【完結】田舎育ち令嬢、都会で愛される

櫻野くるみ

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リリーは最高。(ジェシー視点)

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今日もいい天気ね。

でも屋敷から外に出ることのないジェシーには、あまり関係のないことだった。
今日も自分の部屋で小説を読んで過ごすだけ。
いつもと同じ一日がまた繰り返される・・・

あの時まではそう思っていた。

外から明るいあの声が聴こえるまでは。


いつものように、自分の部屋の窓際の椅子に腰掛け、小説を開く。
今流行りの冒険小説である。

主人公は子供時代、とある事情で少女なのに少年として育てられた。
好きな剣術を学び、信頼できる仲間に出会い、いつしか女騎士として、皆と共に魔族を倒す冒険に出るのだ。

ジェシーは少女がうらやましかった。
最終的に男も女も関係なく、自由に生き、仲間に囲まれる少女が。

一人孤独の中で、ふと幼馴染みの少女を思い出す。
身体が弱く、寝ていることも多かったが、いつもジェシーの話をキラキラした瞳で聞いていた。
彼女を楽しませたい、笑わせたい、あの時のジェシーにはそれが全てだった。

リリー、今どうしてる?
元気になったとアーサーお兄様は言っていたけれど。
会いたいわ。
でも会いたくない気持ちもあるわね。
こんな私を見せたくないわ。

手紙も途中で出さなくなってしまった。
こんな薄情な私のことなんて、リリーはもう忘れてしまったわよね。

小さく溜め息をついたその時。

窓の外に門の方から歩いてくる人影を見つけた。

馬車じゃなく、歩きなんて珍しい。
あれはお兄さまと、アーサーお兄様?
一緒にいる女性は誰かしら?

気になり、久しぶりにベランダに出てみる。
すると、兄のオーウェンがこちらを指差しながら女性に何かを言うそぶりをした。

直後、

「ジェシー!!」

大声でその女性が私を見て叫んだ。
手にしていたバスケットをアーサーに預け、両手を挙げてぶんぶん振りながら、ピョンピョン跳ねている。

もしかして・・・

「リリー!?」

あまりの元気の良さに驚いていると、リリーの隣でオーウェンとアーサーが身体を折って笑っている。

確かに、令嬢とは思えない大声だったわね。
しかも、あんな飛び跳ねて。
子供みたいだわ。

私もおかしくなってきて、笑いが止まらないわ。
ふふっ、まだ跳んでる。
笑うのなんていつぶりかしら・・・

「今行くわ!」

私も叫んで、部屋を飛び出す。

廊下を走り抜ける私を、使用人達が驚いて見ているけれど、その驚きの顔までもが愉快に感じる。

あー、やっぱりリリーは最高ね。

さっきまで会いたくないと思っていたのが嘘のようだ。



玄関から飛び出し、私はリリーに飛び付いた。

「おかえりなさい、リリー!」



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