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幼馴染みからの告白
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レナードの登場により、騒動は新たな局面を迎えていた。
うんうん、計画は順調ね!
これでレナードが私に告白さえしてくれれば、「あら、ステキ!幼馴染みの純愛ね~」とか周囲が勝手に盛り上がって、私が浮気された惨めな女という事実は永遠に葬り去られるのよ。
後は照れたふりしてそそくさと退場して、来月辺りに「『幼馴染みとしての愛情』と、『恋愛』は違っていたの……」みたいな、女性が好きそうな破局話を流せばカンペキ!
さぁ、とっとと告白してちょうだい。
シンシアの目が爛々としているのに気が付いたのか、これから起こることを察したらしい義兄がフッと笑ったのを感じた。
「レナード様、どうなさったの?私に伝えたいことって?」
「シンシア、こんな時に伝えるべきことではないってわかってる。でも僕はもう後悔はしたくない。シンシアのことがずっと好きだったんだ!」
「キャーーっ!よく言ったわレナード!さすが私の息子よ!!」
「ああ、それでこそ男だ!」
レナードの告白に真っ先に反応したのは、なぜかレナードの両親、カートナー侯爵夫妻だった。
夫人は感動して泣き始め、侯爵に肩を抱かれている。
シンシアは出鼻を挫かれた。
遅れてホールに歓声が湧き上がった。
特に令嬢達の目はキラキラと輝き、頬を紅潮させながらシンシア達を見守っている。
レナードの告白はバッチリ観衆の心を掴んだようだった。
レナードってばやるときはやるのね。
見た目は格好いいのに、弱気な子犬のような告白に、夫人方もメロメロじゃないの。
バカな婚約者が嫌味な俺様だった分、誠実さが心に響いたみたいね。
「レナード様……お気持ちは嬉しいのですけれど、私は婚約破棄を宣言された傷物なのです。とても釣り合いがとれませんわ」
「そんなことは関係ない!もうただの幼馴染みでは嫌なんだ。僕はシンシアを誰よりもわかっているつもりだし、君の全てを愛しているんだ!」
「レナード様……」
「シンシアは僕じゃ駄目?僕なら絶対君を傷付けたりしない」
「わ、私もレナード様が好きです!本当はずっと好きだったんです!!」
シンシアが目を潤ませながらレナードの告白を受け入れると、ホールは盛大な拍手に包まれた。
まるで演劇のラストシーンのような感動が生まれ、ハンカチで目を拭っている女性までいる。
「なんて純粋な愛なのかしら?これこそが『幼馴染みの真実の愛』だわ!」
「いやー、若い頃を思い出しますな」
「まるでお芝居のようだわ。素敵!」
シンシアが思い描いていた通りに計画は進んでいた。
怖いくらいである。
私って天才じゃない?
こんなに上手くいくなんて。
ちょっとみんなの反応が良過ぎるのが心配だけれど、まあ問題ないでしょう。
「まるでお芝居」って、本当にお芝居なのが笑えるわよね。
私、女優の才能まであったのねぇ。
シンシアが自画自賛していると、今まで静かだったトーリが騒ぎだした。
むしろよく今まで黙っていられたものである。
「待て待てーっ!何を勝手に二人で盛り上がっているんだ!俺の邪魔をするな!こっちはまだ終わってないぞ!」
「え、でもトーリ殿は婚約破棄を希望されていましたよね?ルイーザ嬢とどうぞお幸せに」
喚き立てるトーリに、首を傾げながらレナードが笑顔で的確に突っ込んでいる。
無邪気そうな振る舞いだが、もちろんそれも演技であることをシンシアは見抜いていた。
うーん、あざとい。
さすがレナードだわ。
というか、あのおバカさんはいつまでここにいるつもりかしら?
さっさと退場した方が身のためだと思うけれど。
「余計なお世話だ!何だ、この茶番は。シンシアは俺にフラれて、みっともなく泣き喚けばいいんだ!!」
思い通りにならなかったからか、トーリはとうとう越えてはいけない一線を越えてしまった。
いや、とっくに越えてはいたのだが、許されざる台詞に静かに義兄がキレたのがわかった。
「メイソン伯爵代理として申し上げる。我がメイソン伯爵家は、トーリ・ケンウッドとシンシア・メイソンの婚約を、ケンウッド家有責での破棄として受け入れる。なお、慰謝料を請求する上、今後の援助も打ち切るものとする」
義兄の冷淡な声に、当然の結果にも関わらずトーリは「え?慰謝料?」などと慌て始め、ルイーザも「まずくない?援助なくなっても平気なの?」と小声でトーリに訴えている。
この人達、破棄したあとのことを全く考えていなかったのかしら?
これから社交界でどうやって生きていくつもりやら。
ま、どうでもいいわね。
「そこの二人は、我が家の夜会にはふさわしくないようだ。ただちにお帰り願おう」
カートナー侯爵が命じると、侯爵家の私兵が暴れるトーリとルイーザを強引に連れていってしまった。
強制退場である。
はぁー、これで一件落着ね。
私も疲れたとか理由を付けて、お義兄様と早々にここから退場しましょうか。
シンシアが義兄に声をかけようとした時だった。
「シンシア、せっかくだから僕達の結婚の日取りを決めておいてもいいかな?」
レナードがとんでもないことを言い出したせいで、シンシアは思わず「はぁ?」と素で聞き返していた。
うんうん、計画は順調ね!
