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癒しのハーブティー
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涙を流し続けて、どれくらい経っただろう……。
目の前にスッと白い刺繍の入ったハンカチが差し出される。
ハッと顔を上げると、マスターだった。
マスターが先程とは違って、優しい表情で私を見ていた。
「大丈夫ですよ」
「え?」
「貴女は、必ず帰れる。名前も、思い出せますよ」
「マスター……」
私の目に、また涙が浮かぶ。
だが、先ほどの様な絶望感は無かった。
今度は安心感で涙が出たのだ。
ぐすぐすとハンカチで涙を拭く私の前に、湯気の立つガラスのティーカップに入った飲み物が置かれたのはすぐだった。
「マスター、これは?」
「ハーブティーですよ」
「ハーブティー……」
透明な、茶色の色をした飲み物を見て、私はマスターの言葉を繰り返す。
手に持って、口を付けると甘酸っぱい香りとフローラルな味がした。
「美味しい……」
私は呟くように言った。
何だか、心が落ち着くような感じがしてきた。
「このハーブティーは、緊張を解く効能を持ったハーブをブレンドしたものなんですよ」
「緊張を解く、効能のハーブ」
マスターの説明に納得する。
「私ハーブティーなんてめったに飲まないや」
苦笑する私に、マスターは少し目を見開いてから穏やかに言った。
「良かった。名前だけが記憶喪失みたいですね」
その言葉に私は「あ!」と声を上げる。
確かにそうだ。
ハーブティーをあまり飲んだことが無いことは覚えている……。
考え込む私にマスターは見守ってくれている。
しばらく考え込んでいたが、やはり何もその他は思い出せない。
潔く私は考えるのを諦めた。
その様子を見て、マスターが口を開いた。
「さあ、お嬢さん。落ち着いたなら、話があります」
「はい」
私は思わず居住まいを正した。
「貴女は、帰れます。自分の家に。ただ、それが何時になるかが……分かりません」
「はい……」
私は心の何処かで覚悟していた言葉に唇を少し噛む。
「先程、扉の番人にも言いましたが、アイツはどうしようもない奴でしてね」
扉の番人とは何ぞや。
そう思ったのが顔に出たのか、マスターは私を喫茶店の入り口のドアに連れてゆく。
私が明けたと思われるドアは、重厚な木で出来ている様だった。
その上の方に、ステンドグラスの梟の飾りがあった。
「これが、この喫茶店の扉の番人です」
「これ、が……?」
私は驚く。
普通の飾りの様だが……。
そのステンドグラスの、梟の目玉の部分がぎょろりと動いた。
「わあっ!」
私は後退る。
目、目が動いた!
驚く私に、マスターが言う。
「この扉は、外からは開けれますが内側からは、わたし以外、絶対に開けれません。覚えておいてください」
「は、はい!」
「さて、お嬢さん。もう一つ提案があります」
「はい?」
相当、間抜けな声を出していた私にマスターは言った。
「帰れるまで、ここでアルバイトをしませんか?」
目の前にスッと白い刺繍の入ったハンカチが差し出される。
ハッと顔を上げると、マスターだった。
マスターが先程とは違って、優しい表情で私を見ていた。
「大丈夫ですよ」
「え?」
「貴女は、必ず帰れる。名前も、思い出せますよ」
「マスター……」
私の目に、また涙が浮かぶ。
だが、先ほどの様な絶望感は無かった。
今度は安心感で涙が出たのだ。
ぐすぐすとハンカチで涙を拭く私の前に、湯気の立つガラスのティーカップに入った飲み物が置かれたのはすぐだった。
「マスター、これは?」
「ハーブティーですよ」
「ハーブティー……」
透明な、茶色の色をした飲み物を見て、私はマスターの言葉を繰り返す。
手に持って、口を付けると甘酸っぱい香りとフローラルな味がした。
「美味しい……」
私は呟くように言った。
何だか、心が落ち着くような感じがしてきた。
「このハーブティーは、緊張を解く効能を持ったハーブをブレンドしたものなんですよ」
「緊張を解く、効能のハーブ」
マスターの説明に納得する。
「私ハーブティーなんてめったに飲まないや」
苦笑する私に、マスターは少し目を見開いてから穏やかに言った。
「良かった。名前だけが記憶喪失みたいですね」
その言葉に私は「あ!」と声を上げる。
確かにそうだ。
ハーブティーをあまり飲んだことが無いことは覚えている……。
考え込む私にマスターは見守ってくれている。
しばらく考え込んでいたが、やはり何もその他は思い出せない。
潔く私は考えるのを諦めた。
その様子を見て、マスターが口を開いた。
「さあ、お嬢さん。落ち着いたなら、話があります」
「はい」
私は思わず居住まいを正した。
「貴女は、帰れます。自分の家に。ただ、それが何時になるかが……分かりません」
「はい……」
私は心の何処かで覚悟していた言葉に唇を少し噛む。
「先程、扉の番人にも言いましたが、アイツはどうしようもない奴でしてね」
扉の番人とは何ぞや。
そう思ったのが顔に出たのか、マスターは私を喫茶店の入り口のドアに連れてゆく。
私が明けたと思われるドアは、重厚な木で出来ている様だった。
その上の方に、ステンドグラスの梟の飾りがあった。
「これが、この喫茶店の扉の番人です」
「これ、が……?」
私は驚く。
普通の飾りの様だが……。
そのステンドグラスの、梟の目玉の部分がぎょろりと動いた。
「わあっ!」
私は後退る。
目、目が動いた!
驚く私に、マスターが言う。
「この扉は、外からは開けれますが内側からは、わたし以外、絶対に開けれません。覚えておいてください」
「は、はい!」
「さて、お嬢さん。もう一つ提案があります」
「はい?」
相当、間抜けな声を出していた私にマスターは言った。
「帰れるまで、ここでアルバイトをしませんか?」
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