14 / 23
卒業パーティー当日の朝
しおりを挟むとうとう卒業パーティー当日の朝を迎えた。
私は興奮が抑えきれず、予定よりだいぶ早く目が覚めてしまった。
もう一度眠ろうと試みたが目が冴えてしまい、ベッドの中でゴロゴロと時間を潰している。
いよいよ今日が本番ね。
断罪劇の台詞はバッチリ覚えたし、パーティー参加者の皆も楽しんで観てくれるといいな。
いえ、きっと楽しんでくれるはず・・・。
学長からの太鼓判も貰ったしね。
自分の出番を頭の中で復習したり、ブツブツ台詞を唱えたりしてみる。
あー、もう、落ち着かない!
起きるには早いけど、やっぱり起きちゃおう。
私がガバッと身を起こしたタイミングでノックの音が聴こえ、まるでわかっていたかのようにマーサが顔を出した。
「お嬢様、おはようございます。やはりもうお目覚めでいらっしゃいましたか。」
「おはよう、マーサ。よくわかったわね。ドキドキして寝ていられなくて。」
「ふふっ。心配なさらなくても、全てうまくいきますよ。」
マーサに言われると、本当にうまくいきそうな気がする。
マーサにも、クロードに打ち明けた後、前世の記憶を取り戻したことを話した。
「なぜもっと早く言ってくださらなかったのですか!」と泣かれてしまったが、違和感の原因がわかり、安心していた。
たまに私が、マーサの見たことのない表情をしていたらしい。
「いつもありがとう、マーサ。」
見守っていてくれるマーサに、私ははにかんだ笑顔でお礼を言った。
今日の卒業パーティーは、学院の大ホールで催される。
本来なら婚約者のクロードがエスコートをしてくれるはずなのだが、生徒会役員の集合時間が早いのと、劇で婚約破棄の真似をする為、あえて今回は別々に現地集合することにした。
エスコート出来ない代わりにと、クロードからは素敵なドレスがあらかじめ贈られている。
「よくお似合いですよ、お嬢様。」
ドレスを身にまとい、髪を結い上げた私を、様々な角度から点検をした後にマーサが称賛してくれる。
クロードから贈られたドレスは、深紅でシルエットが大人っぽいデザインのものだった。
マーメイドラインが上品で、アメリアの雰囲気によく合っていた。
さすが、クロード。
アメリアの華やかな顔とスラッとした体型にはよく似合ってるわ。
理亜の日本人顔とスタイルじゃ、着こなせなかった気がする。
ま、日本でこんなドレスを着る機会なんてほとんどないからいいけど。
悪役令嬢を演じるにはピッタリね。
ちなみに、ヒロイン役のセレンはピンクのドレスを用意したと言っていた。
ピンク髪でも男爵令嬢でもないので、せめてドレスだけでもピンク色にするらしい。
なるべく忠実にヒロイン役を全うしようとするセレンが可愛いと思う。
思い出して口元が笑ってしまったが、テーブルに置いたままになっていた封筒が目に入り、思わず眉が寄ってしまった。
それはアーサーからの手紙であった。
中身を理亜的に率直に言えば、
『卒業パーティーは、俺様がエスコートしてやってもいいぞ。光栄だろう?』
という、なんとも相変わらず腹立たしい文面で。
もちろん丁重にお断りをし、婚約者がいるから今後は関わるなという内容をオブラートに包んで返事をしたのだが、果たして伝わっているかどうか。
オブラートは必要なかったかもしれない。
しかし、今回は物的証拠もある為、初めて家族にも相談してみた。
マーサには、今までのアメリアだったら一人で抱えて悩んでいたはずだから、いい傾向だと喜ばれてしまった。
両親も薄々気付いていたらしく、憤慨していたが、アーサーの父親は常識的な人物である為、もう少し様子を見ることになった。
まあ、今日卒業さえしてしまえば、学院ほど顔を合わせる心配もないし、ようやく絡まれる日々とさよならできると、私は胸を撫で下ろす。
弟が心配そうに手を握ってくれたのがとにかく可愛く、癒された。
心強い家族が居てくれる。
私は気持ちを切り替えて、残りの準備を終わらせたのだった。
13
あなたにおすすめの小説
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】転生令嬢が、オレの殿下を"ざまあ"しようなんて百年早い!〜"ざまあ王子"の従者ですが、やり返します〜
海崎凪斗
恋愛
公爵令嬢ロベリアは、聖女への嫌がらせを理由に婚約破棄された――はずだった。だが夜会の席、第二王子が「冤罪だった」と声を上げたことで、空気は一変する。
けれど第一王子の従者・レンは言う。
「いや?冤罪なんかじゃない。本当に嫌がらせはあったんだよ」「オレの殿下を"ざまあ王子"にしようなんて、百年早い!」
※ざまぁ系ではありますが、"ざまぁされそうな王子の従者が、それを阻止して悪役令嬢気取りの転生者をざまぁし返す話"です。主従モノに近いので、ご注意ください。
プロローグ+前後編で完結。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!
たまこ
恋愛
エミリーの大好きな夫、アランは王宮騎士団の副団長。ある日、栄転の為に辺境へ異動することになり、エミリーはてっきり夫婦で引っ越すものだと思い込み、いそいそと荷造りを始める。
だが、アランの部下に「副団長は単身赴任すると言っていた」と聞き、エミリーは呆然としてしまう。アランが大好きで離れたくないエミリーが取った行動とは。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる