聖歌使いの不細工令嬢はムカつく相手に呪いをかける。人の歌に勝手に惚れておいて、顔を見て散々罵って婚約破棄とか死ね

manji

文字の大きさ
3 / 11

第3話 蚊の歌

しおりを挟む
 聖歌――呪歌に掛けるには、対象に歌を聞かせる必要がある。
 その為、基本的に声――振動――の届かない相手には効果を発動させる事は出来ない。

「王子と接触する方法……」

 一応、遠くの相手に歌を送り込む方法がない訳ではない。響きという歌唱技なら遠くの相手にも呪いを掛ける事は出来た。だがその効果は小さく。それこそちょっとしたサブリミナルレベルの影響しか与えられないだろう。

「失礼します」

 扉がノックされ「どうぞ」と答えると。静かに扉が開き、セバスチャンが姿を現す。

「お手紙をお持ちしました」

「手紙?」

 彼から手紙を受け取り、封蝋を確認する。

「っ!?」

 そこに押されている印は――王家の物だった。
 驚きに目を見開く。
 急いで封をペーパーナイフでカットし、中を検める

 内容は第一王子であるガリアの婚約を知らせる物だ。お相手はコーウェン伯爵令嬢らしい。家とは、あまり仲が良くなかった相手だ。

「婚約パーティー……ね」

 相手も含めて、恐らく此方に対する嫌味を籠めての物だろう。書状にはパーティーへの招待状が挟んであった。

 好機到来とは正にこの事だ。
 俺はヴェールの下でにやりと口の端を歪ませる。

 まさか向こうから迎え入れてくれるとは。相手が馬鹿で助かる。いやまあ此方の歌を知っていたなら、こんな物は絶対に送っては来なかっただろうが。

「ふふふ」

 王子には強烈な呪いを用意してある。
 奴の人生が軽く詰むぐらいには、強力な呪いが。

「簡単には……死なせない……」

 俺は政務をそこそこに切り上げ、セバスチャンに当日の用意を命じて離れへと向かう。婚約パーティーは1週間後。それまでに習得しておかなければならない技術がある。

 モスキートメロディー。
 蚊の鳴くような、高周波数帯で歌を歌うスキルだ。

 パーティー会場でいきなり歌いだせば目立つ。その後王子に異変があればそれだけで捉えられかねない。その為モスキートメロディーを使い、聞き取り辛い歌で呪いをかける予定だ。

 スキル自体はもう習得済みなのだが、人によっては普通に聞こえる可能性もあるらしいので、そうならない様、より高い周波数で歌う訓練を行う必要があった。

 仮に王子を破滅させても、俺が捕まってしまっては意味がない。
 念には念を入れないと。

 ああ、パーティーが楽しみだ。
 前代未聞の婚約パーティーになるぞ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...