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既成事実とは?
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ハルト様が離れてくれない・・・
依然として、リリーはラインハルトに抱きつかれたままであった。
頭はなでなでされているし、頬はすりすりされている。
私ってば、自分で思っているよりハルト様に好かれているのかしら?
好き放題されるがままで、段々どうにでもなれという気持ちになっていたが。
「ああ、もうリリーを離したくない。やっぱり城に連れて帰っちゃおうかな。婚約者になるんだし。どうせなら、既成事実でも作っておきたいところだけど。」
ラインハルトが不穏なことを呟きだした。
既成事実??
リリーは慌ててラインハルトから距離を取ると、口を両手で押さえた。
「既成事実なんてダメです!!」
思わず強い口調で言ってしまう。
そんなリリーを目を丸くしながら見ると、ラインハルトは再び笑い出した。
「あははは!!それって、口付け防止なのかな?既成事実が口付けだと思ったの?」
ラインハルトは愉快だと言わんばかりに笑っているが、リリーには意味がわからない。
何がおかしかったのかしら?
口付けは結婚式で夫婦になる証として行われるものでしょう?
だから既成事実って口付けのことかと思ったのだけれど。
小説だと最後は口付けしてハッピーエンドだし。
でも・・・
口付けされるのかと思って思わず離れてしまったけれど、違ってたみたい。
「ごめんなさい、ハルト様。私、勘違いをしてしまって。恥ずかしい・・・」
リリーが赤くなって俯くと、ラインハルトがさらっと言い放った。
「いや、勘違いでもないよ。口付けももちろんしたいし、というか、するつもりだし。それにもっと先のことも考えていただけだから。」
は!?
するの!?
もっと先?
もっと先って何!?
沸騰しそうになっているリリーの頬を撫でているラインハルトの瞳は、いつもの優しい王子様の瞳ではない気がした。
「いつまでもこうしていたいけど、さすがに帰してあげないとかな。とっくに屋敷に着いているしね。」
え?
リリーが意識を馬車に戻すと、確かに動いていない。
大分前から止まっていた気もする。
閉まっているカーテンを少し開けて外を見ると、遠くに心配そうにこちらを伺う家族の姿が見えた。
大変!
王家の馬車が屋敷の前で止まったままだなんて、何があったのかと気が気でないに違いないわ。
ああ、お父様が飛び出そうとするたびに、お兄様に引っ張られてる・・・
「うーん、侯爵に挨拶はしたいけど、とりあえず書類が先かな。」
一緒に外を見ながらラインハルトがブツブツと独り言を言っている。
書類?なんの?
「リリー、僕はこれから急いで戻って、父上と話さないといけないから、今日はこれで失礼するよ。」
「あ、はい。送ってくださってありがとうございました。」
「いや、僕がリリーと話したかったから。」
そこまで言うとラインハルトは距離を詰め、リリーの耳に唇を近付けると囁いた。
「リリー、いいかい?僕と別れたら侯爵に、僕と婚約したって言うんだよ?約束してくれる?」
耳にラインハルトの声が直接注がれ、リリーはコクコクと頷くことしかできない。
「うん、大丈夫そうだね。では扉を開けてもらうとするか。」
二人の距離を戻し、「開けて」とラインハルトが一声掛けると、ゆっくりと馬車の扉が開かれ、御者が頭を下げているのが見えた。
もしかして、ずっと待っててくれたのかしら?
申し訳ないし、ハルト様との会話を聞かれてたなら恥ずかしすぎる!!
ヨロヨロと馬車から降りると、ラインハルトから声がかかった。
「では、リリー。またね。」
いつもの笑顔のラインハルトに、リリーも安心して笑顔で応える。
「ありがとうございました。お気を付けて。」
馬車が立ち去るのをずっと見ているリリーを、馬車の中からラインハルトも見つめていた。
「早く帰って、父上に婚約の書類を作ってもらわないと。明日の朝一で侯爵家に届けないとね。リリーの気持ちが変わる前に・・・。逃がさないよリリー。」
リリーが降りた馬車の中に、ラインハルトの呟きが響いていた。
依然として、リリーはラインハルトに抱きつかれたままであった。
頭はなでなでされているし、頬はすりすりされている。
私ってば、自分で思っているよりハルト様に好かれているのかしら?