これでレナードが私に告白さえしてくれれば、「あら、ステキ!幼馴染みの純愛ね~」とか周囲が勝手に盛り上がって、私が浮気された惨めな女という事実は永遠に葬り去られるのよ。
後は照れたふりしてそそくさと退場して、来月辺りに「『幼馴染みとしての愛情』と、『恋愛』は違っていたの……」みたいな、女性が好きそうな破局話を流せばカンペキ!
さぁ、とっとと告白してちょうだい。
シンシアの目が爛々としているのに気が付いたのか、これから起こることを察したらしい義兄がフッと笑ったのを感じた。
「レナード様、どうなさったの?私に伝えたいことって?」
「シンシア、こんな時に伝えるべきことではないってわかってる。でも僕はもう後悔はしたくない。シンシアのことがずっと好きだったんだ!」
「キャーーっ!よく言ったわレナード!さすが私の息子よ!!」
「ああ、それでこそ男だ!」
レナードの告白に真っ先に反応したのは、なぜかレナードの両親、カートナー侯爵夫妻だった。
夫人は感動して泣き始め、侯爵に肩を抱かれている。
シンシアは出鼻を挫かれた。
遅れてホールに歓声が湧き上がった。
特に令嬢達の目はキラキラと輝き、頬を紅潮させながらシンシア達を見守っている。
レナードの告白はバッチリ観衆の心を掴んだようだった。
レナードってばやるときはやるのね。
見た目は格好いいのに、弱気な子犬のような告白に、夫人方もメロメロじゃないの。
バカな婚約者が嫌味な俺様だった分、誠実さが心に響いたみたいね。
「レナード様……お気持ちは嬉しいのですけれど、私は婚約破棄を宣言された傷物なのです。とても釣り合いがとれませんわ」
「そんなことは関係ない!もうただの幼馴染みでは嫌なんだ。僕はシンシアを誰よりもわかっているつもりだし、君の全てを愛しているんだ!」
「レナード様……」
「シンシアは僕じゃ駄目?僕なら絶対君を傷付けたりしない」
「わ、私もレナード様が好きです!本当はずっと好きだったんです!!」
シンシアが目を潤ませながらレナードの告白を受け入れると、ホールは盛大な拍手に包まれた。
まるで演劇のラストシーンのような感動が生まれ、ハンカチで目を拭っている女性までいる。
「なんて純粋な愛なのかしら?これこそが『幼馴染みの真実の愛』だわ!」
「いやー、若い頃を思い出しますな」
「まるでお芝居のようだわ。素敵!」
シンシアが思い描いていた通りに計画は進んでいた。
怖いくらいである。
私って天才じゃない?
こんなに上手くいくなんて。
ちょっとみんなの反応が良過ぎるのが心配だけれど、まあ問題ないでしょう。
「まるでお芝居」って、本当にお芝居なのが笑えるわよね。
私、女優の才能まであったのねぇ。
シンシアが自画自賛していると、今まで静かだったトーリが騒ぎだした。
むしろよく今まで黙っていられたものである。
「待て待てーっ!何を勝手に二人で盛り上がっているんだ!俺の邪魔をするな!こっちはまだ終わってないぞ!」
「え、でもトーリ殿は婚約破棄を希望されていましたよね?ルイーザ嬢とどうぞお幸せに」
喚き立てるトーリに、首を傾げながらレナードが笑顔で的確に突っ込んでいる。
無邪気そうな振る舞いだが、もちろんそれも演技であることをシンシアは見抜いていた。
うーん、あざとい。
さすがレナードだわ。
というか、あのおバカさんはいつまでここにいるつもりかしら?
さっさと退場した方が身のためだと思うけれど。
「余計なお世話だ!何だ、この茶番は。シンシアは俺にフラれて、みっともなく泣き喚けばいいんだ!!」
思い通りにならなかったからか、トーリはとうとう越えてはいけない一線を越えてしまった。
いや、とっくに越えてはいたのだが、許されざる台詞に静かに義兄がキレたのがわかった。
「メイソン伯爵代理として申し上げる。我がメイソン伯爵家は、トーリ・ケンウッドとシンシア・メイソンの婚約を、ケンウッド家有責での破棄として受け入れる。なお、慰謝料を請求する上、今後の援助も打ち切るものとする」
義兄の冷淡な声に、当然の結果にも関わらずトーリは「え?慰謝料?」などと慌て始め、ルイーザも「まずくない?援助なくなっても平気なの?」と小声でトーリに訴えている。
この人達、破棄したあとのことを全く考えていなかったのかしら?
これから社交界でどうやって生きていくつもりやら。
ま、どうでもいいわね。
「そこの二人は、我が家の夜会にはふさわしくないようだ。ただちにお帰り願おう」
カートナー侯爵が命じると、侯爵家の私兵が暴れるトーリとルイーザを強引に連れていってしまった。
強制退場である。
はぁー、これで一件落着ね。
私も疲れたとか理由を付けて、お義兄様と早々にここから退場しましょうか。
シンシアが義兄に声をかけようとした時だった。
「シンシア、せっかくだから僕達の結婚の日取りを決めておいてもいいかな?」
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