【完結】田舎育ち令嬢、都会で愛される

櫻野くるみ

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お披露目の夜会は厳かに?

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いよいよ、リリーお披露目の夜会の日が近付いて来た。
とうとう第3王子の婚約者として、公の場で紹介されるのである。

今回、リリーのお披露目は王家主催の夜会で行われるのだが、まだリリーは社交界デビューをしていない。
最近まで領地で暮らしていたのと、リリーの家族がリリーの社交界デビューに積極的ではなかった為である。
しかし、第3王子と婚約をしたとなると、社交界に顔を出さないわけにはいかない。
よってお披露目当日、リリーの社交界デビュー、デビュタントも行うことになった。

デビュタントにはリリーだけでなく、他の同じ年頃の令嬢も参加する為、幼馴染みのジェシーも一緒である。
リリーはジェシーが居てくれて、心強かった。


「リリーのドレスは、腹黒王子が用意するのよね?」

「ええ、もうすぐ出来上がるって手紙に書いてあったわ。」

ジェシーに訊かれて、リリーは答えた。
ジェシーはすっかり『腹黒王子』呼びが定着し、リリーが注意しても直す気は全くないらしい。
リリーは何故『腹黒』なのかわからなかったが、ジェシーも詳しくは教える気がないようだ。

「そうそう、ジェシーにもお土産があるのよ。街で買ったの。可愛いでしょう?」

例の男爵令嬢が騒動を起こし、その後、二人の追いかけっこの原因となったキャンディーである。
全部影から見ていたジェシーは、思わず吹き出しそうになるのを堪えた。

「随分お洒落なキャンディーね。お忍びデートは楽しかった?」

ほぼ観察済みだが、素知らぬフリで尋ねてみた。

「ええ、とっても!!ジェシーもお兄様と行ったらいいわ。」

まさか同じルートを巡ったとも言えず、ジェシーは「それもいいわね」と無難に返事をした。
そして、ラインハルトに声をかけられた時の事を思い出していた。

尾行しているのに気付かれていることはわかっていたし、正直悪いことをしている自覚はジェシーにもあった。
しかし、少しのイヤミは言われたが、咎められはしなかったのである。
その時ジェシーは感じた。
『ああ、私はこの王子に同志として認められている』と。
王子とジェシーは、リリーを守る仲間なのだ。


「ねえ、ジェシー。私がエスコートをお兄様に頼んでしまったせいで、ジェシーがお兄様と居られなくてごめんなさい。」

「それは仕方ないことよ。デビュタントはエスコートが身内と決まっているもの。私ならオーウェンお兄様にお願いするから大丈夫よ。」

リリーは婚約のお披露目の時までは、兄のアーサーにエスコートをされることになっている。
ラインハルトには、夜会の会場まで会うことが出来ない。

当日は二組の兄妹で一緒に出発する約束をして、その日は別れた。


お披露目当日。
リリーはラインハルトから贈られた、白いドレスを着ていた。
趣味の良いアクセサリーも同包されていたのだが、デートで立ち寄った宝飾店のものだった。

ハルト様ったら、あの時姿が見えなかったのは、このネックレスの相談をしていたのね。

いつもリリーのことを想ってくれるラインハルトに、胸が温かくなる。
それと同時に、いよいよ皆の前で婚約者として紹介されると思うと、緊張で手足が震えそうだった。

どうか皆さんに受け入れられますように・・・

リリーは祈った。


王宮にある会場に到着してみると、和やかな雰囲気にリリーはホッとしていた。
リリーに気付いた人々も、温かな目を向けてくれる。

王族が入場し、主役の令嬢達は国王と王妃の前で挨拶をした。
リリーも特別扱いはなく、他の令嬢と共に並び、挨拶をした。

のだが・・・
やはり王家、なかなかブッ飛んでいた。

「おお、リリーちゃん、可愛いぞ。」

「やっぱりリリーちゃんには、このラインのドレスが似合うと思ったのよ!」

「ちょ、父上、母上、僕より先に誉めるのはやめて下さい!!リリー、とっても可愛いよ。」

あれ?
ここで話しかけられるのは予想外でした。
デビュタントって、こういうものでしたっけ?
厳かな行事って聞いてましたけど。

ジェシーが隣で笑ってしまっている。
つられるように、見守っていた貴族も笑いだした。

こうして、夜会は平和に始まった。

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