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王子様へのプレゼント。
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お忍びデートも終盤に入り、ラインハルトは街の中心部から少し離れた、オススメの宝飾店にリリーを案内した。
「ここは母上もお気に入りの店なんだ。きっとリリーの気に入るものもあると思ってね。」
決して大きくはない店だが、外装や外灯からも、センスの良さとこだわりを感じる。
素敵なお店。
ここならハルト様に贈るプレゼントが見つかるかもしれないわ。
リリーは期待に胸が膨らんだ。
中に入ると、リリーの期待通り、奇抜ではないが目を惹くデザインのアイテムが並んでいる。
宝石も扱っているが、石を嵌め込んだ小物も多く、リリーはそちらに興味を引かれた。
「素敵!ハルト様、ゆっくり見てもいいですか?」
「もちろん。僕も見たいものがあるから、ごゆっくり。」
ラインハルトが離れていったので、今がプレゼントを探すチャンスとばかりに、リリーは吟味し始めた。
んー、何がいいかしら。
普段使って貰える物か、身に付けられる物がいいのだけれど・・・
悩んでいたリリーだったが、一つの物に目が止まった。
金色の懐中時計・・・
鈍い光り具合が、かえって洒落てますね。
中を開くと、文字盤の中心にエメラルドの石が刻まれていた。
私の瞳の色だわ。
この懐中時計を贈ったら、見る度に私を思い出して下さるかしら?
リリーはラインハルトへのプレゼントはこの懐中時計に決め、店員に話しかけようとして、再び目が止まった。
またまた気になる、今度は木製の小物入れが目に入ったのである。
綺麗な木目ね。
手触りが滑らかで、品があるわ。
あら、金具にアメジストがあしらわれているなんて、ハルト様の瞳の色じゃないの。
あ、エメラルドのものもあるのね。
だったら、お互い相手の瞳の色を持つなんてどうかしら?
すぐさまリリーは、懐中時計と小物入れ二つを購入した。
「リリー、何か買ったのかい?」
どこかへ行っていたラインハルトが戻ってきた。
「はい!後で見せますね。ハルト様はどちらへ行かれていたのですか?」
途中、ラインハルトは店の中から姿を消していた。
「ちょっと知り合いを見かけてね。挨拶していたんだよ。」
ラインハルトは、アーサーとジェシーが尾けてきていることにずっと気が付いていたが、あえて気付かないフリをしていた。
せっかくのリリーとの初デートを、ダブルデートにはしたくない。
しかしあまりにも目障りなので、追っ払ってきたのである。
ラインハルトから二人に声をかけると、アーサーは狼狽えていたが、ジェシーは堂々と「奇遇ですわね」と見え見えの嘘をつき、ニッコリと笑ってみせた。
やはりジェシーは侮れない。
リリーの為には、ジェシーのような令嬢が傍に居てくれるのは、正直ありがたかった。
買ったものを、大事そうに自分で抱えて離さないリリーを見つめ、ラインハルトはリリーを絶対守るという気持ちが、一層強く湧き起こったのだった。
帰りの馬車の中で、リリーはラインハルトにさきほど買った贈り物を渡した。
「ハルト様、これを開けてみて下さい。いつもいただいてばかりなので、お礼の贈り物です。」
綺麗に包装された小箱を渡す。
中身はエメラルドが付いた小物入れである。
自分も同時に、アメジストの方を開けた。
「リリー、この石・・・」
「はい。ハルト様の方はエメラルドが飾られていて、私の方はアメジストなんです。お互いを感じられるかと思って、ついお揃いで買ってしまいました。」
「嬉しいよ!!リリーの瞳の色なんて、大切に使うよ!」
「良かったです。あとこちらも、良かったら使って欲しくて。」
リリーは包装された懐中時計を渡した。
「ああ、いい色だね。」
ラインハルトは開封後、まず懐中時計の色を誉め、中を開けて、更に表情が柔らかくなった。
「この時計もリリーの色だ!持ち歩けば、いつでもリリーを感じられるね。」
リリーは安心した。
身につけてくれる気らしい。
「でもこれ、結構いい値段なんじゃ?」
心配するラインハルトに、リリーは説明した。
「それは大丈夫です。私、領地で酪農のお手伝いをして、少しお給金をいただいていたのです。今まで使う機会が無かったのですが、ハルト様には私から贈り物をしたかったので、足りて良かったです。」
嬉しそうにリリーは話すが、自分で稼ぐ令嬢なんて普通は居ない。
しかも、せっかく貯めたお金を、ラインハルトの為に使ってしまったのだ。
「リリー、そんな貴重なお金を僕の為に・・・」
「ハルト様にだから使いたかったのです。」
後悔なんて微塵も感じさせないリリーに、遠慮をするより、たくさん使う方がリリーの気持ちに寄り添えると考えたラインハルト。
「肌身離さず身に付けるからね。」
リリーは、ラインハルトが心ごと受け止めてくれたのを感じ、満ち足りた気分だった。
こうして、デートは二人の思い出に残るものとなった。
ラインハルトは上機嫌で、お忍びデートを陰で手伝ってくれた者達を労って回ったらしい。
自然体で楽しむリリーに、皆が好意的な印象を残すことになったのだった。
「ここは母上もお気に入りの店なんだ。きっとリリーの気に入るものもあると思ってね。」
決して大きくはない店だが、外装や外灯からも、センスの良さとこだわりを感じる。
素敵なお店。
ここならハルト様に贈るプレゼントが見つかるかもしれないわ。
リリーは期待に胸が膨らんだ。
中に入ると、リリーの期待通り、奇抜ではないが目を惹くデザインのアイテムが並んでいる。
宝石も扱っているが、石を嵌め込んだ小物も多く、リリーはそちらに興味を引かれた。
「素敵!ハルト様、ゆっくり見てもいいですか?」
「もちろん。僕も見たいものがあるから、ごゆっくり。」
ラインハルトが離れていったので、今がプレゼントを探すチャンスとばかりに、リリーは吟味し始めた。
んー、何がいいかしら。
普段使って貰える物か、身に付けられる物がいいのだけれど・・・
悩んでいたリリーだったが、一つの物に目が止まった。
金色の懐中時計・・・
鈍い光り具合が、かえって洒落てますね。
中を開くと、文字盤の中心にエメラルドの石が刻まれていた。
私の瞳の色だわ。
この懐中時計を贈ったら、見る度に私を思い出して下さるかしら?
