かる。いやまあ此方の歌を知っていたなら、こんな物は絶対に送っては来なかっただろうが。
「ふふふ」
王子には強烈な呪いを用意してある。
奴の人生が軽く詰むぐらいには、強力な呪いが。
「簡単には……死なせない……」
俺は政務をそこそこに切り上げ、セバスチャンに当日の用意を命じて離れへと向かう。婚約パーティーは1週間後。それまでに習得しておかなければならない技術がある。
モスキートメロディー。
蚊の鳴くような、高周波数帯で歌を歌うスキルだ。
パーティー会場でいきなり歌いだせば目立つ。その後王子に異変があればそれだけで捉えられかねない。その為モスキートメロディーを使い、聞き取り辛い歌で呪いをかける予定だ。
スキル自体はもう習得済みなのだが、人によっては普通に聞こえる可能性もあるらしいので、そうならない様、より高い周波数で歌う訓練を行う必要があった。
仮に王子を破滅させても、俺が捕まってしまっては意味がない。
念には念を入れないと。
ああ、パーティーが楽しみだ。
前代未聞の婚約パーティーになるぞ!
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