好き放題されるがままで、段々どうにでもなれという気持ちになっていたが。
「ああ、もうリリーを離したくない。やっぱり城に連れて帰っちゃおうかな。婚約者になるんだし。どうせなら、既成事実でも作っておきたいところだけど。」
ラインハルトが不穏なことを呟きだした。
既成事実??
リリーは慌ててラインハルトから距離を取ると、口を両手で押さえた。
「既成事実なんてダメです!!」
思わず強い口調で言ってしまう。
そんなリリーを目を丸くしながら見ると、ラインハルトは再び笑い出した。
「あははは!!それって、口付け防止なのかな?既成事実が口付けだと思ったの?」
ラインハルトは愉快だと言わんばかりに笑っているが、リリーには意味がわからない。
何がおかしかったのかしら?
口付けは結婚式で夫婦になる証として行われるものでしょう?
だから既成事実って口付けのことかと思ったのだけれど。
小説だと最後は口付けしてハッピーエンドだし。
でも・・・
口付けされるのかと思って思わず離れてしまったけれど、違ってたみたい。
「ごめんなさい、ハルト様。私、勘違いをしてしまって。恥ずかしい・・・」
リリーが赤くなって俯くと、ラインハルトがさらっと言い放った。
「いや、勘違いでもないよ。口付けももちろんしたいし、というか、するつもりだし。それにもっと先のことも考えていただけだから。」
は!?
するの!?
もっと先?
もっと先って何!?
沸騰しそうになっているリリーの頬を撫でているラインハルトの瞳は、いつもの優しい王子様の瞳ではない気がした。
「いつまでもこうしていたいけど、さすがに帰してあげないとかな。とっくに屋敷に着いているしね。」
え?
リリーが意識を馬車に戻すと、確かに動いていない。
大分前から止まっていた気もする。
閉まっているカーテンを少し開けて外を見ると、遠くに心配そうにこちらを伺う家族の姿が見えた。
大変!
王家の馬車が屋敷の前で止まったままだなんて、何があったのかと気が気でないに違いないわ。
ああ、お父様が飛び出そうとするたびに、お兄様に引っ張られてる・・・
「うーん、侯爵に挨拶はしたいけど、とりあえず書類が先かな。」
一緒に外を見ながらラインハルトがブツブツと独り言を言っている。
書類?なんの?
「リリー、僕はこれから急いで戻って、父上と話さないといけないから、今日はこれで失礼するよ。」
「あ、はい。送ってくださってありがとうございました。」
「いや、僕がリリーと話したかったから。」
そこまで言うとラインハルトは距離を詰め、リリーの耳に唇を近付けると囁いた。
「リリー、いいかい?僕と別れたら侯爵に、僕と婚約したって言うんだよ?約束してくれる?」
耳にラインハルトの声が直接注がれ、リリーはコクコクと頷くことしかできない。
「うん、大丈夫そうだね。では扉を開けてもらうとするか。」
二人の距離を戻し、「開けて」とラインハルトが一声掛けると、ゆっくりと馬車の扉が開かれ、御者が頭を下げているのが見えた。
もしかして、ずっと待っててくれたのかしら?
申し訳ないし、ハルト様との会話を聞かれてたなら恥ずかしすぎる!!
ヨロヨロと馬車から降りると、ラインハルトから声がかかった。
「では、リリー。またね。」
いつもの笑顔のラインハルトに、リリーも安心して笑顔で応える。
「ありがとうございました。お気を付けて。」
馬車が立ち去るのをずっと見ているリリーを、馬車の中からラインハルトも見つめていた。
「早く帰って、父上に婚約の書類を作ってもらわないと。明日の朝一で侯爵家に届けないとね。リリーの気持ちが変わる前に・・・。逃がさないよリリー。」
リリーが降りた馬車の中に、ラインハルトの呟きが響いていた。
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