リリーはラインハルトへのプレゼントはこの懐中時計に決め、店員に話しかけようとして、再び目が止まった。
またまた気になる、今度は木製の小物入れが目に入ったのである。
綺麗な木目ね。
手触りが滑らかで、品があるわ。
あら、金具にアメジストがあしらわれているなんて、ハルト様の瞳の色じゃないの。
あ、エメラルドのものもあるのね。
だったら、お互い相手の瞳の色を持つなんてどうかしら?
すぐさまリリーは、懐中時計と小物入れ二つを購入した。
「リリー、何か買ったのかい?」
どこかへ行っていたラインハルトが戻ってきた。
「はい!後で見せますね。ハルト様はどちらへ行かれていたのですか?」
途中、ラインハルトは店の中から姿を消していた。
「ちょっと知り合いを見かけてね。挨拶していたんだよ。」
ラインハルトは、アーサーとジェシーが尾けてきていることにずっと気が付いていたが、あえて気付かないフリをしていた。
せっかくのリリーとの初デートを、ダブルデートにはしたくない。
しかしあまりにも目障りなので、追っ払ってきたのである。
ラインハルトから二人に声をかけると、アーサーは狼狽えていたが、ジェシーは堂々と「奇遇ですわね」と見え見えの嘘をつき、ニッコリと笑ってみせた。
やはりジェシーは侮れない。
リリーの為には、ジェシーのような令嬢が傍に居てくれるのは、正直ありがたかった。
買ったものを、大事そうに自分で抱えて離さないリリーを見つめ、ラインハルトはリリーを絶対守るという気持ちが、一層強く湧き起こったのだった。
帰りの馬車の中で、リリーはラインハルトにさきほど買った贈り物を渡した。
「ハルト様、これを開けてみて下さい。いつもいただいてばかりなので、お礼の贈り物です。」
綺麗に包装された小箱を渡す。
中身はエメラルドが付いた小物入れである。
自分も同時に、アメジストの方を開けた。
「リリー、この石・・・」
「はい。ハルト様の方はエメラルドが飾られていて、私の方はアメジストなんです。お互いを感じられるかと思って、ついお揃いで買ってしまいました。」
「嬉しいよ!!リリーの瞳の色なんて、大切に使うよ!」
「良かったです。あとこちらも、良かったら使って欲しくて。」
リリーは包装された懐中時計を渡した。
「ああ、いい色だね。」
ラインハルトは開封後、まず懐中時計の色を誉め、中を開けて、更に表情が柔らかくなった。
「この時計もリリーの色だ!持ち歩けば、いつでもリリーを感じられるね。」
リリーは安心した。
身につけてくれる気らしい。
「でもこれ、結構いい値段なんじゃ?」
心配するラインハルトに、リリーは説明した。
「それは大丈夫です。私、領地で酪農のお手伝いをして、少しお給金をいただいていたのです。今まで使う機会が無かったのですが、ハルト様には私から贈り物をしたかったので、足りて良かったです。」
嬉しそうにリリーは話すが、自分で稼ぐ令嬢なんて普通は居ない。
しかも、せっかく貯めたお金を、ラインハルトの為に使ってしまったのだ。
「リリー、そんな貴重なお金を僕の為に・・・」
「ハルト様にだから使いたかったのです。」
後悔なんて微塵も感じさせないリリーに、遠慮をするより、たくさん使う方がリリーの気持ちに寄り添えると考えたラインハルト。
「肌身離さず身に付けるからね。」
リリーは、ラインハルトが心ごと受け止めてくれたのを感じ、満ち足りた気分だった。
こうして、デートは二人の思い出に残るものとなった。
ラインハルトは上機嫌で、お忍びデートを陰で手伝ってくれた者達を労って回ったらしい。
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