【完結】田舎育ち令嬢、都会で愛される

櫻野くるみ

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両親と再会しました。

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スペンサー家の門をくぐり、馬車がゆっくりと屋敷に近付く。

10年ぶりね。
懐かしい・・・というほど覚えていないけれど。

屋敷に籠りがちだった過去のリリーは、屋敷の外観を見る機会が少なかったのである。


馬車の窓から、遠くに両親と使用人達が並んでいるのが見える。

両親に会うのは1年ぶり位だろうか。
二人で、領地に視察のついでに会いに来てくれた。
もちろんリリーに会うことが目的で、視察がついでだったのだが。
むしろ、何を視察していたのか未だに謎である。


国の外交に関わる、父のウィリアムは多忙で、家族との時間があまり取れずにいた。
家族への愛情が取り立てて強い上、なかなか会えないもどかしさからか、一緒に過ごせる時は全然傍を離れようとしない。

「リリー、何をしているんだい?」
「一緒にお茶にしよう!」
「今日は馬に乗って出かけないか?」

滞在中、ずっとこんな調子でリリーに付きまとうのだ。

母のアンが呆れた顔をしながら眺め、時に諌めてくれるのだが。

王都へ帰る日など、いつも大騒ぎだ。
リリーは遠い目をしながら思い出す。

大体の流れは、

1、リリーと離れたくないと駄々をこねる。

2、逃亡して隠れる。

3、見つかると、自分は領主なんだから言うことを聞けと、訳わからないことを言い出す。

4、リリーを抱きしめて離さない。

5、アンに一喝されて泣きながら馬車に乗り込む。

ウィリアムが帰った後は、いつも使用人がヘトヘトになっていた。

でもそのバタバタによって、リリーの両親との別れの寂しさはうやむやになり、笑顔で見送れたのである。

もしかしてわざとだったのかしら・・・?
まさかね。

リリーはあっさりと否定した。


いよいよ馬車が近付き、父であるウィリアムが待ちきれない様子で、「リリー!!」と叫び、妻のアンになだめられていた。

お父様ったら、相変わらずね。

仕事は大丈夫なのかしら。
でも私も、早く近くで顔を見たいわ。

扉が開かれるのと同時にリリーは飛び出し、走ってウィリアムに抱き付いた。

「お父様、ただいま戻りました!!」

感極まり、抱き締めたまま答えない父に代わり、

「おかえりなさい。あなたが無事に戻って嬉しいわ。」

とアンが優しく微笑んだ。


思えば10年前、ここを発つ時は身体が弱く、長く生きられないかもしれないと言われていたリリーである。

この屋敷で初めて走っている姿を見た両親には、胸に来るものがあったのだろう。
涙目になっていた。

ようやく放してくれた父から、次は母へと抱き付き、

「長く留守にしてごめんなさい、お母様。」

と謝れば、

「リリーが元気ならそれでいいのよ。」

と頭を撫でながら言われる。

リリーは思った。

私はずっと心配をかけていたのね。
領地で私が楽しく過ごしていた間に、どれだけのものを犠牲にしていたのだろう。

これからは悲しませない私になりたい。いえ、なってみせるわ。

「今日からはずっと一緒ですね。お父様、お母様。」

笑いながら言ったら、二人にぎゅうぎゅうと抱き締められてしまった。


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